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禁煙による血糖コントロールの悪化について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日から診療所はいつも通りの診療に戻ります。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
禁煙による血糖コントロールの悪化の影響.jpg
先月のLancet Diabetes Endocrinol誌にウェブ掲載された、
2型糖尿病の患者さんが禁煙した時の、
血糖コントロールへの影響を検証した論文です。

喫煙は肺癌や肺気腫など、
多くの病気のリスクとなることが明らかですが、
2型糖尿病の発症リスクを44%増加させる、
という多くの論文をまとめて解析した、
システミック・レビューの結果が報告されています。

ただ、喫煙をする方は、
他の不健康な習慣も共に持っていることが多いので、
これが喫煙の直接的な影響であるかどうかは、
何とも言えません。

その一方で禁煙をすると、
少なくとも一時的には糖尿病の発症リスクが増加することが、
複数の研究において確認されています。

禁煙は食欲を増し、
体重増加の原因となります。
糖尿病の発症リスクの増加は、
部分的にはこの体重の変化により説明可能ですが、
体重は増えていないのに血糖は上昇した、
という報告も複数認められるので、
それだけが原因ではないことも、また確かなようです。

ちなみに以前ご紹介したJAMA誌の論文では、
体重が禁煙後に5キロ以上増えると、
その心血管疾患の禁煙による予防効果は、
相殺されてしまう、という結果になっていました。

それでは喫煙者の2型糖尿病の患者さんが、
禁煙をすると、
その後の血糖コントロールには、
どのような影響が起こるのでしょうか?

今回の研究では、
イギリスのプライマリケアのデータベースを活用して、
登録時点で喫煙者であった2型糖尿病の患者さん、
トータル10692名を対象とし、
経過観察期間中に禁煙したケースでの、
その後の血糖コントロールと体重などの変化を検証しています。

その結果…

全体の29%に当たる3131名が禁煙し、
それを最低でも1年間継続しました。
他の血糖コントロールに関連する因子を補正した結果として、
禁煙した患者さんでは、
そうでない患者さんと比較して、
禁煙後1年で、
血糖コントロールの指標であるHbA1c値は、
平均で0.21%(0.17から0.25)有意に増加し、
元に戻るには3年間を要しました。
このHbA1cの変化は、
患者さんの体重の増加とは無関係に生じていました。

今回のデータからどのようなことが分かるでしょうか?

禁煙は矢張り一時的な血糖の上昇を伴い、
それは糖尿病の患者さんにおいても同様のようです。
その影響は体重増加とは無関係にも生じる可能性が高く、
正確なメカニズムは不明です。
実際的な影響はそれほど大きなものではありませんが、
数年間の血糖コントロールの悪化は、
合併症の進行に結び付く可能性も否定出来ず、
そのため糖尿病の患者さんに禁煙を指導する場合には、
そのタイミングを慎重に判断することと、
禁煙後の血糖コントロールをより厳格に行なうような戦略が、
必要となるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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