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西加奈子「ふる」 [小説]

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

例年通り今日から3日まで奈良に行きます。
明日の更新はお休みさせて頂きます。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
西加奈子「ふる」.jpg
一昨年の暮に出版された西加奈子さんの新作です。
昨年はエッセイ以外は新作はありませんでしたから、
今の時点で西さんの長篇の最新作ということになります。

前作の「ふくわらい」は、
かなり強烈なキャラが次々と登場する、
一種のキャラ祭りのような作品でしたが、
今回の「ふる」は、
それほど突飛な人物は出現しません。
28歳の1人のOLの生活と、
その生い立ちに隠された、
母親との葛藤とそこに潜むちょっとした秘密が、
自分との幻想的な対話の中で露になり、
祝祭的な結末を迎えます。

オープニング、
謎めいたタクシー運転手との対話から、
物語が始まるのは、
村上春樹の「1Q84」の影響があるように思います。
時間が交錯する構成や、
幻想と現実とのブレンドの仕方も、
「1Q84」を感じさせます。

ただ、今回の場合その趣向が、
それほど成功しているとは思えません。

作品の基本的なテーマは、
「炎上する君」に収められた名作短編、
「空を待つ」と同じなのですが、
その名刀のような切れ味と比較すると、
長篇化された分、
余分なものが多くなって感動を薄くしているように思えます。

西さんのこれまでの作品の中では、
原点に戻った感のある水準作、
というところかと思います。

僕なりにこれまでの西加奈子さんの作品を総括すると、
処女作の「あおい」は鮮烈な力作で、
次の「さくら」がアーヴィングに似過ぎている気はしますが、
抜群のリーダビリティを持つ代表作です。
趣向を少し変えた「きいろいゾウ」までは、
彼女ならではの感性の粒立った作品が続くのですが、
「通天閣」から似合わない男性目線の語りが始まり、
その後は純文学めいた「窓の魚」や、
筒井康隆の出来損ないのような「こうふくあおの」、
ユーミンの「時のないホテル」のような暗いだけの「うつくしい人」など、
明らかな失敗作が続きます。
「きりこについて」から、
一種の開き直りのような、
復調の兆しが見え、
「円卓」で小粒ながら初期のムードに戻り、
「漁港の肉子ちゃん」は、
初期作とは別の方向性を目指した力作になったと思います。
ただ、「地下の鳩」、「ふくわらい」と、
部分が暴走してトータルなまとまりに、
初期より欠ける作品が続くと、
まだまだ迷いがあるようにも思います。

「しずく」、「空を待つ」、「炎上する君」などの切れ味のある短編を読むと、
意外に長篇より短編向きの作家なのかな、
という思いもします。

そんな訳で現状の僕のお勧めは、
「あおい」、「さくら」がベストで、
「きいろいゾウ」と「漁港の肉子ちゃん」はそれに次ぐレベル。
それから短編の上記3作、
特に「空を待つ」は名品だと思います。

それではそろそろ出掛けます。

今年が皆さんにとっていい年でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 6

taka

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

持病を抱えている私には興味のある話題がためになりました。
記事を楽しみにしています
by taka (2014-01-01 10:48) 

CountryBoy

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。
by CountryBoy (2014-01-01 15:16) 

いっぷく

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
by いっぷく (2014-01-02 03:36) 

獏

明けましておめでとうございます!
今年も宜しくお願い申し上げます☆

by 獏 (2014-01-03 15:56) 

ネオ・アッキー

明けましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。 今年もよろしくお願い致します。
by ネオ・アッキー (2014-01-03 17:00) 

北岡

昨年は、質問に解答頂きありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。その後、お加減は如何でしょうか?お身体ご自愛ください。
by 北岡 (2014-01-05 22:49) 

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