So-net無料ブログ作成

発作性心房細動治療の選択肢について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は石原が整形外科受診のため、
午後の診療は3時半で終了とさせて頂きます。
ご迷惑をお掛けしますが、
ご了承下さい。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
心房細動の治療論文.jpg
先月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
発作性心房細動の治療についての論文です。

心房細動というのは、
脈が不規則になる状態が持続するタイプの不整脈で、
数時間から数日という短期間のみ、
発作的に心房細動が出現してまた元に戻る、
「発作性心房細動」という状態から始まり、
それを繰り返すうちに、
1日を通して不整脈の状態が持続する、
「慢性心房細動」へと移行します。

心房細動は、
通常のそうでない状態と比較すると、
心臓の機能は低下し、
そのポンプとしての効率は悪くなるので、
心臓の大きさは次第に大きくなり、
最終的には心不全という状態に移行することもあります。

また、
拡大した心臓の中に血の塊が出来易くなり、
それによる脳卒中の発症リスクが増加することが、
大きな問題になります。

従って、
心房細動は起こらないに越したことはなく、
発作性心房細動の時期においては、
不整脈が起こり難くなるような治療が行なわれます。

その方法には、
抗不整脈剤という薬を使用して、
不整脈を抑える方法と、
カテーテル治療により、
不整脈の原因となる部分の刺激の伝達経路を、
電気的に焼却する、
カテーテルアブレーションという治療があります。

抗不整脈剤による治療は、
一時的に不整脈を抑えているだけなので、
半永久的に薬を飲み続ける必要があり、
長期的には心臓に薬が、
悪影響を与える可能性も指摘されています。

その一方で、
カテーテルアブレーションは、
不整脈の原因と成っている部分を、
取り除く治療なので、
著効すればその後一生、
薬を飲むような治療からは解放される、
という利点があります。

そのため、
特にお若い方の繰り返す発作性心房細動には、
カテーテルアブレーションが、
積極的に試みられるようになりました。

しかし、
アブレーションも万能ではなく、
1回では不整脈を抑えることが出来ずに、
何度もアブレーションを繰り返す事例もあり、
塞栓症などの合併症もあります。
また、
1回は成功しても、
経過の中で再度不整脈が出現する事例もあります。

従って、
一時はかなり旗色の悪かった、
抗不整脈剤による治療も、
最近は再び見直されるという経緯があります。

発作性心房細動の治療、
という観点で考えると、
心房細動のトータルな期間が長いほど、
それだけ予後に与える影響が大きい、
という考え方が出来ます。

しかし、
これまでそうした観点から、
カテーテルアブレーションによる治療と、
抗不整脈剤による治療とを、
厳密に比較した臨床試験は、
あまり存在しませんでした。

そこで今回の文献では、
トータル294名の心臓に基礎疾患のない、
70歳以下の発作性心房細動の患者さんを、
カテーテルアブレーションで治療する群と、
抗不整脈剤の治療を優先する群との2群に分け、
その予後を2年間に渡って観察しています。

この試験においては、
アブレーションの群においても、
失敗すれば抗不整脈剤が併用されますし、
抗不整脈剤の使用を優先する群においても、
薬が無効の場合には、
アブレーションが併用されます。

つまり、
どちらの治療を優先するかの違いを、
見ている訳です。

従って、
抗不整脈剤を優先的に使用した群においても、
その後の2年間の間には、
結果として36%の患者さんは、
アブレーションを併用しています。

その結果…

2年後の時点において、
アブレーション優先群の85%は、
1週間の24時間心電図の検査において、
全く心房細動のない状態でしたが、
抗不整脈治療優先群では、
その比率は71%でした。

つまり、
治療効果の面では、
矢張りアブレーションの方が勝っていますが、
その差は思ったほどには開いていません。

一方でアブレーション優先群では、
脳塞栓による合併症の死亡の事例が1例と、
心タンポナーデという重篤な合併症が、
3例に認められてます。

更に興味深いのは、
3ヶ月ごとに計測した、
2年間のトータルな心房細動持続期間は、
どちらの治療群でも差はありませんでした。

つまり、
2年間の治療効果を、
その間の心房細動の持続期間で判断すると、
両者の治療にはそれほどの差はない、
という考え方も出来るのです。

現在より大規模な臨床試験が進行中であり、
その結果により、
発作性心房細動の治療も、
その方針が転換される可能性があります。

確かにカテーテルアブレーションは、
心房細動の治癒を目指すという点で、
画期的なものですが、
長期予後の観点からは、
抗不整脈剤による慎重な治療も、
必ずしも劣るものとは言い切れず、
その適応の判断を、
より個別の患者さんの予後に見合うものに、
変えてゆくことこそが、
求められているのかも知れません。

今日は心房細動の治療についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(21)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 21

コメント 2

さすらいの、、、

paf(発作性心房細動)歴2年、抗不整脈薬8種、テノーミンいずれも効かず2人の専門医が後はワーファリンだけだ!とのことで薬剤耐性で近くの医院で2㎎を処方されて服薬しております。76歳でもありカテアブの出来る病院が近くにありません。県内2大学病院でも症例は数えるほどです。発作時の脈拍50~90で頻脈とも徐脈ともつかないけれど最近は3日位不整脈が続きます。山下先生著作の中で抗不安薬、睡眠薬、ベーター遮断薬で症状の緩和を図るとあり余命はこの方法で送りたいと思っています。
by さすらいの、、、 (2012-11-01 12:52) 

ekoppi

夫は、wpwのためカテーテルアブレーションの手術を受けました。今は、症状が消えました。
私は、心臓弁膜症のため弁置換手術を受けましたが、慢性的に心房細動があります。
ワーファリンは服用して、普通に生活してますが、やはり、心臓に負担が掛からないように無理しないほうが良いのでしょうね。
by ekoppi (2012-11-01 18:44) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0