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COPDの急性増悪のリスクとしてのCT所見について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
COPDの急性増悪とCT.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
慢性の肺疾患の増悪予測因子としての、
胸のCTの所見についての論文です。

COPDは慢性閉塞性肺疾患と訳され、
最近よく使用されている言葉です。

ただ、その意味するところは、
やや曖昧で紛らわしいところがあります。

これは要するに、
タバコの害により生じる病気の総称で、
世界的から喫煙という習慣を撲滅するために、
使用されている用語だからです。

肺気腫や慢性気管支炎や気管支拡張症など、
多くの病気がCOPDには含まれている訳ですが、
その病態による違いは、
あまり問題にはされず、
ともかくタバコを吸っている限り、
病状は進行することが強調されています。

少し前に気管支拡張症の、
急性増悪の話題を取り上げましたが、
COPD全体についても、
急性増悪という概念があります。

COPDでは慢性の炎症が、
弱った気道に起こっているので、
ウイルス感染などにより、
慢性の炎症が増悪し、
それをきっかけとして、
急激に呼吸状態が悪化し、
場合によっては命に関わります。

この急性増悪を繰り返しながら、
次第に状態が悪化してゆくのが、
COPDの1つの自然経過です。

従って、
COPDの経過を改善し、
予後を良いものにするには、
この急性増悪を防ぐ、
ということが重要なのです。

COPDの急性増悪の危険因子の1つとして、
最近注目されているのが、
肺に入り込む血管系の異常です。

肺気腫が進行すれば、
結果として心臓にも負担が掛かり、
右心室や肺動脈が拡張します。
更に進行すれば、
肺高血圧と呼ばれる状態になります。

そこまではいかない軽度の状態の肺動脈の拡張が、
COPDの増悪因子ではないかという考えがあり、
今回の文献においては、
COPDの患者さんにおいて、
胸のCT検査による所見から、
軽度の肺動脈の拡張を検出し、
その所見と患者さんの急性増悪との関連性を検証しています。
対象は3464名の喫煙者(過去も喫煙も含む)でCOPDの患者さんです。

CTで肺動脈の拡張を、
どのように判定するのでしょうか?

こちらをご覧下さい。
COPDの急性増悪とCTの図.jpg
文献に載っている図ですが、
Aが通常のCTの輪切りの画像で、
肺動脈が左右分岐する高さの断面です。
ここに肺動脈(PA)と大動脈(A)の輪切りが映っているので、
その2つの直径の比率を計算します。

通常は肺動脈の方が径が小さいのですが、
それが同じかより肺動脈が大きい場合を、
肺動脈拡張と判定します。

ここでCOPDの急性増悪について、
様々な影響が疑われる因子の、
多変量解析を行なうと、
他の全ての要因とは独立する形で、
この肺動脈拡張が増悪因子である、
ということが確認されたのです。

肺動脈の拡張があると、
将来的な急性増悪のリスクは、
相対リスクで3.44倍と有意に増加し、
そのリスクは過去の急性増悪の既往や、
肺機能検査の数値とは、
別箇のものとして算出されました。

つまり、
COPDと診断された患者さんで、
CT上肺動脈の拡張が確認された場合、
その後の急性増悪のリスクはより高いものと考えられるので、
より慎重な医療上の管理が必要となる、
ということになります。

ただ、
同じ紙面に掲載された解説では、
この結果にはかなり批判的な記載になっていて、
このデータが現時点で、
必ずしも高い評価を得ているものではないことが分かります。

統計的には確かに、
肺動脈の拡張が、
突出したCOPDの増悪リスクになっているのですが、
肺機能の指標や過去の急性増悪の指標と、
無関係というのは理屈から言って考え難く、
仮にそうであるとすると、
通常想定されているのとは別箇のメカニズムにより、
肺動脈の拡張は起こっている、
ということになります。

それはあまりありそうのないことのように、
現時点では思われます。

もう少しこの指標が、
どのような肺や心臓の病態と、
結び付いているものなのかが明らかにされないと、
この指標をそのまま臨床に適応することは出来ませんし、
仮にリスクがあったとしても、
それを改善する方法も明確ではないので、
ただ測定するだけに終わってしまいます。

まだこの結果は未整理のものであり、
より実証的な検証が必要だと思いますが、
そのうち忘れられてしまいそうな気もします。

ただ、
COPDの患者さんでは、
経過の中で肺のCTは一度は撮影するでしょうから、
その時の1つの所見として、
この指標をチェックすることは意味があると思いますし、
非常に簡便にチェックが出来ると言う意味で、
もう少しその意味合いが明確になれば、
意外に頻用される臨床指標になる可能性も、
あるのではないかと思うのです。

今日はCOPDの予後の占う、
CT上の指標についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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