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カンジダ食道炎を考える [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
首と背中は相変わらず痛く、
気分は憂鬱です。

それでは今日の話題です。

今日はカンジダ食道炎の話です。

カンジダとはカビの一種で、
人間の消化管には常在菌として存在します。
ある報告によると、
特に病気のない方の食道にも、
4分の1でカンジダが検出される、
とされています。

従って、食道にカンジダのいること自体は、
病気ではありません。
そのいるいないで、
特に肉眼的に食道の粘膜に違いがある、
ということもありません。

ただ、そのカンジダが異常に増殖し、
時に肉眼でも見えるような病巣を、
形成することがあります。

これが「カンジダ食道炎」です。

カンジダ食道炎の診断は、
通常胃カメラで行ないます。

Kodsi の分類、と呼ばれている重症度分類があって、
これによると軽症のⅠ度というのは、
白い小さな苔のような付着物が見られるだけのもので、
Ⅱ度はそれに粘膜の浮腫みを伴い、
Ⅲ度は潰瘍が出来、
Ⅳ度という重症型では潰瘍などのために、
食道が狭くなって食事の通過が困難となります。

稀ですが、食道が壊死したり、
食道に穴が開いて、
亡くなった事例も報告されています。

つまり、重症化したカンジダ食道炎は、
時に命にも関わる、
怖い病気でもあるのです。

それではカンジダ食道炎は、
どのくらいの頻度で起こるのでしょうか?

幾つか文献はありますが、
意外にそれほど多数例で検証したものはありません。

手元にある1990年の日本の文献では、
半年に123例の胃カメラを行なったところ、
そのうちの4例にカンジダ食道炎が見つかった、
と書かれています。
比率は3%くらいになりますが、
この程度の例数では、
あまり断定的なことは言えません。

1976年の海外文献で、
1年間の370例の胃カメラ検査のうち、
27例にカンジダ食道炎が検出された、
というものもあります。
こちらの比率は7%くらいになります。

概ね統計的に0.7~8.3%にカンジダ食道炎が見つかった、
という報告があります。
胃カメラを受ける患者さんは、
それなりのバイアスが掛かっているので、
この病気は胃カメラでしか診断が出来ない以上、
その有病率は正確に割り出すのは困難なのだと思います。

ちなみに昨年1年間の診療所の胃カメラ検査は、
355例でしたが、
このうちカンジダ食道炎は12例に認められました。
5年間の2000例余の検査中では43例です。
つまり、胃カメラ検査の数%にカンジダ食道炎が見つかる、
というのはほぼ事実と考えて良さそうです。

診療所でこれまで経験した事例は、
全てグレードはⅠ度からⅡ度のものです。

カンジダ食道炎の診療上の問題点は、
全てのカンジダ食道炎を治療するべきなのか、
ということです。

これは、カンジダ食道炎の自然経過はどういうものなのか、
という点と密接なかかわりがあります。

カンジダ食道炎は稀に重症化するのですが、
全てのカンジダ食道炎が放置すれば重症化するとすれば、
軽症のうちに治療することが必要だ、
ということになります。

一方で、ある特殊なカンジダ食道炎のみが重症化するのだとすれば、
それを選んで治療をするべきで、
全てのカンジダ食道炎を治療するのは、
過剰診療で患者さんにはメリットが少ない、
ということになります。

カンジダ食道炎には抗真菌剤と呼ばれる薬を使います。
ただ、こうした薬剤には副作用も多く、
使用する患者さんの選択は、
慎重であるべきだと思います。
そうした意味でも、
どのような患者さんが重症化し易いのか、
と言う点が一番の問題になるのです。

カンジダ食道炎は、
特定の病的な状態で起こり易い、
とどの教科書にも書かれています。

それはHIV感染症やステロイド治療、
膠原病や癌、そして抗生物質の長期間の使用、
などです。
こうした病気では免疫力が低下するので、
カンジダのようなカビが繁殖し易くなり、
抗生物質を長期間繰り返し使用すれば、
正常の菌叢を形成している細菌が死んで、
カビが繁殖し易くなる、という理屈です。

医師の中には、
免疫不全のような病的状態でなければ、
カンジダ食道炎は発生しない、
と言い切るような方もいらっしゃいます。

ただ、それは誤りで、
診療所で経験した事例の多くは、
上に挙げたような基礎疾患の、
全くない方です。

ここで1つの推測として、
軽症のカンジダ食道炎は、
一時的には健康な人にも起こることがあるけれど、
それは殆どがⅠ度の軽症に留まり、
治療をしなくても自然に改善することが多いのですが、
基礎疾患があって発症するカンジダ食道炎は、
重症化し易く自然に改善することも見込めない、
という考え方が成立します。

これは何処かの本に書いていることではありませんが、
ここ6年ほどの診療所の事例を検討する限り、
誤りではないのではないか、
と思われます。

この推測が正しければ、
カンジダ食道炎が胃カメラで見付かった場合には、
まずは基礎疾患の有無を検索し、
基礎疾患があれば、その時点で、
重症度に関わらず除菌治療の適応と考え、
基礎疾患がない場合には、
Ⅰ度の食道炎は経過観察とし、
Ⅱ度は短期間での観察もしくは、除菌を検討し、
Ⅲ度以上は当然治療の対象と考えます。

Ⅰ度のカンジダ食道炎は、
実際に数ヶ月の短期間で、
改善したり見掛け上消失することが、
しばしばあるからです。

そして実際に、
診療所ではそうした方針で、
カンジダ食道炎の経過観察を行なっています。

それでは明日は、
幾つかの実際の事例をご紹介します。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 7

yuuri37

おはようございます。今日当たりは先生の首の具合も回復なさっているかと思いましたが、お辛そうですね。やはり休む事は無理なんでしょうね。・°°・(>_<)・°°・。お大事になさってくださいね。さあ、ショウタイム…頑張るぞv(^_^v)♪
by yuuri37 (2011-02-08 09:24) 

詩人の血

「建国記念日に捧ぐ」にNice!有難うございます!
勇気をいただきました。

先生の周りが何やら騒がしいですね…
南無妙法蓮華経の唱題良いですよ!
物理的に呼吸法として、霊的には先生の持つ正しい
固有の力を強めてくれます。
5分ほど声を出して!
by 詩人の血 (2011-02-08 11:49) 

ごぶりん

大学病院の院外処方を主に応需してます薬剤師です。
浅学故、ガンジダ食道炎という病名を存じませんでした。
抗癌剤やHIV治療薬を服用している患者さんで口腔内にガンジダを発症していらっしゃる方や肺に真菌が感染した患者さんでしたら対応したことがあるのですが…
薬局サイドでは薬によっては病名を伺うのがためらわれる場合があるのでこのような病気があるということを教えて戴くのも大変参考になります。
有り難うございます(^^)

by ごぶりん (2011-02-08 21:44) 

fujiki

yuuri37 さんへ
お気遣いありがとうございます。
体調が悪いと仕事も憂鬱ですね。

by fujiki (2011-02-09 08:31) 

fujiki

詩人の血さんへ
お気遣いありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2011-02-09 08:32) 

fujiki

ごぶりんさんへ
コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2011-02-09 08:32) 

もり

はじめまして。古い記事へのコメント申し訳ありません。
カンジダ食道炎で検索してたどり着きました。

4年前の胃カメラで食道に白いブツブツが1カ所見られました。
最近4年ぶりに胃カメラをしましたが、場所は同じか不明ですが、やはり1カ所、カンジダ真菌の炎症が見られました。
抗生物質は当時から今も時々飲むことがあります。(風邪や歯科医用などで)

膣のカンジダ皮膚炎には10年以上前から度々なり、塗り薬で抑えています。
なにより、ここ1年ほど全身の蕁麻疹がひどく困り果てています。
遅延型食物アレルギーを調べたところ、卵、サトウキビ、小麦グルテンなどに重症の数値が出ました。

いろいろ調べた結果、食道のカンジダ真菌に原因があるのではないかと疑い始めています。
軽度のカンジダ食道炎だとしても、自然に治らないのであれば、治療をするべきでしょうか。。
毎晩、蕁麻疹で苦しみ、アレジオンを飲み続ける生活に不安を感じています。
治療をして食物アレルギー症状が治まればいいなあと思います。
カンジダ真菌と食物アレルギーの関連について、お解りになる範囲で教えてください。よろしくお願いいたします。
by もり (2016-04-04 00:22) 

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