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胎盤エキスとは何か? [科学検証]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から介護保険の意見書など書いて、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は「胎盤エキス」の話です。

「胎盤エキス」とか「プラセンタエキス」
と言われているものがありますね。

皆さんの中にも、
おそらく使われた方があるのではないかと思います。

この薬(?)は注射薬で、
美容外科で自費で使われることが多く、
顔のシミを取ったり、一種の若返りの効果があるされて、
使用されることが多いのですが、
一般の保険診療をする医療機関においても、
「プラセンタエキスあります」とエビスビールみたいな宣伝がされ、
公然とホームページ上などでも、
その使用がうたわれているケースが、
稀ではありません。

慢性の疲労に効果がある、ということで、
内科で注射が行なわれているケースもありますし、
慢性関節リウマチに効く、とされて、
整形外科で使用されていることもあります。
更年期障害に効くとされて婦人科で使用されていることもあり、
その他、慢性肝炎やうつ病、癌の延命、気管支喘息や胃潰瘍にも効く、
という宣伝も見られます。

これが本当なら、驚くべき効果を持つ、
万能薬のようなものですね。

あるクリニックの医師は、
「私は以前はプラセンタが効くなど、迷信の類だと思っていたが…」
と書き連ね、
「診療で疲れて体調の悪くなった時に、
藁にもすがるつもりで注射してみたところ…」
たちまちのうちにその症状が改善したことで、
患者さんにもお勧めする気になった、
という、
何か宗教の宣伝めいた文章まで綴っています。

プラセンタエキスがそんなに素晴らしいものなら、
もっと普及しても良さそうですし、
注射さえしていれば、
上に挙げたような多くの病気が治るのであれば、
積極的に推進することで、
医療費の削減にも結び付きそうです。

しかし、その一方で、
このプラセンタエキスには、
何となくいかがわしい気分も漂っています。
その原料は人間の胎盤ですが、
そんなものを一体どのようにして集めているのでしょうか?
その安全性には問題はないのでしょうか?
また、そんなものが多くの病気に効くとすれば、
そのメカニズムはどうなのでしょうか?
そのことは、一体どの程度分かっているのでしょうか?

これから、僕の分かる範囲で、上の疑問に答えてゆきたいと思います。

まず第一の疑問です。

Q1;胎盤エキスとは一体何なのでしょうか?

この疑問に回答するには、
ちょっと歴史を紐解く必要があります。

胎盤というのは、胎児に栄養を与える、
一種の寝室であり、
そこには多くの増殖因子が含まれていて、
胎児を成長させると共に、
あらゆる外敵から、胎児を守る働きを持っています。

この胎盤に傷を治したり、
炎症を抑えたりする作用のあることは、
かなり昔から知られていました。

H 博士は戦時中は満州医科大学の教授で、
戦後中国の華北医科大学に迎えられ、
そこで8年間に渡り、負傷した軍人の、
怪我を早く治す、という治療に携わりました。

あまり推測では言えませんが、
おそらくは戦前にはかなりキワドイ研究に携わり、
その功績から中国に迎えられ、
その研究成果を元に、
キワドイ研究を続けたのではないか、と推察されます。

日本に帰国したH 博士は、
九州の北の方の大学の病理学の教授に迎えられます。
場所と言い、仕事と言い、これもまあ、
何となくキワドイ感じです。

そこでH 博士が考案されたのが、
今の胎盤エキスの使用に繋がる、
「埋没療法」という考え方です。

胎盤のような治癒効果のある組織を、
皮膚の下に埋め込むと、
兵隊の傷が早く治ったのです。
治った兵士はまた戦場に出て行くのですから、
軍隊にとってはこんなに役に立つ研究はありません。

埋没療法自体は、その手技的な問題で、
あまり普及に至らなかったのですが、
胎盤からエキスを抽出し、
それを定期的に注射することによっても、
埋没療法に近い効果が、
あることが確認され、
1959年にH 博士の肝煎りで、
製造販売の開始された薬が、
「ラエンネック」です。
当時不治の病であった肝硬変に効果がある、
とのデータがあり、そのためにこの薬の適応は、
「肝硬変」とされました。
1960年にはこの博士が設立したラエンネック社が、
この薬剤の販売を一手に握ったのです。

その数年前の1956年に、もう1つの胎盤エキスである、
「メルスモン」が発売されています。
これは基本的には「ラエンネック」と同様の製品ですが、
その研究データの性質により、
その適応は更年期障害や乳汁分泌不全とされています。
同様にメルスモン製薬株式会社が、
その販売を一手に握りました。

現在日本で使用されている胎盤エキスは、
このラエンネックとメルスモンの2種類です。

健康保険の適応は、
ラエンネックは慢性肝疾患で、
メルスモンは更年期障害と乳汁分泌不全です。
薬価は190円程度ですが、
実際にはその10倍以上の値段で、
注射されているケースが多いようです。
おそらく納入価は薬価より高いのではないか、
と推測されます。

この2つの薬剤は、両方ともジェネリック薬品と同じ扱いです。
発売から50年以上も経っているのですから、
医薬品であるなら当然のことと言えますが、
それでいて先発メーカーがそのまま販売を継続し、
他のメーカーが参入する、というようなこともありません。
おそらく申請を出しても、厚生労働省は認可をしないでしょう。
メルスモン社もラエンネックを現在販売している、
日本生物製剤、という会社も、
ホームページなどで見る限りでは、
殆どこの薬単独のための会社のようです。

この辺にまず、胎盤エキスの奇怪さがあります。

平成18年の狂牛病騒動の時に、
多くの同種の薬剤はその販売が中止されましたが、
この胎盤エキスだけは、
輸血の制限が義務付けられただけで、
保険適応がなくなることもなく、
従来通りの使用が続けられています。

薬事法に関する厚生労働省の会議の中で、
ある委員の方はこんな発言をされています。
「そんな怪しげな薬(胎盤エキスのこと)なんかもう早く認可取り消して欲しいとわたしは何度も国の委員会で言っておるところですけれども、なかなか一度認可しちゃったものはそうも行かないようでありまして(原文のママ、以下略)」

こうした発言にもあるように、
何度も廃止の意見はありながら、
どうやら厚生労働省の側に、
そうは出来ない何らかの理由があることが、
何となく想像出来ます。

ここまでを纏めますとこうなります。

プラセンタエキスとは、
50年以上前の知見に基き製造承認された薬剤で、
それが基本的にはそのままの形で、
現在まで使われています。
50年以上に渡り、競合もなく、同じ企業が独占的利益を上げている、
と言う点において、他の薬剤とは全く異なる特殊性があり、
何らかの通常触れ難い理由が、
その裏にはあるのだと想定されます。

それでは胎盤エキスの危険性とは何処にあり、
その問題点は何処にあるのかについて、
明日に続けたいと思います。

以前「胎盤エキスを糾弾する」という記事を書いた時には、
嫌がらせと思われるコメントが多く寄せられ、
当該記事は現在は削除しています。
何となくこの話題は、
触れるとお怒りになる方が、
いらっしゃるようです。
当時はこのブログも読まれる方は極少数だったので、
好き放題の感じで書いており、
やや過激な文面になっていたと、
今読むと思います。
今回の内容はそれに比べるとかなり穏当なものだと、
僕自身は思っていますが、
もし同様のことがありましたら、
この記事も削除になるかも知れませんので、
その点はご了承下さい。
急に消えている時は、
「ああ、そうだったのだな」
と思って頂ければ幸いです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 3

スマイル

初めまして
胎盤エキス入りの化粧品を使用したことがあります。
胎盤エキスは効くと当たり前の情報として定着して
おりました。これを機に考え直してみようと思います。
ありがとうございました
by スマイル (2010-03-15 11:02) 

fujiki

スマイルさんへ
コメントありがとうございます。

胎盤エキス入りの化粧品に関しては、
注射とは違って基本的には無害だと思います。
ただ、はっきりとした薬効があるとは、
僕には思えません。
無毒化した時点で、
その薬効も消滅していると思うからです。
by fujiki (2010-03-16 08:14) 

うたわれるもの 画像

もう見ました、面白いですね
by うたわれるもの 画像 (2010-12-09 17:47) 

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