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1976年のブタの寓話 [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から事務仕事をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はインフルエンザ関連の昔話です。

この話はご存知の方もいると思いますが、
「新型インフルエンザ」に大騒ぎの、
日本の実情を考えると、
極めて教訓的な部分があるので、
改めてご紹介します。

1976年、アメリカのニュージャージー州で、
基地の兵隊の間にインフルエンザが流行しました。

その流行したウイルスを調査したところ、
多くはA香港型のヒトインフルエンザウイルスだったのですが、
中に数例、ブタインフルエンザウイルスが混じっていたのです。

前にも触れたように、
ブタは人間のインフルエンザの感染する、
数少ない動物の1つです。
しかし今回はブタ小屋のブタから、
ブタ固有のインフルエンザウイルスが、
人間に感染したのです。

ひょっとしてこれは、
ブタインフルエンザが「新型インフルエンザ」となって、
大流行する前兆ではないのか、
と市民は大騒ぎをし、
マスコミは連日過激な報道を展開。
それに引き摺られるようにして、
時のフォード大統領は、
ブタインフルエンザのワクチン接種を、
国家的プロジェクトとして、
推し進めたのです。

ところが…

ブタインフルエンザワクチンを人間に接種したところ、
その後に手足が動かなくなったり、
呼吸が出来なくなるなどの、
重篤な副反応の現れるケースが次々と起こりました。

ワクチンの副反応の1つとして知られている、
「ギラン・バレー症候群」を起こしたのです。
それも、それまでのワクチンとは、
比較にならないほどの高率でした。

すぐにこの新型ワクチンの接種は中止されました。

問題のブタインフルエンザはどうなったのでしょうか?
最初の感染した兵士のうち、
1名の方が死亡されました。
しかし、その後現在に至るまで、
危惧されたブタインフルエンザの大流行は、
起こらないでいるのです。

ねっ。
非常に教訓的な話ではないでしょうか。

でも、今日本で同じことが起これば、
すぐにワクチンを接種しろ、
との方針が決まり、
皆諸手を挙げて賛同することでしょう。

勿論予防策があるなら、
早く講じる方がいいに決まっています。
しかし、素早く安全などと言うことは、
多分感染症の分野では、
いまだかつて殆ど実現したことのないある種の幻想なのです。
現在有効な薬もワクチンも、
幾多の犠牲と失敗の上に、
今の安全性が確保されているのです。
慌てて安全性を確認しないまま見切り発車をして、
うまくいった例は皆無に近く、
却って不必要な被害を招くことが多いのだということを、
僕たちはもう一確認しておく必要があると思います。

それはそれとして、
ブタインフルエンザはあまり注目されませんが、
鳥インフルエンザと同じように、
「新型インフルエンザ」の危機を孕んでいるのです。
ヒトと鳥とブタが共存する環境で、
「新型インフルエンザ」は誕生するのではないか、
と語る研究者もいます。
確かに今回危惧されている「鳥インフルエンザ」の発生地も、
そうした環境にあるのです。
鳥のことばかりが危機ではないのですね。
このことももう一度確認しておく必要があると思います。

今日はブタインフルエンザの話題でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 2

tashi

SARS以来2度目のWHOからのアラートが出そうですね。
多くの人にとって想定外の、新型インフルエンザパンデミックとなる可能性があります。
これまでの公衆衛生対策の真価が問われるのかもしれません。
by tashi (2009-04-25 06:30) 

fujiki

tashi さんへ
確かにこれまでにない大規模な感染のようです。
ヒトのAソ連型とそれほど違いのない性質のものであればいいのですが。
「輸入豚肉は大丈夫か」などと、
報道はいつもながら、ポイントを外していると思います。
by fujiki (2009-04-25 08:31) 

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