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歌舞伎座三月大歌舞伎(2019年夜の部) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
3 月大歌舞伎2019.jpg
今年初めて歌舞伎座の大歌舞伎に足を運びました。

夜の部で眼目は仁左衛門の「盛綱陣屋」です。

平成8年から10年に掛けてくらいの間が、
僕が一番歌舞伎にのめりこんでいた時期で、
ほぼ毎月一度ずつは歌舞伎座に通い、
現行上演されている全ての演目を制覇することを目標にしていました、

ただ、巡り合わせで観ることの出来なかった名作もあり、
その筆頭がこの「盛綱陣屋」と「新薄雪物語」です。

首実検というと、
「寺子屋」と「鮨屋」、「熊谷陣屋」は、
それぞれ何度か観ているのですが、
この「盛綱陣屋」は前3つの演目をお手本として、
それを更にひねって構成されているもので、
名戯作者でトリッキーで技巧的な構成を得意とする、
近松半二の代表作の1つです。

元々長編の浄瑠璃「近江源氏先陣館」の八段目ですが、
歌舞伎で上演されるのはほぼこの幕のみで、
記録を見る限り、戦後通し上演的な試みも、
これまで行われたことはないようです。

通常の首実検というのは、
主君の若君を守るために、
忠臣の子どもが犠牲になり、
それを知りながら敵側に心ならずも組みしているかつての忠臣が、
本物の首であると嘘を言う、
というパターンですが、
この「盛綱陣屋」は父親の計略のために、
父の偽首でありながら捕まっている息子が、
自分が腹を切って父親であることを証明しようとし、
それを目撃した今は敵方に組みしている兄の検分役が、
本物の兄の首だと嘘を言う、
という込み入った構造になっています。

父親が逃げ延びるために、
子どもの方が命を差し出すという話で、
今では絶対お話としても許されないようなプロットですが、
首実検の途中で急に子どもが腹を切るという場面があり、
それを見て兄が弟の偽首と知りながら、
その計略を悟り、
甥を無駄死ににさせまいと嘘を言うという心理を、
無言劇として数分掛けてじっくり演じるというのが、
他の歌舞伎劇にはあまりない特殊な見せ場になっています。

当代を代表する盛綱役と言えば、
東の吉右衛門と西の仁左衛門で、
今回仁左衛門丈の見事な盛綱の芝居を、
じっくり観られたことはしあわせでした。

盛綱の母親である微妙は、
三婆の1つと言われる難役ですが、
録画で歌右衛門の名演技などを観ているので、
今回の秀太郎丈の微妙は、
今ひとつの感が拭えませんでした。

女形の老け役は、
今はまともに出来る役者さんが殆どいませんよね。
残念なことだと思います。

それでもひさしぶりに重厚な時代物の雰囲気を、
堪能することが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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高齢者の尿路感染症に対する早期の抗菌剤治療の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
尿路感染症における抗菌剤の効果.jpg
2019年のBritish Medical Journal誌に掲載されて、
高齢者の尿路感染症に対する抗菌剤治療の効果についての論文です。

多くの抗菌剤が効かない耐性菌の問題などのために、
抗菌剤の使用を減らそうという動きが、
世界的に加速しています。

重篤な感染症ではなくて、
抗菌剤が適応となっている病気というと、
溶連菌感染による急性の扁桃炎と、
単純性尿路感染症(膀胱炎)がその代表です。

女性は尿道が短いなどの構造的な理由があって、
男性よりも膀胱炎を起こし易いので、
女性の膀胱炎に対する抗菌剤の使用は、
短期間であれば必要な処方であると考えられます。
現行の国際的なガイドラインにおいて、
単純性尿路感染症の第一選択の治療薬剤は、
ホスホマイシンとニトロフラントインです。

この2種類の抗菌剤はいずれも古い薬ですが、
効果が通常の尿路感染の病原体などに限定されていて、
耐性菌の誘導を起こし難いと考えられていることから、
こうしたチョイスになっているのです。

ホスホマイシンは日本でも使用可能な薬ですが、
ニトロフラントインは日本未発売の薬です。

抗菌剤はむしろ古い薬の方が有用性が高いのですが、
日本においては製薬会社が新薬を出すと、
同様の効能の古い薬は販売しない流れになるので、
本当に有用性の高い薬の多くが、
日本では流通していない、
というような皮肉な事態となっているのです。

医学は進歩しているので、
新しく出る薬の方がより優れた薬の筈だ、
という誤った進歩史観が、
こうした歪んだ現状を生んでいるように、
個人的には思います。

さて、単純性尿路感染症の治療において、
症状出現後するに抗菌剤を使用するべきなのか、
それとも数日は様子をみて、
改善がなかったり悪化した場合のみ抗菌剤を使用するべきなのか、
といった点についてはまだあまり明確な指針が示されていません。

単純性尿路感染症は通常は軽症で終わる病気なので、
その意味では数日の経過を見てから、
抗菌剤使用の判断をしても良いような気がします。
しかし、一方で高齢者においては、
尿路感染症から敗血症に移行して重症化するというケースも、
少なからず報告されているので、
その点を重視するのであれば、
より早期に抗菌剤治療を開始した方が良いようにも思います。

それでは、実際に抗菌剤の使用のタイミングによって、
高齢の患者さんの尿路感染症の予後には違いがあるのでしょうか?

その点を検証する目的で今回の研究では、
イギリスのプライマリケアのデータベースを活用して、
65歳以上で1回は尿路感染症と診断を受けている、
トータル157264名のデータを解析し、
尿路感染症の診断と抗菌剤の使用のタイミング、
そして敗血症への進行などの予後との関連を検証しています。

その結果、
尿路感染症の診断後60日以内に、
全体の0.5%に当たる1539件の事例で敗血症を発症しており、
診断後速やかに抗菌剤が処方された場合と比較して、
診断同日には処方されず1週間以内に処方されたケースでは、
敗血症のリスクは7.12倍(95%CI: 6.22から8.14)、
抗菌剤が未使用のケースでは8.08倍(95%CI: 7.12から9.16)、
それぞれ有意に増加していました。

入院のリスクも速やかに抗菌剤が使用された場合と比較して、
抗菌剤の使用が遅れても未使用でも、
ほぼ2倍に増加していました。

また総死亡のリスクについても、
抗菌剤が即日使用された場合と比較して、
遅れて使用された場合には1.16倍(95%CI: 1.06から1.27)、
未使用の場合には2.18倍(95%CI: 2.04から2.33)、
それぞれ有意に増加していました。

使用頻度も最も高かった抗菌剤は、
ST合剤でした。

このように、
今回のイギリスのデータにおいては、
65歳以上の高齢者の尿路感染症は、
診断と同時に抗菌剤を使用することで、
敗血症の予防のためにも生命予後の改善のためにも、
有益である可能性が高い、
という結果になっています。

これは介入試験のようなものではないので、
まだ確定的な知見ではありませんが、
高齢者(データによれば特に85歳以上の男性)においては、
尿路感染症は診断と同時に抗菌剤を使用開始することが、
その予後改善のために有用な可能性が高いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「翔んで埼玉」(2019年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
跳んで埼玉.jpg
魔夜峰央さんのギャグ漫画を、
こうした企画には定評のある竹内英樹監督が実写映画化し、
二階堂ふみさん、GACKTさん、伊勢谷友介さんという、
魅力的かつ濃いキャストが顔を揃えた、
「翔んで埼玉」を観て来ました。

これはなかなか楽しい作品ではあるのですが、
物語的にはあまりひねりがなく、
トータルには少々退屈を感じました。

ディテールは仰々しくて面白いのですが、
ラストは都知事の不正を息子(?)が暴く、
というような形になり、
あまりに予定調和的で脱力してしまうのです。

また悪の元締め的な都知事役を、
中尾彬さんが演じているのですが、
失礼ながらラスボスとしては役不足と感じました。
中尾さんはどうしても小物感(失礼!)が漂うので、
「アウトレイジ」で威張っているのに途中であっさり粛正される、
というくらいの役柄がベストフィットだと思います。

そんな訳で個人的にはあまり乗れなかったのですが、
劇場は中高生中心にお客さんで賑わっていて、
埼玉をdisる台詞で笑いが起こっていましたから、
これはこれで成功だったのではないかしら、
下手に物語を複雑化せずに、
単純なお話に終始したことも、
緻密な狙いであったのかも知れません。

キャストではGACKTさんは想定通りのお芝居で、
伊勢谷友介さんは風格は充分ですが、
お芝居はややおとなしくて、
「ジャンゴ」の時のような狂気はありませんでした。
二階堂ふみさんはあっぱれと言って良い怪演で、
彼女のお芝居が個人的には一番のごちそうでした。
ただ、若手一番の演技派である彼女が、
こんなお芝居でいいのでしょうか?
ちょっと疑問を感じないでもありませんでした。
余計はお世話ですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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心房細動治療に対するカテーテルアブレーションと内服治療の比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
カテーテルアブレーションの生命予後に対する効果.jpg
JAMA誌に掲載された、
心房細動における2種類の治療を比較検証した論文です。

心房細動は心房が痙攣様に収縮して、
脈拍が乱れた状態が続く不整脈で、
75歳までに人口の10%はこの不整脈を発症すると報告されています。
(海外データ)

その最も深刻な合併症は、
心臓に生じた血栓による脳卒中ですが、
それ以外に心不全などのリスクも増加し、
抗凝固剤の適切な使用により、
脳卒中のリスクが予防されても、
総死亡のリスクは心房細動がない場合の、
2倍に増加すると報告されています。

また命に関わることはなくても、
不整脈発作時の動悸や息切れなどの症状は、
人によってはかなり不快なもので、
日常生活にも大きな制限が生じることも稀ではありません。

心房細動の治療としては、
不整脈を電気ショックなどの方法で元に戻すことと、
抗凝固剤や抗不整脈剤を使用する内服治療があります。

また、最近では不整脈の原因となっている部分を、
カテーテルを利用して焼却する、
カテーテルアブレーションと呼ばれる侵襲的な治療が、
広く行われるようになっています。

カテーテルアブレーションは成功すれば、
患者さんは不整脈から解放されることになるので、
患者さんにとって大きなメリットのある治療です。
ただ、一方で再発は稀ではなく、
何度も繰り返し治療が必要となることもあります。
また、長期的に患者さんの予後を、
薬物治療と比較して改善するかどうかは、
まだ比較的小規模の研究でしか検討されていません。

今回の研究は、
カテーテルアブレーションの治療と薬物療法の間で、
その生命予後や脳卒中の発症、出血系の合併症、心停止などのリスクを、
これまでにない多数の事例で比較検証したものです。

世界10か国の126の専門施設において、
慢性心房細動もしくは過去6か月に2回以上一過性心房細動の確認された、
トータル2204名の症状のある心房細動の患者さんで、
年齢は65歳以上、もしくは65歳未満でも、
脳卒中のリスクが高い患者さんは対象となっています。
治療としては各種ガイドラインにおいて、
抗凝固療法の適応があると判断された患者さんでは、
全例で抗凝固療法が施行されています。

その上で、
対象者をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はカテーテルアブレーションを施行し、
もう一方は抗不整脈剤などを含む投薬治療を施行して、
中央値で48.5か月の経過観察を行い、
両群の生命予後や脳卒中のリスクなどを比較しています。

その結果、
総死亡と後遺症を残す脳卒中、重篤な出血系合併症、
そして心停止を併せた頻度は、
カテーテルアブレーション群の8.0%、
薬物治療群の9.2%に認められ、
両群に有意な差は認められませんでした。

個別のリスクの解析では、
総死亡のリスクについては両群では差はなく、
心血管疾患による死亡と入院を併せたリスクは17%、
心房細動の再発のリスクは48%、
いずれも薬物治療群と比較してアブレーション群では有意に低下していました。

このように、
確かにカテーテルアブレーションは、
心房細動の再発の抑制などの点において、
一定の優位性はあるのですが、
トータルに患者さんの生命予後に見た時には、
明確な差は薬物治療と比較して認められない、
というのが結論になっています。

同じ雑誌の紙面にもう1篇、
同じ研究の別の側面をまとめた論文が掲載されています。
それがこちらです。
カテーテルアブレーションのQOLに対する効果.jpg
これは同じ臨床試験において、
患者さんの自覚症状などのQOLの差を見たものです。

ここでは治療開始後12か月の時点で、
カテーテルアブレーション群が薬物治療群と比較して、
明確にQOLの改善を認めていることが示されています。

つまり、心房細動の不快な症状のコントロールと言う面では、
明確にカテーテルアブレーションが、
薬物治療と比較して優れている、
と言って良いようです。

このように、
カテーテルアブレーションの治療は、
薬物治療と比較して多くの利点を持っており、
心房細動の不快な症状に苦しんでいる患者さんにとっては、
積極的に施行するメリットのある方法です。
ただ、その再発率は4年間では5割を超えており、
決して再発が少ないとは言えません。
また、トータルな生命予後や脳卒中の発症などの点においては、
明確にアブレーションが優れているという根拠はなく、
その点も良く理解した上で、
どちらの治療を選択するか個別に検証する必要があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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抗酸化サプリメントの認知機能への影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
サプリメントの認知症予防効果.jpg
2015年のJAMA誌に掲載された、
ω3系脂肪酸やカロテノイドの、
認知機能に対する影響を検証した論文です。

認知症の予防に関しては、
現状画期的な方法がある訳ではありません。

ただ、観察研究においては、
EPAやDHAのω3系脂肪酸や、
抗酸化作用を持つカロテノイドと呼ばれる自然由来の色素が、
認知症の発症リスクの低下に、
一定の有効性があることを示唆するデータが発表されています。

こうした成分をサプリメントとして摂ることで、
認知症を予防することが出来るのでしょうか?

今回の研究では、
加齢黄斑変性という目の病気に対する、
抗酸化サプリメントの効果を検証した、
大規模臨床試験のデータを活用して、
ω3系脂肪酸と、
ルテインとゼアキサンチンという、
抗酸化作用を持つカロテノイドの、
認知機能に対する効果を検証しています。

アメリカにおいて上記試験に参加した、
3741名の認知機能を経時的に測定した結果として、
ω3系脂肪酸とルテイン・ゼアキサンチンのサプリメントは、
非使用群と比較して、
認知機能の低下に明確な影響を与えませんでした。

こうした成分を適切に補充することは、
加齢黄斑変性を含め多くの病気の予防に、
一定の有効性が認められているので、
サプリメントとしての有効性が全て否定された、
という訳ではありませんが、
認知症の予防という観点においては、
過度な期待を持つことは禁物と考えた方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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