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運動不足と認知症との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
運動不足と認知症.jpg
2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
運動不足と認知症との関連についてのメタ解析の論文です。

認知症のリスクとしては、
高血圧や糖尿病、喫煙や中年期の肥満、
認知症の家族歴などが知られていますが、
運動不足と認知症との関連については、
まだ明確な結論が出ていません。

運動特に有酸素運動には、
認知機能の低下を抑えるような効果がある、
とする報告がありますが、
運動習慣が認知症の予防になるか、という点については、
精度の高い介入研究では証明はされていません。

今回の研究は、
これまでの主だった観察研究のデータを、
まとめて解析したメタ解析ですが、
40万人以上の対象者のデータをまとめて解析した結果として、
運動不足は糖尿病や虚血性心疾患、脳卒中のリスクとはなったものの、
認知症単独のリスクとは認められませんでした。

これまでの観察研究においては、
運動不足と認知症との間に、
関連があるとするデータも複数あるのですが、
実際には認知症になったために、
運動習慣がなくなったという現象を見ていた可能性が高く、
運動不足により認知症が発症した、
という関連性は薄い、というのが実際であるようです。

このように、
運動習慣は確かに多くの病気の予防になることは事実ですが、
認知症単独で考えると、
身体を動かした方が認知症にならない、
という言い方は正確とは言えない可能性が高そうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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メトホルミンの体重減少維持効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
メトホルミンの体重減少効果.jpg
2019年のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された、
メトホルミンの長期使用による体重減少維持効果を、
運動や食事などの生活改善指導プログラムと比較した論文です。

先日話題にしたように、
日本人などのアジア人種においては、
皮下脂肪に中性脂肪を蓄える能力が低く、
結果として内蔵脂肪がそれほど多くなくても、
血液中の遊離脂肪酸の上昇から、
インスリン抵抗性が生じ、
糖尿病の発症に繋がるという、
痩せ型の糖尿病が多いという仮説があります。

ただ、世界的には2型糖尿病と肥満はほぼ意味で、
糖尿病は肥満による病気というのが一般的な認識です。

それでは、肥満で糖尿病予備群(前糖尿病)の状態の人に対して、
どのような介入をすれば、
体重減少を実現し維持出来るのでしょうか?

今回の臨床研究では、
肥満者の体重減少とその維持に、
どのような方法が有効であるのかを検証する目的で、
3234名の前糖尿病で肥満のある対象者をくじ引きで3つの群に分けると、
第1群はメトホルミンを使用し、
第2群は生活改善の指導のみを行い、
第3群は偽薬を使用して、
1年間の介入を行い、
その後は15年の長期の観察期間をおいています。

その結果、
1年の介入終了の時点で、
メトホルミン使用群の28.5%、
生活改善強化群の62.6%、
偽薬群の13.4%が5%を超える体重減少を達成していました。

そして、その後6から15年の観察期間において、
メトホルミン群の6.2%、生活改善強化群の3.7%、
偽薬群の2.8%が体重の維持に成功していました。

このように、1年間という期間においては、
メトホルミンより生活改善の強化が体重減少に有効でしたが、
その後の体重減少の維持においては、
メトホルミンの治療が最も有効でした。

メトホルミンの使用は、
2型糖尿病の基礎薬としてばかりでなく、
体重減少の維持においても一定の有効性が認められた、
といって良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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ペットと肺癌死亡リスクとの関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ペットと癌リスク.jpg
2019年のEnvironmental Researchに掲載された、
ペットの飼育がその後の肺癌の死亡リスクに与える影響を、
検証した論文です。

肺癌は大気汚染や塵肺、タバコなどとの関連が指摘されているように、
環境要因との関連が大きな癌の1つです。

そして生活習慣として時々指摘されることがあるのが、
ペットで鳥を飼っている場合の肺癌リスクの増加です。
これは鳥の糞などに含まれる真菌由来の毒素などを、
吸引することが原因ではないか、
という見解がありますが、
明確に証明されたものではありません。

今回の検証はアメリカにおいて、
19歳以上の13725名の住民データを解析することにより、
ペットの飼育歴と、
長期の経過観察期間における、
肺癌死亡リスクとの関連を検証しています。

その結果、女性においては、
ペットを飼っていない場合と比較して、
ペットを飼っていると、
その後の肺癌による死亡リスクは、
2.31倍(95%CI; 1.41から3.79)有意に増加していました。
このペット飼育と肺癌死亡リスクとの関連は、
主に鳥と猫の飼育によるもので、
鳥の飼育では2.67倍(95%CI: 0.68から10.5)、
猫の飼育では2.85倍(95%CI: 1.62から5.01)、
のリスク増加が認められました。

一方で男性においてはペット飼育と肺癌の死亡リスクとの間に、
有意な関連は認められませんでした。

このように、
喫煙やアルコールなどの他のリスクを補正した上で、
ペット飼育と肺癌死亡リスクとの間に、
かなり明確な関連が見られたことは非常に興味深く、
何故性差がここまではっきりあるのかなど、
明確ではない点は多く、
ある種のバイアスが潜んでいる可能性もありますが、
今後より詳細な検証と原因の検索が、
必要であることは間違いがないと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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食事と認知症との関連について(2019年フランスの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
認知症と食事の影響.jpg
2019年のJournal of Alzheimer's Disease誌に掲載された、
食品の摂取量と認知症リスクとの関連についての論文です。

食事と認知症リスクとの関係については、
それほど多くのことが分かっていません。

理屈から言えば、
抗酸化作用のある食品を多く含む、
野菜や果物を多く摂ることは、
認知症の予防にも繋がりそうです。

また、動脈硬化性疾患の予防効果のある、
青魚の脂の成分であるEPAやDHAを多く摂ることも、
認知症の予防に繋がりそうです。

一方で獣の肉は飽和脂肪酸を多く含み、
認知症のリスクを上げるという可能性もあります。

ただ、実際に大規模な疫学データにおいて、
こうした点は明らかになったとは言えません。

それは、ある時点において、
認知症と特定の食品との間に関連があったとしても、
認知症の原因から発症までの間には、
10年以上という長い時間が掛かるので、
それを検証することが困難であるからです。

今回のデータはフランスにおいて、
65歳以上の一般住民5934名を12年間観察したものですが、
食事調査から4年以内の認知症の発症は除外して、
食事と認知症との関連を検証することで、
見かけ上のバイアスをなるべく減らすように工夫されています。

その結果は興味深いもので、
週に4回以上肉を食べている人と比較して、
週に1回以下しか肉を食べていない人は、
その後の認知症の発症リスクが1.58倍(95%CI: 1.17から2.14)、
アルツハイマー型認知症のリスクが1.67倍(95%CI: 1.18から2.37)、
それぞれ有意に増加していました。
そして、魚や果物、野菜の摂取量と認知症リスクとの間には、
有意な関連は認められませんでした。

今回の検証ではこれまでの知見とは異なり、
肉の摂取量が少ないことが認知症のリスク増加と関連してました。

肉好きを喜ばせるような結果ですが、
動物性蛋白を過不足なく摂ることが、
認知機能の維持のためには、
有益であるのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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匂いの刺激でタバコの離脱症状を治療する [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療となります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
匂いの刺激でタバコの離脱症状を治療する.jpg
2019年のJournal of Abnormal Psychology誌に掲載された、
タバコの離脱症状に対するユニークな試みについての論文です。

喫煙が多くの生活習慣の中でも、
最も健康に悪影響を与える習慣であることは、
医学に携わっていて否定する人はほぼいない事実です。

ただ、長年の喫煙者が禁煙をしてそれを続けることは、
決して容易いことではありません。

一旦は禁煙に成功しても、
それが長続きしないことが多いのは、
タバコには強い離脱症状があって、
タバコを止めることにより、
それより以上に強いタバコへの渇望が生まれるからです。

現行の禁煙治療である、
ニコチン補充療法にもバレニクリンのような飲み薬にも、
その離脱症状を取り除くような力はありません。

現状は、
強い精神力で個人が乗り越えるしかない、
ということになるのです。

しかし、それで本当に良いのでしょうか?

医学者はこの離脱症状への有効な手立てを、
提示する義務があるのではないでしょうか?

それでは、どのような方法があるでしょうか?

タバコには特有の匂いがあり、
それはタバコを吸わない人にとっては不快な臭いですが、
タバコを吸う人にとっては好ましい匂いであり、
特に禁煙をしたばかりの人にとっては、
非常に強い喫煙への誘惑となります。

つまり、タバコの匂いは、
タバコの離脱症状の大きな構成要素です。

匂いを感じる嗅覚神経というのは、
脳に直接的な刺激を与え、
アルツハイマー型認知症では最初に障害されるという知見もあるように、
認知機能にも大きな影響を与えている場所です。

それでは、
タバコの臭いに対して、
別の匂いをぶつけることで離脱症状を軽くすることが、
出来るのではないでしょうか?

この仮説を検証するために今回の研究では、
1日10本から30本くらいのタバコを吸っている喫煙者に、
しばらく喫煙を我慢してもらい、
好ましいと思う匂いを選んでもらった上で、
喫煙再開の誘惑を与え、
その時に好ましい匂いの刺激を与えた場合と与えない場合とで、
喫煙の誘惑への反応を比較しています。

その結果、好ましい匂い刺激により喫煙への渇望は低下し、
93%の被験者は好ましい匂いの刺激を思い出すことで、
自分の喫煙への欲望を抑えることが可能となりました。

このように、
ある種の匂いがタバコの離脱症状を和らげるという結果は、
非常に興味深く、
今後匂い刺激の有用性が、
これまでのアロマテラピーなどの枠を超えて、
議論されるようになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 
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