So-net無料ブログ作成

「ファントム・スレッド」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ファントム・スレッド.jpg
名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作で、
1950年代のロンドンを舞台として、
アメリカ製作ですがイギリス映画的な作品です。

ルイスはカリスマ的なオートクチュールのデザイナーで、
マザコンで死んだ母親と洋服のみを偏愛する変態ですが、
モデルとして見初めた、
ピッキー・クリープス演じるアルマという女給と付き合ったことから、
彼女に翻弄されて自滅への道を辿ります。

典型的な堅物男が若い女性に翻弄される話のようで、
お互いにかなりの変態なので、
決してそうも展開はしない、
という辺りが面白く、
特に女性が男性に毒を盛るというやり取りが、
生々しくて凄みがあります。
この辺り今世間をにぎわしている事件と、
良く似ている感じがするのが、
偶然とは言えちょっと不気味な感じがします。

映像は格調高くて美しく、
ルイスの芝居は確かに見応えがあります。

ただ、対するアルマ役の女優さんが、
どうも魅力に乏しいのでかなりゲンナリします。
後半は特にただのストーカーのようにしか思えず、
あまり入り込むことが出来ませんでした。
ラストはある意味常道から外れているのですが、
中途半端に終わっている感じもあります。
個人的にはもっと徹底して主人公が追い込まれで破滅し、
女優さんに十全な魅力がある方が好みでした。

そんな訳で芸術的かつ変態的な、
面白い映画ではあるのですが、
かなり好みは別れるように思います。
個人的には、ちょっと駄目でしたね。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

唐十郎「吸血姫」(唐組・第61回公演) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも、
石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
吸血姫.jpg
唐組の30周年記念公演として、
状況劇場で1971年に初演され、
唐先生の全ての劇作の中でも、
代表作と言って過言でない作品の1つ、
「吸血姫」が唐組では初めて再演されました。

僕にとってこの作品は、
唐先生の作品の中でも最も愛着のある1本です。

勿論初演は観ていませんが、
最初に観たのは1982年頃にシェイクスピアシアターで上演されたもので、
その後大学時代に僕自身が演出をして
(許可は得ていません。すいません)、
大学劇団の本公演として上演しました。
その後新宿梁山泊が初演のキャストの大久保鷹さんを迎えて、
地下の劇団アトリエと花園神社のテントで上演した舞台を観ています。
唐ゼミでも上演されましたが、
これはさすがにもういいかな、
と思って行きませんでした。

今回の上演は期待もしましたが、
今の唐組の役者さんで、
果たしてあの芝居を上演出来るのだろうか、
唐先生の花形を久保井研さんがやるとして、
悪役の両輪である麿赤児さんの袋小路と、
大久保鷹さんの川島浪速を、
誰が出来るのだろうかと思っていたのですが、
実際に幕が開いてみると、
袋小路浩三を大鶴佐助さん、
ヒロインの海之ほおずきを大鶴美仁音さん、
川島浪速を久保井さんという座組になっていて、
なるほど唐先生の血脈を、
堂々と押し出す作戦かと、
言われてみればこれしかないなと、
納得の行くものがあったのです。

これで舞台が詰まらなければ話にならないのですが、
上演された舞台はキャストも演出も、
僕がこれまで経験した「吸血姫」の上演の中では、
間違いなくベストの出来映えで、
アングラ演劇というものの1つの典型であり、
今なお最高到達点でもある、
2幕の後半と3幕の怒濤のラストが、
今の観客にその真価が伝わるように、
ある意味初演以降で初めて再現されたことは、
ちょっと感涙さえ覚えたのです。

この作品は勿論、
1971年という時代性と切り離しては、
その面白さが伝わらない部分があり、
初演のキャストでなければ伝わらない部分もあるので、
その限界は当然あるのですが、
そうした点を考えると、
今回の上演は今望みうる最高のものと言って、
間違いはないように思います。

この作品は僕も演出までしているので熟知しているのですが、
通常の上演で頭を悩ますような勘所が幾つかあるのです。
その第一は2幕の風呂屋の上げ板の処理で、
これがどういう位置関係で出て来るのか、
どうやって引っ込むのか、
その点が何度戯曲を読んでもよく分かりません。
それから、3幕でさと子の人形と本人が、
鏡が回転すると交互に客席に向かう、
という部分があるのですが、
一体どういう位置関係と動きになっているのか、
これも良く分からないのです。

この2つの点に、
今回の上演では鮮やかな正解を提示していて、
なるほどそうかと、
特に回転する鏡については、
その場で拍手をしたい思いに囚われました。

今回の舞台の成功の一番は、
ヒロインを鮮やかに演じた美仁音さんと、
袋小路という元々麿赤児さんへの当て役で難役を、
格闘するように演じた佐助さんの熱演にあって、
唐先生の血脈が、
このようにして今回大輪の花を咲かせたということが、
昔からのファンにとっては、
とても嬉しく感動的なことだったのです。

上演時間は2時間半で、
3幕劇の2幕と3幕をそのまま繋げて、
1回の幕間で上演しています。
ノーカットでありながらこの尺に納めているのは、
人力車の登場など、
要所を鮮やかなカッティングで、
緩みなく展開させているからで、
今回の久保井さんの演出は、
いつも以上に冴え渡っていたと思います。
唯一の不満はいつの上演においても、
原作に書かれている「幌付きトラック」が登場しないことで、
これは一時期状況劇場のどさ回りに使用していたものだと思われますが、
一度くらいは本物のトラックが舞台にあり、
それが原作のト書き通りに、
テントの外へと出て行くというラストを、
観てみたいという思いはいつもあるのです。

そんな訳で終わるのが勿体ないくらいの上演で、
アングラ演劇の真価を、
感じることも出来る極めつけの舞台でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(2) 

超高齢者の血圧と生命予後(2018年中国の疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
超高齢者の血圧.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
80歳以上の高齢者の血圧と生命予後との関連を検証した、
中国の疫学データについての論文です。

高血圧は心血管疾患のリスクになり、
生命予後にも大きな影響を与えることは、
多くの研究により実証された事実ですが、
80歳以上の高齢者において、
適切な血圧がどのくらいであるか、
というような点についてはまだ結論は出ていません。

多くの臨床試験においては、
75歳以上の高齢者はその対象となっていないからです。

今回の研究は中国において、
80歳以上の一般住民(年齢の中央値が92.1歳)という超高齢者において、
その血圧値と3年間の生命予後との関連を検証しています。

対象者は4658名で、
半数程度の方は降圧剤による治療を受けています。

その結果、
最も3年間の死亡リスクが低かったのは、
収縮期血圧が129mmHgの時で、
それが107未満でも154を超えていても、
いずれも死亡リスクは増加していました。
そのリスクの増加は主に心血管疾患による死亡によるものでした。
脈圧や拡張期血圧では、
同様の傾向は有意には確認されませんでした。

このように超高齢者においても、
高血圧は一定のリスクになることは間違いがありませんが、
降圧剤による治療の有無に関わらず、
収縮期血圧が107を下回るようになると、
むしろそのリスクは増加に転じてしまうようです。

これは治療による介入試験のようなものではなく、
治療の有無の影響などの検証も充分ではないので、
データの精度はそれほど高いものではありませんが、
これだけの超高齢者のまとまったデータは、
これまでにはあまり例がなく、
その意味で意義のあるものだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

nice!(7)  コメント(2) 

カルシウムチャネルとインフルエンザ感染 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
カルシウム拮抗薬とインフルエンザ感染.png
2018年のCell Host & Microbe誌に掲載された、
A型インフルエンザウイルスの感染に、
カルシウム拮抗薬という降圧剤のターゲットである、
細胞膜の電位依存性カルシウムチャネルが、
強く関係しているという、
興味深い知見を実証した論文です。

北海道大学の藤岡容一朗先生らの研究です。

A型インフルエンザウイルスの感染の最初のステップは、
その表面にあるHA抗原という部分が、
細胞の表面にあるシアル酸という構造に、
結合することによって起こります。

ただ、人間の細胞表面には、
多くの種類のシアル酸があり、
どのような性質のシアル酸が、
インフルエンザウイルスのターゲットとして利用されるのかは、
これまであまり明確に分かっていませんでした。

上記論文の著者らの研究グループは、これまでに、
インフルエンザウイルスの感染に、
細胞内のカルシウム濃度の上昇が必要である、
という知見を報告しています。

通常細胞内のカルシウム濃度の上昇は、
細胞膜にある電位依存性カルシウムチャネルを介して起こります。

そこで今回の研究では、
ウイルスの感染モデルとして使用される培養細胞において、
カルシウムチャネルの働きをブロックする作用のある、
カルシウム拮抗薬のジルチアゼムを使用したところ、
充分量のジルチアゼムにより、
A型インフルエンザウイルスの感染は阻害されました。

そして、この電位依存性カルシウムチャネルに結合しているシアル酸に、
A型インフルエンザウイルスは結合して、
そこからカルシウムイオンが細胞内に流入することが確認されたのです。

このインフルエンザ感染における、
カルシウムチャネルの役割は、
培養細胞のみならず、
ネズミの実験でも確認されました。

このように、まだ動物実験レベルの知見ですが、
A型インフルエンザウイルスの感染においては、
電位依存性カルシウムチャネルと結合しているシアル酸に、
まずウイルスが結合することにより、
細胞内にカルシウムが流入し、
それがウイルスの感染に必須であることが今回確認されたのです。

単純にカルシウム拮抗薬を使用していると、
インフルエンザに感染しにくいとは言えませんが、
カルシウムチャネルの開放がインフルエンザ感染に必要だ、
という知見は大変興味深く、
これが感染の最初のステップであると考えると、
それを阻害するようなメカニズムの薬剤が、
今後開発される可能性が示された、
というようには言っても良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

第32回健康教室のお知らせ [告知]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はいつもの告知です。

こちらをご覧下さい。
コーヒー.jpg
次回の健康教室は、
6月16日(土)の午前10時から11時まで(時間は目安)、
いつも通りにクリニック2階の健康スクエアにて開催します。
先月は開催出来ずに申し訳ありませんでした。

今回のテーマは「最新版コーヒーの健康知識」です。

コーヒーには100種類以上の生理活性物質が含まれていて、
嗜好品としての性質から、
以前はカフェイン含有飲料として、
健康に良いという認識はなかったのですが、
近年の複数の大規模な疫学データにおいて、
ほぼ一致して心血管疾患や一部の癌などの予防効果と、
生命予後への肯定的な効果が相次いで報告され、
適度なコーヒー飲用の習慣が、
健康に良い可能性が高い、
という見解はほぼ実証されたと言って良いと思います。

ただ、その一方で多量のカフェインには有害な作用があり、
また複数の発癌物質が含まれていることを、
重要視するような見解も残っています。

カフェインとその代謝物、クロロゲン酸、ニコチン酸、
油の成分のジテルペンなど、
コーヒーには多くの成分があり、
その作用は単独の成分の良しあしでは、
必ずしもクリアにはならない部分も多くあります。

以前からコーヒー関連の論文には比較的目を通していたのですが、
先日テレビでコーヒーをテーマに番組に関わる機会があり、
その時に幅広く情報収集をすることになりました。
そこからこぼれた部分などもお話出来ればと思います。

今回もいつものように、
分かっていることと分かっていないこととを、
なるべく最新の知見を元に、
整理してお話したいと思っています。

ご参加は無料です。

参加希望の方は、
6月14日(木)18時までに、
メールか電話でお申し込み下さい。
ただ、電話は通常の診療時間のみの対応とさせて頂きます。

皆さんのご参加をお待ちしています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 
メッセージを送る