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輸入ワクチンQ&A(その1) [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は輸入ワクチンのQ&A集をお届けします。

Q1;輸入ワクチンは国産ワクチンより危険なイメージがあります。そもそも輸入ワクチンと国産ワクチンとは、何が違うのでしょうか?

A1;お答えします。
現在使われている新型インフルエンザワクチンの多くは、
「スプリットワクチン」と言って、
ウイルスをバラバラにして、
その抗原という蛋白質だけを、
精製したものです。
国産ワクチンも今回予定の輸入ワクチンも、
その点には変わりはありません。
ただ、輸入予定のノバルティス社とグラクソ・スミスクライン社の、
2社の海外ワクチンは、
その抗原蛋白質に、
免疫を増強する作用のある、「アジュバント」という物質が、
加えられている点が大きく違います。
また、グラクソ社のワクチンは鶏の卵で培養されて造られますが、
ノバルティス社のワクチンは細胞培養によって造られています。
このように製造法も添加物も異なり、
それは日本で今まで認可されたことのないものです。
それを「超法規的」に許可し輸入する、
という点に今回の「輸入ワクチン騒動」の、
最大の問題点があります。

Q2;細胞培養のワクチンに危険性はないのでしょうか?

A;お答えします。
現在輸入予定のノバルティス社のワクチンは、
細胞培養のワクチンです。
使われているMDCK細胞という細胞は、
免疫抑制状態にあるネズミの実験で、
癌を起こす作用のあることが報告されています。
しかし、ワクチン精製の過程で、
この細胞の成分は取り除かれるので、
危険はない、というのが公式の見解です。
現時点でこのワクチンで癌が増える、
という根拠はありませんが、
これは今後の検討課題で、
そうした可能性がゼロとも言い切れないのです。
鶏の卵の確保が難しいため、
効率良く増やせる細胞培養のワクチンが、
今後は主流になると思われ、
日本では行政が細胞培養ワクチンに、
大きく転換する方針を打ち出しています。
しかし、個人的にはそれは拙速で安全性軽視なのではないか、
と僕は思います。

Q3;輸入ワクチンのアジュバントに、危険性はないのでしょうか?

A3;お答えします。
ノバルティス社のワクチンにはMF59、
グラクソ社のワクチンにはAS03という名称の、
免疫増強剤(アジュバント)が添加されています。
免疫を増強するタイプの薬剤には、
自己免疫疾患の発生を増やすのでは、
という危惧が伴います。
ただ、現時点ではそうした報告はありません。
MF59については、不妊を誘発するのでは、
など幾つかの危惧が指摘されていますが、
それに相反する意見もあり、
現時点で確定的なことは言えません。
AS03については、
日本で行なわれたネズミの実験で、
お腹の中にAS03を注入したところ、
腹膜炎やお腹の出血性病変が出現した、
という報告があります。
これも人間より高用量なので、
問題なしとの専門家の見解ですが、
いずれにしても、免疫を増強する物質が、
完全に無害とは考え難く、
ある一定のリスクは存在すると、
考えた方が良いのでは、と僕は思います。

以上輸入ワクチンQ&A(その1)でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

グラクソ社の輸入ワクチンの効果を考える [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は少し仕事をしてから、
早めに家に帰る予定です。

それでは今日の話題です。

昨日はグラクソ・スミスクライン社から、
輸入予定のワクチンの、
幾つかの問題点についての話でした。

今日はそのワクチンの効果についての話です。

今回公開された資料には、
2つの国内臨床試験の結果が公開されています。

その1つは成人を対象とする国内臨床試験で、
対象は20歳から64歳までの100名です。
抗体の陽転率が、1回接種で94%、2回接種で100%。
生データは公開されていないようですが、
平均値から見ても、2回接種の方が、
明らかに効果が増していることは分かります。
抗体はHI 抗体しか計測されておらず、
あまり気合の入ったものではありませんが、
それでも抗体の上昇に関しては、
国産のワクチンよりその効果は高いことが、
ほぼ確認出来ます。

副反応のデータは、
こうした試験では当てにはなりませんが、
それでも軽いものも含めれば、
9割以上の方が接種後の痛みを訴えており、
まただるさや筋肉痛を感じた人が、
これも軽いものを含めれば、
4割以上の方に認められています。

つまり、どうも一般的な副反応に限っても、
国産ワクチンより明らかに副反応は強いことが、
想定されます。

国内で行なわれたもう1つの試験は、
お子さんに対するもので、
その対象は6ヶ月から17歳の59名です。
その内訳は3歳未満が10名、
3歳から9歳が19名、そして10歳から17歳が30名です。

この結果は1回接種後のデータのみ、
現時点で公開されています。
測定はHI 抗体のみです。
結果を見ると、3歳未満、3歳から9歳で、
いずれも基準を満たす抗体の上昇が、
100%認められています。
つまり全員が基準を満たしたということです。
10歳以上ではその比率は93.3%です。

この結果はかなり画期的なものです。
ノバルティス社のワクチンの同様の試験結果では、
通常量での3歳未満の陽転率は、
5割に過ぎないからです。

用量設定によると、お子さんでの抗原量は1.9μgで
ノバルティス社の試験では抗原量は3.75μgです。
つまり、アジュバントの差が、
この効果の差に繋がっているのでは、
と推測が出来るのです。

この結果を受けて、
グラクソ社のワクチンは、
小児でも用量は成人の半量で、
1回打ちと用量が定められています。

ただ、実際にこのワクチンを今年使用するのは、
お子さんではなく、おそらくは高齢者を含む大人と考えられます。

このワクチンに関しても、
高齢者での効果のデータは乏しく、報告書においても、
「国内においても、高齢者に対する1回接種により免疫原性が期待される」
という文面に留まっています。

つまり高齢者に関しては、
このワクチンを含めて全ての新型ワクチンが、
その効果についてのしっかりとしたデータを、
持ってはいないのが実状なのです。

今回の新型国産ワクチンの接種後の死亡事例が問題なのは、
そもそもワクチンの効果が確立していない年齢層で、
死亡事例が格段に多い、という点にある訳です。

以上、グラクソ・スミスクライン社のワクチンの効果について整理すると、
特にお子さんに関しては、
他のワクチンを凌駕する成績を残しており、
お子さんで1回打ちで一定の効果が期待出来るのは、
このワクチンだけ、と言っても過言ではありません。

ただ、これはあくまで抗体の上昇を見たに過ぎず、
細胞性免疫の賦活作用は、
ノバルティス社のアジュバントの方が強力である、
との意見も存在します。

新型ワクチンの実際の効果は、
もう少し時間が経ってみないと分からない性質のものなのです。

また、副反応もアジュバントを含まないワクチンより、
一般に多い傾向が窺われ、
今後の検討を必要とするところだと思います。

本来この結果だけを見れば、
むしろお子さんにこそグラクソ社のワクチンを接種するべきで、
それをワクチンの効果がはっきりしていない、
高齢者に主体に使用する、
ということになれば、
何か本末転倒のような思いを僕は抱きます。

今日はグラクソ・スミスクライン社の新型ワクチンの効果についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

グラクソ社新型ワクチンの資料を読む [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

一般への意見募集に際して、
国が輸入予定としているワクチンの1つ、
グラクソ・スミスクライン社の新型インフルエンザワクチンの、
膨大な検討資料が公開されています

今日はこの資料のポイントを、
僕なりにまとめてみたいと思います。

グラクソ社の新型インフルエンザワクチンは、
基本的には国産のワクチンと同じ、
鶏の卵で培養された、
スプリットワクチンです。
グラクソ社は、こうして造られた抗原を用いて、
何種類かのワクチンを製造しています。

その1種類が、Q-Pan(H1N1 )抗原製剤と呼ばれるもので、
その組成は国産新型ワクチンとほぼ同一のものです。
WHOお墨付きのウイルス株が、
その製造の元になっています。
基本的にはAS03と呼ばれるアジュバント(免疫増強剤)と、
一緒に用いる形式のものですが、
アメリカはアジュバントの使用を認めていないので、
アジュバントを含まない、
日本と同様の製法のものも、
別個に製造されています。

そして、もう1種類が、D-Pan( H1N1 )抗原製剤と呼ばれるもので、
これは、Q-Pan製剤とは異なる抗原を原料として用いているもので、
これもグラクソ社オリジナルのアジュバントを加えた製剤です。

そして、今回日本で輸入が検討されている
(実際にはもう輸入が決まっている)のは、
このQ-Pan抗原にアジュバントを含んだ、
カナダの工場で製造された新型ワクチンです。

アジュバントはワクチンの効果を高める物質だ、
と言われています。
従って、アジュバントを加えることで、
そのワクチンに添加する抗原の量は、
それだけ少なくすることが可能です。

通常アジュバントを含まないスプリットワクチンには、
大人1人分当たり、15μg の抗原が含まれていますが、
このグラクソ社の日本で輸入予定の製剤には、
大人3.8μg の抗原しか含まれてはいません。
要するにほぼ4分の1です。

抗原というのは勿論、ワクチンが変異すれば、
それに合わせたものを培養しなければなりません。
しかし、アジュバントは抗原が変異しても、
同じものを使うのですから、
単純に考えて、通常のスプリットワクチンの、
4倍の量が製造出来てしまう、
ということになります。

これはそれだけ多くのワクチンが、
短期間に製造出来、パンデミックを食い止められるのだ、
という言い方も可能ですし、
実際に行政や御用専門家は、
そう主張している訳ですが、
実際にはむしろメーカーにとって、
都合の良い方法である、という言い方が出来ます。
ほぼ同じ労力で、
4倍の量のワクチンが製造出来るのですから、
それだけ利潤も大きくなる道理です。

本来は日本と同様の製法のワクチンも、
グラクソ社では造っているのですから、
日本用にアジュバントを含まないワクチンを、
使用させて欲しい、と、アメリカと同じように、
要求することも出来た筈です。

実際にそうした交渉も行なわれたのですが、
提供出来るワクチンはアジュバント入りのものしかない、
とメーカー側から袖にされたのが、現実のようです。

実際、承認検討時の専門家の発言にも、
そのことを窺わせる文言が見られます。

「現時点でQ-Pan( H1N1 )を接種する必要性は疑問である。アジュバント無添加の製品を使用する方が良いと考えられる」

「アジュバントは、免疫に用いる抗原に暴露されたことがない集団の初期免疫に効果を発揮し、追加免疫には効果がないか、非常に低い。(中略)作用機序から考えてアジュバントを添加する必然性は低い」

ところが…

「Q-Pan( H1N1 )以外に、新型インフルエンザワクチンが入手できないという状況においては、新型インフルエンザ対策の選択肢の一つとしてQ-Pan( H1N1 )を使用できるようにしておくことは意義があるかもしれない」

というような、消極的な容認の意見をもって、
このワクチンは採用されたのです。

さて、グラクソ社のワクチンは、
アジュバントの容器と、
抗原の入った容器とが、
別々のバイアルに入っている点に、
その特徴があります。
その2つの容器を接種する前に混ぜ合わせ、
アジュバント入りワクチンを完成させるのです。
これによって、
様々の配合のワクチンを、
簡単に製造することが可能になります。
実際にアジュバントが半量のものなども、
製品として存在しています。

ただ、ノバルティス社のワクチンも、
独自のアジュバントを含む製剤ですが、
予めアジュバントと抗原とは一体となっています。

今回の検討で問題となった1つの点は、
グラクソ社のワクチンに、
製品としての不安定性があるのではないか、
ということです。

抗原の入ったボトルに、
本来はない筈の濁りが見付かり、
それが何故生じているのかが、
現時点ではっきりとしていません。

アジュバントと直前に混ぜ合わせる、という手法を含めて、
このワクチンはやや製剤としての安定性に問題があるのでは、
と疑われるところが、このワクチンの1つの問題点です。

このワクチンのもう1つの問題点は、
行政御用研究所で行なわれた動物実験において、
ネズミが、肝機能障害や出血を伴う循環不全、
胸水貯留を伴う炎症反応を来たした、という結果が報告され、
それがアジュバントの毒性によるものではないか、
と推測されている点です。

これは専門家の検討の結果として、
高用量での結果であり、
安全性に問題はない、と例によって、
結論付けられていますが、
委員からは、
サイトカインの誘導による、全身性ショックではないか、
との意見もあり、
興味深く感じるところです。

皆さんも良くご存知のように、
ワクチン接種後の出血傾向や、
細菌感染症の急性増悪、
胸水貯留を伴う肺炎の発生は、
国産新型ワクチンの接種後死亡事例でも、
複数報告されている症状であるからです。

矢張り、新型抗原の刺激によって、
稀ではあるけれども、
ワクチンでもこうしたことは起こり得るのだ、
という事実の1つの傍証に、
この動物実験のデータはなるのではないか、
という気がします。

それでは、このワクチンの効果は、
一体どの程度のものなのでしょうか?

長くなりましたので、
その点はまた明日に続けたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型ワクチンの雑菌感染は有り得るのか? [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

日曜日はすっきりした気分で起きたいな、
といつも思いつつ、
前の日の後悔に心が淀んだり、
お腹の調子や体調が悪かったり、
といつもその通りにはなりません。

今も何となく気持ちはブルーだし、
頭は重くて、お腹の調子もあまり良くはありません。

でも、どうにかしないといけないですね。

今日は休みですが、
ちょっと腹が立つ報道があったので、
新型インフルエンザ関連の話題です。

昨日こんなニュースがありました。

【10ミリバイアルが俎上に 新型インフルワクチン検討会 】新型インフルエンザワクチンの安全性について検討する厚生労働省の4回目の検討会が8日、開かれた。国会審議などで物議を醸していた10ミリバイアルの安全性が初めて議題となり、「現時点では安全性に問題なし」との結論になった。事務局の提出した『死亡症例の概要』という資料に、「専門家の意見」として○○委員が「(前略)私は今まで20症例以上の新型インフルエンザワクチン重篤症例を評価してきたが、突然の高熱や細菌感染を思わせる症例が多く、これはワクチンボトル内感染ではなく、10mLバイアルから20回分のワクチンを吸引操作する過程でシリンジ内感染をきたした可能性が否定できないと考えるようになってきた」と記していたことから、議論となった。(元記事より省略、改変あり)

10ml の大瓶からワクチン液を吸引する際に、
注射器の中に雑菌が混入し、
それが副反応の原因になったのではないか、
というのです。

皆さんはこの考えをどう思われますか?

僕は正直、あまりに馬鹿馬鹿しくて、
脱力しました。

確かに国産新型ワクチン接種後死亡事例の中には、
肺炎や敗血症を接種後に来たした事例が、
複数認められます。

そのことを、この委員の方は、
僕や看護師が杜撰な操作でワクチンを吸引するので、
その時に雑菌が混入し、
それが肺炎や敗血症の原因になったのではないか、
という訳です。

この委員の頭の中には、
おそらく点滴液の作り置きや、
抗凝固剤を溶かした食塩水の作り置きで、
セラチア菌の感染を起こした、
医療過誤の事例があったのではないか、
と推測します。

ただ、点滴液や生理食塩水は、
一旦その中に雑菌が侵入し、
それから数日以上の時間が経過した場合、
雑菌が増殖して、
感染を起こすことが有り得ます。
それは滅菌処理はされてはいるものの、
すぐに使うことが前提のため、
防腐剤などの薬剤は入れられていないためです。

しかし、複数回使用することが前提の、
今回の新型ワクチンの大瓶の場合、
防腐剤が添加されています。
しかも、使用は24時間以内に限定されています。

たとえば、糖尿病の患者さんの使う、
インスリンの注射のボトルがありますね。
その製剤は、ボトル入りのものは、
その都度注射器に吸って使用する訳です。
現在ではペン型の注射器具が主流ですが、
それでもまだ使われていることには、
間違いはありません。
その手技も注射の方法も、
基本的には新型ワクチンと違いはありません。
しかし、インスリンのボトルは、
場合によっては1ヶ月以上はそのまま使用し、
特にその使用の制限はありません。

当然ボトルに雑菌の混入は有り得る訳ですが、
それが肺炎や敗血症を来たした、
などという報告は存在しません。

それが何故かと言えば、
1つはボトル内に防腐剤、
殺菌剤が添加されているためであり、
かつ使用が皮下注射であるために、
直接血液の中に細菌が混入することは、
ほぼ100%ないからです。

この委員の方はおそらく、
僕のような末端の医者は、
どうせいい加減な手技でワクチンを使用しているのだろうから、
開封後1日以内、などという決まりは無視して、
何日もワクチンを使い、その間にボトルに感染しているのでは、
というお考えなのかも知れません。

しかし、実際には仮に数日の使用を行なったとしても、
インスリンのボトルと原則は同じなのですから、
そうした感染が起こる可能性は、
矢張り極めて低いのです。
ワクチンのボトルが1日以内の使用とされているのは、
感染のリスクというよりは、
それが生菌製剤に順ずる扱いのものであり、
万が一にも組成の変化が生じないように、
という考えからだと思われます。
決して感染のリスクのためではないのです。
仮にそれが感染のリスクのためだとすれば、
当然インスリンのボトルや目薬の容器も、
1日で使い切りでなくてはならない理屈になるからです。

この委員の方は、
血液に直接薬液を注入する点滴などの手技と、
皮下注射のワクチンの手技とを、
混同されている訳です。

おまけにこの委員の方は、
10ml のバイアルから20回吸引する、
と発言されるなど、
基本的にワクチンの手技を理解していません。
皆さんは良くご存知のように、
10ml のバイアルから、
過不足なく20人分のワクチンを吸引することは、
「神の手」の持ち主でないと不可能だからです。

新型ワクチン接種後の肺炎や敗血症の事例が多いことは事実ですが、
それは別にワクチン接種時の感染というような、
トンデモ話ではなく、
他に何らかの要因がある筈です。

僕の現時点での見解は、
抗原刺激によるサイトカインの上昇を介して、
感染症の増悪の後押しをするのではないか、
というものです。

ワクチンの副反応の検討会を行なうことは、
勿論有意義なことですが、
このような「常識以前の議論」に、
貴重な時間が割かれているのかと思うと、
非常に暗澹たる気分になります。

皆さんはどうお考えになりますか?

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

ノバルティス社の新型ワクチンを考える [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

年末にこんな報道がありました。

【新型インフルエンザ:輸入ワクチン「承認」可 データ補足条件--厚労省部会】厚生労働省の薬事・食品衛生審議会部会は26日、輸入予定の海外2メーカーによる新型インフルエンザワクチンについて「承認して差し支えない」との結論をまとめた。28日から来年1月11日まで一般から意見募集したうえで上部組織で改めて審議し、長妻昭厚労相が決定する。承認されれば、2月上旬ごろから接種が可能になる。輸入を予定しているのはグラクソ・スミスクライン(GSK、英国)とノバルティス(スイス)が製造するワクチン計9900万回分。両ワクチンとも国内産にはない免疫補助剤を使うなど製造法が異なる。承認に必要な国内臨床試験のデータなどはそろっていないが、厚労省は緊急性にかんがみて、薬事法に基づき手続きを簡略化した「特例承認」の初適用を検討している。この日の議論では、GSKが100人、ノバルティスが200人に実施した国内臨床試験の中間報告について「国際基準を満たす有効性が確認された」との見解で一致。副作用も季節性インフルエンザのワクチンを超える危険はないと判断し、承認に問題はないと結論付けた。また、GSKのワクチンによる動物を使った異常毒性試験で死亡例が出たことも報告され、メーカーに追加報告や情報提供を求めることを条件とした。

グラクソ・スミスクライン社とノバルティス社の2社の新型ワクチンが、
厚生労働省の部会で承認され、
現在一般からの意見の募集が行なわれています。

まあ、これは儀礼的なものであることは明らかで、
予定通り2月上旬から、
輸入ワクチンの接種が始まることは間違いがなさそうです。

今回の意見募集に当たって、
輸入ワクチン関連の資料が公開されています。
非常に膨大な分量のものです。

今日はそのうちのノバルティス社のワクチンについて、
公開された資料を検討してみたいと思います。

ただ、このワクチンの資料についてだけでも、
言いたいことは山のようにあります。

今日はまず、
ノバルティス社のワクチンの用量の設定と、
それが国産のワクチンと、
どのように違うのか、
という点を取り上げたいと思います。

ちょっとだけおさらいをすると、
ノバルティスのワクチンは、
細胞培養法によって造られ、
免疫増強剤(アジュバント)を加えて、
国産とは製法の全く異なるワクチンです。

今回の資料にある用量の設定ですが、
これはちょっとびっくりで、
18歳以上50歳未満は、0.25ml の1回打ちで、
3歳以上の小児および50歳以上の成人は、
同じ0.25ml の2回打ちとされています。

当面このワクチンの使用は、
成人に限られる、と現時点では考えられますが、
今回の資料や実際の日本語の添付文書には、
はっきり小児の用量も書かれており、
おそらく将来的には小児にも、
輸入ワクチンを使用しようという考えがあり、
そのための布石だと思われます。

今回は緊急特例の措置という説明ですが、
この内容が正式に認められれば、
なし崩し的にこれからも輸入が行なわれるのは、
ほぼ間違いなく、
多分その場合はこのデータのみを元に、
小児への安全性も確立されている、
というような説明がなされるのではないかと思います。

ここで小児の用量は成人と同じであり、
かつ2回接種となっています。

これで本当に安全性に問題はないのでしょうか?

仮に問題がないのだとすると、
じゃあ、今の国産新型ワクチンの用量は一体何なのさ、
という当然の疑問が生じます。

現在の国産ワクチンの用量は、
1歳以上6歳未満は成人の5分の2です。

これだけの少量にしている根拠は、
おそらくは安全性を考慮しての過去の結論なのでしょう。
しかし、こんなに簡単に、
輸入ワクチンの小児の用量が決定され、
それが成人と全く同量であるとしたら、
当然国産ワクチンだって、
そうしなければ効果がないのでは、
という当然の疑問に突き当たります。

その疑問をある程度解消してくれる筈の、
国産ワクチンの小児の臨床試験の結果は、
未だに中間報告すら公表されていません。

また、安全性の面で小児の用量を減らしたのだとすれば、
当然輸入ワクチンでもそうした考慮がされるべきです。
しかし、今回ノバルティスのワクチンに関しては、
小児の臨床試験の結果が添付されているのですが、
それは大人と同じ量とその倍量での検討しかされてはいません。
要するに、はなから大人と同じ量を小児に使用する、
という発想以外はないのです。

ここから分かることは、
要するに行政には、
安全性を重視して用量設定をする、
という考えははなからないのだ、ということです。

国産ワクチンに関しては、
あまり効果の期待出来ない少量の用量を、
何となく決定し、それを数十年そのままで放置し、
新型ワクチンについても、
臨床試験を省く、という目的のために、
用量の検討を行なわなかったのです。
しかし、それでいながら、
新たに輸入ワクチンを使用する、
という段になると、
その小児の臨床試験は、
成人と同じ用量でのみ行なっているのです。

こんな首尾一貫しない方針があるでしょうか?

仮に海外のワクチンは、
大人と同じ量でないと効果がないけれど、
国産のワクチンは、
その5分の2の量でも充分な効果があるとすれば、
国産のワクチンの方が遥かに強力だ、
ということになります。

そんなことが果たしてあるのでしょうか?

海外のワクチンも国産のワクチンも、
基本的には作用は同等なのに、
国産のワクチンのみ、
わざわざ効果の少ない用量を、
お子さんに根拠なく決めている、
と考えた方が妥当なのではないか、
と僕は思います。

その参考になるべき、ノバルティス社のワクチンの、
国内での小児の臨床試験の結果ですが、
現時点では1回接種後のHI抗体の測定結果のみ、
発表されています。
実際に認可されたのは3歳以上ですが、
この臨床試験では、6ヶ月以降の月齢のお子さんも、
接種の対象となっています。

その内容をかいつまんで言うと、
3歳未満の年齢では、
通常の0.25ml の接種では、
抗体が基準(いつもの、抗体価が4倍以上に増加して40倍以上、
という大甘の基準です)
に達したのは10名中5例のみでした。
要するに50%の達成率です。
これが倍量の接種では、90%に達しています。
つまり3歳未満の小児では、抗体の上昇は低レベルで、
充分な抗体の上昇には、
1回打ちを前提にすれば、
倍量の投与が必要です。

3歳から8歳の年齢層においては、
通常量で達成率は55%です。

これを海外の同様の試験と比較してみると、
3歳から8歳の年齢層においては、
通常量の1回接種で75パーセントの達成率で、
2回接種でほぼ100%になっています。

つまり、全く同じワクチンを使用していながら、
海外のデータより、
国内の試験のデータは、
より効果の低いものになっているのです。

この理由は不明ですが、
海外の試験より明らかに効果が低いのに、
2回打ちにすれば、効果は充分にあるだろう、
という都合の良い仮定の下に、
この時点で小児の用量にOKを出しているのですから、
果たして何のために国内の臨床試験を行なったのか、
非常に疑問に感じるところです。

また、果たして乳児や幼児の臨床試験で、
通常の倍量の投与を行なう必要性があったのだろうか、
と言う点についても、
僕は疑問に感じます。

考えて見て下さい。
あなたの1歳のお子さんに、
まだ日本人に使用した実績はなく、
細胞培養でアジュバントを添加した、
国産ワクチンとは全く製法の違うワクチンを、
通常大人に打つ量の倍の量で、
「実験的に」使うことを、
あなたは承認されますか?
しかもですよ、その時点でそのワクチンは、
大人にしか使用しない、
という方針なのです。
にもかかわらず何故、
敢えてそのような「実験」が行なわれたのでしょうか?

一体どのような説明が、
その「実験」に際して保護者にされたのか、
僕には想像も付きません。

このノバルティスのワクチンは、
しかも有機水銀含有の殺菌剤である「チメロサール」が、
国産ワクチンよりずっと多く含まれています。

手元の資料によれば、
国産ワクチンの1つである、
デンカ生研のワクチンには、
大人1人1回分当たり、
2μg のチメロサールが含まれているのに対して、
ノバルティスのワクチンには、
大人1回分当たり、
25μg のチメロサールが含まれています。
何と国産の10倍以上です。
国産のワクチンを12.5本同時に打ったのと同じです。
これが倍量投与となりますと、
国産ワクチン25本分と、
同じ量の水銀が身体に入ります。
更には、お子さんの日本での使用量は少ないのですから、
仮に1歳のお子さんが2回接種したとして考えると、
通常国産のワクチンを2回打ったのと比べて、
たった1回の接種で、
何と国産ワクチンの62.5倍の水銀が、
お子さんの身体の中に入ります。

ね、びっくりでしょ。

こうした情報が、
果たして臨床試験の参加者の、
お子さんの保護者に伝えられたのでしょうか?
保護者の皆さんは、それを本当に確認した上で、
ご自分のお子さんに、そうした「人体実験」を行なうことを、
ご納得されたのでしょうか?

ノバルティス社の名誉のために付け加えますと、
他の海外のワクチンでも、
概ねこれと同じだけのチメロサールが含まれています。
国産のワクチンはその企業努力によって、
海外のワクチンの10分の1以下に、
チメロサールの含有量を減らしているのです。

また今回の資料によれば、
50歳以上の大人も、
通常量の2回打ち、という方針になっています。

これも非常に不可思議ですよね。

1回打ちか2回打ちか、
という不毛な議論が日本でもあり、
結局国産ワクチンについては、
お子さん以外は1回打ちで充分な効果があり、
2回打っても上乗せ効果はない、
という結論になった筈です。

ところが、強力なアジュバントを加えた筈の、
このノバルティスのワクチンに関しては、
50歳以上が2回打ちと決まったのです。

これは一体どういうことでしょうか?

これは実は海外の臨床試験においては、
高齢者では抗体の上昇は悪いのです。
ワクチンの効果の基準も、
61歳以上ではそれ以下の年齢より、
かなり甘いものになっています。

たとえば、このノバルティスのワクチンの場合、
61歳以上の年齢層では、
3割程度しか1回打ちで基準には達していません。
また、40代と50代とを比較すると、
50代の抗体の基準達成率は、
40代より低レベルなのです。

つまり、少なくとも抗体価の評価でのみ考えると、
年齢が高くなればなるだけ、
ワクチンの効果は低くなる、ということになります。

ここで大きな疑問が生じます。

待てよ、何で日本では高齢者は1回接種なのだろう、
その根拠は何だったのかしら、
という疑問です。

それで、以前話題になった、
「健康成人」の国産新型ワクチンの臨床試験の報告を、
見直してみると、
その年齢は59歳までになっており、
しかも年齢を区切った効果の検討は、
殆ど行なわれていないことに改めて気付きます。
試験デザインは、20歳以上の健康成人、となっています。
その点から言えば、70歳の方が参加しても問題はない筈です。
しかし、実際には60代以上の方は参加していません。
これは60代以上ではワクチンの効果の判定基準が違うため、
解析がややこしくなる点もありますが、
ワクチンの効果が高齢者で劣る可能性が高いので、
そのことが「バレる」と、
高齢者を2回接種にすることになり、
それで混乱が生じるのを、
嫌ったためではないか、と推測されます。

高齢者で1回打ちの根拠はないのです。

でも、健康成人で1回打ちで効果あり、
と言われると、何となく高齢者もそれに含まれるように、
錯覚を起こしますよね。

ですから、回数の議論の時にも、
小児の臨床試験を追加すべき、と言う声はあっても、
高齢者の臨床試験を追加すべき、
という声はなかったのです。

この辺にも、如何に労力の少ないデータのみで、
ワクチンを承認させてしまおう、
という知恵を巡らす、賢い専門家の皆さんの、
巧みな詐術を感じますね。

ともあれ、海外のしっかりとしたデータがあったばかりに、
ノバルティスのワクチンは、
低年齢層と高年齢層が2回打ち、という、
国産ワクチンと比較すると、
極めて変則的な形になりました。

これが果たしてそのまま承認されるものなのか、
それともまた一波乱あるものなのか、
今後の経過を注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型インフルエンザ迅速診断の話 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から事務仕事をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は新型インフルエンザの簡易検査の話です。

通常鼻に綿棒を入れて、
インフルエンザに感染しているかどうか、
10分程度で分かる簡易検査がありますね。
新型インフルエンザの遺伝子検査は、
行政の検査機関でしかやってはくれないので、
こうした簡易検査でしか、
一般の診療におけるインフルエンザの診断は出来ないのです。

しかし、通常この検査では、
A型インフルエンザかB型インフルエンザかは分かっても、
それが新型なのか、季節性なのか、
季節性でも、A香港型なのか、Aソ連型なのか、
という点については分からなかったのです。

ただ、研究レベルでは、
両者の簡易判定キットは存在します。

ちょっとこちらをご覧下さい。


2つの白いバーがありますね。
上のバーには、赤い矢印の先、
A と書いてあるところに、
黒いくっきりとした線が縦に入っています。
これが通常の簡易検査のキットで、
これはA型のインフルエンザの反応であることを示しています。
下のバーの青い矢印の先にも、
同じようなくっきりとした黒い線が入っていますね。
これは同じ検体を、
H1N1 という型にのみ反応するキットで検査したものです。
つまり、この2つを組み合わせることにより、
A型の型の判定が出来るのです。
でも、新型は表面の抗原の型は、
Aソ連型と同じH1N1 なのです。
その2つをどう判定するのでしょうか?

次をご覧下さい。

ちょっとピンボケで申し訳ないのですが、
これは新型インフルエンザの反応を示したものです。

赤い矢印の先に、
A型の反応が出ています。
そして、下のバーの青い矢印の先に、
画像でははっきりしませんが、
弱い線が見えているのです。

このように、上のバーに比べて弱い反応が出るのが、
新型インフルエンザの反応だと、
事例の検証からはそう考えられます。

この2つのキットを組み合わせることにより、
一応、A香港型、Aソ連型、新型、B型の、
それぞれの鑑別が可能になるのです。
掛かる時間は全体で20分程度です。

これはまだ、精度が確認された、といったレベルではないので、
飛び付くような性質のものではないのですが、
僕は基本的に新しもの好きなので、
診療所では試験的に施行しています。
現時点で検出されているのは、
Aソ連型と新型だけですが、
まあ、本当に新型とAソ連型が分類出来ているかは、
現時点ではちょっと疑問なのです。

健康保険は勿論適応にはならないので、
若干のご負担をお願いしていますが、
新型かどうかが確認したい、
というご希望の方には、
その精度は現時点では保障出来るものではないことを、
ご説明の上施行しています。

今日は新型インフルエンザの簡易検査の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型ワクチン接種後死亡事例104例の検証 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日も新型インフルエンザ関連の話題です。
まず、年末のこちらのニュースをご覧下さい。

【「新型」ワクチン体調考慮を…季節性より高い副作用報告】新型インフルエンザワクチン接種後の重い有害事象の報告率が、季節性より高く、死亡例でも厚生労働省の依頼した複数の専門家が「因果関係を否定できない」としたケースが5例あることがわかった。同省の検討会は「安全上、大きな問題はない」としているが、接種を考える際、個人の体調などをより慎重に判断するよう求める声が検討会のメンバーからも出ている。厚労省の25日時点の集計では、現場からの有害事象(副作用かも知れない例)の報告は1899件。うち入院相当の重篤例(生存)は191件。その中で129件は因果関係の評価結果が公表され、うち81件は主治医が「関連あり」と報告、専門家も70件を「因果関係を否定できない」とした。死亡例は103件で、うち55件は専門家による評価が公表された。結果を分類すると、関連が低いという判断が36件と多いが、複数の専門家が「因果関係を否定できない」としたのが5件、1人が「否定できない」としたのが6件あり、8件は全員が評価不能とした。過去5年間(2004~08年度)の季節性ワクチンの重篤・死亡例の報告は、因果関係を問わずに集計して平均113件で、接種者100万人あたり3・06件だった。新型の接種をすでに受けた人数は例年の半分程度。厚労省は「積極的な報告によって率が上がっているのではないか」としてきたが、因果関係が否定できないとされたものに絞っても8・15件と高い。季節性の場合、死亡報告は5年間に18件で、専門家が因果関係を否定できないとしたのは1件だけだった。死亡例は、持病のある高齢者が多い。評価を担当している久保惠嗣・信州大副学長は「寝たきりの高齢者は感染機会が少ないので積極的に打たなくていいのでは。接種が持病悪化につながる可能性がゼロではない」とする。森兼啓太・山形大准教授は「ワクチン接種が体の弱い人に“最後の一押し”になる可能性は否定できない。効果と副反応の可能性を考え、打たなくてもいい人を見極めることが重要だ」と話している。(2009年12月31日)

昨年の12月27日までの集計で、
報告された事例だけで、
新型ワクチン接種後の急死の事例は、
104名に上っています。
上の記事で何故103名になっているのかは、
ちょっと分かりませんが、
いずれにしても100名を超えていることは間違いがありません。
このうち、70歳以上の高齢者が、
80名に上っています。
文字通り、接種後の死亡者の80%近くが、
高齢者です。
その一方、新型インフルエンザ感染自体の死亡者は、
12月末の時点で、
70歳以上に限定すれば、
30名に満たない数です。
つまり、実際の感染による死亡者の倍以上、
ワクチン接種後の死亡者が、
70歳以上では出ているのです。

これが本当に想定内の事態なのでしょうか?

僕にはとてもそう言い切る自信はありません。

ここまで事例が集積されて来ると、
ある程度の傾向というものが見えて来るような気がします。

まず、僕の集計上は間違いなく30例以上はあるのが、
接種後数日以内の、
予兆のない急死の事例です。

典型的な事例を1つお示しします。

【事例82】心疾患治療中の80代の女性。新型ワクチン接種の翌日、お元気であったほんの20分後に、物音に気付いた家族が様子を見に行くと、心肺停止で倒れており、そのまま死亡を確認。

この方と、殆ど同じような経過の方の報告が、
30例以上報告されています。
このような偶然が有り得るとは、
僕は思いません。

では、この方達に、一体何が起こったのでしょうか?

1つのヒントは事例の中にあります。

12月の下旬に報告された重症事例の中に、
次のようなものがあります。

心疾患と糖尿病のある70代の女性。ワクチン接種後6時間後より気分不快あり。翌日胸痛出現にて心筋梗塞と診断。

死亡事例の3例目の事例も、
接種後当日の心筋梗塞の確定事例です。

つまり急死の事例は、
その多くは心臓死であった可能性が高く、
ワクチンの刺激によって、
心筋梗塞が誘発された可能性が高い、
と考えられます。
心臓の血管に何の問題もない方が、
そうした経過を取る可能性は殆どないと思われますが、
症状がなくても、実際には血管に、
閉塞を来たすリスクの高い病変が存在した場合、
ワクチン刺激による免疫の過剰な反応によって、
強い炎症機転が惹起され、
動脈硬化巣が破裂して、
血管を詰まらせた可能性が想定されます。

もう1つ事例として多いのは、
呼吸機能の増悪による死亡の事例です。

再び、典型的な事例をお示しします。

【事例59】肺繊維症と肺癌をお持ちの70代の男性。ワクチン接種翌日より、急激に呼吸状態が悪化。肺繊維症の急性増悪との診断にて入院。肺炎と胸水貯留を併発し、4日後に死亡。

こうした事例もざっと見ただけで、
20例を超えます。
いずれも肺のご病気を持ち、
肺の機能の低下した方で、
ワクチン接種後数日以内に、
呼吸状態が悪化し、
肺には肺炎や水が溜まるなどの変化が現われ、
亡くなられています。
一番典型的なのは、
間質性肺炎の悪化です。

これは一種の「サイトカインストーム」のような状況が、
抗原刺激によって生じたものではないか、
と僕は考えます。
インフルエンザによる急性肺炎の重症化の経過と、
極めて良く似ているからです。

死亡事例以外にも、勿論そうした報告は存在します。

たとえば、12月下旬の重症事例の報告にも、
このようなものがあります。

70代女性。ワクチン接種後すぐに悪寒が出現。2日後に間質性肺炎と診断され、入院。

つまり、間質性肺炎は時にワクチン接種により、
重症化するのです。
それは時に細菌感染を伴い、
敗血症になることもあります。
死亡事例の中には、
そうした肺炎の事例も複数含まれています。

現時点での僕のポイントは、
70歳以上で間質性肺炎の方には、
新型ワクチン接種で重症化のリスクがある、
ということが1つ。
それから、心機能が低下している可能性のある方や、
血栓症のリスクが高い、
と考えられる方では、
急性の心臓死のリスクがある、
ということがもう1つです。

今回の死亡事例の多さは、
こと高齢者に関しては、
どう考えても異常なもので、
これまでの季節性インフルエンザのワクチンでは、
殆ど事例のなかったものです。

それが何故なのかは分かりませんが、
今回の国産新型インフルエンザワクチンの抗原刺激には、
何らかの特殊性があって、
それが特にご高齢の方の免疫機能には、
時に大きな副反応をもたらすのだと言うことは、
ほぼ間違いがないのでは、
と僕は思います。

そこで、最初の新聞記事を見て頂きたいのですが、
これまでの報道より少し踏み込んで、
季節性ワクチンより新型ワクチンの方が、
副反応の多いことを、
ほぼ認めた記述になっています。

行政もおそらくは、
今後の状況によっては、
今までとは違う方向に舵を切ろう、
という準備を始めているのかも知れません。

ただそうした遅過ぎる方針転換で、
いつも被害を蒙るのは、
ワクチンを実際に受けた方と、
ワクチンを実際に打った医者なのです。

明日また専門家の会議が予定となっているようですから、
今後の経緯を注意深く見守りたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

季節性ワクチンの新型免疫への増強効果についての一考察 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は終日事務仕事の予定です。

それでは今日の話題です。

新型インフルエンザ関連で、
年末にこんなニュースがありました。

【「季節性」+「新型」でワクチン効果増強】季節性インフルエンザのワクチンを打っていると、新型インフルエンザのワクチンの効果が高まるという動物実験の結果を、オランダとイタリアの研究チームが23日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンで発表した。◇研究チームは、イタチの仲間フェレットを使ってワクチンの効果を検証した。新型ワクチン接種の1か月前に季節性のワクチンを接種すると、新型だけを接種した場合より、新型ウイルスに対する免疫の反応が高まった。季節性ワクチンは新型ウイルスには効果がないとされ、当初、新型ワクチンは2回の接種が必要と予想されていた。しかし、各国の臨床実験の結果、健康な成人では1回で効果があることが分かった。詳しい仕組みは不明だが、過去に接種した季節性ワクチンが新型ワクチンの効果を増強する働きをしていると見られる。(2009年12月24日 )

季節性インフルエンザのワクチンを打った後で、
新型インフルエンザのワクチンを打つと、
新型インフルエンザの効果が増強した、
というのです。

こうした話は以前からあるのですが、
情報はかなり錯綜していて、
昨年の春頃には、
季節性ワクチンがある程度新型インフルエンザにも、
効果があるのでは、というような話があり、
その一方で、CDCやWHO関係の方とか、
それとほぼ同じ発言しかされない、
国内の御用研究所の先生などは、
新型インフルエンザはこれまでのインフルエンザとは別物なので、
殆どの人間に免疫はなく、
季節性ワクチンは無効なのだ、
と力説をされたのです。

今から思えば、WHOというのは、
ワクチン推進派の元締めのような組織ですから、
「新型ワクチンをすぐ造れ!」
という大合唱をするためには、
「今までのワクチンも効くかもよ」
みたいな紛らわしい話は、
認める訳には絶対にいかなかった訳です。
ですからこの発言は多分に政治的なもので、
科学的事実とは言い切れない、
という気がします。

更にはカナダ発で、
季節性ワクチンを打つと、
却って新型インフルエンザに罹り易くなるのでは、
という調査結果などもあり、
事態は非常にややこしいことになったのです。

それでは、今回の記事にある論文は、
一体どのような内容なのでしょうか?

ちょっと興味があったので、原文をダウンロードして、
読んでみました。(非常に高額の料金を課金されました)

これは「Science Translational Medicine 」という雑誌に載った、
「Seasonal Influenza Vaccine Provides Priming for A/H1N1 Immunization 」
と題する論文です。

以下、かいつまんでその内容をご説明します。

これはイタチを使った、動物実験です。

人間に感染するインフルエンザウイルスで、
人間のような気道感染を起こすのは、
動物では豚とイタチだけなのですね。
従って、こうした研究には、
豚かイタチが使われることが多いのです。

イタチを6匹ずつの、8つのグループに分けます。
それぞれ、オスとメスが3匹ずつです。
都合48匹のイタチが実験台にされました。

これを全く何も打たないグループと、
季節性ワクチンを2回打ったグループ、
最初に季節性ワクチンを打って、
その1ヶ月後に新型ワクチンを打ったグループ、
というように分類します。
ワクチンはノバルティス社のものを使用しているため、
アジュバント(免疫増強剤)の入ったものと、
入っていないものとの効果の比較も、
同時に行なわれています。
アジュバントはお馴染みのMF59です。

効果判定は接種の1ヶ月後に、
血液のHI抗体と中和抗体の両者を測定し、
更に免疫の出来たタイミングを図って、
新型インフルエンザウイルスに、
実際に感染させます。
その気道に無理矢理ウイルスを送り込むのです。
その後イタチの粘膜でウイルスが増殖しているかどうかを、
鼻の粘膜を定時的に取って調べ、
4日後には全て殺して、
その肺の組織で、
ウイルスが増殖しているかどうかを確認します。

確かに意義はありますが、
残酷至極の実験ではありますね。

その結果次のようなことが分かりました。

季節性インフルエンザワクチンだけを打ったイタチでは、
当然血液の新型インフルエンザの抗体は上昇せず、
実際に新型インフルエンザにも感染してしまいました。

新型インフルエンザワクチンを1回注射した群では、
抗体はまずまずの上昇を示し、
新型インフルエンザに感染はしたものの、
肺での増殖はある程度抑制されました。

面白いのはここからで、
最初に季節性インフルエンザワクチンを注射して、
それから新型ワクチンをその1ヶ月後に注射すると、
そのイタチは鼻の粘膜では感染が認められたものの、
肺でのウイルスの増殖は阻止されていました。

最も強力に効果があったのは、
アジュバント入りの季節性ワクチンを打ってから、
その1ヵ月後にこれもアジュバント入りの新型ワクチンを打った群で、
この群のイタチは肺でのウイルスの増殖は、
1匹も認められず、
鼻の粘膜でのウイルスの増殖も抑制されていたのです。

ここから、どういうことが分かるでしょうか?

まず、ノバルティス社のアジュバント入りワクチンに関して言えば、
その効果はアジュバント無しのワクチンより、
明らかに強力で、
新型インフルエンザによる肺炎を、
ある程度予防する効果が期待出来ます。

イタチの実験のレベルではありますが、
新型インフルエンザワクチンの、
実際の感染予防と重症化予防(勿論肺炎に限ったものです)
を今回の実験は立証しています。

更には季節性ワクチンには、
一種のプライミング効果があることが、
今回の結果から想定されます。

新型ワクチンの抗体を、
単独で上昇させることはないのですが、
その前段階の何かを、
季節性ワクチンが誘導しているのでは、
と考えられるのです。

論文の著者の推論は、
細胞性免疫の担い手である、
CD4+というタイプのリンパ球を、
交差免疫として活性化させ、
B細胞による抗体の産生を、
後押しするような作用があるのではないか、
というものです。

ただ、この論文の弱点は、
たかだか6匹のイタチを、
1つのグループとしていることです。
生データを見てみると、
結構な抗体価やウイルス量のばらつきがあり、
これで本当にクリアな結果と言えるのかな、
という疑問は湧きます。

また、この文献は、
明らかにノバルティス社のワクチンの、
宣伝的な臭いがあることも問題点の1つです。
論文の考察では、
アジュバントのMF59に、
リンパ球の誘導作用があるのでは、
という推測がされており、
これは他のメーカーのワクチンとの差別化を図る、
格好の宣伝でもあるからです。

どうやら、ちょっと眉に唾を付ける必要がありそうです。

ただ、ワクチンの効果が実際の感染成立のレベルで、
確認された内容は、
非常に示唆的なものだと僕は思います。

今日は新型ワクチンの効果に迫る、
海外データを考えました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

大阪府高校生の新型インフルエンザ抗体測定結果を考える [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は1日大掃除の予定です。
掃除は苦手なので、
もう既にやる気がめげそうですが、
何とか頑張って、すっきりとした気分で、
新年を迎えたいと思います。

それでは今日の話題です。

今日は新型インフルエンザ関連の話です。

12月25日に公開された、
「新型インフルエンザの発生動向」
という資料の中で、
長く詳細がはっきりしていなかった、
新型インフルエンザが5月に集団感染を起こした、
大阪府の私立高校の、
新型インフルエンザ抗体検査結果が、
やや不充分な形ながら、
記載されています。

今日はその内容を、
検証してみたいと思います。

この調査は、大阪公衆衛生研究所と、
国立感染症研究所とが主体となり、
5月に新型インフルエンザの集団感染のあった、
大阪府の私立高校の生徒、教職員のうち、
希望者647名を対象に、
8月下旬に採血を行ない、
その血液の中和抗体価を測定した、
というものです。

それに加えて、その採血時および5月の時点での、
採血をした人の健康状態や、
新型インフルエンザに感染したかどうかの、
症状出現の有無のチェックを行ない、
更にはその後の生徒の欠席状況の有無を、
学校から情報提供された、
という内容です。

そこから、果たして何が分かったのでしょうか?

まず、以前にもご紹介した、
新聞記事をもう一度見て頂きます。

【新型インフル、感染も2割は無症状―大阪で血清疫学研究】大阪府は12月11日、新型インフルエンザに感染しても2割は無症状だったとする血清疫学研究の結果を発表した。新型インフルエンザでもこうした「不顕性感染」があることが、データに基づいて確認されたのは初めてという。大阪府によると、研究は府立公衆衛生研究所が国立感染症研究所の協力を得て実施。5月に新型インフルエンザが集団発生した関西大倉中学・高等学校の生徒、教職員など計647人から8月下旬に採血し、中和抗体価の測定とアンケート調査を行った。その結果、中和抗体価160倍以上が102人、10倍以上160倍未満が211人、10倍未満が334人だった。採血日までにPCR検査で確定診断された21人では、85.7%に当たる18人が160倍以上だった。このことから研究班は、「160倍以上の中和抗体価を有する人は、新型インフルエンザウイルスに感染した可能性が非常に高い」と指摘している。一方、中和抗体価が160倍以上で、5-8月の症状の有無が確認できた98人のうち、18人(18%)は無症状だった。18人のうち17人が高校生、1人が教職員で、中和抗体価が最も高い人は1280倍以上だった。この18人について研究班では、感染しても症状が出ない不顕性感染の可能性が高いと結論付けている。また、採血日以降にインフルエンザを発症した108人のうち、中和抗体価が160倍以上の人が3人いた。研究班では「中和抗体価が160倍以上でも、新型インフルエンザウイルスに感染し、発症する可能性がある」としている。

この記事の時点でははっきりせず、
今回の資料で初めて明らかになった点が、
幾つかあります。

まず、抗体の測定法についてですが、
資料によれば、中和試験による中和抗体価が、
測定されていることが明記されています。

通常測られている抗体は、
HI抗体ですが、これはウイルスが、
動物の赤血球を、互いにくっつける性質を利用した、
抗体の測定法です。
これに対して、中和抗体は、
抗体の濃度を変えて、直接にウイルスの増殖が、
阻止される濃度を求めるもので、
より、感染防御の直接の指標となりうるものです。

それは良いのですが、この測定法は、
厳密に言えば、HI抗体と同一ではありません。
また、計測法や施設によって、
その値は微妙に異なることが指摘されています。
また、ウイルスそのものを用いるので、
感染するリスクがあり、
施行出来る施設は限られます。

HI抗体価の40倍、と言うのと、
中和抗体価の40倍と言うのは、
ほぼ同じ意味合いですが、
厳密には違います。

それで、少なくとも海外で発表されている、
まっとうな論文では、
こうした場合、HI抗体と中和抗体
(場合によっては他の抗体も)、
を同時に測定し、その換算を行なって、
免疫の評価を行なっています。

しかし、今回のデータでは、
中和抗体価しか測定はされていません。
その検査の主体はおそらく感染症研究所です。

ここで皆さんに、今までの日本での、
新型インフルエンザワクチンの、
臨床試験の結果を思い出して頂きたいのですが、
最初に公表された「健康成人」への臨床試験では、
HI抗体価と中和抗体価が同時に測定されていますが、
主にHI抗体価で、その効果の有無が、
判定されているのです。
その検査を行なった主体は、
ワクチンを提供した北里研究所です。

次に最近公表された妊娠されている方への試験では、
抗体価はHI抗体価のみで測定され、
その検査は矢張りワクチンを提供した、
北里研究所で行なわれています。
その効果判定は、従って、
HI抗体価のみで行なわれています。

更に中高生での試験は、
阪大微研のワクチンが使用され、
HI抗体価のみの測定で、
その検査も阪大微研で行なわれています。

つまり、バラバラの検査機関で、
バラバラの方法で、抗体価の測定は行なわれているのです。

この結果を比較することに、
果たして厳密な意味があるでしょうか?

これがまず、僕の第一の疑問です。

本来は実際に感染した方の抗体価の測定と、
ワクチンの効果を見るための抗体価の測定は、
同一の方法で、同一の検査機関で行なってこそ、
議論が出来る筈です。
色々と事情はあるのでしょうが、
こうした杜撰な調査では、
本来分かることも分からないままに終わるのではないか、
という不安が頭をもたげます。

次に、以前にも触れた、
「不顕性感染」と「再感染」についてです。

この調査の一番の問題点は、
調査が個別の聞き取りではなく、
調査票を渡し、それに書き込んでもらうだけの、
「アンケート調査」であることです。
そのために、インフルエンザの症状との対比が、
あまり明確には出来ていません。
また、あくまで希望者のみの測定となっているため、
実際に確認された新型の感染者は、
647名中21名にしか過ぎません。
(全校生徒は1500名です)
その21名はいずれも中和抗体価は、
56倍以上に分布しています。
ただ、上の記事でも分かるように、
抗体価が10倍未満の人が、
半数以上の334名に上っており、
感染者がむしろ調査を希望しなかったのでは、
という疑問が湧かざるを得ません。
従って、この結果だけを元に、
「不顕性感染」がどのくらいありそうだ、
というような数字を出してみたところで、
あまり意味があるとは思えません。

最後にこの調査で一番のポイントとも言える、
短期間での「再感染」の有無についてですが、
これは正直、非常にがっかりの内容です。

8月以降に新型インフルエンザに感染したことを、
どのようにして確認したのかと言うと、
学校から欠席状況の届出の提供を受け、
「インフルエンザで欠席」という申告のあった人数を、
ただカウントしただけなのです。

その生徒の個別調査をした訳でもなければ、
アンケートすら再度実施した訳でもありません。
極めつけは、一体いつの時点で、
その確認をしたのか、と言う点も、
報告には一切書かれていません。
再感染の有無を確認した、と言うからには、
「どの時点で確認したのか」という期日は、
明確にしなければ、意味がありません。
そんなことは偉い先生は百も承知の筈ですから、
敢えて書いていないのは、
それが書けないような、何らかの事情があるのだと思います。

つまり、皆さんが学校に提出する、
お子さんの登校許可の証明書を、
ただ集計しただけなのです。

それで再感染の有無を、検証することなど出来るでしょうか?

せめて、その方本人への聞き取りはすべきですし、
同意が得られれば、抗体価も、
再測定を行なうべきです。
それを何もしないで、
中間報告もくそもない、
というのが僕の見解です。

今回の報告内容を見る限り、
上の記事の内容はかなりオーバーなもので、
実際には、「不顕性感染」も「再感染」もありそうだ、
という程度で、確定的なことは何も言えませんし、
言えるほどの内容ではありません。

疫学調査というからには、
せめてもう少し精度の高いものを提供するべきですし、
それだけの研究費は何処か天の財布から、
確実に出ている筈なのですから、
周囲ももう少し、高いレベルのものを求めるべきだと思うのですが、
皆さんはどうお考えになりますか?

今日は新型インフルエンザの、
疫学調査と称するものについての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型ワクチンの新たな臨床試験結果について [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日で診療所の年内の診療は終了します。
朝から検診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

先週、新型ワクチン接種は、
1回か2回か、という今更どうでもいいようなことを、
議論する専門家の検討会があり、
その場で妊娠されている方と、
中学生、高校生の1回接種の方針が、
改めて決定されました。

何と先週ようやっとその問題が、
決着したのです。

何と言うか、馬鹿馬鹿しくて嫌になりますね。

その検討会用の資料として、
妊娠されている方
(僕は「妊婦」」という言い方は基本的に使いません)
と、中学生、高校生への、
新型国産ワクチンの臨床試験の、
中間報告の結果が公表されました。

ところが、同じ時期に結果は判明している筈の、
もっと小さなお子さんへの、
臨床試験の結果は、
まだ公表されていません。

また、もうとっくに最終の結果まで出ている筈の、
輸入ワクチンの治験の結果も、
まだ公表されている、という話は聞きません。

勿論報道もありません。

仮に税金を使って行なった臨床試験であって、
国民の健康や安全に直結するものであっても、
会議の検討事項に必要な資料でなければ、
公開はしない、というのが、
行政の方にとっては、
当然のことなのかも知れません。

要するに情報は、
差し迫った必要性がなければ、
極力開示せず、都合の良いタイミングを図る、
ということのようです。
僕はこうしたことこそ、
情報操作ではないのか、という気がしますが、
別にメディアで問題になる訳でもなく、
政権交代があっても変わりがないところを見ると、
僕の考えの方が非常識なのかも知れません。

それはともあれ…

今回発表された臨床試験の中間報告の内容を、
ざっと見てみましょう。

まず妊娠されている方への、
臨床試験の結果です。

これはまあ、予想されたように、
以前の「健康成人」への臨床試験の結果と、
ほぼ同等のものです。
ワクチンは北里研究所のものが使われています。
抗体の上昇も同程度のもので、
基準上は80%以上が上昇の基準を満たしています。

ただ、以前触れたように、
実際に160倍の抗体価でも、
数ヶ月のうちに感染した事例が複数あり、
これで間違いなく効果があります、
と言えるような内容ではありません。
ただ1割弱の方は、陰性から、
抗体価が640倍以上に上昇していて、
元々の免疫が存在しないにしては、
抗体の上昇があまりに良過ぎるのでは、
という思いはします。
1つの問題はこの抗体価が、
感染防御に直結するものなのかどうか、
ということであり、
もう1つの問題はこの抗体価が、
どの程度の期間維持されるのか、
ということです。
ちなみに、今回はHI抗体価のみが、
公表されています。

次に中学生、高校生の臨床試験ですが、
不思議なことに、これは、
「インフルエンザ及び近年流行が問題となっている呼吸器感染症の分析疫学研究班」
という長ったらしい、
行政御用研究班が、
施行したという体裁になっています。
上記の研究班は、別個の研究内容で、
国から研究費をもぎ取っている筈で、
何故今回白羽の矢が立ったのでしょうか?
何となく裏のありそうな話です。

それはそれとして、
これまでの臨床試験の報告書と比べると、
内容は明らかにかなりスカスカのものです。
抗体価ははなからHI抗体価しか測定対象にはなっておらず、
2回接種の施行も予定すらありません。
あくまで1回接種後の抗体価を測って、
それでおしまい、という内容です。
これは1回接種か2回接種か、
どちらかを選ぶための研究の筈ですが、
最初から2回打つというつもりもないのです。
また、実際の抗体価がどの程度のものであったのか、
という個別のデータも、全く示されてはいません。

接種前の抗体価が40倍以上の方に限って見ると、
高校生では抗体が4倍以上上昇した率は、
3割に満たず、
その抗体価の上昇は、
それほどではない、ということが分かります。
情報が全て開示されていないので、
何とも言えませんが、
妊娠されている方や「健康成人」の結果と比べると、
抗体価が40~80倍に留まる率が、
かなり多いことが想定されます。

つまり、中学生、高校生では、
大人よりも抗体価の上昇は、
やや弱い可能性があると僕は思います。

この試験のもう1つの問題は、
この試験だけ、北里研究所ではなく、
阪大微研のワクチンを使用している、という事実です。
それなりの理由はあるのでしょうが、
はなはだおかしなことだ、と思わざるを得ません。

現時点で一番知りたいことは、
小さなお子さんでのワクチンの効果についての、
データである筈です。

その結果が是非早く開示されることを、
期待して待ちたいと思います。

今日は小出しに開示された、
新型ワクチンの臨床試験についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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