So-net無料ブログ作成
検索選択
新型インフルエンザA ブログトップ
前の10件 | -

新型インフルエンザの重症化をどう考えるか? [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から意見書など書いて、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は新型インフルエンザの重症化についての話です。

昨日、免疫複合体が、
インフルエンザの重症化に関与しているのでは、
という文献をご紹介しました。

今日はそうした知見を、
実際に臨床において、
どのように活かすべきかを考えます。

昨年流行した新型インフルエンザは、
ウイルス表面の抗原のタイプから言うと、
H1N1 というタイプのものです。

過去の流行から紐解くと、
1918年の所謂スペインかぜのウイルスは、
このH1N1 のタイプのものでした。
また、現在も季節性インフルエンザとして、
冬場を中心に流行している、
Aソ連型のウイルスも、
このH1N1 のタイプのウイルスです。

ただ、こうした過去のウイルスの免疫が、
新型インフルエンザに対して有効なのか、
そうでないのか、という点については、
色々な意見があって、
一定の結論に至ってはいません。

この3種類のウイルスに、
ある程度の交差免疫が成立していることは事実です。

つまり、季節性のAソ連型の抗体は、
ある程度新型インフルエンザの抗原に、
結合する性質を持っています。

しかし、問題はそれが有効な免疫なのかどうかと言うこと、
すなわち、身体において、
その別の抗体が、
その感染を防御したり、
重症化を阻止したりする働きを持っているのか、
という点にあります。

1957年以前には、
1918年のスペインかぜのウイルスの抗原が、
存在していたことが分かっていて、
その抗原に対する抗体が、
それ以前に生まれた人の血液中では、
少なからず上昇していることが分かっています。

新型インフルエンザの感染が高齢者に少ないことと、
この知見とを考え合わせると、
どうやらスペインかぜの抗体は、
新型インフルエンザにも有効であることは間違いがなさそうです。

それでは、Aソ連型の抗体はどうでしょうか?

昨日ご紹介した文献から分かることは、
Aソ連型の抗体は、
新型ウイルスにある程度反応し、
抗原抗体反応を起こし、
免疫複合体は生成するけれど、
その作用は弱く、
ウイルスを排除するための、
中和抗体としては働かない可能性が高い、
ということです。

そればかりか、
こうした不充分な抗体は、
抗原と抗体とのバランスの悪い、
免疫複合体を生成し、
それが肺などの組織に沈着すると、
サイトカインの異常な増加から、
組織障害を起こして、
インフルエンザの重症化の引き金を引くのでは、
と考えられるのです。

去年季節性のワクチンを打つと、
却って新型インフルエンザが重症化する、
という報告が一部であったことを、
ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

今回の知見からすれば、
その理由は明らかです。

新型の免疫を持たない人が、
季節性のワクチンを打ち、
それまでなかったAソ連型の抗体が上昇した、
とします。
その抗体が却ってバランスの悪い免疫複合体を生成すれば、
それは新型感染の重症化に繋がる可能性があります。

つまり、昨年の季節性のワクチンに、
新型と同じタイプの抗原が入っていたのは、
誤りであった可能性があるのです。

昨年の季節性のワクチンは、
A香港型とB型との2価にして、
それに併せて新型のワクチンを打つべきだったのです。

従って、基本的には今年のワクチンから、
Aソ連型が抜けたのは、
正しい選択です。

同じ型のウイルスがほぼ同時に流行ることは、
基本的には有り得ないことで、
流行らない同じ型のワクチンを打ち、
その抗体を上昇させることは、
却って有害になるからです。

今年のインフルエンザの抗体価の測定は、
健康保険の範囲内でも可能です。
そして、その抗体はH1N1 に関しては、
新型ウイルスのものに切り替わっているので、
その抗体価が上昇していれば、
概ね有効な免疫が出来ていることが確認出来ます。

僕は従って、感染で重症化のリスクの高い、
持病をお持ちの方では、
抗体価の計測を行なうようにしています。

タミフルなどの抗インフルエンザ剤は、
副作用など解決されない問題を残してはいますが、
現行の知見から考えて、
重症化の予防には早期の使用が有効だと思います。

以前の脳症のメカニズムについての日本の研究でも、
今回の免疫複合体の知見でも、
ウイルス量を早期に抑え込むことが、
その重症化の阻止に、
ある程度の有効性があることは、
推測出来る事項だからです。

今日はインフルエンザの重症化についての、
最近の知見についての話でした。

上記の内容は、
あくまで最近の知見を元にした、
僕自身の考え方で、
教科書的な事実ではありませんので、
その点はご理解の上、
お読み頂ければ幸いです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型インフルエンザと免疫複合体病の話 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

先日こんなニュースがありました。

【新型インフル重症例、「季節性」の抗体原因】
昨年世界的に流行した新型インフルエンザでは免疫力の強い青壮年層にも重症例や死亡例が出たが、もともと体内に持っていた季節性インフルエンザの抗体による異常な免疫反応が原因であることが、○○大学などの研究で明らかになった。

この元ネタは、
Nature Medicine 誌の電子版に、
12月5日に公開された、
「Severe pandemic 2009 H1N1 influenza disease due to pathogenic immune complexes 」
と題されたレポートです。

内容を端的に言えば、
新型インフルエンザの重症化のメカニズムには、
免疫複合体が関与している、
つまり、
新型インフルエンザは一種の免疫複合体病だ、
というものです。

これは僕の考えでは、
かなり画期的な論文なのです。
さすが、ネイチャーという感じです。
それは今まで謎だった幾つかの疑問、
たとえば、季節性ワクチンの接種が、
新型インフルエンザの予防に対して、
有効なのかそうでないのか、
ワクチンの接種が却って新型ウイルスの感染を増やした、
というような報告があったのはどうしてなのか、
何故特定の年齢層に重症化が多いのか、
といった疑問について、
説得力のある答えを示しているからです。

以下、その内容を僕なりに噛み砕いてご説明します。

僕は免疫の専門家ではないので、
誤りがあるかも知れません。
もしお気付きの点があれば、
ご指摘を頂きたいと思います。

さて、免疫複合体病とは何でしょうか?

免疫複合体が過剰に組織に沈着することにより、
その病態が出現する一連の病気のことです。

それでは、免疫複合体とは何でしょうか?

抗原と抗体とが、
色々な割合で結合した物質のことです。

抗原というのは身体にとって、
異物である蛋白質で、
その多くは細菌やウイルスなど、
病原体由来の成分です。

抗体というのは身体のリンパ球が作る蛋白質で、
抗原を捕捉し、
その情報を他の免疫細胞に伝えて、
体外からの病原体を、
身体から排除するために重要な働きをしています。

つまり、抗原と抗体とがくっつくことは、
免疫にとって当然の反応で、
それがスムースに進めば、
何の問題もないのです。

ところが…

この抗原と抗体との結合物が、
身体に沈着して病気の原因となることが、
幾つかの病気で知られています。

その代表の1つは急性糸球体腎炎です。

この病気は溶連菌という細菌の感染症の、
1~3週間の後に急激に腎機能が低下し、
浮腫みや高血圧などが見られるものです。

その原因は腎臓に沈着した、
免疫複合体です。

つまり、細菌由来の蛋白質と身体の抗体が結合し、
それが腎臓に付着することによって、
腎臓に炎症が起こるのです。

しかし、免疫は身体を守るものの筈で、
外来の抗原に抗体が結合することも、
それ自体は正常な反応の筈です。

それがどうして、病気の原因になるのでしょうか?

次の図をご覧ください。
免疫複合体.jpg
これは免疫複合体が、
自分の組織を破壊する、
そのメカニズムを示したものです。

全ての免疫複合体に、
こうしたことが起こる訳ではなく、
抗原が過剰であったり、
また抗体が過剰であったり、
更には抗体の働きに問題があって、
抗原をうまく押さえ込むことが出来ないような場合に、
速やかに処理されない免疫複合体が、
組織に沈着して、
こうしたことが起こるのではないか、
と考えられているのです。

補体というのは、
この場合大きな免疫複合体を、
溶かして小さくするような役目を持っているのですが、
その補体の活性化が、
白血球のような炎症細胞を活性化させ、
また種々のサイトカインや、
蛋白を分解する酵素などを産生させます。

免疫複合体自体には、
毒性はなく病原性もないのですが、
それが除去されずに局所に存在することで、
その周辺に炎症が過剰に起こり、
それは結果的に周辺の組織を、
破壊する結果になるのです。

つまり、こうした免疫の異常亢進による、
身体の組織の自己破壊が、
免疫複合体病の本質です。

今回の論文で明らかになったことは、
新型インフルエンザで重症の肺炎を起こした患者さんの、
その肺の組織を分析したところ、
そこに免疫複合体の指標である、
Cd4 の沈着が認められた、
というものです。

この変化は平均39歳という年齢層の、
重症の事例でのみ見付かりました。

日本の流行では必ずしもそうではありませんでしたが、
欧米では青年から中年層で、
こうした重症の事例が多く、
高齢者での感染の事例は少なかったのです。

同年齢層の血液を分析すると、
H1N1 という、
新型インフルエンザと蛋白の抗原の性質としては、
同タイプの抗体が高力価で陽性でした。
この検出された抗体は、
1999年の季節性のH1N1 ウイルスには、
強い親和性を持ち、
それに対して、新型ウイルスには、
弱い親和性しか持ちませんでした。

これはすなわち、
Aソ連型と称される、
季節性の同じタイプのウイルスの、
抗原に対する抗体だった訳ですが、
この抗体は弱いながら新型インフルエンザの抗原と、
くっつく能力があり、
それでいて、
新型ウイルスを中和させる働きは、
殆どないことも同時に明らかになったのです。

これはどういうことでしょうか?

高齢者は1918年のスペイン風邪の系統である、
H1N1 タイプのウイルスの抗体を持っています。
このウイルスには昨年の新型インフルエンザのウイルスと、
似通った性質があり、
従って、新型ウイルスにも有効な免疫を、
誘導出来ると考えられます。

すなわち、このために、
高齢者はこの新型ウイルスに抵抗力があります。

一方、概ね1957年以降のH1N1 の流行株は、
少し性質の異なるものなので、
ある程度新型ウイルスにも反応し、
その抗原にくっつく抗体を誘導しますが、
その働きは弱く、
有効な免疫にはなりません。

すると、抗原と抗体とのバランスの悪い免疫複合体が、
生成され易い条件がここに成立する訳です。

つまり、季節性のウイルスに対する抗体が、
不充分に反応して抗原とくっつき、
それが肺の組織に沈着すると、
そこで補体の活性化が起こり、
サイトカインの過剰な産生から、
急激な組織破壊が起こって、
インフルエンザを重症化させると、
考えられるのです。

ちょっとややこしいのですが、
何となくお分かり頂けたでしょうか?

明日はこの知見を、
新型インフルエンザの予防と治療に、
具体的にどう結び付けるべきかを、
僕なりに考えます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日であしますように。

石原がお送りしました。

新型インフルエンザAの現況その26 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。
まずこちらをご覧下さい。
新型ワクチン在庫.jpg
これは今診療所にある、
新型インフルエンザワクチンの在庫です。

全て国産のワクチンですが、
当面使用の予定はありません。
ご存知のように返品は不可なので、
使用期限が過ぎれば、
そのまま廃棄処分にするしかありません。
使用期限は今年の10月です。

果たして現在日本にどれだけのワクチンの在庫があり、
そのうちのどのくらいの量が、
廃棄処分になるのかは分かりませんが、
輸入ワクチンに関して言えば、
ほぼ全て、と言っても言い過ぎではない量が、
そのまま廃棄されることは間違いがありません。

僕の意見は一貫していて、
昨年の5月の時点から、
輸入ワクチンは必要ない、という立場でした。
過去の記事を見て頂ければ、
その点は確認して頂けるかと思います。

勿論国産のワクチンで、
不足する事態は当然有り得るのですが、
それは世界中で同様なのですから、
自国優先主義を取るべきではない、
というのが基本的な考えです。

それでは、誰が輸入ワクチンを強行したのでしょうか?

この間、「新型インフルエンザ対策総括会議」というものが開かれ、
今後もまだ開かれる予定です。

もう既に終了した会議の中で、
政府の「新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会」、
という長く如何にも有難そうな名前の会議の代表者の方が、
「ボクは輸入ワクチンには反対だったんだよ」
という意味のことを発言されています。

つまり、専門家のアドバイスは反対であったのに、
「政治主導」で輸入ワクチンは決定された訳です。

その間のニュアンスは、
緊急出版され、発売と共に、
今度も緊急で回収された、
慌しい書物である「死の官僚」という奇書の中に、
割と詳しく書かれていて、
「国産にこだわらず海外のワクチンの手配を早急にしなければいけないところだが、厚労省は何故か積極的ではないのだ」
「医系技官がワクチンの輸入拡大に反対する動きがあるが、国がすべきことは、米国のようにワクチン確保の一点に尽きます」
など、国産と併せて、国民全員分のワクチンを、
輸入で確保するのが正しいのだ、
というこの作者のあまり根拠のない強烈な意思を、
実際に誰が書いたのかは分かりませんが、
下品の極みのような文章の中に、
読み取ることが出来ます。

御用学者の代表の大先生も、
悪名高い医系技官と称する方々も、
いずれも反対であったことが、
現実には慌しく決まったのですから、
これは前厚生労働大臣と、
上記奇書の作者を含む、
そのブレインであった同じ大学の方々が、
政治主導で決めたことなのだ、
ということは何となく分かります。

この馬鹿な政策を決めた人達に、
どうにか輸入ワクチンの無駄な費用を、
代わりに少しでも払ってはもらえないでしょうか?
全部元は税金なんですよ。
そうした訴えでも起こして頂ければ、
悪名のみが高い医系技官という方々の評判も、
少しは上がるのではないでしょうか?

少なくとも僕は応援します。

少し話題を変えます。

先の総括会議で、
御用学者の大ボスでラスボスのような先生は、
「日本の新型インフルエンザの死亡者が少なかったのは、
ボク達が提案した学級閉鎖の効果なんだよ」
という意味のことを発言されています。

これはそもそもはこの方の発言ではなく、
東北の方に棲息されている、
中ボスのような先生が、
そうした発言を方々でされ、
英文の論文も発表されています。

その論文と称するものを僕は読みましたが、
これは申し訳ないですが、
論文と言うのも恥ずかしいような内容です。

そこで紹介されているデータは、
ただ単に厚労省の発表した、
新型インフルエンザの疫学データそのもので、
そこから小中学生の年齢層の感染者が多く、
より低年齢層と高齢者の感染が少ないことを指摘し、
それは学級閉鎖のために、
小中学生からその周囲の人々に、
感染が拡大しなかったせいではないか、
という奇妙な理論を展開しています。

普通に考えれば、
学級閉鎖を早期にしたにも拘らず、
その年齢層の感染者が圧倒的に多かったのですから、
これは対策の失敗と考えても良さそうですが、
さすが知性に溢れた御用学者の先生ともなれば、
その発想もユニークで、
周りに広がらずに食い止めたのだから成功なのだ、
ということのようです。

学級閉鎖というのは、感染者が家に戻ることですから、
却って周囲に感染が拡大してもおかしくはありません。
従って、その感染が広がらなかったのは、
大人世代に感染し難い何らかの事情があったからで、
学級閉鎖の恩恵などではないと、
僕のような平凡な頭ではそう思います。

さて、実は今週2名の新型インフルエンザの患者さんを、
診療所で診断しました。

このまま感染自体が終息するとは考え難く、
第二波は確実にある、というのが僕の予想です。

免疫の減少は比較的早いのでは、
というのが僕の考えで、
それに一致して、再び学童より、
集団感染が広まるのではないでしょうか?

それは意外に早く始まるのではないか、
と思います。

従って、最初に新型ワクチンの在庫の話をしましたが、
僕はまだこれが使用しないままに、
廃棄されるとは思っていません。

慎重に今後の動静を見守りたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

インフルエンザワクチンの小児への効果と情報操作についての一考察 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はちょっと新型インフルエンザワクチンの話です。
少し前に、こんなニュースがありました。

【インフルワクチンを過大評価=母親の9割、正しく理解せず-民間調査】インフルエンザワクチンの幼児への効果について、高校生以下の子供を持つ母親の9割が正しく理解せず、半数以上が過大に評価していることが、コンサルティング会社「フライシュマン・ヒラード・ジャパン」(東京)の調査で分かった。同社は今月8~10日、全国の24~54歳の母親500人を対象にインターネットを通じて調査した。厚生労働省はワクチンが発病を防ぐ効果は、1~5歳の子供では「20~30%」としているが、500人のうち正しく回答したのは全体の3%に当たる15人だけ。57%は「5割以上防げる」などと過大に評価し、「分からない」とした人も36%に上った。また、今回の新型インフルエンザが豚由来だと理解している人は59%にとどまり、「分からない」が25%、「鳥由来」と答えた人も15%いた。(2010/02/20-05:42)

この記事のポイントは中程の部分です。

厚生労働省は、1~5歳の子供でインフルエンザワクチンが発病を防ぐ効果は、20~30%としている。

皆さんはこのことをご存知でしたか?

これはおそらく、
季節性インフルエンザワクチンの話だと思いますが、
一体いつ、どのような形で、
厚生労働省がこんな発表をしたのでしょうか?
その出典をご存知の方は、
是非教えて頂きたいと思います。

僕にはその出典は全く分かりません。

この記事のニュアンスでは、
この数字は国民なら当然知っているべき数字の筈なのに、
お子さんをお持ちのお母さんは、
知識や理解力が不足しているため、
それを知らないでいる、というように読めます。

しかし、本当にそうでしょうか?

このブログでも過去に何度も取り上げたように、
日本では特に4歳~12歳までのお子さんの、
インフルエンザワクチンの用量は、
海外よりも極端に低く設定されていて、
それではまともな効果は期待出来ないのです。
これはそもそもまだ「全粒子型ワクチン」を接種している時期に、
設定された用量で、
それが効かないのは承知の上で、
一度もその用量の変更が行なわれないままに、
数十年の月日が無意味に経過しているのです。

しかし、そのことが一般に知らされ、
周知されていたでしょうか?

皆さんはご存知でしたか?

たとえばあなたが5歳のお子さんをお持ちで、
去年の11月に新型ワクチンを、
お子さんに打とうかどうしようかと迷っていた時に、
もし「発症予防効果は30%もない」という情報を知っていたら、
あなたの判断は、おそらく変わっていたのではないでしょうか?

そんな情報があの時にありましたか?

確かにあの時、
厚生労働省やそれにまつわる魑魅魍魎の皆さんは、
「発症予防ではなく、重症化予防に効くのだ」
と念仏のように繰り返し唱えていました。
しかし、「発症予防は30%もない」という発言は、
決して誰からもありませんでした。
新型インフルエンザは怖いのだから、
ごちゃごちゃ言わずに、早く打てばいいんだよ、
とでも言わんばかりの説明であったではないですか?

この「発症予防」という意味合いは、
おそらく実際の感染を防御した、
という意味ではなく、
接種後の抗体価が、
国際基準を満たすまで上昇したかどうか、
という意味合いだと思います。
しかし、これはそのレベルの抗体価があると、
ほぼ半数の感染を理屈の上では予防し得る、
という一種の推測に過ぎません。

つまり、発症予防が30%というのは、
接種後の抗体価が基準に達したのが、
せいぜい30%、という意味で、
実際に10人のお子さんに接種すれば、
理屈で言っても予防出来るのは、
2人はいない、ということになります。

この程度の効果のワクチンを、
何故国を挙げて推奨する理由があるのでしょうか?

「だから、発症予防ではなく、重症化予防に効くんだよ」
と目を吊り上げて言われる方があるかも知れません。

でも、重症化予防に対して、
一応のデータがあるのは、高齢者だけです。
少なくとも5歳のお子さんで重症化予防が証明された、
などというまともなデータは、
何処にも存在しないのです。

こんな詐欺みたいな話があるでしょうか?

次にペポさんから教えて頂いた、こんなニュースもありました。

【WHO推奨量で3歳未満にも高い効果ーインフルワクチン】薬事法上で既に承認されているインフルエンザワクチンの接種用量では効果が低いとされている3歳未満の幼児に対し、WHOが推奨する用量に増やして2回接種を行なえば、欧州医薬品審査庁の評価基準を上回る効果が得られることが、国立病院機構が実施した臨床試験の中間報告で明らかになった。

このニュースが報道されたのは、
今年の1月の5日です。

前々から小児の新型国産ワクチンの臨床試験が、
行なわれたこと自体はわかっていたのですが、
その結果は公表されていませんでした。

その結果の中間報告が、
もう新型インフルエンザの話題も下火になり、
ワクチンは何処でも余りまくり、
というこの時期になって、
ようやく部分的に明らかになったのです。

まず、上の記事のニュアンスを読んで見て下さい。

薬事法上で既に承認されているインフルエンザワクチンの接種用量では効果が低いとされている3歳未満の小児

この書き方はどうでしょう?

まるで小児には効かない用量が決められていたことが、
国民全員の知っている常識であるかのように、
平然と書かれていますね。

でも、たとえば去年の11月に、
こんな情報が一言でもニュースに流れたでしょうか?

皆さんは見たことがありますか?

殆どなかった筈です。

つまり、メディアの皆さんも含めて、
専門知識のある皆さんは、
インフルエンザワクチンが今の量では、
お子さんには殆ど効果のないことを、
先刻ご存知だった訳です。

それと知っていながら、それと言わなかったのは、
そんなことを言えば、多くのお母さんが、
自分のお子さんにワクチンを打つことを、
躊躇されることを知っていたからです。

つまり情報を故意に与えずに、
ワクチンをなるべく多くのお子さんに、
打たせてしまおう、と考えた訳です。

皆さんはこうした上から目線の対応に、
怒りをお感じにはなりませんか?

僕は非常に腹が立ちます。

情報は適切なタイミングで、
適切に開示されるべきで、
それを元にワクチンの接種は個別に、
個人の責任で決められるべき事項です。

そうは思われませんか?

この中間報告の内容がまたびっくりです。

この試験は新型ワクチンと季節性ワクチンの両方を使い、
6ヶ月以上13歳未満の小児360人を対象に、
海外の用量と、日本の用量の、
両者を接種し、その比較を行なっています。
ワクチンは新型のみを接種した群と、
新型と季節性両方を同時接種した群の、
両方が検討されています。

新型ワクチンの小児への臨床試験が行なわれたことは、
一応報道でも紹介はされていました。

しかし、それだけを聞くと、
単に新型ワクチンの効果を確認するための試験、
と誰でも考えますよね。

でも実際にはそうではなく、
同時に用量を海外と同じにした試験も行ない、
それに併せて、季節性と新型の同時接種も行なっています。

この意味合いは明らかで、
もう既に内々では、
今年の秋には、
新型と季節性とのワクチンの1本化が決まっていて、
更には小児の用量を海外と同じに変更することも、
同時に決定されているのです。

そのためには、その裏付けとなるデータが必要です。
この試験は新型のワクチンの小児への効果を見ることより、
むしろ用量の変更が主な目的だったのです。

それは何故かと言えば、
最初から今の用量では、
ワクチンの効果は期待出来ないことが分かっていたからです。
そんなデータを早く公表する訳にはいきません。
しかも驚くべきことに、
この試験では3歳未満の幼児には、
海外用量の試験しか行なっていません。
同じ時期に多くの3歳未満のお子さんが、
そんな量では効かないとされている用量での注射を、
効くと信じて打っていたというのに、
同じ時期に行なった試験では、
その量の接種自体、
行なわれていないのです。

こんな酷いことがあるでしょうか?

ワクチン行政というのは、
この国ではこのようにして行なわれているのです。

情報を隠すのは当然のことで、
情報をそのままで開示すれば、
「愚かな大衆」はワクチンに悪いイメージを持つので、
良くないとされている訳です。

去年の早い時期に、もう小児のワクチン用量を変えよう、
という動きはあったのです。
それを裏付ける研究班の報告も発表されていました。
しかし、それは去年の新型ワクチンには間に合いませんでした。
その時点でお子さんのワクチンの量が少なく、
効果が乏しい、という情報が流れれば、
ワクチンを打たない、という人が増えることを、
「賢い」人達は怖れたのだと思います。

しかし、本来それは誤りです。
情報を開示し、納得してワクチンを打つのでなければ、
必ずワクチンに対する不安は、
消えることはないからです。

こうした行政が続く限り、
ワクチンの考え方が、
真の意味で日本に根付くことは有り得ないと、
僕は思います。

皆さんはどうお考えになりますか?

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型インフルエンザAの現況その25 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は久しぶりに新型インフルエンザの現況です。

診療所でのインフルエンザの患者さんは、
一時期よりはぐっと減りましたが、
それでも毎日1~2人はいらっしゃいます。
つまり、完全に流行は終息してはいません。

そのいずれの方も、
簡易検査では新型インフルエンザの反応を示しています。
つまり、今シーズンに関しては、
季節性インフルエンザは、
ほぼ完全に阻止されている状態です。

季節性インフルエンザワクチンの接種は、
ほぼ終了し、念のため3本のみ残しているだけです。

新型インフルエンザワクチン(勿論国産のみです)は、
まだ接種を続けていますが、
これも1日数人のペースです。

悪名高い10ml の大瓶は、
1ml との交換が可能になりました。
診療所では在庫になっていた4本を、
全て1ml のバイアルに交換しました。
集団接種用に購入したワクチンを、
安値で転売するような行為も黙認されていて、
ワクチンのダブつきが明らかとなり、
ワクチンの規制は、
あってなきが如きものになっているようです。

2月19日(昨日)には、
厚労省のサイトに2月18日時点までの、
新型国産ワクチンの副反応報告が公開されました。
その中で、以前報道され、
ブログの記事でも触れた、
ワクチン接種後40分で心肺停止をされた、
新潟の事例の詳細が公開されています。

ちょっと興味深い内容なので、
概略をご紹介します。

事例116例、というのがそれです。

事例は80代の女性で、高血圧と弁膜症をお持ちの方です。
新型インフルエンザワクチンを医療機関で接種後、
30分後までは特に症状はなく、
帰宅途中の10分後に、
倒れた状態で発見。
呼吸は停止し、血圧も低下して、脈は触れない状態でした。
その場で気管に管を入れ、心臓マッサージも施行。
除細動器を使用したところ、
「電気ショック不要」と応答された、とのことです。
その10分後には救急車にて医療機関に搬送。
死亡確認に至った、という経過です。
この方はすぐに死後画像も撮っています。

現在では特に地方の救急病院では、
そうしたところが多いようですね。
後で無用のトラブルが無いように、
亡くなった時点で、すぐに死後画像を撮るのです。
この方の場合、死後に全身のCTを撮影しています。

しかし、特に異常は見付かりませんでした。

ご遺族が解剖を希望されなかったため、
解剖されてはいません。

勿論ご遺族のお気持ちを考えれば、
安易な発言は慎むべきですが、
医学的見地からは、
本来は是非解剖が必要な事例であったと、
僕は思います。

僕は矢張りこの事例はワクチンとは無関係の、
おそらくは急性の心臓死と考えますが、
当初考えたより克明な追求が行なわれ、
主治医の判断も理に適ったものであることには、
納得がいきました。

それはともあれ…

もうあまり報道もされませんが、
新型ワクチン接種後死亡事例は、
2月18日現在で127名に上り、
高齢者に多いという傾向も変わっていません。

おそらく来シーズンのワクチンは、
新型ワクチンと季節性のワクチンとを、
混合したものになりそうですが、
僕は拙速にそうした方針を取る前に、
季節性と新型ワクチンの副反応の差異については、
もう少し厳密な検討が必要なのではないか、
と思えてなりません。

医療機関への注意事項として、
極端に全身状態の悪い方は、
ワクチン接種の是非を慎重に判断するように、
とか、アレルギーや喘息の方は、
接種後30分は様子を見て、
急変時にも対応出来るように、
などと書かれていますが、
問題はそうしたことではなく、
たとえば接種前にこの数値を測るとか、
接種後にこうしたデータを取る、とか、
そうしたことで重篤な副反応を、
回避出来るような可能性を探ることではないか、
と僕は思います。
問題は虚構の安全を主張することではなく、
稀に起こる事故が推測可能なものであるかどうかを、
探求することにこそあるからです。

皆さんはどうお考えになりますか?

今日は新型インフルエンザの現況をお届けしました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

ワクチン接種後40分の死亡をどう考えるか? [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から事務仕事をシコシコとやって、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はまた新型インフルエンザ間連の話題です。

こんなニュースがありました。

【新型接種40分後に死亡、主治医「関連あり」】厚生労働省は29日、新型インフルエンザのワクチン接種を受けた新潟県の80歳代女性が約40分後に死亡し、主治医が因果関係について「関連あり」と報告したことを明らかにした。ワクチン接種後に死亡した例は、同日までに117件が同省に報告されているが、主治医が「関連性あり」としたのは初めて。厚労省は、専門家3~4人に分析を依頼するほか、来月開く副作用検討会でも議論する。女性は高血圧と心臓弁の持病があり、昨年11月に季節性インフルエンザワクチンを接種した際に異状はなかった。今月26日にかかりつけの医療機関で新型インフルワクチンを接種。30分たっても副作用が見られなかったので帰宅したが、その約10分後に路上に倒れているのが発見され、死亡が確認された。死因は不明。当時、外は雪が降っており、主治医は、暖房のきいた室内から急に寒い場所に出たことで「不整脈や肺塞栓(そくせん)が起きた可能性も否定できない」としているが、「ワクチンとの因果関係も同程度に可能性がある」と報告している。

これは実は1月30日に記事にしたのですが
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2010-01-30
その時点ではこの記事にあるような、
詳しい内容は把握していませんでした。

従って、以前の記事はちょっとピント外れのものに、
なっていたように思います。

現時点でこの記事以上の情報はないようです。

80代の高血圧と心疾患をお持ちの女性が、
おそらくは診療所で新型ワクチンの接種を受け、
30分は診療所内で様子を見た上で、
帰宅の途に着いたところ、
その僅か10分後に、
帰宅途上で倒れているのを発見されたのです。
おそらくその時点で心肺停止の状態であったと、
推測されます。

皆さんはこの事例を、
どうお考えになりますか?

いつも分からないのは、死亡診断の経過です。

他の記事で救急車で病院に運ばれたとの記載もありましたが、
それが事実であるかどうかは不明です。

いずれにしても、上の記事のニュアンスから見る限り、
そのワクチン接種をしたかかりつけ医が、
死亡診断に関わった、と見て間違いはなさそうです。

とすれば、救急隊がそのかかりつけの医院か、
ひょっとして病院に、その方を運び入れたのか、
それとも救急病院に運ばれて、
死亡が確認され、そうした場合、
まずその病院の医者は、
死亡診断書は書かないでしょうから、
そこに呼ばれたかかりつけ医が、
死亡診断を行なったのでは、
という推測が成り立ちます。

ただ、妙なのは、死因は「不明」と書かれていることです。
これは要するに主治医が警察の立会いの下に、
「検死」をして、その検案書の死因が、
「不明」とされた、という意味合いかな、
とも思われます。

皆さんもご存知のように、埋葬には死亡診断書が必要です。
しかし、死因が不明のままでは、
死亡診断書が受理されることはなく、
この場合は、ご家族の同意の下に、
解剖が行なわれた、という経緯が想定されます。
解剖での死因の判明には、
場合によっては1ヶ月以上掛かるので、
その間の死因はあくまで「不明」のままなのです。

記事によれば、患者さんが亡くなられたのは、
1月26日のことで、
厚生労働省の発表は29日です。
とすると、おそらく27日には、
既に主治医は「ワクチンと因果関係あり」
との報告を行政に提出していることになります。

ただ、もし解剖が行なわれているのであれば、
その結果は当然まだ判明してはいません。
仮に肉眼所見のみでほぼ間違いなし、
とのことであれば、
その結果が記事に現われておかしくはありませんが、
そんな記載は何処にもなく、
主治医のコメントも死因を理解している様子のないものです。

表に現われている内容のみが事実であるとして、
僕がもしこの主治医の立場なら、
解剖の結論がある程度はっきりするまでは、
少なくとも「ワクチンと因果関係あり」というような、
報告をすることはありません。

だって、そうでしょう。
もう少し待てば死因が特定される可能性があるのに、
何故わざわざ不明の段階で、
報告を挙げる必要があるでしょうか?
少なくとも「因果関係は現時点では不明」とするべきです。
死因が不明なのに、
ワクチンとの因果関係のみが確実だ、
というようなおかしな話はないからです。

更にはそれを内容をしっかり確認することなく、
直ちに公表する厚生労働省も、
どうかしていると僕は思います。
新型ワクチン接種後の急死の事例は、
これまでにも多く報告されているのです。
せめて死因が確認されてから、
会見をして決して遅くはないと思いますし、
またそうするべきだったと僕は思います。
確認も取れていない情報を、
何でもすぐにメディアに報告すれば、
それでいい、ということはない筈です。

この事例を報道の範囲から分析すると、
直前までそれと予測させる徴候のない、
突然の心肺停止であり、
それが急に低温環境に置かれた、
心臓にご病気のある高齢者に起こった、
という点から考えて、
「急性の心臓死」でほぼ間違いはないのでは、
と僕は思います。
心臓を栄養する血管が詰まって、
致死性の不整脈を来たし、急激に死に至ったのです。

東京ではこうした場合、
死因は「虚血性心不全」とされることが多いのです。
これは意味合いとしては、
昔の「急性心不全」に近いものです。

問題は40分前に皮下注射されたワクチンが、
その心臓死に影響を及ぼした可能性は、
有り得るのか、という点に絞られます。

ここで参考になるのは、
以前の報告にある死亡事例の3例目です。
このケースでは、接種後3時間後に急性心筋梗塞の疑われる、
急性の心臓死を来たしています。
僕はこの事例は間違いなく、
ワクチンが病変を「押した」可能性が高い、
と思います。
ただ、ポイントは接種後1時間以内には、
特に症状は見られていないことです。

つまり、接種後1時間以内の体調不良は、
概ねアレルギーの可能性が高いのです。
アレルギー以外の免疫反応が、
それだけの短時間で起こるとは、
考え難いからです。
そしてその場合、
接種後すぐに症状が出現するほど、
重症化し易い、という特徴があります。

ここで今回の事例に戻って見てみると、
接種後30分は問題なく、
その10分後に急変されています。

つまり、アナフィラキシーなどのアレルギーの関与は、
この事例では考え難いのです。
そして、免疫系の賦活が起こったとすると、
それにしては時間的に早過ぎます。

従って、僕の結論は、
この事例はワクチンとは無関係の、
急性の心臓死だ、ということです。

うがった見方をすれば、
厚生労働省はこの事例が、
ワクチンとの関連が薄いことを承知の上で、
敢えてそれを大きく取り上げさせ、
それから専門家に関連性を否定させて、
ワクチンの安全性をアピールしたいのかな、
というようにも思えます。

ワクチンの死亡事例の中には、
新型ワクチンと因果関係の認められるケースが、
50例以上はあると僕は思いますが、
その中に今回の事例は含まれない、
というのが、現時点での僕の見解です。

皆さんはどうお考えになりますか?

尚、今回の分析は、
あくまで報道された内容のみからの推論であり、
事実とは異なることも当然考えられます。
また、報道や役所の発表を検証したい、
という意味合いで、
当該の患者さんに言及したり、
その主治医の行為を非難するような意味合いは、
全くありませんので、
その点はご理解の上お読み頂ければ幸いです。
もし患者さんのご遺族の方で、
内容をご不快の思われるようなことがありましたら、
御連絡を頂ければ、
記事は削除させて頂きます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型国産ワクチンの死亡事例報道を考える [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

今日はまず皆さんにご報告があります。

昨年診療所で季節性インフルエンザワクチンを接種後、
神経障害の副反応を来たし、
一時歩行も困難になった方がいらっしゃいました。
勿論専門医療機関も受診されたのですが、
ご本人の希望により、
特に治療はせずに経過を診る方針となりました。

1月の中旬頃より、
症状には改善傾向が現われ、
現在は歩行は通常に戻り、
若干の痺れが残っていますが、
ほぼ症状は改善されています。

勿論それで全てOKという訳ではありませんが、
ADEMのような経過と考えれば、
2ヶ月程度で改善する可能性が高い、
という当初の判断がそれほど誤ってはいなかった訳で、
今は少しほっとしています。
ただ、同様の経過で後遺症の残る方も、
実際にはいらっしゃるのです。

皆さんにもその節はご心配を頂き、
暖かいコメントも頂きました。
本当にありがとうございました。

心を引き締めなおして、
日々の診療に当たりたいと思います。

それに関連して、
こんなニュースがありました。

【新型ワクチンで死亡の可能性=副作用で初、新潟の80代女性-厚労省】(1月29日20時27分配信) 厚生労働省は29日、新型インフルエンザの国産ワクチンを接種した新潟県の80代女性が、ワクチンの副作用で死亡した可能性があるとの報告を受けたと発表した。同省は複数の専門家に検証を依頼する。同省によると、女性は高血圧や心臓病の持病があった。ワクチンを打った主治医は女性の死亡について、持病が悪化した可能性と、接種に伴うショック症状「アナフィラキシーショック」の両方が原因として考えられるとした上で、「ワクチンとの因果関係がある」と報告したという。新型インフルのワクチン接種後の死亡報告は117件あるが、死亡との因果関係があるとされたケースは初めて。

皆さんはこのニュースを、
どのようにお読みになりますか?

非常に紛らわしいのですが、
現時点で新型国産ワクチン接種後に、
亡くなられた方は、
117名に上っています。

その報告はまず亡くなられた方を診察した医者か、
そのワクチンを接種した医者の、
通常いずれかの医者が、
行政に報告を挙げることから、
始まります。

この時点で報告書に、その死亡とワクチン接種との因果関係を、
報告した医者が判断してチェックする項目があります。

報告書の体裁によって、
その形式も違いがありますが、
概ね、因果関係なし、関係が否定出来ない、関係がある可能性が高い、
関係が確実である、
というような区分が成されています。

通常最初の医師の判断は、
関係が否定出来ない、もしくは、
関係がある可能性が高い、となることが殆どです。
僕も実際に季節性ワクチンの報告をした際には、
その項目にチェックをしました。

勿論それが最終的な結論となることはなく、
専門家の検討会が開かれ、
その中で更に決定が行われるのです。

今回の事例は、
報告した医師が、
「関係が確実である」にチェックをしたのです。
この医師がどういう判断の元にそうした決定をしたのかは、
良く分かりません。
臨床の医師としては、
やや特殊な判断と思われるからです。

そうした報告をした医師が、
初めてであった、というのが上の記事の示す事実で、
別に新型ワクチン接種後に、
死亡された方が初めて、という意味ではないですし、
因果関係あり、と行政が認めた、
という内容でもなく、
事例の検討もおそらく次回の検討会で、
行われる予定になっている訳です。

それでは何故厚生労働省は、
この時点で紛らわしい発表をしたのでしょうか?

1つには緊急性のある事例で、
報告をした現場の医師の判断を尊重した、
という言い方は可能です。

ただ、どちらかと言えばそうではなく、
これまで多くの方が新型ワクチンの副反応で亡くなっているのでは、
という報道があった中で、
「今回が初めて」という報道があれば、
「そうか、今までの報道は眉唾だったのだな」
と考えてくれるのではないか、
という効果を狙ったように、僕には思えます。

僕の個人的な意見を言えば、
報告された117名の方の全てが、
ワクチンと関連性のある死亡だとは思いませんが、
少なくとも半数以上はその可能性が高い、
と考えます。

この報道は如何にも厚生労働省の意向に沿った内容で、
もう少しこれまでの経過を踏まえて、
読む方の分かり易い内容にするべきではなかったか、
と僕には思えてなりません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型インフルエンザAの現況その24 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は新型インフルエンザの現況です。

現在診療所では,
国産新型ワクチンの接種を行なっていますが、
最近一時よりご希望をされる方は、
増えているという印象です。

特別宣伝したり、
接種を勧めしたりはしてはおらず、
また副反応のリスクが高いと想定される方への接種は、
原則として行ってはいませんが、
それでも毎日数名は新規で接種を希望される方が、
お見えになります。
たとえば昨日も、
予約ではなく10人以上の方が、
ワクチン接種にお見えになりました。

今のところ幸い強い副反応は見られていません。

ただ、国産ワクチンの在庫は、
まだ充分にあり、
まだ入荷の予定もあるので、
輸入ワクチンの利用は考えていません。
現時点での予定では、
来週また入荷があり、
その後も2月に2回、
3月にも1回の入荷が予定されているのです。

そんな訳でこんなニュースもありました。

【74万回分に希望わずか200回分=輸入ワクチンの初出荷で-新型インフル】(1月22日19時39分配信) 海外から輸入する新型インフルエンザワクチンについて、厚生労働省は22日、来月上旬に474万回分を初出荷できるのに対し、医療機関からの希望数量は計200回分だったと発表した。輸入ワクチンは、グラクソ・スミスクライン(英、GSK)が来月5日に240万回分、ノバルティス(スイス)は同月3日に234万回分の初出荷が可能という。

新型インフルエンザ輸入ワクチンの、
入荷の希望を集めたところ、
山梨県からの計200本分の、
希望しかなかったと言うのです。

ただ、このニュースは、
ちょっと作為的なものです。
何故なら、確かに厚生労働省の、
入荷希望の取りまとめの第1回は、
1月20日締め切りですが、
実際には各自治体で、
取りまとめが間に合っているところは、
極少数に過ぎないからです。

たとえば、東京都では、
診療所に来た文書の、
輸入ワクチン希望の締め切りは、
1月29日と明記されています。
要するに東京都の集計は、
まだ厚生労働省には届いていないのです。

従って、2月初めくらいにはならないと、
まだ状況ははっきりとは分かりません。

ただ、その数が、極端に少ないことは、
充分想像出来るところです。

輸入ワクチンの多くは、
間違いなく、使われることなく宙に浮きます。

ここで何となく見えて来た構図は、
「お役人様」の中には、
輸入ワクチンをあまり導入したくない立場の方が、
実際には多いのではないか、ということです。

前厚生労働大臣のブレインという方の書いたらしき、
怪しげな本を読むと、
そのブレインの方は、輸入ワクチンの熱烈な推進者で、
「国民全員分のワクチン」が用意されるべき、
という意見の持ち主でもあることが分かります。
そして、その主張に対して、
多くの「お役人様」や「御用学者」の人達は、
輸入ワクチンに反対の立場だった、
というニュアンスが感じられます。

つまり、前大臣のブレインの強力な押しにより、
輸入ワクチンの導入が決まったものの、
最初からそれには「お役人様」の多くは、
否定的だったのです。
つまり現在の「輸入ワクチンの不人気」は、
「お役人様」にとっては、
「ほれ見たことか」という事態なのであり、
ぽしゃっても全然問題はないのです。
それは、購入代金の莫大な税金は、
無駄に消える訳ですが、
そんなことは、別に「お役人様」にとっては、
痛くも痒くもないことで、
誰も責任を感じたり、
責任を取ったりはしないからです。

従って、現実の事態は、
「お役人様」の目論見通りに、
進んでいると言ってよいかも知れません。

次に新型インフルエンザ感染者の、
診療所での傾向をお話します。

全体としては、
かなり広い年齢層で、
満遍なく静かな感染が続いている、
というのが僕の最近の印象です。
お子さんの感染は数は少ないのですが、
散発的に見られますし、
60代、70代と言った、年齢層の感染も確認されています。
矢張り、ご高齢の方では、
平熱や微熱の方が多いのが特徴で、
逆に言えば、新型インフルエンザで、
ご高齢の方の高熱の事例があれば、
それはかなり稀なことであり、
重症化のリスクが高い、
と考えた方が良い訳です。

先週3歳と5歳のご兄弟のお子さんが、
お風邪の症状で診療所を受診されました。
3歳のお子さんは38代の発熱がありましたが、
5歳のお子さんは微熱程度です。
このご兄弟は1ヶ月前に新型ワクチンの接種を済ませていて、
その前日に別の小児科を受診されたのですが、
「ワクチンも打っていて症状が軽いから、
インフルエンザではないね」
と言われて風邪薬と抗生物質が処方され、
インフルエンザの簡易検査はされませんでした。

咽喉もそれほど赤くはなく、
僕もちょっと迷いましたが、
簡易検査をしたところ、
A型の陽性反応が出て、
実験試薬でのチェックでは、
新型インフルエンザの陽性反応でした。

こうした事例は先週だけでもう2例あり、
いずれもインフルエンザではないとされ、
簡易検査はされていません。

こうした事例でも、
結構感染があるのが、
現在の新型インフルエンザの姿です。

お子さんではワクチンの効果は限定的であると共に、
症状が典型的でないからといって、
否定も出来ないのです。

新型インフルエンザの報告数は、
現在激減していますが、
実際にはこのように、
多くの新型インフルエンザの患者さんが、
症状からないものとされて、
検査すらされていない事例が、
実際には多いと考えられます。

以上新型インフルエンザ診療の現場から、
お届けしました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

新型インフルエンザAの現況その23 [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は新型インフルエンザの現況について、
診療所の情報を主体にお届けします。

まず驚いたことに、
昨日(18日)の夜にファックスが来て、
昨日から19歳以上の全年齢層と、
1歳未満のお子さんの、
新型インフルエンザのワクチンの接種が、
東京都では開始となったそうです。

当日の夜にしか連絡が来ないのもびっくりですが、
優先接種自体を急に消滅させる決定にも、
大いにびっくりです。
特に1歳未満のお子さんの安全性と効果が、
いつ何処で議論されたのでしょうか?
本当に原理原則の微塵もない決定には、
呆れて物も言えません。

それはともあれ…

今年になってからの、
診療所でインフルエンザと診断した、
患者さんの数は、20例ですが、
そのうち10代以下のお子さんは3例で、
20代が12例、30代が3例、40代が1例、そして50代が1例です。

このうち型の判別まで行なったのは8例ですが、
30代の方お一人がAソ連型で、
後の7例の方はいずれも新型でした。

症状は20代以下では38度以上の発熱は必発ですが、
30代の方お一人と40代の方は微熱で、
全身的なだるさのみが強く、
50代の方は発熱はなく、
だるさや筋肉痛のみの、
不顕性感染に近いようなパターンでした。

全国的な報告と同じように、
新型インフルエンザの流行は現在は沈静化しており、
また年齢層は上がっている、
というより、お子さんの感染者が急速に減少している、
という言い方が適切なような気がします。
別に高齢の感染者が増えている、
とは思えないからです。

輸入ワクチンを導入するかどうか、
という選択を促すファックスが、
金曜日(15日)の日付で来たのですが、
その期限は29日となっています。
厚生労働省の都道府県への通達では、
1月20日までには、
「購入を希望する医療機関数調査」を、
提出すべしとなっているので、
そんな通達など、所詮無理だと、
都は考えているのだと思います。

ノバルティス社のワクチンは、
大人17回分が1本という大瓶で、
しかも開けてから6時間以内に使うべし、
との但し書きが付いています。

グラクソ社のワクチンは、
24時間以内の使用、というのは穏当ですが、
大人10人分(神の手を用いた場合)
という大瓶で、かつ、
2つのボトルを混合する、
という面倒な操作が必要になります。

こんな面倒なワクチンを、
しかも国産ワクチンすら余っているというのに、
一体何処の風変わりな医療機関が、
望んで購入しようというのでしょうか?

おそらくは輸入を縮小することは、
折込済みなのだと思いますが、
それならば慌てて審査を許可する必要性が何処にあったのか、
僕は非常に疑問に思います。
以前の繰り返しになりますが、
今回確実に安全性軽視の決定を、
行政とそれに連なる御用専門家の方々はしたのです。
そうした安易な決定は、
成されるべきではなかったのだ、
と僕は強く思います。

一連の拙速とも思える、
ワクチンに関しての決定は、
今回の「新型インフルエンザ」に対して、
と言うよりも、
これから出現するであろう、
鳥インフルエンザを始めとする、
強毒性のウイルスのパンデミックに、
対応出来るようにする地慣らしの意味なのだ、
ということは僕にも何となく理解は出来ます。

しかし、お役人様や御用学者の先生が、
お考えになるほど、皆馬鹿ではないと思いますし、
その通り正直に情報を開示した方が、
より説得力は増し、
政策のレベルもより高いものになるのではないか、
と僕は思います。

最後にインフルエンザ以外の流行状況を見ると、
ノロウイルスが主体と考えられる、
「嘔吐と下痢の風邪」は、
お子さん、大人を問わず、
診療所周辺では流行が本格化しています。

また1歳前後のお子さんの咳と熱を伴う風邪は、
RSウイルスが検出される事例が、
増えている印象です。

RSウイルスにも簡易検査が存在しますが、
その保険適応は、入院された方に限られています。
これも本当に納得のいかない決定ですね。
要するに感染症に関しては、
問題になったり手遅れになって初めて、
診断のための検査が許可される、
という変てこな基準になっているのです。

最後にRSウイルスの簡易検査の画像を見て頂きます。

赤い矢印の先に、
ぼんやりと赤い線が見えますね。
この方は1歳のお子さんで、
39度の発熱と鼻水、咳の症状が続いていました。
こうした事例ではむしろインフルエンザより、
RSウイルスの頻度が多いのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

輸入ワクチンQ&A(その2) [新型インフルエンザA]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は輸入ワクチンQ&Aの続きです。

Q4;国産ワクチンと輸入ワクチンではどちらがより効果があるのでしょうか?

A;お答えします。
厳密な意味ではその評価は、
もう少し時間が経たないと分かりません。
ワクチンの効果というのは、
ワクチンを打つとその病気に罹らない(感染予防)ということと、
ワクチンを打つとその病気に罹っても軽く済む(重症化予防)ということの、
2つの点から考える必要があります。
それは、いずれも実際に打ってみないと、
その結果は判明しないからです。
ノバルティス社のワクチンに関しては、
感染と肺炎の両方を予防した、
というイタチのデータが発表されていますが、
これはあくまで動物実験レベルのもので、
人間でも果たして同様の効果があるのかは、
まだ分かりません。
今の時点でワクチンの効果があったとか、ないとか、
と報道されているのは、
ワクチンを打った後で、その人の血液の、
抗体の数値が上昇し、
それが国際的基準を満たしているかどうか、
という数値の評価に過ぎません。
それが本当に感染予防や重症化予防に結び付くのかどうかは、
まだ未知数の部分があるのです。

抗体の上昇率のみでワクチンの効果を見ると、
10歳以下のお子さんに関しては、
圧倒的にグラクソ社のワクチンが優秀で、
1回接種で効果が確認されているのは、
このワクチンのみです。
ノバルティスのワクチンは、
2回接種での有用性が海外のデータでは確認されていますが、
国内データは公表されていません。
国産ワクチンに関しては、
全く臨床試験の結果は公表されていません。

これが20代から40代くらいの年齢層では、
国産のワクチンも海外の2種のワクチンも、
それほどの差はありません。

50代以上の年齢層では年齢が上昇するに従って、
抗体の上昇の程度は低いものになり、
ノバルティスのワクチンは1回接種で基準を満たさないため、
2回接種になっています。
グラクソのワクチンと国産ワクチンは、
1回接種で問題なしとの決定ですから、
これだけを見ると、
ノバルティスのワクチンが劣っているようですが、
実際にはグラクソのワクチンも国産のワクチンも、
50代までのデータがその中心で、
厳密に高齢者で効果を検討したデータは、
殆ど存在しません。
従って、高齢者は1回接種では、
不充分なのではないか、という疑問は、
現時点で解決されてはいないのです。

Q5;国産ワクチンと海外のワクチンで、その接種法に何か違いがあるのでしょうか?

A5;お答えします。
国産のワクチンは皮下注射という方法で注射しますが、
輸入ワクチンは筋肉注射で注射する、
という違いがあります。
要するに、国産ワクチンよりより深い位置に、
輸入ワクチンは注射をするのです。

一般論で言って、
殆どのワクチンは海外では筋肉注射で施行されています。
その意味では日本で殆どのワクチンが皮下注射されていることの方が、
ちょっと非常識なことなのです。
その理由は1970年代に主に抗生物質や解熱剤の、
お子さんに対する皮下注射で、
「筋短縮症」という重症の副作用が、
多く発生したことによるものです。

しかし、実際にはワクチンは筋肉注射の方が、
より効果があり、また打った場所が腫れたりするような、
副反応も少ないのです。

それなのに小さいお子さんばかりではなく、
大人も皮下注射を行なうという現行のやり方は、
行政の怠慢と言われても仕方のない性質のものです。
要するに臭い物に蓋をしただけなのです。

ただ、それはそれとして、
今回急に輸入ワクチンに限って、
殆ど何の議論もなくワクチンの筋肉注射が容認されたことは、
それまでの硬直した行政の対応を考えると、
如何にも唐突かつ一貫性を欠いたものだと、
僕は思います。

仮に本当に筋肉注射の危険性を慎重に考えて、
ワクチン皮下注射の方針が決められたのだとすれば、
今回見直されるに当たっても、
もっと慎重な議論がなされてしかるべきです。
しかし、実際には「海外では筋短縮症が問題になっていないから」
というだけの理由で、今回の決定は行なわれており、
それでは安全性のことなど、
はなから考えて皮下注射を選択していた訳ではなく、
「変えてまた騒がれると面倒だから」
という程度のことだったのかな、
という風にも思えます。

国産ワクチンも筋肉注射にするべきかどうかを含めて、
安全性に踏み込んだ議論をするべきだと、
僕は思います。

今回筋肉注射の部位は、肩の三角筋と、
腿の外側の筋肉、と定められ、
特に1歳未満のお子さんは腿に打つこと、
とされています。

実際にお子さんへの筋肉注射が開始された場合
(それは来シーズン以降になりそうですが)、
この接種部位はかなり混乱を招くことになりそうです。
実地の医療者にとって、
腿の外側への注射というのは、
あまり普段行なうことのない手技であるからです。

Q6;輸入ワクチンには水銀が多く含まれている、という話を聞きましたが、それは本当ですか?

A6;お答えします。
それは本当です。
1本のボトルから、複数回使用するワクチン製剤では、
中で細菌が繁殖したりしないように、
殺菌剤が添加されています。
その目的で、現在最も多く使用されているのが、
有機水銀を含む「チメロサール」という物質です。
アメリカでは日本より、
お子さんの時に打つワクチンの量が遥かに多いので、
チメロサールも日本とは比較にならないほど、
大量にお子さんの体内に入ります。
それが発達障害の原因なのでは、
という説がある学者によって唱えられ、
公式には否定されていますが、
まだ議論の中にあります。
日本ではその問題があってから、
ワクチンに含まれるチメロサールの量を減らしており、
チメロサールに代わる殺菌剤の開発も行なっています。
その結果、現在使用されている新型インフルエンザワクチンには、
チメロサールは大人1人1回での換算で、
0~4μg しか含まれていません。

その一方、ノバルティスのワクチンには、
大人1人1回分の換算で25μg(国内添付文書の記載による)、
グラクソのワクチンには、
5μgのチメロサールが含有されています。

つまり、ノバルティスのワクチンには、
他のワクチンより圧倒的に多い量の、
チメロサールが含まれているのです。
こうした問題点がありながら、
小児への適応もあっさりと決定した今回の審議には、
僕は非常に問題があると考えます。
また、国内メーカーのチメロサール減量への努力が、
あまり知られていないことも、
納得のいかない点ではあります。

以上輸入ワクチンQ&Aでした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
前の10件 | - 新型インフルエンザA ブログトップ
メッセージを送る