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「美しい星」(2017年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

品川神社のお祭りなので、
クリニック周辺には車が入れません。
車でお出でになる方はご注意下さい。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
美しい星.jpg
吉田大八監督が三島由紀夫の「美しい星」を映画化して、
今封切り公開されています。

これはただ、原案三島由紀夫、
というくらいの感じで、
原作の雰囲気や感触のようなものとは、
全く別物の作品になっています。

三島由紀夫の「美しい星」は氏の作品の中では特異なもので、
氏は基本的にミステリーやSFを子供だましのジャンルとして、
嫌っていたのですが、
この作品はSFと言っても良いような物語になっています。

三島氏は純文学作品と並行して、
女性誌などに娯楽小説を執筆していて、
書き方も内容も両者では変えているのですが、
この「美しい星」は文芸誌への発表ですが、
娯楽性や通俗性にも富んでいて、
その中間くらいに位置するように思います。

勿論三島氏は日本を代表する文豪の1人ですが、
非常に完成度の高い耽美的で理知的な作品のある一方で、
「おやおやこれは…」と絶句するような珍妙な作品もまた書いていて、
この「美しい星」も、
とても面白く魅力的でリーダビリティの高い作品である一方、
真面目に書いたことが疑われるような、
かなり珍妙な部分もある作品となっています。

この作品は極めて俗物揃いの「宇宙人」が、
人類の未来(もしくは末路)について、
互いに口汚い罵り合いをする話ですが、
その一方で美しい詩的な部分もあります。
詩的で耽美的な表現と共に、
古都金沢の描写であるとか、
能の「道成寺」の描写であるとか、
美しいからこそ滅ぼすという美意識であるとか、
そうした三島イズムのようなものも横溢しているのですが、
映画版にはそうしたムードや美意識のようなものは、
ほぼ皆無という状態になっています。

反面原作の珍妙な部分はその多くが取り入れられていて、
気恥ずかしくなるような描写も多くあります。
そんな訳でこの映画は、
とても三島由紀夫原作と言うのは憚られますし、
三島氏が生きていたら、
絶対にこのような映画化は許さなかっただろう、
ということはほぼ間違いがないように思います。

ただ、僕は必ずもこの映画を否定するつもりはありません。

風変りで奇妙で、
ひと昔前の日本映画のような古めかしい感じがあり、
三島文学を冒涜しているとは思うのですが、
捨ておけないような、
魅力のある映画でもあるからです。

作品は自分たちが宇宙人であることに、
ある時別々に覚醒してしまった家族が、
それぞれの方法で地球を救済しようとして失敗するという物語で、
そこには知識人というものは、
自分を人間より一段高い存在のように考えている、
という揶揄があるのです。
今のように大衆の多くが、
自分を他人より優越した存在と考えて、
上から目線で評論家然として世界を語る世の中では、
その皮肉はよりリアルに感じられるように思います。

この映画は昭和30年代を舞台とした原作を、
現代に置き換えて改変しています。
原作では当時一番深刻な問題であった、
核戦争による人類の滅亡が、
主な議論の対象となり、
人間の目を覚まさせ、
核戦争の危機を回避しようとする「善い宇宙人」と、
むしろ人間は滅んだ方が良いので、
積極的に後押しをして核戦争を起こしたり、
人間を虐殺しようとする「悪い宇宙人」とが、
互いの主張を「言葉」で口汚く罵り合う、
という構成になっているのですが、
今回の映画ではそれは核戦争ではなく、
地球温暖化の危機という設定になっていて、
主人公は自分が火星人であることに目覚めた、
お天気キャスターのおじさん、
ということになっています。

この改変がどうも個人的には釈然としません。

世界が核戦争によって破滅する未来は、
まだ決して遠のいたようには思えず、
ややその様相は変えながらも、
現代の危機としての重みは、
決して軽くなってはいないと思います。
それに比較しての地球温暖化というのは、
勿論これも重要な地球規模の危機ではありますが、
全否定するような見解も根強くあり、
テーマとしては弱いと感じました。

総じて、
一家の母親がマルチ商法に引っかかったり、
お天気キャスターや、
新党結成を目論む若手政治家など、
今回の映画が「現在」として捉えている世界は、
どうも全てが周回遅れのような古めかしさで、
それが意図的なものなのかどうかは、
何とも言えないのですが、
その点があまり納得がいきませんでした。

ただ、原作にもある肌がぞわぞわするような奇妙な感じと言うか、
高尚な野暮ったさと言うか、
そうした不思議な雰囲気は、
映画にも濃厚に漂っていて、
ラストの不思議な余韻や登場人物の演技の面白さと含めて、
奇妙で胸騒ぎのするような映画にはなっていたと思います。

全ての方にお勧めとは言えませんが、
出来れば旧仮名遣いの原作を読まれた上で、
鑑賞されることをお勧めします。
原作は矢張り力があって、
僕のようなものでも、
読了後は少し思索的になってしまいました。

吉田大八監督の次作は「羊の木」で、
これはもう原作も極め付きの怪作ですから、
とても楽しみにして待ちたいと思います。
吉田監督は同世代ですし、
相当得体の知れないところがあるので当面目が離せません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

「メッセージ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日3本目も映画の記事になります。

それがこちら。
メッセージ.jpg
SF作家テッド・チャンの短編を原作とした、
SF映画「メッセージ」を観て来ました。

これはゼメキスの「コンタクト」に近いタイプの、
じんわりと感動するSF映画で、
僕は「コンタクト」は大好きなので、
この作品もとても楽しめました。

中国が「実は気のいい乱暴者」として、
かつてのアメリカのように描かれていて、
そうしたところに時代を感じさせます。
現実にもほぼそうなのでしょうが、
ハリウッド映画の世界では、
もう既に世界は中国が支配しているようです。

余談でした。

原作は娘を山の事故で失って離婚した失意の女性科学者が、
宇宙からの来訪者との「コンタクト」を通じて、
時間についての新しい観念を得て、
過去の悲劇を新しい目で眺めるようになる、
という話です。

そこで分かる時間の新しい観念というのは、
カート・ヴォネガットが「スローターハウス5」で提示したものと、
基本的には同じで、
時間とは前も後もない連なる山脈のようなものだ、
というものです。
「スローターハウス5」にはとても感動したのですが、
この短編はその焼き直しなので、
その点にはあまり感心しませんでした。

後は全くコミュニケーション体系の異なる異星人を相手に、
どのようにして対話を成立させるのか、
相手の言語体系をどのようにして認識するか、
という辺りが原作のSFとしての読みどころになっています。

原作を読むと正直これを映画にして、
何の面白みがあるのだろうか、
というように感じてしまうのですが、
映画は原作のアウトラインとテーマには一応沿いながら、
昔からある時間テーマの泣かせのパターンに、
原作を落とし込む形で映画化しています。

そのため、
原作を読んでいる人の方が、
映画の仕掛けに引っ掛かるという、
ちょっと面白い結果になっています。

正直地味な映画なのですが、
割と綺麗にクライマックスが仕組まれていて、
ご都合趣味の極致と言えば言えるのですが、
軍の指導者を主人公が説得する辺りはワクワクしますし、
ラストの詩情にも、
とても清々しく感動することが出来ます。
この後味の良さは、
なかなか出来ることではありません。

原作では異星人は異なる文明のリサーチのために来た、
ということのようですが、
映画ではその辺りはぼかされていて、
何のために来たのかは分からないけれど、
結果としては時間についての真実を、
主人公に伝えて去って行った、
ということのようです。

これだけの話を手間暇掛けて堂々とやる、
という辺りが余程の自信がないと出来ないことで、
寝不足の時にはお薦め出来ないのですが、
じっくり雰囲気に浸り、
クライマックスで「あっ、そういうことなのか」
と目を覚まし、
ラストで静かに余韻に浸るには良い映画だと思います。

静かにお薦めします。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「カフェ・ソサエティ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の記事は映画の話題です。

それがこちら。
カフェ・ソサエティ.jpg
80歳を過ぎても精力的に新作を発表し続けている、
ウディ・アレンの脚本・監督による新作に足を運びました。
短期間でしたが、足場の良い新宿で、
公開してくれたのが良かったです。

ウディ・アレンはニューヨークを代表する映画作家の1人で、
コメディアンからスタートして、
オリジナルのコメディ映画で頭角を現し、
「アニー・ホール」でウィットに富むセンスのある人間ドラマを確立すると、
その後は映画の楽しさを満喫させる、
多くのアレン映画を生み出しました。

僕は昔テレビで何度もやっていた、
初期のコメディの「バナナ」が大好きで、
文字通り腹を抱えて笑いました。

その後「アニー・ホール」から、
78年の「インテリア」、79年の「マンハッタン」、
80年の「スターダストメモリー」。
82年の「サマーナイト」辺りは封切りで観て、
「スターダストメモリー」と「サマーナイト」という、
彼がスランプの変な藝術映画にはうんざりしましたが、
その後持ち直して独自のアレン映画を確立。
特に85年の「カイロの紫のバラ」、
86年の「ハンナとその姉妹」には、
非常な感銘を受けました。

今回の作品は95年の「ブロードウェイと銃弾」に通じるような、
1930年代のハリウッドとニューヨークを舞台にした、
映画と舞台への愛に満ちた物語で、
気弱なくせに意外に野心家のユダヤ人の青年を主人公に、
気難しく妻の尻に敷かれた学者や、
暴力的だが気の良いギャング、
妻に離婚を切り出せない辣腕のプロデューサーなど、
いつもの懐かしいアレン印の登場人物達が活躍し、
美しい美術とキャメラも相俟って、
映画の至福を観る者に感じさせます。

昨年の「教授の奇妙な妄想殺人」はやや変化球でしたが、
今回の祝祭劇はアレンの世界そのものです。

ドラマとしては、
それぞれ別の相手を伴侶に選んだかつての恋人が、
苦い再会をして相手に思いを馳せるという、
定番のラブロマンスで、
1時間半程度の上映時間の中に、
人生の様々な情感を盛り込んで、
過不足なく1つのドラマに仕上げる辺りに、
アレンの職人芸は健在という思いがしました。

充実度から言えば、
矢張り80年代半ばくらいがアレンのピークで、
当時の作品と比較すると、
その人間ドラマとしての奥行には、
不満の残る部分はあるのですが、
酸いも甘いも心得た人生と恋愛の達人ウディ・アレンの、
力の抜けた人生スケッチとして、
しばし贅沢な気分に酔うことが出来ました。

アレンの映画はいつもすぐに終わってしまうのですが、
こうしてコンスタントに公開されるのは、
とても嬉しいことだと思います。

お薦めです。

それでは次も映画の話題です。

「スプリット」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。

今日はこちら。
スプリット.jpg
アイデアに溢れたどんでん返しのある映画で有名な、
ナイト・シャマラン監督の新作が、
今封切り公開されています。

シャマラン監督の映画は、
「シックス・センス」「アンブレイカブル」、
「サイン」、「レディ・イン・ザ・ウォーター」、
「ヴィレッジ」を観ています。

どれも一筋縄ではいかない、
奇々怪々の作品なのですが、
所謂「どんでん返し」があるのは、
「シックス・センス」、「アンブレイカブル」、
「ヴィレッジ」の3本で、
「サイン」と「レディ・イン・ザ・ウォーター」の2本は、
シャマラン監督的には意外な結末なのかも知れませんが、
ヘンテコな伏線の回収作業はあるものの、
あたかもシベリア少女鉄道のお芝居のように、
「こういうもの」と思わないと、
楽しむことが出来ません。

この中で僕が最も好きなのは「アンブレイカブル」で、
奇妙なヒーローものとしてのお話が、
それを成立させるための奇怪な現実を呼び込むのです。
ラストに待ち構える「ショック」は、
新しいどんでん返しのあり方を、
教えてくれたような思いがありました。

さて、今回の作品はアメリカでは久々のスマッシュヒットとなり、
「シックス・センス」以来久しぶりに監督が、
「このラストは絶対に話さないでください」
という趣旨のことを予告で話しているので、
これはひょっとしたらかつての衝撃が再びなのかしら、
と何となく映画館に初日に足を運んでしまいました。

今回は3人の少女が、
23の人格を持つという謎の男に監禁される、
という導入のスリラーです。

男の診察をしていたカウンセラーの女性が登場して、
徐々に男を疑うようにもなりますし、
主人公の少女の生い立ちのトラウマなども、
怪しげに何度もインサートされるので、
如何にもどんでん返しがありそうな雰囲気は高まります。

そして…

ネタバレは出来ませんが、
個人的な感想としては、
「サイン」に似た脱力系のお話で、
力こぶを入れて観ていた分、
とても落胆を感じました。

「ラストの衝撃」というのはどんでん返しではなく、
別の「オチ」のことを指しているようなのですが、
その「オチ」は予備知識がないと意味不明のものなので、
これはちょっと不親切過ぎるのでは、と感じました。

要するにいつものシャマラン・クオリティです。

ただ、どんでん返しの期待をしなければ、
監禁もののサイコスリラーとしては、
なかなかスリリングに出来ていて、
それだけでは平凡ではあるのですが、
退屈はしない作品には仕上がっていたと思います。

シャマラン監督の憎めない方であれば一見の価値はあります。
ラストの脱力系のオチを含めて、
この奇妙さこそがシャマラン監督の世界なのだと思います。
くれぐれもラストのどんでん返しなどには、
期待をしないでご覧ください。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

「無限の住人」(2017年実写映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
無限の住人.jpg
人気コミックを実写映画化し、
木村拓哉さんの主演で話題のチャンバラ映画を観て来ました。

監督の三池崇史さんはともかく多作で、
完成度などには頓着しない、
娯楽大作であっても趣味的な映画を作る人です。
多くの皆さんと同じように、
僕も何度も「騙された!見なければ良かった!」、
と叫んだ覚えがあります。
ただ、たとえば「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」のように、
ちょっと他の監督であれば、
とてもこの規模で作ることは無理だろう、
というように思う怪作もあり、
あれはとても楽しめました。
日本なのにウエスタンで、
登場するのは魑魅魍魎ばかりで、
しかも全員英語でセリフをしゃべり、
大真面目に血みどろ荒唐無稽アクションに興じるのです。

今回の作品に関しては、
ビジュアルを見ても、
奇怪な風貌の剣客達がゾロゾロ出て来て、
不死身のキムタクと死闘を演じるというのですから、
これは「ジャンゴ」の再来で、
三池監督の一番良いところが出るのではないかしら、
と不安もありながら、
仄かな期待をもって劇場に足を運びました。

行ったのは品川プリンスシネマのシアター1でしたが、
観客は数えるほどで、
スクリーンは上下が切れてシネスコになるという、
僕の嫌いなタイプでした。

最初から元気は出ません。

映画としては「ジャンゴ」の路線に近いもので、
理屈はなくひたすら荒唐無稽なチャンバラの連続する世界で、
その意味では予想通りでした。

ただ、正直あまり血沸き肉躍る感じにはなっていません。

まず、主人公が不死身だというだけで強くはなく、
強い相手にはすぐに負けてしまうのですが、
それから復活してすぐ勝負がつくという感じで、
決闘の醍醐味がありません。
北村一輝さん演じる怪人は見かけは物凄いのに、
隙をついて殺してしまうだけで終わりますし、
滅茶苦茶強い戸田恵梨香さんに対しては、
最初からあまり戦意がなく、
「俺は死にたい」みたいな感じですし、
結局戸田さんの方が、
「戦うことに疑問を感じた」みたいなことを言って、
勝手に去っておしまいです。
海老蔵丈は同じ不死身という設定ですが、
もう死にたかったようで、
勝手にバラバラになっておしまいです。

なんじゃこりゃ!

とても元気が出ません。

トータルには角川映画の「魔界転生」みたいなタッチの映画で、
あれも実際に観るとかなりガッカリだったのですが、
もう少し対決の躍動感はありましたし、
徹底した「悪」がもっと登場して盛り上げてはくれました。
主人公は千葉真一さんの柳生十兵衛ですから、
こちらは強いのは当たり前ということで、
安心して観ていることが出来るのです。

それが今回のキムタクは、
不死身の身体を呪っていて、
死にたいというくらいに思っていて、
その上簡単に何度もやられてしまうので、
とても感情移入の仕様がないのです。
敵に対してもただ破れかぶれで立ち向かうだけで、
作戦というものは何もありません。
敵側も最初の方で「不死身」という設定が分かるのに、
それに対して効果的な対策をとるような姿勢がありません。
この頭脳戦の要素が全くないというところが、
この作品が盛り上がらない大きな理由です。

キャストは概ね頑張っていましたし
(特に徹底した悪党を演じた市原隼人さんが良かったです)、
過去の時代劇へのオマージュと言う感じの画面構成も、
悪くないと思いました。
次々と見せ場が繰り出されるので、
そう退屈はせず2時間20分を過ごすことが出来ます。
ハラキリ、ゲイシャ、コスプレと、
海外へ売るために日本の売り込みエッセンスを取り入れるのも、
さすが職人芸という感じはあります。
ただ、PG12が限界のレートだったと思うので、
三池監督としてはもっとバイオレンス描写は過激にしたかったと思うのですが、
比較的穏当なものにとどまっています。
三池監督のいつものスタイルで、
エロスの要素は極めて希薄です。

そんな訳でとても三池監督趣味の作品ではありながら、
そこここに中途半端な感じがあり、
それほど弾むような娯楽作にはならなかったことは、
とても残念に思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

「T2トレインスポッティング」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
T2 トレインスポッティング.jpg
スコットランドのジャンキーの若者の生活を、
生き生きと描いた人気作
「トレインスポッティング」の続編が、
20年ぶりに同じ監督、
ほぼ同じメイン・キャストの出演で今公開されています。

これは前作が好きな人には絶対のお薦めで、
勿論明るい話ではないのですが、
小さなエピソードの1つ1つが楽しく、
躍動感に満ちています。
ちゃんとジンワリと胸が熱くなるような場面もありますし、
ダニー・ボイル監督の演出手腕はさすがの安定感で、
ポップでありながら、
ミュージックビデオのような軽みには堕していません。

内容的には主人公のレントンと、
悪ガキ仲間のサイモンはある意味相変わらず。
凶悪おじさんのベクビーは、
怒涛の大活躍でちょっとホロリとするような見せ場もあり、
ちょっと足りない愛すべきスパッドは、
ある意味今回は主役級の扱いで、
ラストは入れ子の箱のように物語を締めくくります。

4人の20年前と同じ役者さんは皆抜群で、
前作を知れば知るほど胸が熱くなりますし、
他のキャストの20年後にもそれぞれの味わいがあります。

ラストは正直物足りない感じはあるのですが、
変に深刻な修羅場になるよりも、
観客の心に幸福な気分を残して良かったのではないかと思いました。
どう物語をもってゆくかは、
スタッフも相当頭を悩ました筈です。

この20年は何だったのかと考えると、
僕自身も冷静ではいられません。
世の中は確実に悪くなっていて、
誰かを憎めばそれで何となく落ち着く人は、
それで良いのかも知れませんが、
世界が悪くなってゆくのを、
誰の責任にもしたくないと思うと、
その閉塞感にもうんざりします。

この映画の描く現在はかなり牧歌的なのですが、
世界の深刻さは作り手もよく理解している筈なので、
これは苦いユートピアとして、
観るべき映画なのかも知れません。

これはとても面白い映画ですが、
オリジナルを知らないと全く楽しめないので、
未見の方は是非ソフトで視聴してから、
映画館に足をお運びください。

痺れますよ。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「午後8時の訪問者」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
午後8時の訪問者.jpg
デンマークの名匠、
ダルデンヌ兄弟監督の新作映画を観て来ました。
2016年のベルギー・フランス合作で、
舞台はベルギーです。

地味な映画ですが、
臨床の医者であれば、
誰でも心当たりがあるような導入になっていて、
予告を見てそのことに興味があったので、
それほどの期待はせずに鑑賞しました。

主人公は若い女性の臨床医で、
大学の研究室にポストを得て、
そこに移るまでの短い間だけ、
高齢で引退する開業医の代診をしていたのですが、
ある日診療時間を1時間オーバーした午後8時過ぎに、
玄関のブザーが鳴らされます。

主人公はその時クリニックの中にいて、
生意気な若い研修医の指導をしていたのですが、
その男性研修医の態度が悪いのでいらだっていて、
普段なら応対するところを、
ドアを開けることなくブザーを無視してしまいます。

ところが翌日警察がクリニックを訪れ、
防犯カメラの画像を解析した結果、
その時のブザーを鳴らしたアフリカ系の少女が、
その夜に殺されていたことを知ります。

彼女がその夜ブザーに応えてドアを開けていれば、
少女は殺されないで済んでいた可能性が高かったのです。
少女の死を自分の責任と捉えた主人公は、
大学の職を投げ打ってクリニックを継ぐことを決め、
それと同時に少女の死の真相を探り始めます。

意外にありそうでなかった設定で、
なかなか臨床医としては興味の沸く展開です。

ただ、これは医療ミステリーという性質のものではなくて、
移民の少女が助けを求めている時に、
それを見て見ぬふりをする心理を非難するという、
反トランプ主義のようなものが主題の作品です。

なので、それほど意外な真相があるとか、
サスペンスに富んだ展開がある、
という訳ではありません。
一応納得のゆく結末には至るのですが、
ミステリ―として考えると凡庸に思えます。
ただ、これは反トランプ主義が主題の映画なので、
その意味ではこれで充分なのだと思います。

こうした「思想押し付け映画」は大体そうなのですが、
脇筋に「人間ってそれでも捨てたものじゃない」的な、
大甘の人間賛歌のようなエピソードを持ってきていて、
この映画でも最初は批判していた研修医は実は良い奴で、
途中で主人公の説得に感じ入り、
一度はあきらめた医師への道を、
また目指すようになる話などを入れていました。
ただ、ケン・ローチ作品などでもそうですが、
主題の厳しいリアルな感じと比較して、
そうした脇筋があまりにご都合主義で楽天的で絵空事なので、
オヤオヤという気になるのです。
主人公が大学での就職を断って、
開業医を継承するという決断も、
何か身体がムズムズ痒くなるような感じがします。

それでもこの映画を結構面白く観られたのは、
ベルギーの医療事情などが割と語られていたり、
クリニックでのプライマリケアの診察などが、
割と詳細に演じられていて、
その辺りが興味深かったからです。

ベルギーもかかりつけ医制のようで、
かかりつけ医を登録し、
基本的にはその医師が初期診療は全てするようです。

それほどの必要がなくても、
往診には気軽に応じています。
ただ、かかりつけ医の開業医は、
かなり下に見られているようで、
クリニックを継承すると言うと、
引退する開業医は、
「保険の患者ばかりで儲からないし大変だよ」
みたいなことを言います。

大人も老人も診ますし、
子供も診ます。
お子さんの咽頭炎では、
解熱剤の屯用と共に、
生理食塩水を使って家で喉を洗浄することが指示されていました。
腰椎ヘルニアが疑われる疼痛の患者さんの依頼では、
往診してすぐにモルヒネを注射してから、
病院の受診を指示していました。

クリニックでの検査は原則せず、
検査は外に依頼したり病院に紹介するのですが、
その代わり聴診を詳細に取ったり、
診察は慎重に行なっています。

映画はテンポは遅くはないのですが、
音効は自然音のみで基本的にはなく、
ラストまでほぼ同じテンポで進行するので、
内容に興味が持てないと退屈に感じるかも知れません。

カットの1つ1つは意外に長く、
ドアの前で横向きの2人が長々と対話するような、
映画文法的にはオヤオヤと思うような場面もあるのですが、
車で主人公が襲われる場面などは、
車に乗せたキャメラでワンカットで撮っていて、
その辺りはさすがベテランという気がしました。

総じて丁寧な作りの良心的な映画ですが、
地味なので退屈には感じます。
あまり期待をし過ぎることなく、
リラックスして観ると、
意外に悪くないね、
というくらいにお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

「はじまりへの旅」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の記事は映画の話題です。

それがこちら。
はじまりへの旅.jpg
俳優として著名なマット・ロスが脚本と監督を勤め、
「指輪物語」のビゴ・モーテンセンが主役を演じた、
感動的なロード・ムービー、
「はじまりへの旅」を観て来ました。

これは本当に素晴らしい映画で、
今年観た映画の中では最も心を揺さぶられました。

「森で暮らす風変りな一家が旅に出たことから起こる騒動を描いた、
心温まるコメディ・ドラマ」
というような宣伝文句になっていて、
ポスターも上のようなほのぼのした感じを漂わせたものなので、
そうした薄味のコメディ映画を想像されて、
あまり映画館に足を運ぼう、
という気分にならないかも知れません。

僕も正直そうでした。

ただ、その割には映倫区分はPG12になっています。

何故ほのぼのした家族のコメディ映画が、
PG12なのでしょうか?

観るとすぐにその理由は分かります。

この映画はそんな生易しいものではないのです。

登場する一家のあり様は尋常ではありませんし、
展開されるドラマも尋常なものではありません。
それでいて作り物ではないリアルさがそこにあって、
僕達が当たり前と感じていた生活を、
根底から揺さぶるような刃が潜んでいます。
更には、その世界に一旦馴染んでしまうと、
彼らのことが途方もなく愛しく思え、
ラストには溜まらない感動に、
胸が溢れそうな思いにとらわれるのです。

アカデミー賞に相応しい作品であるように思いますが、
それでいてこの作品が作品賞にノミネートされず、
高名な映画評論家の先生も、
奥歯に物が挟まったような批評しかしていない理由も、
また分かるような気がします。

この作品は人間と家族の真実を描いているのですが、
その真実というのは、
無難で平穏を第一に考えるような社会にとっては、
最悪の危険思想であるからです。

昔は社会変革を叫んでいながら、
今はテレビを見て文句を言う程度で、
平穏に生活を送っているような大人がこの映画を観れば、
何等かの胸騒ぎを絶対に感じると思いますし、
それが素直にこの映画を素晴らしいと、
言えない理由ではないかと思います。

たとえばケン・ローチの「わたしは、ダニエル・ブレイク」は、
概ね評論家の皆さんは大絶賛で、
それはあの映画が思想の押し付けのようなもので、
ああした思想の押し付けは、
大衆の洗脳がお好きな皆さんには好ましいものだからです。

しかし、真実というのはもっと多面的で、
1つには割り切ることが出来ず、
もっと苦い後味のするものではないでしょうか?

地味な公開ですが結構お客さんは入っていて、
皆さん分かっているなあ、という感じがします。

以下、若干内容に踏み込みます。
後半のネタバレはしませんが、
なるべく鑑賞後にお読み下さい。

ビゴ・モーテンセン演じる主人公は、
革命主義者の過激派の活動家で、
同じく共鳴する活動家の女性と恋をして結婚。
彼女は大富豪の娘で弁護士のインテリなのですが、
そのキャリアを投げ打ち、
アメリカ北西部の森の中で、
おぞましい現代社会とは隔絶した暮らしをしています。

2人は6人の子供をもうけ、
自分たちで独自の教育を施していたのですが、
妻は双極性障害で6人目の子供を産んだ直後に病状が悪化。
手に負えなくなった主人公は、
結果的に拒否していた現代社会に頼り、
自分の姉の伝手で病院に入院させますが、
彼女は入院中に手首を切って自殺してしまいます。

彼女は異常としか思えないような遺言を残していたので、
それを達成するために、
主人公は6人の子供たちと共に、
数千キロ離れた妻の実家への旅に向かうのです。

このオープニングの段取りをお話しただけでも、
この作品がかなりとんでもない代物であることは、
お分かりが頂けるのではないかと思います。

更には2人の子育てが相当壮絶なもので、
いきなり鹿の首をナイフで掻き切って、
内臓を生で食い千切って、
それが大人になる儀式だと悦に入っていますし、
子供同士が本気での殺し合いのような戦闘訓練に興じています。

そこには子供を育てるということの崇高さと、
その恐ろしさのようなものが、
同時に描かれているような気がします。

物語はそれからかつてのアメリカン・ニューシネマを意識した、
ロードムービーの体裁で展開され、
葬式に殴り込むという、
「卒業」のような展開を経て、
母親の意志を汲んだ弔いの、
ちょっと壮絶なクライマックスへと至ります。

凡百の映画が10本束になっても敵わないような、
衝撃と感動とがそこに待っています。

この映画のマット・ロスはまさに天才で、
台本も演出もほぼ完璧と言って良いと思います。

ロードムービーですが探しているのは、
最初から死んでいることが分かっている女性です。
存在しない彼女の狂気が、
物語の原動力になっているという悲しさは、
おそらく今の社会の持つ喪失感そのものの投影なのです。

父親に狂気を見て、家族から離脱を図る少年を、
1人おいているという趣向も上手いと思います。
その残酷さを含めて、
監督は子供というものを本当に良く知っていると思います。

何にせよ、絶対に今観るべき1本、
としか言えない傑作です。

是非是非騙されたと思って劇場に足をお運びください。

期待は多分裏切られないと思います。
観終わって、何か素直に感動出来ないモヤモヤを感じたとすれば、
それはあなたの心の中にあって、
あなたが封印していた何かが、
目覚めようとしているからなのです。

最後に一点だけ不満は、
僕が観た新宿ピカデリーの4番シアターで、
あの劇場はシネスコをそのまま映す大きさがスクリーンになく、
上下が切れたシネスコになっています。
あの劇場は酷いと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
わたしは、ダニエルブレイク.jpg
昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた、
ケン・ローチ監督の新作社会派映画を観て来ました。

これは英国社会のセーフティーネットの、
非人間性と胡散臭さを徹底して批判した社会派の映画で、
主張は明確で分かりやすく、
語り口も平明でなめらかです。

主人公は59歳の大工さんで、
心不全(弁膜症性ではなさそう)に罹患して、
一命をとりとめますが、
主治医からは当面仕事をすることを禁じられます。

それで障碍者としての給付を受けようとするのですが、
日本の介護保険の申請のような聞き取りの検査を受け、
「身の回りのことは出来ます」というようなことを言ってしまうので、
給付は降りなくなってしまいます。

それで日本の失業手当のようなものを、
申請するのですが、
今度は求職活動をしないと認められないと言われ、
実際には仕事をすることを禁止されているにも関わらず、
履歴書の書き方の講習を受けさせられたり、
実際に仕事に応募して、
採用されてから「実は働けない」と言って、
相手に激怒されるなどの、
理不尽な仕打ちを受けることになります。

日本でも似たようなことはあるのですが、
主治医が仕事が出来ないという証明をすれば、
失業の給付自体は受けられると思うので、
おそらく仕組みが少し違うのだと思いますが、
何故主治医の方にもっと文句を言わないのか、
というような点については、
観ていても良く分かりません。

また、求職活動をしていないと失業の給付が受けられない、
ということは日本でもあると思いますが、
毎月ハローワークに行けばほぼOK、
という感じのものであったと思うので、
映画のように厳しい審査で締め上げられる、
というような状況はないように思います。

映画はこの主人公の顛末と、
彼を取り巻く人間として、
2人の子供を育てるシングルマザーの女性と、
仕事に就かず一攫千金を狙う黒人の青年などが描かれ、
人間同士が助け合う結び付きの素晴らしさと、
それを踏みにじる官僚主義の冷徹さを描きます。

明快で分かりやすく、面白い映画だと思います。

ただ、1つの主張をやや押し付けるような感じがあり、
その一方で登場人物は聖人君子には描かれていないので、
何となくモヤモヤした部分が残ります。

この映画においては国家の社会保障政策と行政は、
まあ悪の権化のように描かれています。
主人公とそれを取り巻く人々は圧倒的な正義として描かれています。
ただ、主人公にもかなり落ち度があり、
性格的にも偏狭で自分勝手で、
短絡的な思考を持っていることも事実です。
カッとして役所の壁に埒もない落書きを書きなぐり、
警察から厳重注意を受けたりもするのですが、
それをある種の英雄的な行為のように描いています。
しかし、こんなものが英雄的な行為でしょうか?
色々な見方があると思いますが、
ただの無意味な迷惑行為のようにしか、
個人的には思えませんでした。

要するに複雑で人間的な人物を描いているのに、
作品の構成としてはその人物が絶対の正義になっているので、
観ていてモヤモヤしてしまうのです。
政治的な主張を持つ映画にありがちの欠点ではないかと思いました。

同じストーリーであっても、
もう少し複雑な味わいで、
一方に決めつけるような結論がない方が、
色々な感想の余地を残して個人的には好みです。

そんな訳で個人的にはあまり乗れなかったのですが、
映画というのはこうした政治的な側面を多分に持つものでもあり、
そうした映画としては、
ケン・ローチ監督の執念を見る思いもあり、
イギリスの社会保障の状況を知るという興味もあり、
決して観て損というようには感じませんでした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

「ゴースト・イン・ザ・シェル」(2017年実写版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ゴーストインザシェル.jpg
その後に多大な影響を与えた押井守監督の
「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」をベースに、
そこに原作のコミックと、
その後に制作されたアニメシリーズのエッセンスなども入れ込んで、
アメリカ映画として制作された実写版が、
今封切り公開されています。

主役のサイボーグの「少佐」はスカーレット・ヨハンソンで、
その上司をビート・たけしが、
人間時代の母親を桃井かおりが、
彼女をサイボーグ化した科学者をジュリエット・ピノシェが演じる、
というなかなか豪華で興味深いキャストで、
小出しにされる紹介映像などもなかなか凄そうなので、
期待された方も多いのではないかと思います。

僕もそんな訳で期待して初日に行ったのですが、
実際には典型的なエクスプロイテーション映画(見世物映画)で、
個人的には今年一番ガッカリの鑑賞になりました。

ただ、褒めている方や、
なかなか頑張っている、というような意見の方も多いので、
これはもう本当に個人の感想ということで、
ご容赦頂きたいと思います。

以下、悪口大会なのでご容赦下さい。

押井監督の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」と、
その続編の「イノセンス」は好きなのですが、
映画はその哲学的で難解な感じは皆無で、
「人形遣い」も出て来ません。
ビジュアルは確かにそのままに再現されている部分はあるのですが、
1995年には斬新だったビジュアルについては、
もう他の映画でさんざんパクられているので、
目新しい感じは全くありません。

物語はほぼ「ロボ・コップ」で、
その上悪役に魅力のないロボ・コップです。
「ロボ・コップ」の映画の魅力の多くは、
その悪役の造形と大暴れにこそあったので、
それがない「ロボ・コップ」というのはもう、
見る値打ちがほぼないと言って間違いがありません。
それが今回の映画です。

最初にエクスプロイテーション映画と言ったのは、
それほどお金が掛かっている映画ではなく、
トータルにはかなりしょぼいのですが、
一点豪華主義でお金を掛けた場面のみを、
封切り前に何度も何度も見せてしまって、
「出だしでここまで凄いのなら、本編はさぞ凄いだろう」
と思わせて観客を騙そう、
という魂胆がありありとあるからです。

実際にはこの映画はオープニングのみがまあまあ凝っていて、
その後はどんどんしょぼくなり、
最後まで大して盛り上がることもなく終わってしまいます。

予算規模としては、
「ドクターストレンジ」や「キングコング髑髏島の巨神」の、
10分の1くらいかなあ、と感じるスケールです。
それを同じくらいの大作のように宣伝する手法が、
エクスプロイテーションです。

唯一この映画で素晴らしかったのは、
主役のスカーレット・ヨハンソンで、
この映画の彼女は全てが完璧に素晴らしく素敵で、
こんなしょぼい映画に出てもらったことが、
申し訳なくなるような感じです。
ビートたけしさんは日本語の台詞が棒読みの上聞き取れないという、
何か唖然とするような芝居で、
乗り気な仕事であったとは到底思えません。

いずれにしても、
典型的なB級からC級くらいの娯楽映画で、
お金があまりないのに無理をしている感じは、
アメリカ制作とは言え、日本のSF映画のようです。
あまり3D仕様にはなっていないので3Dで観る必要はなく、
スケールはしょぼいので、
アイマックスなどの大画面で観る必要もないと思います。

勿論以上は個人の感想ですので、
違う感想をお持ちの方はお許し下さい。

個人的にはとてもガッカリでした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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