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「ダンケルク」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。
何もなければ今日は1日家で過ごすつもりです。

休みの日は趣味の話題です。
今日は映画の話題が1本と演劇の話題が1本です。

まずこちらから。
ダンケルク.jpg
クリストファー・ノーランの新作「ダンケルク」が、
今ロードショー公開されています。

品川のIMAXで観て来ました。

これはサイレント映画の時代の戦争映画をお手本に、
それを現代の技術で精緻に映像化した、
かなりマニアックな作品で、
ストーリーは殆どなく、
台詞も極端に少なく切り詰められていて、
昔の戦意高揚映画にお決まりの、
「勝つまで闘いを止めないぞ!」というような、
アジテーションが最後に付く形式になっているので、
純粋の映像表現のみを楽しむ、
という感覚で観ないと、
おそらく落胆は必至の作品です。

ただ、映像はともかく凄まじくも素晴らしくて、
全編がIMAXフィルムで撮影されているので、
IMAXで観ないと全く面白くはないと思うのですが、
こんなものはテレビで観ても、
何1つ面白くはないと思いますから、
IMAXで体験してみる価値は、
充分にあると思います。

まさしく現場を体感しているという感じで、
最初に若者の目の前に、
グワっと浜辺の情景が広がるところも凄いですし、
戦闘機の空中戦の極めてリアルな迫力や、
沈んだ船に閉じ込められる感じ、
船倉に潜んでそこに銃弾が撃ち込まれて、
ボコボコ穴の開く恐怖感など、
物凄く手が掛かっていることは間違いのない映像の数々が、
これでもかと連続して大画面に現れるのですから、
映像としての映画を愛する人には、
たまらない魅力に満ちています。

ただ、その一方でストーリー重視で映画を観るという方には、
この映画はあまり向いていないと思います。
実際、一緒に行った妻は、
何ひとつ見る物がない、
ただ最初から最後までドンパチしているだけ、
と怒っていました。

僕はノーランの初期作の「メメント」が大好きで、
今回も3つの物語を時制を変えて並立的に描く、
というようなことが書かれていたので、
これは超絶技巧がまた観られるのかしら、
とそれはちょっと期待をしたのですが、
実際には後から言われれば、なるほどね、
という感じもあるのですが、
語り口の1つとしての技巧であって、
特にそれが前面に立っている、
と言う感じの映画ではありませんでした。

ラストに飛行機の不時着を、
長く長く引き伸ばすのだけは、
ちょっと面白いと思いました。

そんな訳で宣伝は極めて仰々しいのですが、
万人向けの映画でないことは確実なので、
凄い映像を観たいという方だけ、
必ずIMAXの劇場で「体感」して頂きたいと思います。

僕は結構好きです。
凄いですよ。
でも、ラストは何か、
モヤモヤします。

それでは次の記事に続きます。
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「追想」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
追想.jpg
1975年のフランス映画でカルト的な人気のある「追想」が、
今新宿のシネマカリテでリバイバル公開されています。

スクリーンで観る機会は滅多にないと、
結構無理をして足を運びました。

監督のロベール・アンリコは、
アラン・ドロンとリノ・バンチェラの「冒険者たち」が、
日本では非常に有名で、
僕も確か高校生の時に名画座で観て、
とても感銘を受けました。

サスペンスなのですが切ない青春映画の趣きがあり、
ラストには胸の詰まるような情感と、
説明不能の感動がありました。
青い空と青い海の鮮やかな色彩も心に残ります。

テレビシリーズの「ルパン三世」の幾つかの作品には、
この「冒険者たち」の影響が色濃く投影されています。

この「冒険者たち」に次いで、
アンリコ作品で日本で人気の高いのがこの「追想」です。

時は1944年の南フランスで、
ノルマンディ上陸作戦が敢行され、
一気にフランスの戦局はドイツにとっては不利となったのですが、
まだ敗走するドイツ軍による残虐行為や、
ドイツ軍に協力する民兵の暗躍などもあって、
まだ情勢は混沌としています。

フィリップ・ノワレ演じる主人公は裕福な外科医で、
前妻との間に娘が1人いて、
うら若いロミー・シュナイダー演じる美女と再婚しているのですが、
レジスタンスに協力していたため、
ナチスや民兵には目を付けられています。

危険を察知して妻と娘を、
自分が持っている田舎の古城に逃すのですが、
その古城に敗走中のドイツ軍の部隊が侵入し、
村人共々妻と娘は無残に殺されてしまいます。

それを知った主人公は、
隠してあったショットガンを手に取り、
城で敗走の時をうかがうドイツ軍の部隊に、
たった1人で復讐を試みるのです。

「冒険者たち」ほどではありませんが、
この作品も不思議な抒情と陶酔に満ちていて、
とても魅力的な作品です。

舞台はフランスの古城で、
隠し部屋や隠し通路、地下室や深い井戸などがあり、
主人公はそこに身を潜めながら、
1人ずつナチの兵士に復讐を果たしてゆきます。
1960年代に盛んに作られた、
これはゴシックホラー映画のパターンで、
古城に身を潜める怪物の役回りを、
主人公が演じていて、
怪物に襲われる人々の役回りを、
ナチの兵士が演じるという、
不可思議な入れ替わりが設定されているのです。

ホラー映画の道具立てで戦争の復讐劇を演じるという、
なかなかユニークな趣向です。

抜けるような青空と田園の風景、
日差しを浴びるの古城の土壁のシルエット、
そしてこの映画の象徴とも言うべき、
火炎放射器から吹き上げられる紅蓮の炎。
「冒険者たち」と同じようにこの映画も色彩が美しく、
それ自体が感情を揺さぶるように心に残ります。

特にロミー・シュナイダーが無残に炎に焼かれる場面と、
ナチの将校の目の前の鏡が見る間に歪み、
それを突き破って炎が噴出し復讐が貫徹される瞬間は、
極めつけの名シーンです。

この映画のロミー・シュナイダーは、
殆ど回想で登場するだけなのですが、
その年増の艶っぽい姿は極めて魅惑的で美しく、
改めて昔の銀幕の女優さんの素晴らしさを感じました。
また、CGなどない時代で、
スクリーンプロセスや合成なども、
殆ど使っていないと思うのですが、
ロミー・シュナイダーが丸焼けになる場面や、
城が炎に包まれる場面などは、
極めてリアルで、
どうやって撮ったのか不思議に感じるほどです。

これはまあ昔観たらとても感銘を受けて、
トラウマ的に心に残った映画だと思いました。

ただ、どうも徹底的に年を取ってしまったので、
作品のアラの方が何となく目について、
作品世界に没入する、
という感じの鑑賞にはなりませんでした。

年を取るのは嫌だなあ、とちょっと切なく思いました。

この時代の映画は、
編集はかなり荒いですよね。
編集権が監督にはなかったせいもあるのだと思いますが、
場面の繋がりがあまり上手くはなく、
現実の復讐劇とかつての妻との愛の日々の回想が、
頻繁に交錯して現れるのですが、
回想のエピソードにはあまり魅力がなく、
つぎはぎの感じであまり復讐劇のサスペンスが盛り上がりません。

またデジタルで修復された映像は、
ぶれ方がフィルムのそれとは明らかに異なっているので、
フィルムの映画に親しんできた世代としては、
家でブルーレイを観ているようで何か違和感がありました。

同時期にペキンパーの「戦争のはらわた」も観たのですが、
矢張りデジタル修復された映像の質感とぶれ方には違和感があり、
あの映画も編集は無茶苦茶で粗雑なので、
昔の映画は確かにこんなものだったなあ、
とは一方では思いながらも、
落胆する気持ちが大きくなってしまいました。

デジタル映像というのは、
今の映画を観るには良いのですが、
過去のフィルムの映画を再生するには矢張り根本的な問題があって、
過去の映画はもう、
映画館では観ない方が良いのかも知れない、
と今回はとても強く感じることになったのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「エル」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当します。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
エル.jpg
オランダの鬼才ポール・バーホーベンが、
フランスでメガホンを撮り、
名女優のイバベル・ユベールが主役を演じた、
エロチック・サスペンスの「エル」が、
今ロードショー公開中です。

バーホーベンと言えば、
「ロボコップ」は公開当時は衝撃的で斬新で、
「マッド・マックス」と共に、
近未来バイオレンスの歴史を塗り替えた傑作でしたし、
「氷の微笑」は全編「思わせぶり」しかない、
という一種独特のある意味滅茶苦茶なサスペンスで、
公開当時は大宣伝もあって、
物凄くワクワクして劇場に足を運び、
狐につままれたような気分で劇場を後にしてことを、
今もありありと覚えています。
また「スターシップ・トゥルーパーズ」も、
CGを駆使した怪物の群れとの激闘が凄まじく、
未だにあれを超えるSFモンスターアクション映画はないと、
誰もが否定出来ないジャンル物の大傑作でした。

ただ、バーホーベンの特徴は、
その変態性にこそあって、
おそらく本人も絶対変態だと思うのですが、
登場するのは主人公を含めて、
性根が歪み、異常な性的嗜好を持った変態ばかりで、
その変態性が好きな人には抜群の魅力です。

そんな彼も70代の後半となって、
もういい加減枯れて来たのではないかと想像され、
実際に割と平凡な作品が多くなっていたのですが、
今回の新作はところがどうして、
変態節さく裂の怪作で、
これが白鳥の歌にならなければ良いと、
密かに不安に思うほど、
元気一杯変態度抜群の作品でした。

基本的にはかつての「氷の微笑」に似ているところがあって、
エッチで変態的なサスペンスなのですが、
後半はこれまでにない異次元に突入する、
ある意味「氷の微笑」を超えるサスペンスになっていました。
また、作り手も過去作を意識していて、
音楽や女の挑発的な媚態などは、
「氷の微笑」を明らかになぞっていました。

内容はイザベル・ユベール演じる主人公の中年女性が、
自宅でいきなりスキーマスクを被った謎の男に、
レイプされるという衝撃的な場面から始まります。
その主人公というのが、
オタク向けのエロチックで残酷なRPGを作っている、
ゲーム会社のCEOなのですが、
父親が20年前に数十人を惨殺した殺人鬼で、
自身もその時のトラウマを持ち、
母親は若いムキムキの男性の虜になっている性欲の奴隷で、
自身も女性パートナーとレズの関係にありながら、
その夫とも不倫の関係を持ち、
更には隣のイケメンの妻がいるトレーダーにも惹かれている、
という変態ぶりです。

主人公はレイプをされてから、
得体の知れない妄想に悩まされ、
精神の均衡を失ってゆくので、
ははあ、これはサイコスリラーのパターンで、
トラウマのある主人公が、
自分も殺人鬼になってゆく、
というような話なのね、
と予想するのですが、
その予想は大きく外れ、
レイプ犯の正体が判明した辺りから、
変態達の暴走は止まることはなく、
予測不可能な方向へと転がり始めます。

これはもうバーホーベンにしか描けない、
変態性の世界で、
好き好きはあるので受け付けない方もいらっしゃると思いますが、
僕はこうしたものは大好物なので、
途中からはもうのめり込むようにして観ていました。
特に後半の盛り上がりは素晴らしく、
ラストの帳尻の合わせ方もケチの付けようはありません。

キャストは主人公以外も非常に充実していて、
如何にもフランス映画という、
コクのある競演を見せてくれます。
惜しむらくは映像で、
全編ぼんやりとしたソフトフォーカスで画質も荒く、
何かレンタル屋に置かれた古いビデオを見ているようでした。
これがそもそも原版の画質なのか、
それとも日本で公開されているバージョンに問題があるのかは、
良く分かりませんでした。

何にせよ今年一番の変な映画であることは間違いがなく、
こうした変態映画の好きな人には、
抜群の贈り物で、
バーホーベンの映画のファンであれば、
失望することはないと断言しても良いと思います。

下品で変態で胃もたれするような濃厚さですが、
とてもとても面白いです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「海辺の生と死」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
海辺の生と死.jpg
「死の棘」で有名な作家の島尾敏雄の奥さんのミホさんが、
小児期から夫との出逢いまでを過ごした、
奄美の島の思い出を綴った作品に、
同じ出逢いの頃をモチーフにした、
島尾敏雄さんの短編小説などを組み合わせて、
昭和20年終戦直前の奄美を描いた映画を、
新宿の単館ロードショーで観て来ました。

上映開始から3週間近く経った金曜日でしたが、
客席は結構埋まっていました。

島尾さんの作品は矢張り「死の棘」が圧倒的で、
僕は大学生の時に読みました。
山崎哲さんがこの作品をアレンジして、
「うお傳説」という戯曲を書き、
僕は実際の舞台を観てはいなかったのですが、
一時期取り憑かれたようにその戯曲に拘り、
一度2人芝居に構成して大学で上演したことがあります。

「死の棘」は夫の浮気で狂気に陥った妻と、
夫との壮絶な葛藤を描いた作品で、
現実を素材にしていながら、
現実の裂け目のような部分から、
幻想や神話的な世界が、
現実を侵食し覆い尽くすような描写が強烈です。

その神話的な幻想の元になっていたのが、
島尾敏雄さんとミホさんが、
最初に出逢った昭和19年から20年の奄美のカゲロウ島です。

海軍中尉として150名余り(物語や記録によって差があり)の兵隊を率い、
一旦敵兵が島に近づけば、
簡素な舟での特攻を命じられた島尾中尉は、
昭和19年にカゲロウ島に赴任します。
そこで島で少女時代を過ごしたミホと出逢った島尾中尉は、
突撃と死の気配が濃厚に漂う南の島で、
ミホと恋に落ちて密かに逢瀬を交わし、
昭和20年8月13日に出撃のために待機せよ、
という命令が出た夜に、
中尉が出撃したら自分も死ぬと心に決めたミホと、
深夜の浜辺で抱き合い、
ミホはそのまま浜辺で朝を迎えますが、
結局出撃命令は出ないまま、
15日の終戦を迎えるのです。

この現実と言うにはあまりにドラマチックな出来事を、
島尾敏雄さんは昭和21年に「島の果て」という短編で、
朔中尉とトエという名前に変えて描き、
昭和37年には「出発は遂に訪れず」として再度描いています。
また島尾ミホさん自身が、
「海辺の生と死」というエッセイ集を出し、
その中にある「その夜」という原稿も同じ出来事を、
ミホの視点から描いています。

今回の映画は朔中尉とトエという、
島尾敏雄さんの小説にある名前を用いて、
朔中尉の昭和19年のガゲロウ島への赴任から、
昭和20年8月15日の終戦までを、
ほぼその2人だけの物語として描いています。

舞台は実際に奄美諸島を中心としたロケーションを行なっていて、
奄美の言葉が字幕付きで使われ、
多くの島唄も使用されています。
トエ役の満島ひかりさんや、
育ての父役の津嘉山正種さんも沖縄出身ですから、
奄美というリアルに非常にこだわった作品になっています。

オープニングはカゲロウ島の峠の道を、
トエが世話をやいている子供達と一緒に、
笑いながら歩くところから始まります。
そこで赴任した朔中尉と初めて出逢い、
峠の道はこれから通行は出来なくなる、
と告げられます。

島の景色は常に俯瞰ではなく近接で切り取られ、
役者さんの台詞は全てゆったりとした棒読みで語られ、
現実より明らかに長い間合いが取られています。
独特の雰囲気で、
何処か東欧の映画や台湾の映画などを思わせるタッチです。

この辺りはなかなか悪くないな、
と思って観ていたのですが、
物語が進んでも、
全く揺らがない淡々としたテンポのままなので、
段々観ているのがしんどくなって来ます。

この物語をしっかりと語るためには、
駐屯していた部隊の様子や、
次第に近づく戦乱の気配、
相次ぐ島への空襲などが、
ある程度の説得力を持って、
描かれなければいけないと思うのですが、
この映画では予算の関係もあるのだとは思いますが、
その辺りはかなりお粗末です。

部隊と言っても10人くらいしか兵隊は登場しませんし、
どのように駐屯しているのかも不明確です。
空襲の場面は1回だけ登場しますが、
安っぽいCGの飛行機が見え、
満島ひかりさんと子供達が逃げるところに、
これもCGでリアルさの欠片もない銃撃が、
ちょこっと描かれるだけです。

8月13日の夜には、
住民に防空壕で自決の命令が出たように、
原作の「その夜」では描かれているのですが、
映画ではその顛末がイメージ的にしか描かれていないので、
何が起こったのか皆目分からないような描写になっています。

イメージ優先の映画でも問題はないのですが、
そうであれば、
全体の核になるような印象的な場面や、
決定的な場面が必要であると思うのです。

それが残念ながらこの作品にはないように思います。

一番核になる場面は8月13日の海辺の邂逅だと思うのですが、
夜の海辺に固定されたキャメラで、
長い長いワンカットで撮影されています。
これがどうも非常に不自然で動きのない場面で、
抱き合ったままボソボソと内容のない台詞を、
アフレコで流しているだけです。
構図も平面的で面白くないですし、
これは何かのギャグなのでしょうか?

もし真面目に撮ったのだとしたら、
ちょっとその神経を疑う感じです。

トエが海に向かう前に裸体になって水をかぶるのですが、
その時に黄色い光が射して、
そちらを向いてトエは笑顔を浮かべます。
これは照明弾のようなものが落ちたからなのですが、
映画を観ても良く分かりません。
(原作では天岩戸が開いた瞬間を、
を主人公は思い浮かべています)
また、海辺での逢瀬の後に、
もういなくなった彼の砂に残った足跡を見て、
その部分の砂を自分に抱き寄せるのですが、
その部分も映画では分かりにくかったと感じました。

それからラスト近くに、
主人公のトエが自宅に戻って来ると、
縁側に座っている育ての父が、
「今日も暑くなりそうだな」
とポツリと呟く場面があって、
どうしてここで「東京物語」をしないといけないのか、
そのセンスにも脱力するような感じがあります。

役者さんは皆熱演で、
奄美の風景は美しく、
島唄の数々も印象的ですから、
そうした意味では良いところのある映画なのですが、
あまりに長く(2時間半を超える)
観客に緊張のみを強いるところは問題で、
そうした忍耐に相応しい魅力が、
あまりないように思えるところが、
問題であったように思います。

個人的には原作の「海辺の生と死」にあった、
奄美の風俗の描写などを前半に描いて、
主人公2人の逢瀬については後半に絞った方が、
作品としては収束感が増して良かったのではないかと思いました。

最近は日本映画を積極的に観ようと思って、
色々と観てはいるのですが、
僕の選択に失敗があるためか、
どうも独りよがりな感じの作品が多くて、
睡魔に襲われることも多いのがちょっと残念です。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「君の膵臓をたべたい」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日のため休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
君の膵臓をたべたい.jpg
2015年の住野よるさんによるベストセラー小説を、
実写映画化した作品が、
今ロードショー公開されています。

これは原作を読んでから映画を見ました。

原作は特段好みではないのですが、
確かにこれは売れるよな、という感じはします。
所謂「難病もの」なのですが、
病気の詳細を一切明らかにしていないことと、
難病の少女の死に方に斬新さがあります。
そこに向けて盛り上げるという構成も巧みです。
内向的で傍観者的な男の子の恋愛というのは、
古めかしい感じのテーマですが、
レトロな感じを上手く情感に結び付けています。
後半が長く、ダラダラとしていて、
描写もライトノベル的にスカスカなのが欠点ですが、
今の多くの読者の方は、
そうした文章の密度や重さのようなものには、
感心が薄いので良いのかも知れません。
題名は結局はこじつけの感じなのですが、
その不自然さが目を惹いて売れた、
という側面が大きいので、
成功しているのだと思います。

映画は大人になってからの少年と,
友人の少女を、
人気者の小栗旬さんと北川景子さんに演じさせていて、
回想と現在が入り混じるような構成になっています。
多分集客を考えての改変だと思われ、
原作を読んでから映画を見ると、
かなり蛇足のようで違和感を感じるのですが、
映画を最初に見た妻は、
むしろ現在の場面の方が良かったという感想でしたから、
映画としてはそれで正解なのかも知れません。

これは原作も映画もともにそうなのですが、
主人公の少女がいつもニコニコしていて、
その笑顔の裏にあるものを、
一旦読み終わったり見終わった後で、
確認したくなるような構成が良く出来ています。
演じた浜辺美波さんは、
原作の雰囲気を、
かなり上手く出していたと思いました。
妻ももう一度見て、
少女の心理を確認したいと言っていましたし、
そうした意味では原作の良いところを、
映画も上手く汲み取っている、
という言い方が出来そうです。

本当は映画を見て泣きたくて行ったのですが、
映画のターゲットからは全く外れていたので、
ほぼ泣けませんでした。
それはちょっと残念ですが、
場違いということなので仕方がないのだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は夏季の休診日のため診療はお休みです。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
マンチェスターバイザシー.jpg
ケネス・ローガンが監督と脚本を務め、
主演男優賞と脚本賞に輝いた作品です。

東京でも小さな映画館でしか公開はされませんでしたが、
比較的ロングランに近い形で、
劇場を変えながら細々と上映が続いている、
という感じの映画です。

これはかなり渋い素材で、
マイケル・チミノが描く映画に出て来るような、
暴力的で不器用で繊細な中年男が、
病死した兄の息子を引き取ることになり、
過去の自分と向き合う羽目になって葛藤する、
という物語です。

アメリカ映画では、
アクション映画の主人公にこうした人物を据えるのは、
比較的定番の発想で、
今回の作品でも、
死んだ兄というのが実は殺されていて、
その背後には謎の組織の影が見え隠れしていて、
と言うような感じになれば、
典型的なニューシネマ以降のアメリカアクション映画になるのですが、
実際にはこの映画では何のアクションも、
謎もドラマチックなことも起こらず、
心に空洞を抱え愛に飢えた孤独な人々が、
すれ違いながら生きてゆく姿が、
淡々と描かれるだけです。

それで悪いという訳ではありませんし、
掘り下げられた人物の姿はなかなかに魅力的ではあるのですが、
個人的には主人公の、
嫌なことをされて傷ついても、
その場では押し黙っていて、
その後バーで酒を飲んでから、
関係のない酔っ払いをぶん殴って大暴れ、
というような性格の人にあまり同情出来ないので、
どうもしんどい感じの鑑賞にはなってしまいました。

なかなか良い映画とは思うのですが、
僕は駄目でした。

これはもう相性だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「銀魂」 [映画]

こんにちは。

北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
銀魂.jpg
宇宙人が黒船の代わりに来訪し、
それにより変貌した幕末が舞台のコミックを、
マニア向けの低予算ビデオみたいな演出を、
予算が大きくても平然と確信犯的に行う、
福田雄一監督が映画化しました。

脚本も福田監督自身です。

これはオープニングなどは物凄くチープで脱力する映像で、
深夜ドラマそのもののクオリティなので、
「まさかこんな馬鹿な…」と思うのですが、
そんなことは作り手も百も承知でツッコミを入れながら、
それでもそのテンションと絵作りのまま、
130分を押し切ったのには唖然としました。

ただ、そのチープな世界に慣れてしまうと、
それはそれで心地良く楽しめる感じになります。
そして、意外にもアクションは冴えていて、
もったいぶった「無限の住人」などより、
爽快な気分で観終わることが出来るのです。

日本映画としてはキャストはとても豪華で、
人気者が次々と登場して怪演を繰り広げます。
通常こうしたオールスターキャストになると、
見せ場のない顔見世的な出演の人が多いと思いますが、
今回の映画では皆かなり役柄を作り込んで、
勝負をしているのが分かるので、
その演技合戦だけでも結構元は取った気分になります。

福田監督作品では常連の、
佐藤二朗さんやムロツヨシさんは、
出鱈目の極致を喜々として演じていますし、
漫画に溶け込んだような安田顕さんのテンション、
勘九郎さんの裸芝居の馬鹿馬鹿しいまでの迫力、
渋いところでは座頭市のような新井浩文さんが、
抜群の存在感でした。

脚本もかなり練れていて、
そのままマーベルコミックのヒーロー物にして、
予算を掛けて大作にすれば、
世界的にヒットするようなアクション映画になっても、
おかしくはない水準のものです。
前半のオトボケから、
謎の辻斬りの出現と主要キャストの失踪、
幕府転覆を企む組織と新選組と主人公達との三つ巴の抗争。
男主体の芝居に女性キャストも上手く絡めていますし、
因縁の対決とか、
マッドサイエンティストとその娘の悲劇など、
定番の娯楽活劇の趣向も盛り沢山です。
その上ラストは空中戦艦によるバトルで堂々と盛り上がりますから、
これはもう間然とするところのない作劇なのです。

しかし、アメリカのようにお金は掛けられないので、
チープなパロディだと開き直って、
完成度の高い台本を、
わざわざ深夜低予算ドラマの演出で、
描いているのです。

何と言うか、
サブカルチャーの凄味のようなものを、
この作品には感じました。

ビックリしたのは客席の雰囲気で、
騒ぐガキのいる家族や、
ヤンキーの怖そうな少年少女の一団などがいて、
そのどちらもが、
映画のギャグには大笑いをしながら、
「真面目に」この映画を鑑賞していました。

なるほどこうしたものが、
日本の幅広い層に受ける娯楽であるのかと、
福田雄一さんの実力に、
改めて感心するような思いもあったのです。

カルト的な怪作です。
一見の価値は充分にあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「彼女の人生は間違いじゃない」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
彼女の人生は間違いじゃない.jpg
ベテランの廣木隆一監督が、
自らの処女小説を映画化した「彼女の人生は間違いじゃない」を、
新宿の武蔵野館で観て来ました。

これは福島原発事故で人生を狂わされた人々の群像劇で、
舞台はいわき市に設定され、
主人公の滝内公美さん演じる20代の女性は、
避難指示区域となったいわき市に隣接する地域に自宅があり、
今はいわき市にある仮設住宅に住んで、
いわき市の市役所の職員として働きながら、
週末は高速深夜バスで東京に出て、
渋谷のデリヘルで働いている、
という設定になっています。

主人公の母親は病死していて、
光石研さん演じる父親は、
農業をしていた土地が避難区域となって戻ることが出来ず、
保証金で毎日パチンコだけをしている、
無為な日々を送っています。

物語は主にこの親子と、
同じ市役所の職員で、
原発の処理に関わる役所の業務に携わっている、
柄本時生さん演じる主人公の同僚の3人を軸にして展開されます。

原作も読みましたが、
映画のあらすじのような感じの薄味の小説で、
小説の方が成立は先ですが、
独立した小説という感じは、
あまりないものになっています。

内容はほぼ原作通りですが、
幾つかの違いはあります。
小説版では主人公の親子と柄本時生さんの役柄との間に、
一定の関係があるのですが、
映画ではその部分をバッサリ切って、
殆どすれ違う程度の独立した筋にしています。

また小説の成立から時間が経っているので、
いわき市を巡る状況などにも変化があり、
それを汲んでカットされている部分も映画にはあります。
主人公の父親が妻の遺品の洋服を、
福島原発近くの海に捨てる場面なども、
原作にはない映画オリジナルの設定です。

映画を観ていると、
何故主人公がデリヘル嬢をしているのかが、
あまり明確ではないのですが、
原作を読む限り、
かつて福島の原発の電気が東京に送られたように、
自分も東京から何かを奪われ奪い返したい、
という思いが根底にはあるようです。

はっきりは語られませんが、
男の性に奉仕する女性に聖性を見るような、
昔の日本映画によくあったテーマが、
沈潜しているようにも思われます。

もうちょっとドロドロした物語にもなりそうなところを、
主人公は結局デリヘルも辞めて、
福島で新たな生活を模索しますし、
父親は過去の自分に一区切りを付けて、
農業の再開に向けて行動を開始しますし、
柄本時生さん演じる若者も、
自分の仕事にやりがいを見出すような感じになりますから、
皆がポジティブな気づきを得て幕が下りるという、
前向きの物語になっています。
もう少し規格外の展開があったり、
切ない抒情のようなものがあっても良いのに、
とは思いますが、
テーマがテーマですから、
あまり遊びは出来なかったのかも知れません。

何と言ってもこの映画の値打ちは、
原発事故後のいわき市周辺の現実が、
しっかりと映像として写し取られていることで、
海から見た福島原発の全景や、
実際にそのすぐ沖合で、
主人公の父親が妻の遺品を捨てる場面が撮影されていたり、
除染の光景や汚染土の積まれた風景、
仮設住宅の様子や避難指示区域の情景などが、
美しく冷徹なキャメラで、
的確に写し取られていて、
多分それこそがこの映画の本質であったように、
個人的には感じました。
描かれたやや月並みな物語は、
言ってみればその背景として成立しているだけなのです。

従って1本の映画として観た時には、
少し彫り込み不足で中途半端な印象があるのですが、
意義のある映画であったことは、
「間違いじゃない」と思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「忍びの国」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日で何もなければ1日のんびり過ごすつもりです。
と言ってもやることは山積みなので、
なかなか進まないと悶々としつつ、
今日の日を終わることになりそうです。

今日は祝日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
忍びの国.jpg
和田竜さんのベストセラー「忍びの国」が、
大野智さんを主役にして映画化され今公開中です。

これは原作も読んで映画を観ました。

忍者で有名な伊賀の国を、
信長の次男である信雄が父には無断で攻めるのですが、
それに失敗。
その2年後に今度は信長が指揮を執って攻め、
伊賀の国は滅ぼされる、
という史実を元にした物語で、
信雄の伊賀攻めの裏にあった駆け引きと、
規格外の最強忍者であった無門の活躍によって、
最初の伊賀攻めが失敗に終わる顛末が、
作品の肝になっています。

僕はこの和田竜さんという人の作品はちょっと苦手で、
「のぼうの城」とこの「忍びの国」を読みましたが、
どちらもあまりすっきりとした読後感を感じませんでした。

「のぼうの城」は秀吉の小田原攻めの時に、
石田三成の指揮による水攻めを受けながら、
小田原城の落城まで持ちこたえた忍城のエピソードで、
「忍びの国」は信雄の伊賀攻めですから、
どちらも1回は強敵を跳ね返したものの、
結局は歴史の流れには抗えずに、
滅んでしまうというところは同じです。

それを最初に強敵を跳ね返したのは、
そこに変わり者のヒーローがいたからだ、
というように物語を作っているのですが、
結局はすぐにやられてしまうのですから、
何かスカッとはしません。
両方のエピソードとも、
「のぼうの城」は石田三成が、
「忍びの国」は織田信雄が、
無能であったために起こったのだと思えてしまう展開なので、
これも盛り上がらない原因となっているように思います。

「忍びの国」の方は、
伊賀の国を率いている頭目のような人たちが、
色々と企みを巡らしているのですが、
それが自分の息子を殺させておいて、
もう1人の息子に伊賀をわざわざ裏切らせる、
というようなもってまわった馬鹿馬鹿しいもので、
とても説得力がないように感じますし、
それでいてすぐに下人の忍者には裏切られてしまい、
それを察知することも出来ない、
というあまりに間抜けで脱力してしまいます。

悪党が間抜けにしか描かれていないので、
主人公がそんな馬鹿を最初は信用していて、
最後は裏切られたと言って怒り、
それで自分の国を滅ぼしてしまうという展開にも、
違和感があります。
時代物というのは、
現代の感覚では了解不能のような人物がいるからこそ、
面白いのだと思うのですが、
それが了解可能のように主人公が描かれているのも、
どうにも物足りない感じがするのです。

そんな訳でとても上出来とは思えないのですが、
実際にはとても売れていて人気もあるので、
どうやら僕の感覚が多くの方とは違っているようです。

今回の映画は登場人物を少し整理している以外は、
ほぼ原作通りの映画化になっています。

人物の整理の仕方も、
伊賀を裏切った忍びを2人から1人にしたりと、
映像化するとゴタゴタしてしまう部分を切っているので、
なるほどと思う、クレヴァ―な改変で、
台本はまずまず巧みに構成されていると思います。
ラストは白戸三平みたいな感じを入れていて、
無門が影丸とダブるのですが、
それもなるほどという感じです。

演出はかなりムラがあって、
昔の作家性の強い低予算の時代劇のような、
様式的でシュールな感じの場面も少しあり、
最初に國村隼さん扮する北畠具教が殺されるところなどは、
なかなか良い感じなのですが、
後半の合戦場面になると、
お金が足りずにエキストラが少ないことがありありで、
合戦の筈が数人の小競り合いというようなビジュアルで、
これにはかなりガッカリしました。
チープなCGの乱用もどうかと思います。

総じてセットの場面は良いのですが、
野外のシーンは概ね駄目でした。

同じ予算でももう少しお金を掛けるべきところを変えて、
構成するべきではなかったのかな、
というようには思いましたが、
「のぼうの城」は小城の城攻めですから、
お城を1つ用意すれば良いところを、
今回は伊賀の国自体を攻めるという設定で、
仮の城を作ってすぐに壊したり、
忍者の砦も登場したりするので、
今の日本映画の現状からすると、
少し無理があったのかも知れません。

役者は主役の大野さんを含めて概ね好演で、
娯楽時代劇としてかなり頑張っていたと思うのですが、
スケールに予算が追い付かず、
やや空中分解気味になったことは残念に思いました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「ハクソー・リッジ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ハクソー/リッジ.jpg
メル・ギブソン監督による、
太平洋戦争で武器を手に取らなかった兵士を描いた戦争映画、
「ハクソー・リッジ」を観て来ました。

これは大変面白い映画で、
こうした素材を真正面から取り上げるのが、
さすがメル・ギブソンという感じがありました。
ただ、後半の戦場が沖縄戦ですから、
かなりヘビーで辛い鑑賞になります。
色々と配慮はされているのですが、
モグラのような地底人のようなゾンビのような怪物との闘い、
という感じにはどうしてもなってしまって、
観ていて哀れな「ゾンビ」の側の気持ちも考えてしまいますから、
とても辛くなるのです。
一般人の被害については全く触れられず、
兵士の軍団同士の格闘、
と言う感じに描かれているのも、
何か複雑な気分になります。
ですから、日本でヒットをしないのは、
仕方がないかな、という気はします。

映画は前半がアメリカ国内の、
主に基地での訓練の話になり、
後半が沖縄に移っての戦闘シーンになります。
個人的には上記の事情もあって、
主に前半の展開と描写に引き込まれました。

主人公のアーノルド・ガーフィールド演じる若者は、
第一次大戦に従軍して心の傷を受けたアル中の父親の暴力を受け、
そこから決して武器を手には取らない、
人殺しはしない、
という神からの教えを心に刻みます。
しかし、「悪辣なジャップ」の真珠湾攻撃にはショックを受け、
アメリカの正義のために闘いたいとは思い、
志願して兵役に入るのです。

それで基地での訓練が始まるのですが、
武器を持たない肉体訓練については、
全てを優秀な成績で突破します。
ただのチキンではなく、
実際には兵士として抜群の能力を持っているのです。
しかし、実際に武器を取れと言われて、
銃を手にして訓練になると、
「それは神の教えで出来ません」
と言って決してやろうとしません。

「じゃなんで志願なんかしたの?一般の立場で戦争に協力すればいいじゃん」
と当然言われるのですが、
「いや、1人くらい戦場に人を殺さない兵隊がいてもいいじゃないか」
と言って譲りません。
「それじゃ、ジャップが攻めてきたらどうやって身を守るんだよ。
そういう時には正当防衛だから例外にすればいいじゃないか?」
と理詰めで言われても、
「そういう難しいことは分かりません。でも人を殺すのは嫌です」
とすましているのです。

ちょっと面白いですよね。
たとえば日本映画でも「戦争と人間」で、
共産党員の兵士の山本学が、
戦場で中国人の住民を殺せと言われて、
「私は中国人は殺せない」と言って、
上官にボコボコにされたりする場面がありましたが、
もっと悲壮感がありましたよね。
後、変に理屈っぽい感じがありますよね。
「ハクソー・リッジ」はそういう感じはまるでないのです。
難しいことを言われても分からないけど、
ともかく銃は絶対手に取りません、
とそれだけは頑固で、
それ以外は何か軽い感じでへらへらしているのです。

それが意地悪な上官もいて、
命令違反なので軍法会議に掛けられるという話になります。
理屈から言えば上官の言うことの方が正しいので、
どうしようもないのです。
そして絶対絶命の時に、
主人公を救ったものは何だったのでしょうか?

如何にもアメリカ映画的な展開でワクワクしますし、
その決着はとても感動的です。
メル・ギブソンさすがですね。

そんな訳でつらい映画でもありますが、
とても面白い映画でもあります。
観て損はない作品としてお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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