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三谷幸喜「不信~彼女が嘘をつく理由」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の記事は演劇の話題です。
それがこちら。
不信.jpg
三谷幸喜さんの新作が、
今池袋の東京芸術劇場シアターイーストで、
ほぼ2か月のロングラン上演中です。

これは段田安則さん、優香さん、戸田恵子さん、栗原英雄さんの、
完全な4人芝居で、
2組の夫婦のサスペンス仕立てのやりとりを、
シンプルな中央舞台で鑑賞する、と言う趣向です。

前半が1時間、後半も1時間あって、
その間に15分の休憩が入ります。

これは推理劇を作ろうとしたのだと思うのです。
トマなどのフランス産の推理台詞劇のパターンです。
三谷さんはドラマでは言わずと知れた古畑任三郎という、
推理ドラマの傑作を作っていますが、
演劇においてはミステリー色のある作品は多くても、
本格的な推理劇はあまりなく、
これまでに成功した舞台もないように思います。

今回の舞台はなかなかソツなくまとめていたと思うのですが、
推理劇としてはかなり凡庸な仕上がりで、
コロンボでさんざん使い古しのトリック(オリジナルはガーヴ)、
などが出て来て脱力する感じになりますし、
内容の意外性的なものが、
ほぼ全て先読みが出来るレベルのものなので、
観ていて少し意識レベルが低下してしまいました。

4人のキャストはいずれ劣らぬ手練れなので、
その意味では安定して観ることが出来ました。
今回は特に優香さんが良かったと思います。
役柄も一番丁寧に振幅大きく描けていましたし、
その期待に応える芝居を見せてくれたと思います。
段田安則さんと戸田恵子さんは、
相変わらず上手いのですが、
役柄に作者の熱意があまり感じられない気がするのが、
少し残念でした。

以下ネタバレを含む感想です。

段田安則さんは高校教師で、
その妻の優香さんもOLをしています。
この2人が隣人の夫婦を訪れるところから物語は始まります。
隣人は公務員と名乗る栗原英雄さんと、
専業主婦の戸田恵子さんの夫婦です。

2人は交流するようになるのですが、
優香さんが隣町の高級スーパーで、
戸田恵子さんが万引きをする現場を見てしまいます。
その秘密を夫の栗原さんに段田さんが話すと、
口止め料として200万円が渡され、
それを段田さんが妻には言わずに、
着服して愛人への手切れ金に使ったところから、
話は入り組んだ格好になり、
ついには殺人事件に発展します。

この段取りを4人の俳優の会話だけで、
軽快かつスピーディに進めてゆきます。
舞台上には6つの直方体の椅子があって、
それが自由自在に移動して、
幾つもの構図を表現する装置が洒落ています。

ただ、あまりにスムースに話が進むので、
淡々として盛り上がりには欠けます。
推理劇としては最初に書いたように、
筋立ては凡庸ですぐに先が読めてしまう感じなので、
次がどうなるのだろうと、
ワクワクする感じがないのです。

得意の言葉や人物のすれ違いによるギャグも、
今回はくすぐり程度に終わっていました。
役者は皆本当に上手いのですが、
役柄の振幅がそれほど大きくはなく、
この人の見せ場はここ、
と言う感じがあまりないので、
優香さん以外は、
それほど印象に残ることなく終わってしまいました。

特に戸田恵子さんは、
最近あまりエネルギー全開、
というような芝居に恵まれていないのが残念です。

「エノケソ一代記」でも感じましたが、
最近の三谷さんは長台詞が面白くなく、
淡々として内容がないので、
舞台が沈んでしまう感じになります。
今回も殺人の後の独白などがあるのですが、
大変詰まらなくてガッカリしました。

そんな訳でちょっとモヤモヤする感じの芝居でしたが、
きちんと帳尻は合わせて、
最低限見せるべきものは見せている、
と言う点はさすがにプロの仕事で、
ちょっとお芝居でも、
という向きにはそこそこお勧めの舞台にはなっていました。

三谷さんには、
また、「絶対これが描きたい」
というようなテーマが訪れることを、
期待しつつ、
これからも劇場には足を運びたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

ベッド&メイキングス「あたらしいエクスプロージョン」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
ベッド&メイキングス.jpg
浅草の九劇のこけら落としとして上演された、
富岡晃一郎さんと福原充則さんの劇団、
ベッド&メイキングスの新作公演を観て来ました。

これは敗戦直後の映画界を舞台にしたコメディですが、
ある程度史実は入れながらも、
自由自在に物語を膨らませていて、
6人のキャストが何役も兼ねるという趣向が楽しく、
如何にも小劇場という快作に仕上がっていました。

これだけの手練れのメンバーを、
小空間で目の前で観ることが出来るというのも、
非常に贅沢な感じがしました。

これは色々なバックボーンの役者さんが集まっているのですが、
それぞれに一番得意な芝居をさせていて、
町田マリーさんは毛皮族時代に近い感じで、
甲高い声を出したり白目を剥いたり髭面の男を演じたりと、
結構な大暴れをしていますし、
山本亨さんはつかこうへいに師事していた頃を彷彿させる、
道間声で立て板に水の台詞術を見せています。
八嶋智人さんもカムカムミニキーナでの舞台と、
同じような野田秀樹的芝居を闊達に演じています。
大鶴佐助さんは唐先生のDNAを感じさせる独特のテンションですが、
少し前と比べると相当達者になりました。
富岡晃一郎さんと共に、マイペースの力押しです。
川島海荷さんもまた別の堂々たるマイペース芝居でした。

このような6人をそのままで束ねるのは、
なかなか一筋縄ではいかないと思うのですが、
それが非常に巧みにかつ心地よく嚙み合っていて、
この辺りは演出の福原さんの腕だと思います。
凡手ではありません。

内容はつか芝居がやりたかったのかな、
というように思うのです。
忠臣蔵を何度もやって崩してゆくのもつかさんの感じですし、
ラストに互いの情熱がぶつかり合って、
そうなるとストーリーの枠組みなど関係なくなる感じも、
つか芝居の感じです。
勿論ストーリー的には全然違うのですが、
山本亨さんが登場しているのも、
これはもうつか芝居をやりたかったからだな、
と個人的には思いました。

福原さんの台詞は、
そのくどさの質が、
僕は個人的には苦手で、
あまりフィットはいつもしないのですが、
今回はつか印の小劇場贅沢キャラ芝居として、
内容はともかく楽しめました。

次回も楽しい芝居を見せて下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

歌舞伎座三月大歌舞伎(2017年夜の部) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後は石原が診療を担当する予定です。

4月1日(土)の午後は休診となりますのでご注意下さい。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
3月大歌舞伎.jpg
三月の歌舞伎座に足を運びました。
眼目は海老蔵の「助六」です。

歌舞伎には非常に多くのレパートリーがありますが、
その中でも「助六」はかなり特殊な性質のものです。

小山内薫は明治時代に、
「自分はこの芝居を見ると、
祖先の社会を眼前に見る様な心持がして、
身内の江戸っ子ブラッドが躍るようである」
と書いています。
谷崎潤一郎も確か、
似たような趣旨のことを何処かに書いていました。

明治時代と言えば、
江戸時代はつい先刻のことですから、
そうした感慨を当時の人が持っていたというのは、
今では少し不思議な思いもしますが、
幕末と江戸の最盛期とはまた別個のもので、
明治時代に既に、
江戸の最盛期の息吹を感じさせる歌舞伎劇は、
この「助六」の他にはなかったことが分かります。

助六という狂言は、
二代目の團十郎が助六を演じた、
正徳3年(1713年)の「花館愛護桜」に始まり、
3年後には「式例和曾我」という別の台本で、
同じ助六を團十郎が再演しています。

元禄時代に京都で助六という商人と、
揚巻という女郎との心中事件があり、
それがそもそもの始まりになっていますが、
「花館愛護桜」では、
男伊達という喧嘩が強く男振りの良い男として、
主人公の助六が描かれ、
揚巻との逢引きを、
意久という敵役が邪魔する、
という現在の助六にも通じる基本的なプロットが、
確立されています。

それが、
次の「式例和曾我」になると、
助六は実は曾我五郎という、
他の狂言の復讐を遂げる兄弟キャラに姿を変え、
その設定も現代に受け継がれています。

このように、
助六というキャラは同じでも、
上演の度毎に、
そのストーリー自体は変更したり、
その時代や設定を変えたりするのが、
歌舞伎の狂言の特徴の1つです。

現在上演されている「助六由縁江戸桜」は、
現行の歌舞伎の演目の中では、
非常に特殊な作品です。

歌舞伎は元禄時代に始まったとされますが、
元禄歌舞伎がそのままの形で、
今上演されているという訳ではなく、
今上演されている歌舞伎の演目の殆どは、
主に幕末期か明治になってから、
整理されたり修正されたりしたものです。

「忠臣蔵」など本格的な歌舞伎の代表のように言われる、
義太夫狂言と呼ばれるものは、
元々原作は文楽で、
原作の台詞自体は江戸期のものですが、
歌舞伎としての台本や現行の演出自体は、
これも主に明治以降に整理されたものです。

その中ではこの助六は、
元の台本は元禄期から間もない頃に整理されていて、
そこに書かれた台詞の多くは、
江戸中期の安永期に書かれたものです。
しかも文楽ではなく、
純然たる歌舞伎台本です。

その意味でこの助六は、
現代上演が継続されている演目の中では、
最も濃厚に、
江戸歌舞伎の匂いを残しているものなのです。

この作品は歌舞伎十八番の1つとして、
團十郎の成田屋の家の藝とされています。

歌舞伎十八番と銘打たれている狂言の中でも、
「勧進帳」などは現行の作品は明治になって成立したものですし、
時間も手頃で上演頻度も高く、
團十郎以外の役者も、
主役の弁慶を演じています。
むしろ成田屋以外の上演の方が多いのです。

しかし、
唯一この「助六」は、
他の役者も助六を演じはしますが、
團十郎が演じる「助六」こそが、
本物とされていて、
團十郎以外による上演はあまりありません。

更には襲名披露や杮落としなどの、
特別なハレの興業でのみ上演され、
通常の上演自体があまりありません。

その理由の1つは、
助六の狂言は現行の台本でも、
休憩なしで上演時間は2時間を優に超え
(今回の上演は2時間で少し短縮版です)、
登場人物も非常に多く、
端役に至るまで幹部級の俳優が務めることが、
定例化しているので、
通常の興業で上演することが、
非常に困難である、
ということにあります。

従って、
「助六」が上演される、
と言うこと自体が、
歌舞伎にとっては特別のイベントなのであり、
その舞台の緊張感が、
劇場自体を特殊な祝祭空間に変える、
というところに、
「助六」の得難い魅力があります。

今回の上演は、
海老蔵も本公演で7回目くらいになりますから、
これまで以上に血肉の通った助六を期待しました。

ただ、実際には僕が観た初日から3日目くらいの舞台は、
あまり胸躍るものではありませんでした。

まずキャストが弱いと感じました。
大舞台での本役と言えるのは、
意休の左團次と白酒売の菊五郎くらい。

立女形は今本当に乏しいので仕方がないのですが、
雀右衛門(僕は芝雀の方がしっくり来ます)の揚巻は弱いですし、
華やかさがありません。
くわんべら門兵衛に歌六も如何にも弱くて、
どうして幸四郎が出てくれなかったのだろう、
という感じです。
通人に亀三郎というのも、
盛り上がりませんでしたし、
遊びもあまりなくガッカリしました。

何より助六の海老蔵に迫力がなく、
台詞も弾みませんし、
形も決まりません。
多分色々とお疲れだと思うので、
仕方がないとは思うのですが、
今回は正直とてもガッカリの低レベルの助六でした。

その一方で同時に上演された「引窓」は、
久しぶりに重厚な義太夫狂言を観たな、
と言う思いで、
僕はあまり高麗屋は好きではないのですが、
今回の幸四郎は悪くないと感じました。

そうは言っても矢張り「助六」は特別なので、
また上演があれば、
1回は観に行くと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

地下空港「サファリング・ザ・ナイト」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

久しぶりに駒沢公園まで走りに行って、
それから今PCに向かっています。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
サファリングザナイト.jpg
移動型演劇「サファリング・ザ・ナイト」を、
すみだパークスタジオで観て来ました。
上演は本日までです。
観たのは2日目でしたが、
内容の性質上早くネタバレしたり批評するのは良くないかな、
と思って本日の紹介となりました。

地下空港は劇団ではなく舞台芸術集団を名乗っていて、
伊藤靖朗さんという方が主宰です。

結構難しいことをお話になっているのですが、
2年前に1回公演を見に行って、
海の神様と人間が宝物を取り合って戦うという、
ティーンエイジャーが主人公のアニメか戦隊もののような話でした。

見ていて少し恥ずかしい感じがあり、
ちょっと僕には向いていないな、
というように感じました。
大分低い年齢層を対象としているのだな、
というようにも感じました。

今回の作品はぴあとの共同で、
アトラクション型というのか、
観客に一定の役割が与えられて、
それに沿って活動する、という形式になっています。

こういうものは嫌いではないので、
どんなものかしらと思って出かけてみました。

舞台は2045年に設定されていて、
そこはオベロンとタイタニアという2つのAIに支配されている世界です。
「火の鳥未来編」みたいな感じのあれですね。
そこで敵対する2つのAIを統合させるというような話が持ち上がり、
その会合に出席するメンバーが観客の1人1人である、
という趣向です。

チケットはオベロンとタイタニアに分かれていて、
それぞれのメンバーの1人として、
観客はまずミーティングのような場に招かれ、
そこで数人ずつのグループに分けられて、
そこにグループリーダーという役者さんが、
1人ずつついて観客を先導し案内します。

すみだパークスタジオは倉庫の連なりですが、
そのあちこちで同時多発的にドラマは展開されます。
最後は倉庫の屋上で終演となります。

スマホのアプリをダウンロードしておくと、
それが随所で活用されたりと、
色々と工夫のある公演でした。

ただ、僕の参加したのは2日目でしたが、
物凄く寒い日で、
外にいる時間が長いので、
寒くて寒くて物語に没入するようなことは出来ませんでした。

ディズニーランドやUSJのアトラクションではないので、
それほど舞台をお金をかけて作り込むことは出来ず、
壁にAIの映像を映したりはするのですが、
それがそう活躍するという感じにはなりませんし、
屋内もちょっと未来風の装飾があるくらいで、
基本的には元の倉庫のままです。

こういう性質のものは、
以前は野外劇や密室劇として、
寺山修司の天井桟敷が得意としていました。
最近ではゴキブリコンビナートの迷路密室劇が、
その作り込みの見事さで印象に残っています。

演劇の場合予算は限られているので、
大きな空間を別世界として構成することは、
基本的に無理があるのです。

それで、寺山修司は密室の完全な暗闇を、
それ自体としてセットとして利用し、
時空を超えるという幻想を表現しましたし、
野外劇ではその町の「事実」そのものを、
虚構化するという手法を取りました。
ゴキブリコンビナートも、
小空間を多層的な迷路として作り込み、
地下都市の幻想を表現しました。

その一方今回の地下空港は、
2045年の未来世界で、
周囲の風景は過去の東京をバーチャルに見せているのだ、
という趣向になっているのですが、
こういう大仕掛けな趣向は、
ディズニーランドのアトラクションなどの得意技で、
演劇ごときではどう考えても無理があると思うのです。

今回は果敢な挑戦だったとは思いますが、
矢張り無理だなあ、という感じを強く持ちました。

スマホのアプリが使用されているのですが、
ダウンロードしていない人は、
グループリーダーの役者さんのものを代わりに使用するので、
結局あってもなくても同じことになるのが、
最初から明らかなのが面白くありません。
もう少し別の工夫が必要だと思いました。

色々と文句は言いましたが、
意欲的な試みでしたし、
グループリーダーのお姉さんがなかなか魅力的で、
一緒に行動するという趣向は悪くありませんでした。

頑張って下さい。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。

誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ

誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ

  • 作者: 石原藤樹
  • 出版社/メーカー: 総合医学社
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 単行本


根本宗子「皆、シンデレラがやりたい。」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の演劇はこちらです。
ねもしゅー.jpg
劇団とは別個のプロデュース公演として、
根本宗子さんの作・演出による新作(多分…)公演が、
本日まで下北沢の本多劇場で上演されています。

正味1時間40分くらいの1幕劇です。

猫背椿さん、高田聖子さん、新谷真弓さんが演じる、
設定はおそらくアラフォーくらいの3人の女性がメインで、
彼女達がそれぞれ別個の思いを胸に秘めて、
ある男性アイドルのおっかけをしているという話で、
そこに新垣里沙さんが演じる、
男性アイドルと恋愛沙汰を起こした女性アイドルと、
そのマネージャーが加わって、
ネットの炎上騒ぎの騒動が起こります。
根本宗子さん自身は、
猫背さんの血のつながっていない娘を奔放に演じています。

最近新作は、
ちょっと内容に疑問を感じるようなことの多かった根本さんですが、
今回はアイドルの追っかけやネットの炎上など、
得意なテーマを織り込みながら、
そこに世代間の格差などを新たに付け加えて、
これまでにあまり類例のない、
面白い舞台に仕上げています。

カラオケスナックを舞台にして、
3人の手練れのアラフォー女性の会話がとても楽しく、
その演技合戦はワクワクするような醍醐味がありますし、
締め括りの高田聖子さんの、
開き直りにも見えるポジティブな長台詞が素敵で、
サービス精神豊かな根本さんは、
ラストに予想外の大仕掛けな見せ場まで用意しています。

ラストはパターンとしては急な流血があって、
大人計画みたいなエンディングなのです。
それをそのままで終わりにせず、
シンデレラの帰還とお城を出現させた辺りに、
根本さんのセンスを感じました。
ちゃんと最後は題名と辻褄が合っています。

弱いのは前半で、
調子が出てくるまでが、
ちょっと単調で退屈な遣り取りが続きます。
ただ、3人のベテラン、特に猫背椿さんが、
非常に安定感のある技巧的にも優れた芝居で、
その段取りの部分を支えています。
後半はもう一気呵成に物語は転がって行くのです。

今回、ナイロン100℃、劇団新感線、大人計画から、
それぞれ充分な技量のある女優さんがそろい踏みして、
贅沢な演技合戦を繰り広げるという企画が楽しく、
3人がまた期待通りの素敵な芝居を見せました。
内容も面白いですし、
クライマックスには確固とした主張があり、
ラストのサービス大仕掛けを含めて、
根本さんの力量を示した快作となったと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

革命アイドル暴走ちゃん「イカれた女子が世界を救う」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日は演劇の2本立てです。
まずはこちら。
革命アイドル暴走ちゃん.jpg
二階堂瞳子さんが主宰するパフォーマンス集団、
革命アイドル暴走ちゃんの久しぶりの日本での劇場公演が、
横浜で2日間のみ上演されました。

革命アイドル暴走ちゃんを初めて観たのは、
2014年のアゴラ劇場でした。
凄く良かったということではないのですが、
こういうものが嫌いではないので、
結構楽しめましたし、
結構尾を引きました。

30分程度の上演時間で、
全編アニソンなどの音楽が大音量で鳴り響き、
スクール水着姿のキャストが大暴れを繰り広げ、
大量の水やみそ汁の具などが客席には降り注ぎます。
アングラ演劇的なムードもあり、
ちょっと際どい部分もあり、
観客がキャストに抱き着かれてキスの洗礼を受けたりもします。

その後は劇場での公演には、
基本的に毎回足を運びました。

ただ、その後際どい部分については、
次第に後退してなくなってゆき、
アングラ演劇的な部分も後退して、
オタク文化を取り込んだ女性演出家によるパフォーマンス集団、
という感じに落ち着いて来ているという印象です。

今回は横浜で2日間のトータル4ステージで、
固定座席のある劇場での公演ですが、
30分ノンストップの高密度大音響のパフォーマンス、
と言う点はこれまでと同じで、
水や生ものもなく、
かなり落ち着いた感じのものになっていました。

まとまりという点では、
これまでで一番良かったかも知れません。

3人の劇団員のうち、
加藤真砂美さんが抜けられて、
今回は前説をされていました。
名前がないということは、
もう出演はされないのだと思うので、
ファンとしてはちょっと残念です。

今回は明確にアマンダさんと高村枝里さんの、
ツートップという感じになっていて、
バランス的にはそれが悪くなかったと思います。
お二人とも、
以前よりちょっとふっくらとされていました。

このままのスタイルでの継続は、
ちょっときついようにも思うのですが、
今後の展開には期待をしたいと思います。
個人的にはもう少しアングラ色と演劇色があるといいな、
というようには思いました。

それでは2本目に続きます。

国産第一号「安心」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日はもう1本演劇の話題です。

それがこちら。
安心.jpg
オクイシュージさんの作・演出による、
国産第一号というユニットの公演「安心」が、
本日まで下北沢の駅前劇場で上演されています。

2010年初演作の再演とのことです。

これは松尾スズキさんのツィートで気が付いて、
即効で予約して直前に行くことを決めました。
これぞアングラ小劇場という感じの、
ダークで破天荒で遊び心に満ちた作品で、
これは観られてとても幸せでした。
思わず販売されていた戯曲も買ってしまいました。

特に演出が優れていて、
1時間50分の上演時間に充実感があります。
ただ、最後に明らかにされる「事件の絵図」に、
やや面白みが乏しいことと、
「全ての地獄はお前の頭の中にある」
というような世界観が、
震災後でテロや現実の暴力に満ちた今には、
ちょっと切実感が乏しい思いはありました。
そう言えば、2010年くらいには、
こうした芝居が多かったような気もします。

以下ネタバレを含む感想です。

ある太っちょの冴えない男が、
何処だか分からない黒い部屋に監禁されています。
そこには謎の男女が5人いて、
司会役の男はそこが「矛盾の家」で、
自分の全てをさらけ出し、自分自身に戻る場所だ、
というような話をします。
それから1人ずつ自分が如何にして悲惨な境遇に落ちたかを、
回想を交えて語り、
過去の光景もフラッシュバックするうちに、
別々に思えた個々の人物の物語が徐々に繋がり始め、
「真相?」が明らかになると、
主人公は最後にある決断を迫られることになります。

入江雅人さんが80年代テイストのダンス教師を怪演して、
川上友里さん演じるストリッパーとダンスに興じるなど、
小劇場的には贅沢なお遊びが満載で、
それがオクイシュージさんの的確な演出の元に、
素敵な出鱈目として楽しめます。

実際の関係が明確ではない複数の男女が、
あるモチーフを中心として果てしない遊びを繰り返す、
と言う点では、
鴻上さんの「朝日のような夕日をつれて」に近い構成です。
そのもっとアングラに傾斜した変奏曲、
と言っても良いかも知れません。

ゲームマスターめいた謎の男がいて、
監禁された状況の中で、
残酷なゲームに興じるという趣向は、
映画の「ソウ」シリーズの影響も感じられます。
乙一みたいな感じもありますよね。

ただ、登場する全員が、
実は1つの物語で結び付けられている、
ということが途中で大体分かってしまうと、
今度は隠された真実とは一体何なのだろう、
というところに観客の興味が移るのですが、
その真実というのが、
主人公が酔っぱらって吐いたゲロですべって、
少女が車の事故に遭った、
というような話だったり、
友達と思って部活の後輩に接したら、
それが相手にとっては迷惑だった、
とかといったような、素直にそうかとは、
とても思えないようなストーリーなので、
何となくもやもやしたものが残ってしまいます。

そして、最終的にはハンマーで全員を殴り殺して、
その場を脱出するのですが、
その段取りの必然性もあまり納得がいきませんし、
オクイシュージさん自身が演じる、
謎のゲームマスターの男の正体も、
結局最後まで分かりません。

「朝日のような夕日をつれて」では、
ある1人の女性の絶望を救うことが出来るか、
というような物語なので、
それを聞いただけで何となく納得がいく気分になりますし、
分からない話で感動することも出来るのですが、
この作品の物語は、
主人公が他人に害を与えないようにビクビクと生きることで、
結果として因果が巡って多くの人を不幸にしてしまい、
自分の本能的な情念を開放することで、
その心の迷路から脱出する、
ということのようですが、
それにしては、
主人公がオドオドしている割には、
後輩に命じて女性をさらったりもしているので、
そこにあまり行動の一貫性がなく、
無作為の悪事のからくりにも説得力がないので、
あまり観客を納得させるような感じには、
ならなかったのが残念でした。

良かったのは演出で、
これは非常にセンスに溢れています。
黒一色のセットの背後に2つの換気扇が廻る正方形の窓が2つあり、
それが非常に巧みに全編で使用されています。
その存在自体が禍々しくて素敵ですし、
不意に肖像画が窓に現れる瞬間もショッキングです。
ラストには「安心」の2文字が現れるという趣向も凝っています。
暗転を巧みに利用した舞台転換も鮮やかですし、
ストロボの効果的な使用や、
ラストの大殺戮ではビートルズをバックに盛大に血を流し、
スペクタクル化した趣向も効いています。

役者も曲者を揃えていて、
大仰なアングラ芝居がさく裂するのも楽しい時間です。
ただ、女性陣はもっと際どい芝居が欲しかったという気もしましたし、
謎の男を演じたオクイシュージさんは、
役者としては少し弱かったと思いました。
たとえば、当日観劇もされていた師匠筋の松尾スズキさんが、
同じ役を演じられたとすれば、
また別の次元の作品が生まれたような気がします。
オクイさんが演じると、
何か矢張りもう少し説明を求めてしまうので、
それが結局ないというのが、
非常に物足りない気がするのです。

いずれにしても小劇場の妙味が、
美しくグロテスクにデコレーションされた素敵な作品で、
こうした作品はまた是非観たいと思いました。

頑張って下さい。
欲を言えばオクイさん本人の役はもっと別のものにして、
秘められた物語は、
もっとシンプルでかつ情緒を揺らすようなものにして下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

ケラ「陥没」(シアターコクーン・オンレパートリー2017) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
陥没.jpg
ケラさんがシアター・コクーンで上演している、
ナイロン100℃とはまた傾向の違う作品群の新作として、
「陥没」と名付けられた新作が今上演されています。

1963年の東京オリンピックの直前が舞台ということで、
何となく現在と照らし合わせた社会風刺的な作品を想像してしまうのですが、
実際には死んだ父親に見守られて、
不幸な結婚をした小池栄子さん演じるヒロインが、
自分の人生を取り戻すという、
軽い味わいのファンタジックでほのぼのとした作品でした。

ただ、それにしては3時間半という上演時間は、
如何にも長大で、
派手な場面は岩松了さんの戯曲のように、
敢えて描かないというポリシーなので、
余白を楽しみなさいと言われても、
かなりきつい観劇だった、
というのが本音でした。

勿論ケラさんがそんなことは当然承知の上で、
この作品を作ったのだということは分かるのですが、
上演時間を2時間くらいに圧縮すれば、
凄い傑作になったかも知れないのに、
などと思うと矢張りとても残念な気持ちになってしまいます。

前作の「キネマと恋人」が、
長さは同じくらいでも、
本当に素晴らしい傑作であったので、
どうしても点が辛くなってしまうのですが、
今回は個人的にはガッカリでした。

台本はおそらく早く上がらなかったのだと推察するのですが、
舞台は非常に綺麗に出来ているのに、
セットの個々のパーツがあまり有機的には使われていませんし、
中央に舞台のようなスペースがあるのに、
そこは実際には殆ど使用されていません。

キャストも個々のレベルでは非常に良い芝居をしているのですが、
個々の人物の物語があまり上手く絡み合っていかないので、
それほど客席が沸くような瞬間がありません。
特に松岡茉優さんの役などは、
見せ場もなく余白も上手くなくて残念でした。

元々作品の凹凸の激しいケラさんですが、
題名通り今回はやや陥没した作品だったように思います。

それでも全体としては水準以上のクオリティを保っている点は、
さすがケラさんだという思いはありました。

また次に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。

誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ

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  • 作者: 石原藤樹
  • 出版社/メーカー: 総合医学社
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 単行本


庭劇団ペニノ「ダークマスター」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日ですが、
祝日のため診療は休診です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
ダークマスター.jpg
精神科医でもあるタニノクロウが主宰の劇団、
庭劇団ペニノの代表作の1つである「ダークマスター」が、
関西版として、大幅に改訂の上、
今アゴラ劇場で上演されています。

この作品は2003年に下北沢駅前劇場で、
2006年にアゴラ劇場で上演されています。
僕はどちらも見逃していて、
2006年版は映像では見ています。
如何にもペニノらしい得体の知れない作品で、
ラストの大仕掛けの屋台崩しが印象的でした。

今回は同じラストにはしない、
というタニノさんの発言があったので、
どのような別個の驚きがラストに待っているのだろうと、
期待は膨らみました。

鑑賞後の感想としては、
ラストには特に仕掛けはなく、
極めて予定調和的な普通の終わりになっていました。

タニノさんの劇作としては、
これまでにないくらい分かりやすい作品で、
原作である漫画をほぼ忠実にドラマ化しています。
異なっているのは、
姿を見せなくなった店の店主の存在自体が揺らぐという、
原作のラストの雰囲気があまりなかったことと、
台頭する中国資本を具現する謎の男が、
登場するということだけです。

ただそうした改変の効果は意外に大きくて、
丁寧に物語が紡がれた前半に対して、
後半の展開はやや唐突で、
ラストも何となく尻すぼみに終わってしまった、
という印象が拭えませんでした。

やや期待が大きすぎたのかも知れません。

以下ネタバレを含む感想です。

非常に細かく作り込まれた洋食屋のセットがあり、
その天井には大きなモニターが仕込まれています。
そして客席には片耳用ですが、
観客全員にイヤホーンが設置されています。

物語はこの店にバックパッカーの無職の若者が訪れるところから始まります。
店主のオヤジは若者に店を任すと急に言い出し、
店の2階に引きこもると、
若者の耳に埋め込んだイヤホーンから指示を出して、
若者を操って料理を作らせます。

観客が客席のイヤホーンを通して、
店主の声を実際に聴き、
舞台上のキッチンでは、
実際に料理が作られ、
その匂いも客席に届きます。

そのうちに姿を見せない店主の声と、
若者の肉体は一体化してゆき、
店主が苦しむと若者が薬を飲んで治し、
若者が酒を飲むと店主も酔い、
デリヘルの女性と若者がセックスをすると、
店主の声も絶頂に達するのです。

そこからがちょっときわどくて、
店の味を盗もうとする中国人の男と喧嘩をして、
逆に散々に暴行を受けます。
ラストはオープニングと同じように、
若者が演じる店主の元を、
別のバックパッカーの男が訪れて終わります。

非常に良く出来た話でディテールの作り込みも見事です。
ただ、矢張りラストは前回の屋台崩しを、
どうしても期待してしまうので、
物足りない感じは否めませんでした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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NODA・MAP「足跡姫」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
足跡姫.jpg
NODA・MAPの第21回公演として、
亡くなった中村勘三郎に捧げると明記した、
江戸時代を舞台にした作品が今上演されています。

と言ってもいつもの野田ワールドであることに違いはなく、
江戸時代が舞台とは言っても、
衣装は着物と洋服のコラボみたいなものですし、
言葉も特別時代掛かっている、という訳でもありません。
最近の野田さんの作品はいつもそうですが、
政治色の強いテーマを除けば、
そのスタイルはかつての遊眠社時代に回帰している、
という感じがあります。

ラストになってみると、
なるほど、これだから勘三郎へのオマージュなのか、
と思われるところはあり、
かなり直接的にそれを示す台詞もあります。
また初代勘三郎が生きた時代を、
物語に取り込もうと工夫をされた部分が、
随所に感じられます。
ただ、それでも結局は政治的アジテーションが顔をもたげる辺りが、
良くも悪くも今の野田さんの芝居ということなのだと思います。

以下ネタバレを含む感想です。

作品は初代勘三郎が猿若と名乗っていて、
猿若舞を江戸城で披露したという記録があり、
それが丁度由井正雪の乱が起こった時と、
ほぼ一致していた、
という史実を元にしています。

妻夫木聡さんが演じるサルワカは、
宮沢りえさんが演じる女歌舞伎の役者の弟で、
かつての遊眠社芝居の主役のように、
夢想と妄想に生きる若者なのですが、
ストリップまがいの芸能であった女歌舞伎が、
姉に「足跡姫」という一種の芸能女神が取り憑いて、
モダンな藝術へと姿を変えます。

時は由井正雪の乱が鎮圧された直後で、
盗み出された古田新太さんが演じる由井正雪の死体が、
何故か息を吹き返して、
サルワカの幽霊小説家(ゴーストライター)として、
歌舞伎台本を世に送り出します。

彼らの歌舞伎は一世を風靡して、
遂に江戸城に招かれ、
将軍様の前で歌舞伎を披露するまでになるのですが、
由井正雪の乱の残党が、
それを隠れ蓑にして城内に攻め入り、
御簾の奥にいる将軍を刺すと、
それは実は由井正雪で、
数年前に将軍は由井正雪に刺されて死に、
由井正雪がその身代わりを務めていたことが明らかになります。

足跡姫に取り憑かれた女性は死に、
最後にサルワカは、
自分が初代の歌舞伎役者となって、
400年後まで芸の命を伝えることを誓います。

藝術は権力にどう立ち向かうべきか、
という辺りが作品の主なテーマで、
こうしたテーマは「贋作罪と罰」でもありましたし、
遊眠社時代の多くの作品も、
今から思うとそうしたテーマが隠れていた、
というような気がします。
御簾内の権力者を藝術の刀が差し貫くと、
それはかつてのテロリストが成り代わった亡霊だった、
というのも、
野田戯曲のクライマックスに、
これまでにも何度か登場した印象的な場面です。

実際に今の野田さんは、
権力者の前で芸能を演じるような立場になっているのですから、
野田さんの今後の実際の活動を、
今回の作品は暗示しているのかも知れません。

個人的にはあまり賛同はしませんが、
興味深くは感じます。

その一方で勘三郎の芸の原点に何があったのか、
という歴史ドラマとしての趣向は、
最後の長台詞でやや言い訳的に語られるものの、
あまり作品の中で大きな位置を占めていたようには思いませんでした。

キャストは核となる主役3人は、
皆生き生きとして演じていて、
まずは及第点であったように思います。

演出としては歌舞伎の囃子方を招いて、
効果音を時々演奏していましたが、
あまり効果的に使われてはいませんでした。
歌舞伎界から中村扇雀さんが、
伊達の十役人という、
「伊達の十役」をパロッて、
1人で10人の役人を演じさせるという趣向がありましたが、
浅野和之さん当たりが演じたら、
如何にも楽しかったろうという感じで、
あまり面白くはなっていませんでした。
こうした感じでは、
「ああ、歌舞伎役者は詰まらないな」
というような印象しか残らないので、
扇雀さんにはあまりこうした客演は、
して欲しくなかったな、
というのが正直なところです。
正統派の女形としては、
なかなかの部分のある役者さんなのですから、
歌舞伎の道に精進して欲しいと思いました。

最近のNODA・MAPとしては水準点の作品で、
政治的なテーマなんてなくていいのに、
というのが一貫した僕の感想ですが、
比較的まとまりには難が少なく、
観やすい作品には仕上がっていたように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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