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膵臓癌発症に関わる生殖細胞突然変異とその意義について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームや保育園の診療には廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
膵癌と遺伝子変異.jpg
2018年のJAMA誌に掲載された、
膵臓癌の遺伝子変異の意義を検証した論文です。

癌というのは遺伝子の変異が複数蓄積することで、
発症に至ると考えられています。
このうちで遺伝性の癌や癌の素因として影響するのは、
生殖細胞に起こる突然変異で、
これは親から子供に形質として遺伝します。

たとえば癌抑制遺伝子に関する生殖細胞突然変異があれば、
癌細胞が身体で生まれた時に、
それを修復するような力が弱いので、
それだけ癌が発症し易いと考えられます。

家族性乳癌の原因遺伝子として有名な、
BRCA1やBRCA2の遺伝子の変異は、
こうした生殖細胞突然変異の1つで、
この変異があることにより、
高率に乳癌が発症することが知られています。

予後の悪い癌として有名な膵臓癌(浸潤性膵管癌)にも、
複数の原因遺伝子としての生殖細胞突然変異が知られていますが、
そのスクリーニングや経過観察における意義は、
まだ定まったものではありません。

今回の研究はメイヨー・クリニックにおいて、
膵臓癌に関連する可能性のある21種類の生殖細胞突然変異と、
膵臓癌のリスクとの関連を、
3030例の膵臓癌の事例と、
癌のない123136名のコントロールと比較して、
検証しています。

その結果、
21種類の遺伝子変異のうち、
6種類の変異がそれぞれ独立して、
膵臓癌のリスクと関連を持っていました。

最も膵臓癌のリスクと関連があったのは、
CDKN2Aという癌抑制遺伝子の変異で、
膵臓癌群の0.3%、コントロール群の0.02%で認められ、
この変異があることにより、
膵臓癌のリスクは12.33倍(95%CI: 5.43から25.61)有意に増加していました。
それ以外にBRCA1、BRCA2、TP53、ATM、MLH1という5つの遺伝子の変異が、
CDKN2A遺伝子ほどではありませんが、
それぞれ有意に膵臓癌のリスクを増加させていました。

この6つの遺伝子変異を併せてみると、
膵臓癌の患者さん全体のうち5.5%は、
何らかのこれらの遺伝子変異を持っていました。
遺伝性の癌に限るとその比率は7.9%に増加していました。

このように、
遺伝子変異の有無により膵臓癌のリスクは上昇しますが、
全体に占めるその比率はそれほど高いものではないので、
どのような対象者に検査をすることが、
有用性が高いのかの検証が必要ですし、
遺伝性でCDKN2A遺伝性の解析を行って、
膵臓癌のスクリーニングを、
変異の陽性者で継続したところ、
通常より予後が良かった、
という報告もあるので、
今後どのような遺伝子変異を組み合わせて、
スクリーニングを施行することが、
患者さんの予後の改善に結び付くのか、
その観点での検証にも期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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睡眠時間と認知症と死亡リスク(2018年久山町研究) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックのお石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
睡眠時間と認知症久山町研究.jpg
2018年のJournal of the American Geriatrics Society誌に掲載された、
日本の代表的な疫学データを活用した、
睡眠時間の長短と認知症の発症リスク、
および生命予後との関連についての論文です。

睡眠と認知症との関連についてはこれまでにも多くの報告があります。

昼間に眠気や居眠りについては、
認知症のリスクや認知機能低下のリスクと、
関連があるという報告が複数あり、
これは脳の覚醒機能の低下によるものと考えられています。

睡眠時間と認知機能との関連についても複数の報告がありますが、
睡眠時間が長い方が認知機能の低下と関連がある、
と言う報告がある一方で、
睡眠時間と認知機能との間には関連はない、
という報告もあってその見解は割れています。

2017年のNeuroapidemiology誌に掲載されたメタ解析では、
20の疫学研究における、
トータルで53942名(平均年齢66.9歳)のデータをまとめて解析した結果、
7から8時間未満という平均の睡眠時間と比較して、
8時間から10時間以上という長時間の睡眠は、
認知機能低下のリスクを1.42倍(95%CI:1.27から1.59)、
軽度認知機能障害のリスクを1.38倍(95%CI;1.23から1.56)、
認知症のリスクを1.42倍(95%CI:1.15から1.77)、
それぞれ有意に増加させていました。

これは睡眠時間が長い方が、
認知症のその後の発症リスクは高い、
という結果です。

今回の研究は日本の代表的な疫学データの1つである、
九州の久山町研究のデータによるもので、
登録の時点で60歳以上で認知症のない、
トータル1517名の一般住民を対象として、
中央値で8.8年間の経過観察を行い、
睡眠時間と認知症の発症、および生命予後との関連を検証しています。

睡眠時間は対象者の申告によるもので、
5時間未満、5時間から6.9時間、7から7.9時間、8から9.9時間、
10時間以上に区分されています。

その結果、
経過観察中に294名が認知症を発症し、
282名が死亡しています。

睡眠時間と認知症との関連を見ると、
5から6.9時間を基準とした時に、
5時間未満では2.64倍(95%CI: 1.38から5.05)、
10時間以上では2.23倍(95%CI: 1.42から3.39)と、
いずれも有意に認知症のリスクが増加していました。

また、総死亡で見ても、
5から6.9時間を基準とした時に、
5時間未満では2.29倍(95%CI: 1.15から4.36)、
10時間以上では1.67倍(95%CI: 1.07から2.60)と、
睡眠時間が長くても短くても、
いずれも総死亡のリスクは有意に増加していました。

このリスクの最も低い睡眠5から6.9時間において、
対象者が睡眠剤を使用していると、
していない場合と比較して、
認知症発症リスクは1.66倍に、
総死亡のリスクも1.83倍にそれぞれ増加していました。

死亡リスクの増加と睡眠時間との関連について、
個別の死亡原因との関係を検証しましたが、
心血管疾患、癌、呼吸器疾患による死亡には有意な差がなく、
それ以外の死因においてのみ、
有意な関連が認められました。

このように今回のデータでは、
睡眠時間が5時間未満と短くても、
10時間以上と長くても、
いずれも認知症リスクも総死亡のリスクも
増加するという結果になっています。

ただ、これはそうした睡眠の習慣自体がリスクであるのか、
それとも睡眠時間を短くしたり長くしたりするような、
病気や薬などの影響がそうした結果をもたらしているのか、
そうした点は分からない、ということには注意が必要です。

また今回の睡眠時間のデータは、
あくまで本人の申告によるものですが、
眠れない、と主張する人に限って、
実際には意外に多く寝ている、
というようなことも経験しているので、
それをそのまま鵜呑みにしてデータ化することにも、
問題はあるように思います。

いずれにしても、
レビー小体型認知症における、
レム睡眠行動異常(夜に夢を見て実際に暴れたりする)は、
認知症に先行にしてかなり早い時期から出現している、
という知見もありますし、
認知症と睡眠というものは、
かなり関連の深いものであることは確かなようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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原発性胆汁性胆管炎へのベザフィブレートの上乗せ効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
PBCの治療.jpg
今年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
原発性胆汁性胆管炎という胆道の病気の、
新しい治療の効果についての論文です。

原発性胆汁性胆管炎という病気があります。
これは自己免疫疾患の一種で、
肝臓の中の小さな胆管に、
リンパ球系の炎症が進行性に起こり、
肝硬変や肝不全に移行することもある、
という難病の1つです。

以前は原発性胆汁性肝硬変(PBC)と呼ばれていましたが、
元々小さな胆管に起こる病気で、
肝硬変になる方は比率的には少ないので、
2015年に国際的な取り決めにより、
原発性胆汁性胆管炎という病名に変更となりました。
ただ、難病指定されている関係もあり、
日本ではまだ原発性胆汁性肝硬変という病名も使用されています。

この病気の根本的な治療は未だありませんが、
1991年にウルソデオキシコール酸(商品名ウルソなど)という胆汁酸の一種に、
この病気による検査値を改善する効果のあることが発表されました。
臨床報告自体は1980年代よりあり、
それが精度の高い臨床試験により確認されたのです。
New England…誌に載ったその文献がこちらです。
PBCへのウルソの効果.jpg
文献によれば2年間のウルソの使用(体重kg当たり13から15ミリグラム)により、
偽薬と比較して病状や検査値にはトータルな改善が認められました。

その後も同様の研究結果が複数報告され、
ウルソデオキシコール酸は原発性胆汁性胆管炎の、
標準治療となりました。

ただし、病気の性質上、
肝硬変に以降する患者さんが明確に減ったり、
生命予後が明確に改善した、
というような結果は殆ど得られませんでした。
また、4割の患者さんでは、
この治療による充分な反応は認められませんでした。

つまり、ウルソデオキシコール酸の治療が、
不充分な場合の別の治療が必要なのです。

その1つの候補として開発され、
アメリカでは2016年に採用されているのがオベチコール酸です。 

胆汁酸は脂肪の消化吸収を助ける作用を持つ物質ですが、
最近の研究により、細胞核の核内受容体である、
FXRという受容体に結合して、
様々な細胞応答を行なう、
という別個の作用も持っています。

このFXRを強く活性化する胆汁酸として誘導された物質が、
オベチコール酸です。

ウルソデオキシコール酸の原発性胆汁性胆管炎に対する効果も、
その一部はFXRを介したものと想定されていますから、
オベチコール酸はより高い有効性が想定されるのです。
そして、既に非アルコール性脂肪肝炎においても、
一定の有効性が確認されています。

2016年のNew England…誌に掲載された、
オベチコール酸の第三相臨床試験においては、
ウルソデオキシコール酸で効果の不充分か副作用などのために使用が困難な、
原発性胆汁性胆管炎の患者さん217名を、
患者さんにも主治医にも分からないように3つの群に分け、
第1のグループは1日10ミリグラムのオベチコール酸を使用し、
第2のグループは1日5ミリから10ミリグラムのオベチコール酸を使用し、
第3のグループは偽薬を、
ウルソを使用していればそれに上乗せの形で、
12ヶ月の継続使用を行なっています。
全体の93%ではウルソが使用されていました。

比較のポイントは、
ALPという数値が最低でも治療前から15%低下して、
正常上限の1.67倍未満となり、
総ビリルビンが正常となることを有効としています。

治療により有効と判定されたのは、
オベチコール酸5から10ミリグラム群では46%で、
10ミリグラム群では47%であったのに対して、
偽薬では10%に留まっていました。
非侵襲的な肝臓の線維化の指標には、
3群間で有意な差は認められませんでした。

有害事象ではかゆみはオベチコール酸の使用で頻度が高く、
重篤な有害事象もオベチコール酸の使用で高かったのですが、
心不全や肝不全に伴う症状が多く、
あまりオベチコール酸の使用と、
因果関係が想定されるものはありませんでした。

この臨床試験では、
確かに一定の上乗せ効果がオベチコール酸には認められています。

ただ、実際には有効であったのは半数以下に留まっていて、
関連は明確ではないとは言え、
全体に有害事象が多くなっている、
という点にも注意が必要な結果でした。

この薬は日本においても導入が検討されましたが、
2018年2月の大日本住友製薬のプレスリリースによると、
その開発は中止されたようです。
そのプレスリリースがこちらです。
オベチコール酸.jpg
どういう事情かは分かりませんが、
少し残念な気がします。

さて、このオベチコール酸以外に、
ウルソデオキシコール酸の効果が不充分な場合に、
その上乗せとして検討されている薬が、
PPAR作動薬で、
現在中性脂肪の降下剤として使用されている、
ベザフィブレートです。

今回の第3相臨床試験では、
ウルソデオキシコール酸による治療効果が不充分であった、
原発性胆汁性胆管炎の患者さん100例を、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで50例ずつの2群に分け、
一方はウルソデオキシコール酸に上乗せして、
ベザフィブレート1日400mgと使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
24ヶ月の治療を継続し、その効果を比較しています。

ウルソデオキシコール酸は、
体重1キロ当り13から15mgが使用されています。
その6ヶ月以上の治療を行っても、
血液のALPやALTという肝機能の数値が、
正常上限の1.5倍を超えて上昇しているか、
総ビリルビン濃度が異常値であることが、
対象者の条件となっています。
ただし、総ビリルビン濃度が3mg/dLを超える場合は除外されています。

その結果、
治療終了の時点で全ての肝機能の数値が正常な比率は、
ベザフィブレート群が31%であったのに対して、
偽薬では0%で、ベザフィブレートの治療により、
明確な治療効果が認められました。
血液のALPの正常化率のみで見ると、
偽薬では2%に対してベザフィブレート群では67%で、
肝臓の繊維化の指標についても、
有意な改善効果が認められました。
有害事象としては筋肉痛や腎機能の低下が、
治療群では有意に高くなっていました。

このように完全に数値が正常化したのは3割ですが、
3分の2以上の対象者で治療効果は認められ、
ベザフィブレートというこれまで使用経験の多い安価な薬で、
明確な治療効果の得られた意義は大きく、
日本でも使用可能な薬であることも考えると、
今後の進捗を期待して待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コーヒーと慢性腎臓病(2018年韓国の疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと慢性腎臓病.jpg
2018年のthe American Journal of Medicine誌に掲載された、
コーヒーと慢性腎臓病との関連についての、
韓国の疫学データを解析した論文です。

2012年のNew England…の疫学論文以降、
コーヒーを適度に飲むことに健康上のメリットがあり、
各種の疾患や死亡リスクを減少させるという知見は、
ほぼ確立されたという感があります。

コーヒーに含まれているカフェインは、
短期的には血圧を上昇させますが、
慢性の投与ではむしろ血圧を降下させ、
他に含まれるクロロゲン酸などの生理活性物質には、
抗酸化作用は抗炎症作用のあることが確認され、
それが心血管疾患の予防に繋がると想定されています。

慢性腎臓病は生命予後に大きな影響を与える内臓疾患で、
その成因は高血圧や動脈硬化など、
心血管疾患ともリンクする部分がありますが、
心血管疾患の予防のための戦略が、
必ずしも慢性腎臓病の予防には繋がらない、
という複雑な側面もあります。

今回の研究ではこれまであまり明確ではなかった、
コーヒーの摂取量と慢性腎臓病の予後との関連を、
韓国の住民データを活用して検証しています。

別個の疫学データから抽出した、
登録の時点で腎機能の正常な40から69歳の8717名を対象に、
コーヒーの常用量を週に0杯、週に1杯未満、週に1から6杯、
毎日1杯、毎日2杯以上の5つに分け、
慢性腎臓病の発症リスクと、
コーヒーの摂取量との関連を検証しています。

対象者のうち52.8%は毎日コーヒーを飲む習慣があり、
中間値で11.3年の経過観察期間中に、
そのうちの9.5%が慢性腎臓病を発症していました。

血圧や心血管疾患、糖尿病などの関連する因子を補正した結果として、
コーヒーを全く飲まない人と比較して、
毎日1杯飲む人は24%(95%CI: 0.63から0.92)、
毎日2杯以上飲む人は20%(95%CI: 0.65から0.98)、
慢性腎臓病の発症リスクが有意に低下していました。
推計の糸球体濾過量の低下率も、
コーヒーの常用者では低下していました。

このように、
心血管疾患のこれまでのデータと比較して、
クリアさはやや欠けるという気がしますが、
コーヒーの飲用は慢性腎臓病の発症についても、
一定の有効性があることが示されたことには意義があり、
今後また別個のデータによる検証の積み重ねを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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ビタミンとミネラルのサプリメントの心血管疾患に対する効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
サプリメントとビタミンの効果.jpg
2018年のJournal of the American College of Cardiology誌に掲載された、
ビタミンやミネラルのサプリメントの、
心血管疾患の予防と治療に対する効果を検証した、
メタ解析の論文です。

各種ビタミンやカルシウムなどのミネラルの不足が、
心血管疾患のリスクになり、
バランスの取れた食事がその予防に結び付くことは、
多くの疫学データからほぼ実証されている事実です。

ただ、特定のビタミンやミネラル、
またそれを選択して複数のものを、
サプリメントとして摂ることが、
心血管疾患の予防や治療に有効であるのか、
と言う点については未だ一致した見解が得られていません。

ビタミンDやカルシウム、ニコチン酸については、
比較的多くの臨床研究が存在していますが、
少なくとも明確な予防や治療の効果は確認されていません。

今回の研究はこれまでのメタ解析と、
それ以降の個別の介入試験のデータをまとめて解析したもので、
現時点での信頼のおける集めうるデータの全てを、
集大成したと言って良い内容になっています。

その結果、
信頼性はそれほど高くはないものの、
心血管疾患の予防効果が有意に認められたのは、
心血管疾患トータルに対する葉酸のサプリメントの効果と、
葉酸とビタミンB群のサプリメントの脳卒中に対する効果です。

それ以外には明確な有用性の認められたものはなく、
マルチビタミン、ビタミンC、D、βカロテン、
カルシウム、そしてセレニウムのサプリメントは無効で、
抗酸化物質の合剤
(ビタミンA、C、E、βカロテン、セレニウム、亜鉛のうちの2種類以上)
とナイアシンとスタチンの同時投与については、
総死亡のリスクをむしろ増加させていました。

このようにほぼ全てのビタミンとミネラルのサプリメントは、
心血管疾患の予防や治療には無効もしくは有害で、
食事でのバランスの良い摂取を心がけることとは、
全く意味合いの違うことであると考えた方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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松尾スズキ「ニンゲン御破算」(2018年上演版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ニンゲン御破算.jpg
2003年に先代勘九郎が主演した舞台を、
キャストを大幅に入れ替えて15年ぶりに再演した、
松尾スズキさんの異色時代劇「ニンゲン御破算」を観て来ました。

これは初演も勿論観ています。
2000年にコクーンで上演した「キレイ」が大傑作で、
興行的にも成功を収めたので、
その第二弾のプロデュース公演として、
鳴り物入りで上演されたものです。

当時は小劇場の作家が歌舞伎に参入するのが、
ある種の流行りでもありましたから、
これは松尾さんなりの新作歌舞伎と考えても、
そう誤りではないと思います。

ただ、初演ははっきり言えば大失敗で、
何より勘九郎さんはどう見ても松尾さんの作品には合っておらず、
他の大人計画のメンバーとも水と油の感じで、
大御所歌舞伎役者の舞台上での空回りぶりが、
とても痛々しく感じられるような無残な公演でした。

内容的にも主人公の戯作者の
「書くことが思いつかない」という嘆きが、
作者の松尾さん自身の私的な苦悩を幼稚に吐露しているようで、
2幕の終わりなどうんざりする気分になってしまいました。

今回の久しぶりの再演は、
松尾さん自身初演の出来映えに納得がいかなかったのかな、
というようにも思いますし、
一方でコクーンで上演する松尾さんの作品が、
タネギレになって苦し紛れに持ち出して来たのかな、
と思わなくもありません。

ただ、今回の再演はなかなかの出来映えで、
これはもう間違いなく初演を超えていますし、
松尾スズキ版の新作歌舞伎として、
野田秀樹さんや三谷幸喜さん、
串田和美さんの仕事と比較しても、
遜色のない水準に仕上がっていたと思います。

松尾さん、意外にやるじゃん、
という感じです。
(分をわきまえない発言お許し下さい)

これは主人公の善悪も性別も貴賤も、
あらゆる規範を無視したような怪物的な役者で戯作者が、
虚実ないまぜの幕末から明治に至る自身の人生を語り、
それに鶴屋南北と河竹黙阿弥という江戸末期の希代の戯作者が、
突っ込みを入れるという趣向の新作歌舞伎で、
生演奏あり本水の立ち回りあり残酷見世物ありと、
歌舞伎の趣向を現代的にアレンジして繰り広げられた、
松尾スズキ版幕末武勇伝です。

発想は抜群ですよね。

これは初演は実際の大看板の勘九郎さんが主役を演じ、
そこに南北役の松尾スズキさんと、
黙阿弥役の宮藤官九郎さんという、
こちらも当代を代表する戯作者が突っ込みを入れるというキャストなので、
それだけ聞けばとても面白そうです。
ただ、前述のように初演では、
勘九郎さんの中途半端な芝居が空回りして、
松尾さん達と全くかみ合っていない大失敗に終わりました。

今回の再演では主役を阿部サダヲさんが演じ、
松尾スズキさんとノゾエ征爾さんが突っ込みを入れる、
という感じになっていて、
正直ノゾエさんの役はクドカンにして欲しかったと思いますが、
座組的にもう松尾さんとクドカンは、
共演は難しいのでしょうから仕方がありません。
いずれにしても今回の3人は呼吸はピッタリですから、
3人のやり取りだけでもとても楽しく、
作品の面白さが、
初演よりずっとしっかりと伝わったのは、
意義のある再演であったと思います。

初演で阿部サダヲさんと吹越満さんが演じたマタギの兄弟を、
今回は荒川良々さんと岡田将生さんが演じていて、
これも初演よりスケールアップして作品をがっちり固めていました。

初演のヒロインの田畑智子さんは、
色々事情もあってのことなのでしょうが、
お元気が不足していて今一つでしたが、
今回は見た目はほぼ同一でも、
元気は5割増しくらいの多部未華子さんが頑張っているので、
この点でも今回が上でした。
それ以外のキャストは地味目なのですが、
品川宿の婆役の平田敦子さんや、
主人公の母親役の家納ジュンコさんの熱演が楽しく、
トータルにはとてもバランスの取れた、
素敵な座組でした。

作品的にも今回すっきりとした構成と演出で、
改めて見直してみると、
松尾さんが非常に歌舞伎を研究してこの作品を書いたことが分かり、
やや穏当に走っている点がらしくはないものの、
松尾さんの裏代表作の1つと言っても、
言い過ぎではないように感じました。

これね、たとえば主人公の祝言で、
花嫁行列や仏壇がぞろぞろ入って来て、
それから悲劇が起こるというところとか、
南北の芝居のお馴染みの趣向の1つなんですよね。
宿屋の左右の部屋で密談をするところとかも、
これも南北劇でよくある場面なんです。
黙阿弥めいた偶然が交錯する構成もあったり、
とても歌舞伎を勉強して書かれているのです。
それから地下にヒロインを招くところで、
「オペラ座の怪人」を使ったり、
旅芸人の一座と穴掘りを用意して「ハムレット」の趣向にしたり、
色々な演劇手法を貪欲に取り入れて、
それを1つの世界に綺麗に落とし込んでいるでしょ。
なかなかの手腕だと感心しました。

そんな訳でそれほど期待をせずに足を運んだのですが、
久しぶりに松尾さんの世界を堪能して、
充実した気分に浸ることが出来たのです。

なかなかお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「万引き家族」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
健康教室のために午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
万引き家族.jpg
カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した、
是枝裕和監督の「万引き家族」を観て来ました。

昨年は「三度目の殺人」という、
サスペンス作品が話題となった是枝監督ですが、
この「万引き家族」はかつての「誰も知らない」に近いテイストで、
それぞれの思惑がありながら、
年金生活の老女の家に転がり込み、
それぞれ別個の生活を持ちながら、
偽物の「家族」として生活する、
3世代の男女の物語です。

基本ラインは「誰も知らない」と同じで、
親に見捨てられた兄と妹(ただし虚構の…)の物語なのですが、
「誰も知らない」が徹頭徹尾子供視点であったのに対して、
今回の作品はより重層的で、
同居するそれぞれの大人にも、
それぞれのドラマがある、という内容になっていて、
群像劇でありながら、
ありがちな薄っぺらで総花的な内容にはなっていない、
という辺りに是枝監督の成熟を感じます。
通常の倫理観から少し自由になっていると言う点と、
それに伴うある種の危うさのようなものは、
「誰も知らない」と同じです。

日本映画が取ったカンヌのグランプリと言うと、
「影武者」にしても「うなぎ」にしても、
決してその監督の代表作と言えるような出来栄えではなく、
功労賞的な意味合いを感じさせるようなものばかりでしたが、
今回の「万引き家族」は、
是枝監督の代表作で最高傑作と言っても、
全く誇大表現ではない完成度と熟成度のある作品で、
初めて本当の意味でグランプリにふさわしい日本映画が、
グランプリを取ったと言って良いように思います。

好き嫌いはあっても、
必見の作品であることは間違いがなく、
数年に1本という力作であることは、
これも間違いはないと思います。

ともかく是枝監督のこれまでの映画の、
良い要素はその全てがありますし、
全てが十全に練り上げられて、
一篇の映像詩として昇華されています。

映像は特に俯瞰と引きのカットが美しくて、
見えない花火を屋根の隙間から仰ぎ見るという、
技巧の極致のような場面も良い一方で、
雪道や駐車場などの、
さりげない俯瞰の効果がまた抜群なのです。
僕が特に気に入っているのは、
リリー・フランキーと安藤サクラさんが下着姿でそうめんをすすっていると、
にわかに空が暗くなって夕立になり、
その暗闇をきっかけとして2人が抱き合うワンカットで、
勿論天気を演出は出来ませんから、
特殊効果であることは間違いがないのですが、
極めて自然でエロチックで、
夏のあばら家の空気が感じられるような、
優れて映画的な名場面だったと思います。

キャストは全て名演と言って良いもので、
僕のある意味人生の目標でもあるリリー・フランキーさんは、
彼の人生最高と言って良い芝居をしていますし、
相手役の安藤さくらさんがまた艶っぽく良いのです。
昔の桃井かおりさんを超えたと思いました。
子役の達者さもそれはそれで良いですし、
かなり体当たり的な松岡茉優さんも、
彼女ならではの心に染み付くような芝居でした。
樹木希林さんはもう自然体の極致ですが、
パチンコ屋でずるをした時の凄味のある笑いなどは、
それを切り取った監督もさすがですが、
戦慄的な思いすら感じました。

ラストは例によって、
観客の期待を鮮やかに裏切って、
映画という虚構をなで斬りにするように終わるのですが、
こうした趣向が失敗することも多々ある中で、
今回のラストは、
観客が次の何かを期待し切望する一瞬をなで切ることで、
「ここからは皆さんが物語を紡ぐ番です」
と言われているようで、
なかなかの切れ味であったと思いました。

色々と作品外で物議もかもしている本作ですが、
一個の作品として素晴らしいことは間違いがなく、
是非是非見逃さないで頂きたいと思います。

日本映画的な、
あまりに日本映画的な傑作です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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飲酒量と心血管疾患リスク(2018年ヨーロッパの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日なのでクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルコールと心血管疾患.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
飲酒量と心筋梗塞や脳卒中の関係についての論文です。

お酒の量と病気との関係については、
色々な意見があります。

大量のお酒を飲んでいれば、
肝臓も悪くなりますし、
心臓病や脳卒中、高血圧などにも、
悪影響を及ぼすことは間違いがありません。

ただ、アルコールを少量飲む習慣のある人の方が、
全く飲まない人よりも、
一部の病気のリスクは低くなり、
寿命にも良い影響がある、
というような知見も複数存在しています。

日本では厚労省のe-ヘルスケアネットに、
日本のデータを元にして、
がんと心血管疾患、総死亡において、
純アルコールで平均23グラム未満(日本酒1合未満)の飲酒習慣のある方が、
全く飲まない人よりリスクが低い、
という結果を紹介しています。

その一方で、
昨年のメタ解析の論文によると、
確かに飲酒量が1日アルコール23グラム未満であれば、
機会飲酒の人とその死亡リスクには左程の差はないのですが、
1日1.3グラムを超えるアルコールでは、
矢張り死亡リスクは増加する傾向を示していた、
というようなデータが紹介されています。

他にも複数のデータやメタ解析が存在していますが、
1日20グラムくらいまでのアルコールが、
健康上大きな問題がなさそうだ、
という点では一致しているものの、
より多い量のアルコールの影響や、
少量のアルコールは健康に良いのか、
というような点については、
その意見はまだ様々です。

これまでの疫学データの1つの問題点は、
その登録時の飲酒量でのみ議論が行われていて、
長期間の累積の飲酒量などは判断されていない、
ということです。

そこで今回の研究では、
ヨーロッパ10カ国で行われた、
癌と食事についての大規模な疫学データを活用して、
アルコールの摂取量と心血管疾患のリスクとの関連を、
登録時の飲酒量と累積の飲酒量、
またお酒の種類や病気の細かい区分毎に、
これまでより詳細な検証を行っています。
登録時に心血管疾患のない、
トータル32549名が対象となっています。

その結果、
1日60グラムを超える比較的多い飲酒量においても、
飲酒量が多いほど、
非致死性の虚血性心疾患の発症リスクは低下していました。
1日12グラムのアルコール当たり、
そのリスクは6%程度低下していました。

致死性の虚血性心疾患については、
1日0.1から4.9グラムというあまりお酒を飲まない群と比較して、
1日15.0から29.9グラム摂取している群は、
35%(95%CI: 0.53から0.81)と最もそのリスクは低下しており、
それより少なくても多くても、
そのリスクは増加していましたが、
1日30.0から59.9グラムという、
結構多い量の飲酒をしている群でも、
そのリスクはあまりお酒を飲まない群より低い傾向にありました。

一方で脳卒中に関して見ると、
飲酒量が多いほどその発症リスクも高い、
という相関が認められました。
非致死性脳卒中では1日アルコール12グラム当たり4%、
致死性脳卒中では5%、
それぞれリスクは増加していました。
この傾向は虚血性梗塞でも出血系梗塞でも同様でした。

以上のような心血管疾患リスクと飲酒量との関連は、
登録時の飲酒量を用いたものですが、
それを累積の飲酒量を平均化したもので行っても、
その結果はほぼ同一になりました。
アルコールの種類による検討では、
ビールは非致死性脳卒中のリスクを増加させましたが、
ワインのみではそうした傾向は有意ではありませんでした。

このように、
同じ心血管疾患であっても、
虚血性心疾患と脳卒中には違いがあって、
非致死性虚血性心疾患では飲酒量が多いほど、
そのリスクは上昇し、
致死性虚血性心疾患に関しては、
1日20グラムくらいが最もリスクが低下します。
その一方で脳卒中は少量の飲酒でも、
そのリスクは増加していて、
脳卒中の場合にはビールとワインで、
リスクは異なるという可能性があります。

ここからどのような結論を導きだすのかは、
なかなか難しいところですが、
アルコールと健康との関係は一筋縄ではいかないということと、
それでも1日20グラムまでのアルコール量であれば、
概ね大きな健康上の問題は生じない、
という点は事実と考えておいて良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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心不全におけるビタミンB12濃度測定の意義 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ビタミンB12と心不全.jpg
2018年のTherapeutics and Clinical Risk Management誌に掲載された、
心不全の患者さんにおける血液のビタミンB12濃度の意味についての論文です。

ビタミンB12 は肉や魚、貝や乳製品などの、
動物性食品のみに含まれるビタミンで、
その不足は細胞の正常な成熟を妨げ、
貧血や神経障害などの原因となります。

心不全では効率に貧血が合併していて、
貧血の存在は心不全の予後を悪くする要因であることが分かっています。

そのうち最も多いのは鉄欠乏による貧血で、
鉄欠乏性貧血の存在は、
心不全の予後に悪影響を与えます。

次に心不全で多い貧血が、
ビタミンB12や葉酸の欠乏によるものですが、
血液中のビタミンB12は、
心不全ではむしろ増加することが知られています。

それは何故かと言うと、
心不全特に心臓の右側の機能が低下する右心不全では、
肝臓がうっ血してその機能が低下し、
それに伴って肝臓に蓄えられていたビタミンB12が、
血液中に流出するためです。
同じ仕組みによって、
慢性肝炎や肝硬変の時にもビタミンB12は増加するので、
血液濃度でその不足を判断することは、
非常に困難になるのです。

今回の研究では安定した状態の心不全の患者さんにおいて、
血液のビタミンB12濃度がどのような意義を、
その経過に持つのかを検証しています。

対象は129名の安定した心不全の患者さんと、
心不全のない50名のコントロールです。
血液のビタミンB12の濃度は、
コントロールでは198pg/mL(140から321)であったのに対して、
心不全では271pg/mL(188から415)となっていて、
心不全の患者さんにおいて有意に高くなっていました。

他の関連する因子や数値との関連を見たところ、
このビタミンB12の濃度は血液のビリルビン濃度と、
相関が認められました。
これは肝臓のうっ血により、
心不全の患者さんではビタミンB12濃度が、
上昇しているという可能性を示唆しています。
ビタミンB12濃度が独立して、
心不全の予後を左右しているというような結果は、
今回の検証では得られませんでした。

心不全においてビタミンB12濃度が高くなることは、
ほぼ事実と考えて良さそうですが、
その臨床的な意義については、
まだ明確ではないと考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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利尿剤のメラノーマ発症リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などに廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
メラノーマと利尿剤.jpg
2018年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
サイアザイドという利尿剤による、
メラノーマという皮膚癌の発症リスクの増加についてのレターです。

サイアザイド系利尿剤は、
今使用されている薬としては、
ヒドロクロロチアジドや、
トリクロルメチアジド(商品名フルイトラン)などがあり、
近位尿細管のナトリウムポンプに働いて、
水とナトリウムの排泄を促進することが主な作用の薬です。

最も古い降圧剤であり。
その降圧作用と心血管疾患の予防効果は、
これまでの多くのデータにより確立されています。

ただ、その利尿剤としての性質から、
脱水や尿酸値の上昇、血糖値の上昇など、
複数の副作用や有害事象のある薬でもあります。

それ以外に明確な機序は不明ですが、
有害事象として報告されているのが、
この薬を長期連用した場合の、
皮膚の悪性腫瘍の発症リスクの増加です。

サイアザイド系利尿剤には、
光線過敏という副作用のあることが知られていて、
それにより起こる皮膚の炎症やダメージが、
そのメカニズムの1つではないかと推測されています。

これまでに、
ヒドロクロロチアジドの使用により、
唇の癌やメラノーマ以外の皮膚癌のリスクが、
増加するという報告があります。

今回の研究はデンマークの医療データを活用して、
19273名の新規に診断されたメラノーマ(悪性黒色腫)の事例を、
年齢や性別などをマッチさせた、
癌を発症していない192730名のコントロールと1対10で比較して、
ヒドロクロロチアジドの使用と、
メラノーマの新規発症との関連を検証しています。

その結果、
ヒドロクロロチアジドの累積の使用量が50000mg以上の場合、
未使用と比較してメラノーマの発症リスクは、
1.22倍(95%CI: 1.09 から1.36)有意に増加していました。
ただ、累積の使用量毎に分類して比較しても、
明確に用量が多いほどメラノーマのリスクが高い、
という用量依存性は確認されませんでした。

メラノーマの種類による解析では、
表在拡大型黒色腫と比較して、
結節型黒色腫と悪性黒子型黒色腫において、
ヒドロクロロチアジドとの関連は、
より強い傾向が認められました。

今回の結果は微妙なもので、
サイアザイド系利尿剤がメラノーマのリスクであるとは、
にわかに断定することは出来ませんが、
当該薬剤の治療中には皮膚炎などの発症に気をつけ、
紫外線をなるべく浴びないように、
留意することが重要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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