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苦いカボチャによる脱毛症 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
カボチャで脱毛.jpg
2018年のJAMA Dermatology誌の短報(レター)ですが、
苦いカボチャの中毒で脱毛が生じたという、
ちょっと興味深い症例報告です。

一部の植物毒の影響で、
成長期脱毛と呼ばれる一時的な脱毛症が、
生じることは以前から知られています。
ただ、原因となる植物やイヌサフラン、
ユリグルマ、パラダイスナッツなど、
一般の人があまり口にはしないような植物です。

今回の報告では、
通常はあまり脱毛症の原因とはならないカボチャで、
成長期脱毛の生じた事例が2例紹介されています。

1例目は苦いカボチャのスープを飲んで、
数時間で嘔吐や下痢などの中毒症状を起こした成人女性で、
消化器症状は1日で改善したものの、
それから1週間くらいしてから脱毛が生じています。
一緒に食べた家族も消化器症状はありましたが、
脱毛は生じていません。
患者は2か月後に皮膚科を受診し、
後半な脱毛を認めていましたが、
2センチ程度の毛が既に再生し始めていました。

2例目は苦いカボチャを含む食事を摂取してから、
1時間でひどい吐き気と嘔吐が起こり数時間持続した、
これも成人の女性の事例です。
その3週間後に頭のみならず外陰部も脱毛し、
半年後の回復期の画像がこちらです。
カボチャで脱毛の画像.png
脱毛からの回復部位は6センチの短い毛髪となっていて、
6センチを超える毛髪では、
末端から6センチの位置に、
白い結節が認められ、その部位が脆くなっています。
後天性結節性裂毛症と呼ばれる所見で、
毛髪に物理的な刺激があった時などに生じるものです。

この2例では苦いカボチャを食べた後で、
食中毒と思われる消化器症状の後、
時間差を置いて脱毛が生じています。
食中毒の原因はウリ科の植物の苦み成分に含まれている、
ククルビタシンという一種のステロイドにあります。
この成分は食中毒様の症状を起こすことが知られています。

通常食用のカボチャなどでは、
品種改良によりククルビタシンは、
殆ど含まれていないとされていますが、
自然種の遺伝子が交配されるなどして、
ククルビタシンが多く含まれているカボチャが、
混じってしまうことがあります。

ククルビタシンには強い細胞毒性があるので、
その影響により成長期脱毛が起こってもおかしくはありません。
ただ、通常は嘔吐や下痢などの消化器症状は知られているものの、
脱毛のまとまった報告は、
今回が初めてのようです。

ゴーヤの苦みは別の成分なので問題はありませんが、
カボチャやキュウリなどのウリ科の野菜や果物で、
非常に苦みが強い場合には、
ククルビタシンが多く含まれている可能性があるので、
食べるのを控えるのが賢明であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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