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卵の摂取と心血管疾患リスク(2018年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
卵の摂取量のメタ解析.jpg
2018年のEuropean Journal of Nutrition誌に掲載された、
卵の摂取量と心血管疾患リスク、
総死亡リスクとの関連についての論文です。

卵と健康との関連については、
色々な見方があります。

卵黄には1個に200ミリグラムを超えるコレステロールが含まれています。

血液のコレステロールが高いと、
動脈硬化が進行しやすいという知見が得られてから、
食事のコレステロールを制限しようという動きが、
世界的に高まり、
そこで提唱された基準が、
食事のコレステロールを1日300ミリグラム以下にする、
というものです。

これを達成するためには、
卵をなるべく食べないことが、
必要不可欠ですから、
卵の制限が、
健康のためには必要であると考えられたのです。

ところが

2016年に公表されたアメリカのガイドラインにおいては、
食事のコレステロールを制限しても、
血液のコレステロールを減らせるという根拠は乏しいとして、
その目標値は削除されました。

これは、
「コレステロールの食事制限は不要」として、
一般にも報道されました。
その報道には誤解を招く点があり、
実際には数値目標が外れただけで、
コレステロールの制限自体は推奨されていたのですが、
コレステロールに制限は要らない、
という誤ったメッセージに受け取られたことは、
残念でした。

卵の摂取量と健康との関連については、
日本の疫学データでは、
NIPPON DATA 80の解析結果が、
2004年に発表されています。

それによると、
女性においては、
週に1から2個の摂取と比較して、
毎日1個卵を食べる習慣のある人は、
血液のコレステロールが高く、
総死亡のリスクも有意に増加していました。
一方で男性にはそうした関連はありませんでした。

ただ、2017年に発表された女性の追跡調査を含めた解析結果では、
卵の摂取量と血液のコレステロール値、
また心血管疾患のリスクとの間には、
有意な関連は認められませんでした。

しかしここでもなお、
1日1個摂取した場合と比較して、
毎日2個以上卵を食べる習慣のある人は、
総死亡のリスクが2.05倍(95%CI: 1.20から3.52)、
癌による死亡のリスクが3.20倍(95%CI: 1.51から6.76)、
それぞれ有意に増加していました。

癌による死亡のリスクについては、
1日1個摂取した場合と比較して、
週に1から2個食べる習慣のある人は、
32%(95%CI: 0.47から0.97)有意に低下していました。

つまり、アメリカのデータと同じように、
卵の摂取量とコレステロール値や心血管疾患リスクとの間には、
今回の追跡調査ては関連は認められなかったのですが、
総死亡と癌による死亡のリスクについては、
卵を多く食べると生命予後が悪いという、
一定の関連が認められたのです。

この問題はそう単純ではないようです。

今回の研究は今度は中国において、
登録の時点で心血管疾患のない、
トータル28024名を、
平均で9.8年という長期の経過観察を行なっているもので、
1週間に1個未満という卵の摂取と比較して、
1週間に7個以上の摂取は、
心血管疾患のリスクや総死亡のリスクに、
有意な影響を与えていませんでした。

更にこのデータを含めて、
過去の主立ったデータをまとめて解析したメタ解析においても、
1週間に7個以上の卵の摂取は、
心血管疾患のリスクや総死亡のリスクを上昇させることはなく、
脳卒中のリスクについては、
若干のリスクの低下を認めました。
(HR 0.91, 95%CI 0.85-0.98)

今回のデータも、
無尽蔵に卵を食べて良いというものではなく、
毎日1個を超える卵の安全性は示されていない、
という点には注意が必要ですが、
少なくとも毎日1個卵を食べるという習慣については、
健康上の害は確認をされていない、
というように考えて間違いはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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