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「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
しあわせの絵の具.jpg
カナダとアイルランドの合作で、
カナダでは有名な障害を持った女性画家の生涯を描いた、
題材的には日本公開が危ぶまれるような渋い素材ですが、
主人公を今をときめく演技派のサリー・ホーキンスが、
その夫をイーサン・ホークが演じているので、
そのキャストの魅力で、
結構上映館数の多い公開となっています。

ただ、もう1回のみの上映になる劇場があるなど、
あまり長い公開にはなりそうにありません。

こうした感動実話という感じのものは、
それほど好きではないので、
この作品も如何なものかなと思って少し躊躇していたのですが、
意外に評判の良い感じなので観てみることにしました。

これは本当に素晴らしい映画でした。

基本的には夫婦の情愛を描いた作品なのですが、
イーサン・ホーク演じる夫は、
粗野で了見が狭くて自分勝手で、
ある意味欠点だらけなのです。
その欠点は2人が夫婦生活を長く続けても、
あまり変わることはないのですが、
自分のキャパの中で、
何度か精一杯妻のために何かをなそうとします。
その努力が些細なだけに胸を打ちますし、
それを受け止める妻の度量の大きさがまた心に染みるのです。
夫婦の危機も何度かあるのですが、
それでもお互いの多くの欠点を含めて、
人生を長く一緒に生きるということの素晴らしさが、
静かに、かつ説得力を持って描かれています。

些細で慎ましい夫婦で生きるということの素晴らしさが、
ここまで静謐に格調高く、
また美しく描かれた映画は、
あまり例がないと思います。

後半はとても静かに泣けました。

主人公2人の演技はともかく素晴らしくて、
ラストにちらっと本物のモード・ルイスの画像が出て来るのですが、
サリー・ホーキンスとその雰囲気がそっくりであることに驚かされます。
ただ、勿論実物に寄せるということだけが見事なのではなくて、
彼女の心の奥底にあるものを可視化したような、
ある種象徴性のある表現が素晴らしいと思います。
一方のイーサン・ホークはご本人に寄せるという感じではなく、
1人の度量が狭く身勝手で不器用な、
それでいて愛すべき男そのものを、
鮮やかに彫り出して見応えがあります。
自然な老いの表現も素晴らしくて、
同じ日に「祈りの幕が下りる時」という日本映画を観て、
老いの演技の不自然さとメイクなどの技術の稚拙さにガッカリしたので、
よりこの映画の自然な時間の表現には感心しました。

ただ、この映画の魅力は、
そうした単純な演技合戦にあるのではなく、
四季の移り変わりを映した映像は美しいですし、
演出も堅実で、説明は最小限であるのに、
分かりにくく感じる部分がありません。
観ていて本当に自然に、
主人公の夫婦それぞれの思っていることが、
素直に感じ取れるのは、
演技と共に演出も優れているからだと思います。

これは本当の本物です。
是非是非大スクリーンでご覧下さい。
勿論テレビで観ても泣けるとは思いますが、
こうした映画を大スクリーンで観ることが出来るのは、
ほぼロードショー公開時だけですから、
このせっかくの機会を逃すのはもったいないと思います。

半魚人との恋も悪くはないのですが、
サリー・ホーキンスには矢張り人間との愛情の方が、
本領発揮となるようです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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