So-net無料ブログ作成

「さらば!あぶない刑事にヨロシク」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
さらばあぶない刑事.jpg
細川徹さんの作・演出で、
「あぶない刑事」のパロディを、
皆川猿時さんと荒川良々さんが演じるという、
前回好評だったパロディ舞台の続編が、
今下北沢の本多劇場で上演されています。

前作に引き続いて足を運びました。

これはなかなか洒落ていて、
これから観る方の楽しみを奪うことになるので、
詳細は伏せますが、
最初から演劇ファンには楽しい趣向が連続します。
観客参加型で客いじりも楽しいですし、
前回の爆竹はまたありますし、
それ以外にも小道具が全観客に配布されるという、
力の入れようです。

役者さんもこれはもう芸達者の皆さんが揃っているので、
登場するだけでウキウキしますし、
前作は悪役不在という感じであったのが、
今回はゲストの河原雅彦さんが、
堂々たる悪役を演じて作品を引き締めてくれます。
後半はちょっと劇団☆新感線的なタッチになります。

ただ、それでも少人数の芝居で、
ほぼ全員が警察署員を演じるということになるので、
ストーリー的に弾まないという感じは前作と共通していました。
もう少し脇役と悪役に人数を使わないと、
ダブルキャストではギャグ以外の部分は弱いと感じました。

細川さんの作劇は、
割合といつもそうした傾向があるのですが、
設定やオープニングに凝りすぎて、
中だるみや息切れが生じ、
凝った設定を活かせないままに終わる、
というようなところがあって、
今回もそうした弊害は見られるように感じました。

荒川良々さんは僕は大好きで、
特に舞台での凶暴なまでのアドリブの冴えは、
藤山寛美の再来のようにすら思っていたのですが、
最近は映像の仕事が増え、
何かかつての凶暴さが丸くなって、
そのアドリブの冴えが鈍ったように感じます。
今回も正直あまり冴えたところがなく、
その点は少し残念でした。

そんな訳で大満足とは行かなかったのですが、
芸達者の揃った楽しい舞台で、
まずまず楽しむことが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

nice!(6)  コメント(0) 

フェブキソスタット(フェブリク)の心血管疾患リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
フェブリクの有効性と安全性.jpg
2018年の the New England Journal of Medicine誌に掲載された、
最近になって広く使用されている、
痛風治療の薬であるフェブキソスタット(フェブリク)の安全性を、
第一選択薬であり基礎薬であるアロプリノール(ザイロリック)と比較した論文です。

痛風発作を起こして血液の尿酸値が上昇している場合には、
尿酸の降下剤が発作予防として継続的に使用されます。

尿酸値が高いことは、
心血管疾患の独立したリスクである、
という考えが最近では強いので、
心血管疾患を持っていたり、
そのリスクが高いような患者さんでは、
よりその治療の必要性は高い、
というようにも考えられています。

しかし、
それでは尿酸降下剤を使用すると、
心血管疾患の予後にも良い影響が期待出来るのか、
というような点になると、
まだあまり明確な結論が得られていません。

尿酸降下剤として、
世界的に最も多く使用されているのは、
尿酸の産生抑制剤であるアロプリノール(ザイロリック)ですが、
この薬は体質により、
重症の薬疹が生じるというリスクが知られています。
アジア人ではそのリスクはより高いと考えられているので、
日本での使用ではより注意が必要です。

最近開発され使用が開始された、
フェブキソスタットは、
アロプリノールとは構造の異なる尿酸産生抑制剤で、
その尿酸降下作用はアロプリノールに勝り、
今までのところ重症の薬疹の発症も、
アロプリノールのように高率ということはないようです。
ただ、少し気になることは、
これまでの臨床試験において、
アロプリノールよりフェブキソスタットの方が、
心血管疾患のリスクが高いことを示唆するようなデータがあることです。

今回の研究は北アメリカにおいて、
心血管疾患を合併した痛風患者6190名を登録し、
くじ引きで患者さんにも主治医にも分からないように、
アロプリノール使用群とフェブキソスタット使用群とに振り分け
中間値で32ヶ月の経過観察を行っています。

その結果、
心血管疾患の観察期間中の発症リスクには、
両群で有意な差はありませんでしたが、
総死亡のリスクは1.22倍(95%CI: 1.01から1.47)、
心血管疾患による死亡のリスクは1.34倍(95%CI: 1.03から1.73)、
フェブキソスタット群がアロプリノール群と比較して、
それぞれ有意に増加していました。

つまり、今回の検証でも、
心血管疾患の発症リスクでは差がなかったものの、
心血管疾患による死亡のリスクについては、
明確にフェブキソスタット群で有意に高くなっていました。

この試験ではただ、
登録した患者さんのうち56.6%は途中で治療を中断し、
45.0%は経過観察自体からドロップアウトしているので、
充分な信頼性のある結果とは言えません。

今後検証はまだ必要ですが、
フェブキソスタットの心血管疾患における安全性には、
大きな疑問符が付いたことは間違いがないと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(10)  コメント(0) 

血圧のセルフモニタリングの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
血圧セルフモニタリングの効果.jpg
2018年のLancet誌に掲載された、
血圧のセルフモニタリングの効果についての論文です。

高血圧の患者さんが自宅で自動血圧計を用いて、
定期的に血圧の測定を行い、
それを診療の時に持って来てもらって、
それを元にして薬の調節などを行うという方法は、
今では高血圧診療に携わる殆どの医師が、
日々の診療で行っていることだと思います。

こうした時に使用する血圧計は、
診療に必須の機器であることは間違いがありませんから、
健康保険で使用出来ても良いように思いますが、
あまりそうしたことが議論になることはなく、
患者さんが自己負担で購入をしなければいけません。

さて、血圧は1日の中でも変動するもので、
診察室などで測定する血圧は、
患者さんの緊張などによって、
その時だけ上昇する、ということも、
しばしばあることは誰でも経験していることです。

従って、その診察時の血圧は1つの参考としながらも、
患者さんが自己測定した血圧値を、
その都度活用して薬の調整や生活指導を行うことは、
極めて合理的な診療であることは間違いがありません。

しかし、実際にこうした血圧の自宅でのモニタリングは、
どの程度の効果があるのでしょうか?
また、自己測定の血圧値を、
どのように活用することが最も効果的なのでしょうか?

現状は医師によっても、
自己測定の血圧値の利用法は様々で、
特に一定のガイドラインのようなものがある訳ではありませんから、
その効果もあまり科学的な検証がされているとは、
世界的に見ても言えるものではありません。

今回の研究はイギリスにおいて、
142カ所のプライマリケアのクリニックの患者さんを登録し、
通常の診察室のみの血圧測定で、
血圧コントロールを行った場合と、
自己測定によるセルフモニタリングを活用した場合、
またセルフモニタリングと共に、
遠隔診療による指示を取り入れた場合とにくじ引きで分け、
12ヶ月の診療後にその効果の比較を行っています。

対象となっているのは35歳以上の高血圧の患者さんで、
3種類以上の降圧剤を併用していても、
上の血圧が140mmHg未満、下の血圧が90mmHg未満にならない、
血圧コントロール不良の場合で、
トータル1003例が3群に振り分けられています。

こちらが使用された自動血圧計です。
自動血圧計.jpg
オムロンの海外製品ですが、
日本でも一般的なタイプです。

それからこちらをご覧下さい。
血圧セルフモニタリングシート.jpg
これがセルフモニタリングの患者さんに渡される、
判断材料となるシートです。
毎月の最初の1週間に朝2回、夜2回の血圧測定を行い、
それでその月の血圧の評価を行うのです。
血圧値が指定より高かったり低い時には、
48時間以内に主治医もしくは看護師に連絡をします。

遠隔診療の併用群では、
更に血圧値をウェブに記録した上で、
一定のアルゴリズムによる指示が伝えられる仕組みです。

その結果、12ヶ月の試験終了時の段階で、
通常の診察室血圧のみの診療では、
平均の収縮期血圧が140.4(SD16.5)mmHgであったのに対して、
セルフモニタリング単独群では137.0(SD16.7)mmHg、
遠隔診療併用群では136.0(SD16.1)mmHgとなっていて、
セルフモニタリング群では有意に血圧の改善が認められました。
そして、セルフモニタリング単独と遠隔診療併用では、
有意な効果の差は認められませんでした。

このように一定の有用性が、
自己測定によるセルフモニタリングにあることは、
ほぼ間違いがなく、
今後その手法の統一が、
その有用性を安定したものにするためには、
重要であるように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

「そして僕は途方に暮れる」(三浦大輔新作) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
そして僕は途方にくれる.jpg
元ポツドールの三浦大輔さんの新作が、
自らの演出で今渋谷のシアターコクーンで上演されています。

前作の「娼年」は全編がセックスシーンという怪作で、
それを東京芸術劇場で松坂桃李さんを主役でやり切る、
という力業に度肝を抜かれました。
今度は映画化するというのですからビックリしてしまいます。

今回の作品は原作ものを除けば、
2014年の「母に欲す」以来の新作ということになります。

オープニング、
藤ヶ谷太輔さん演じるフリーターの主人公が、
前田敦子さんが演じる恋人が仕事から帰って来るのを、
無為にベッドで寝たまま出迎える、
という場面からして如何にもポツドールという感じです。

その後の展開も恋人との喧嘩から始まって、
バイト先の先輩、友達、姉、母親、父親と、
自分に関わる全ての人との関係を、
自分から詰まらないことで断ち切って、
その場を逃亡するというドラマが連続します。

これもまあ、何処を切ってもポツドール、
という感じですね。

一旦はハッピーエンドかという展開がありながら、
ラストはまた主人公の希望は無残に打ち砕かれ、
文字通り主人公が途方に暮れて終わります。

前半の友達や恋人との関係は、
ポツドール時代に主に扱っていたテーマで、
ポツドール解散くらいの時期以降は、
「母を欲す」など父や母との関係に、
作劇のテーマは移って来ていました。

今回の作品はその総ざらいという感じで、
プロデュース公演という特色を活かして、
比較的幅のある年代のキャストが揃い、
物語にリアルな肉付けを与えています。

ただ、物語はポツドールそのものなのですが、
ポツドールにあった暴力性や過激さ、
かなり即物的なエロスなどの小劇場的な要素は、
ほぼ完全に排除されているので、
「地味な人情話がダラダラ続く」という印象になっていて、
シアターコクーンという劇場にも、
華のあるキャストにも、
作品はあまり合っていなかったような印象を持ちました。

設定はかなり三浦さんの一時期の私生活に、
近いものだったと想定されますから、
これまでの世界に一区切りを付ける、
という感じの集大成的な作品、
というように捉えるべきなのかも知れません。

演出は例の2段組の4つの部屋の場面を同時進行させる、
というようなポツドール的演出もあるのですが、
かつてのような緻密なものではなく、
取り敢えずちょっとそうした感じも入れてみた、
という程度に留まっています。

こうした演出は今は根本宗子さんに、
すっかり本歌取りされてしまった、
というような気にもなります。

そんな訳でかつてのポツドールの、
一時期は熱烈なファンの1人としては、
こうした毒気の抜かれた「ポツドールの廃墟」という感じの芝居には、
複雑な思いがあるのですが、
役者さんは皆良い芝居をしていましたし、
おそらくはこの作品も映像化されるのでしょうから、
三浦さんはもうどちらかと言うと、
「映画の人」になってしまったのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

「ゆれる人魚」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で健康教室の日なので、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
ゆれる人魚.jpg
ポーランドの女性監督による、
人魚姫の物語をグロテスクなロックミュージカルとして蘇生させた、
奇怪なファンタジーホラー映画を観て来ました。

東欧というのはかなり変な映画の宝庫でもあって、
身もふたもないような、
変態の極致や残酷見世物の極致のような作品も、
これまでにビデオなどで見たことがあります。

ホラーのジャンルをかすめるロックミュージカルというと、
「ロッキー・ホラー・ショー」と「ファントム・オブ・パラダイス」が有名で、
この2作のカルト的な成功の後、
その亜流の酷い映画が一時期山のように製作されました。

「ファントム・オブ・パラダイス」は、
僕のオールタイムベストの1本でとても偏愛しているので、
一時的似たような映画を大量に見たのですが、
ほぼ100パーセントがクズ映画でした。

それでも矢張り、
変態的な愛を描いたホラー色のあるロックミュージカルと聞くと、
根が大好きなのでどうしても観に行ってしまうのです。

これは1980年代のワルシャワを舞台として、
人肉を好む少女の人魚ゴールデンとシルバーの2人が、
ストリップバーのスターになるというお話で、
愛する人に捨てられると海の泡になるとか、
人間になると声が出せなくなる、
といった約束事はそのまま使われています。
人魚が2人であるということと、
登場する世界がほぼストリップバーだけ、
と言う点が特徴です。

ストリップバーのレビューシーンが、
多く盛り込まれているのですが、
その得体の知れない雰囲気が好きかどうかが、
まずこの映画の好悪を分ける点ではないかと思います。

個人的には嫌いではなく、
特に昔ポランスキーの大傑作「水の中のナイフ」で、
青年を演じていた、バーのオーナーのおじさんが、
ヘンテコな目つきでヘンテコなダンスを踊る、
というようなビジュアルにはとても惹かれます。

ただ、全体にレビューシーンはメリハリに乏しく、
曲ももっと仰々しい感じや、
もっとオドロオドロしい感じ、
もっと抒情的な大バラードなどを期待してしまうのですが、
どうも中途半端なテクノロックみたいなものが多く、
あまり乗れませんでした。

メリハリのないのは物語も一緒で、
ただ愛する男とセックスがしたいためだけに、
壮絶な下半身取り換え手術をして、
人間の下半身を手に入れた筈なのに、
結局セックスにも失敗してしまうシルバーの悲惨な愛などは、
もっと切なく盛り上がってくれても良いと思うのに、
そこに至る段取りがあまり整理されておらず、
演出も何か稚拙な感じなので、
唐突な残酷シーンの印象のみで、
終わってしまった感じがするのは非常に残念でした。

とても良いのはラストの船のクライマックスで、
泡になったシルバーに怒り狂い、
青年の喉笛を掻っ切って海に身を躍らせるゴールデンの姿は、
ホラーミュージカルという様式でこそなし得た、
壮絶な歪んだ美の表現として卓越していました。

それと、途中でゴールデンが車の中で人間を食べ、
ずるずると長い尾を引きずって水に逃れる場面は、
楳図かずおの「蛇少女」のようで、
その動きの面白さと奇怪な美に魅了されました。

ただ、こうした優れたビジュアルがある一方で、
オープニングの海から人間を襲う場面などは、
女性の悲鳴でブラックアウトするという、
非常に凡庸な演出でガッカリします。

このようなトータルなバランスの悪さが、
この作品の評価を不安定にしている主因だと思います。

そんな訳で好きな世界ではあるのですが、
悪趣味と美意識やセンスとの匙加減があまり良いとは言えず、
演出の稚拙さも目立つので、
大満足とは言えませんでした。

これは…
こうしたものがお好きな方のみに、
控え目にお薦めする感じの作品です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

整形外科手術後のリバーロキサバンからアスピリンへの変更の有効性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
リバロキサバンからアスピリンへの変更の効果.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
整形外科手術後の抗凝固剤と抗血小板剤の、
使用法とその差についての論文です。

人工股関節置換術や人工膝関節置換術といった、
人工関節にいたんだ関節を置き換えるような手術の後には、
静脈血栓塞栓症が合併症として起こることが知られています。

この合併症の予防のために、
術後早期には抗凝固剤と言って、
血栓症を予防するような薬が使用されます。

それでは、術後どのくらいで、
抗凝固剤は中止するべきでしょうか?

実はこの点については、
現状あまり明確な方針が示されていません。

これまでの知見によれば、
最低でも14日間の使用が必要であるとされていて、
35日間はリスクがあるので使用するべき、
というような見解もあります。

抗凝固剤を長く使用することは、
当然出血などの合併症のリスクも高めます。
従って、不必要な使用の継続は避けるべきだと考えられます。
最近低用量アスピリンの静脈血栓塞栓症予防としての有効性が確認され、
術直後を除外すれば、
抗凝固剤ではなく、
より出血系合併症は少ないアスピリンでも、
術後の血栓症の予防目的には充分ではないか、
という見解がありますが、
その根拠となるような比較の試験は、
これまでにあまり行われていませんでした。

そこで今回の研究では、
人工股関節全置換術と人工膝関節置換術を使用予定の、
3424名を登録して、
患者さんにも主治医にも分からないように2つの群に分け、
一方は術後5日目まで抗凝固剤のリバーロキサバンを、
1日10ミリグラムで継続した後、
人工膝関節置換術後では9日間、
人工股関節全置換術では30日間、
アスピリン81ミリグラムを使用継続し、
もう一方はそのままリバーロキサバンを継続使用して、
その後90日間の経過を観察しています。

その結果リバーロキサバンを使用しても、
途中でアスピリンに切り替えても、
その後の静脈血栓塞栓症の頻度には差はなく、
出血系の合併症の頻度にも有意な差は認められませんでした。
静脈血栓塞栓症の発症率は、
アスピリン群で0.64%、
リバーロキサバン継続群で0.70%でした。

このようにアスピリンに早期に切り替えを行なっても、
低用量のリバーロキサバンを継続しても、
術後90日の静脈血栓塞栓症の発症率には差はなく、
どちらも有効な予防法と考えて良さそうです。
その場合、出血のリスクが明らかにリバーロキサバンで上昇していれば、
アスピリンへの早期の切り替えが望ましい、
ということになるかと思いますが、
実際には出血系の合併症にも差が出ていないので、
コスト的にはアスピリンが勝りますが、
その判断は難しいところだと思います。

こうした検証が個人的に興味深いのは、
心房細動の高齢者で抗凝固剤をいつ中止するべきか、
というような議論にも1つの知見を与えてくれるという点にあって、
基礎疾患が異なり、
心房細動の脳卒中予防には、
より強力な抗凝固療法が必要と考えられるので、
単純な比較は出来ないのですが、
低用量の抗凝固剤を一定期間使用した上で、
アスピリンに切り替えて経過を見るという方針は、
応用可能な方策ではないかと、
密かには考えているところです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(9)  コメント(0) 

心房細動の患者さんへのジゴキシン使用と生命予後について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ジゴキシンと生命予後.jpg
2018年のJournal of the American College of Cardiology誌に掲載された、
心房細動の患者さんに対するジゴキシンの使用が、
生命予後に与える影響についての論文です。

ジゴキシン(ジギタリス)は、
非常に古くから使用されている心不全の治療薬で、
脈拍を下げて心臓の負荷を減らし、
心臓の収縮力を高める作用があるとされています。
(ジゴキシンはジギタリス製剤の1つですが、
実際に使用されているのは殆どジゴキシンなので、
ほぼ同義とお考え下さい)

20年くらい前までは、
心不全治療の基礎薬として広く使用されましたが、
ACE阻害剤などの血管拡張剤の効果が、
多くの精度の高い臨床試験で確認されるようになると、
その用途は一気に狭まりました。

その有効性のデータも、
あまり精度の高いものではなく、
ジギタリスは血液濃度を測定しながら、
慎重に使用しないと、
ジギタリス中毒と言って、
血液濃度が増加した場合に、
重篤な不整脈や胃腸症状などが出現するため、
使用にリスクの高い薬であることもあって、
その使用頻度は、
近年減少しています。

ただ、心房細動という不整脈で、
脈が早く動悸などの症状が強い患者さんでは、
脈を下げて症状を安定させる目的で、
このジギタリスが使用されることは、
今日でもしばしば行なわれています。

国際的なガイドラインにおいても、
この目的の使用に関しては、
第一選択の扱いではありませんが、
その使用は認められています。

僕も昔から使い慣れているので、
こうした場合に特に高齢者ではジギタリスを、
少量使用することが多いのですが、
現行の第一選択はβ遮断剤という薬なので、
大学病院の先生などから、
お叱りを受けることもあります。

最近になり、
ジゴキシン(ジギタリス)を心房細動の患者さんに使用することは、
患者さんの予後に悪影響を与えるのではないか、
ということを示唆するデータが幾つか発表されています。

ただ、データの精度はそれほど高いものではなく、
例数もそれほど多いデータではないので、
心房細動の患者さんにジゴキシンが良くないと、
結論付けることは出来ません。

以前記事にした2014年のCirculation誌の文献では、アメリカにおいて、
カリフォルニア州の膨大な医療データを解析することにより、
心不全のない心房細動の患者さんにおける、
新規のジゴキシンの使用と、
患者さんの予後との関連性を検証していました。

その結果では、
心房細動の診断後にジゴキシンを使用し、
平均で1.17年の観察期間において、
未使用と比較して患者さんの死亡リスクは1.71倍に増加し、
入院のリスクも1.63倍に有意に増加していました。

つまり、
心不全のない心房細動の患者さんに対して、
脈拍のコントロール目的でジゴキシンを使用すると、
患者さんの予後が悪化するのではないか、
という結果です。

ただ、これもカルテなどのデータを後から解析したものなので、
それほど精度の高いものではありません。

これもブログで以前記事にしている、
2015年のLancet誌の研究は、
新規抗凝固剤リバーロキサバンの大規模臨床試験のデータを活用して、
心房細動でリバーロキサバンもしくはワルファリンを、
使用している患者さんにおける、
ジゴキシンの予後に与える影響を検証しています。

そもそもはジゴキシンの影響を検証するためのデータではないのですが、
非常に厳密な方法で行われた試験なので、
その信頼度は高いのです。

登録された14171名の心房細動(発作性を含む)の患者さんのうち、
37%に当たる5239名が、
ジゴキシンを使用していました。
結構な頻度で、実地臨床においては、
まだこの薬が使用されている、と言うことが分かります。
平均の観察期間は707日です。

ジゴキシンを使用している患者さんは、
心不全が多い、糖尿病が多いなどの傾向があるので、
そうした予後に影響を与える因子を補正した結果として、
ジゴキシン使用群は未使用群と比較して、
総死亡のリスクが1.17倍(1.04‐1.32)、
心血管疾患による死亡のリスクが1.19倍(1.03-1.39)、
突然死のリスクが1.36倍(1.08-1.70)と、
それぞれ有意に増加している、
という結果になりました。

つまり、前述のCirculation誌の文献と比較すると、
その増加率は少ないのですが、
矢張りジゴキシンの使用は、
若干ながら患者さんの生命予後を悪化させている、
という結果は共通しています。

ただ、この2つの研究のいずれにおいても、
ジゴキシンの血液濃度との関連や、
心不全の有無との関連が明確には検証されていません。

今回の研究はアピキサバンという経口抗凝固剤の、
心房細動患者における有効性を検証した、
ARISTOTLEという大規模臨床試験の再解析ですが、
ジゴキシンの血液濃度が測定されているという点が、
より詳細な解析を可能としています。

トータルで17897名の心房細動の患者さんのうち、
その32.5%に当たる5824名がジゴキシンを使用していて、
37.4%に当たる6693名が心不全を合併していました。

ジゴキシンの使用は、
トータルでは死亡リスクを増加はさせていませんでした。

しかし、
ジゴキシンの血液濃度(トラム濃度)が、
1.2ng/ml以上であった患者さんに限ると、
死亡リスクは1.56倍(95%CI: 1.20から2.04)
有意に増加していました。
そしてジゴキシン濃度が0.5ng/ml上昇するごとに、
その死亡リスクは19%増加していました。
このジゴキシンによる高濃度での死亡リスクの増加は、
患者さんが心不全のあるなしに関わらず認められていました。
また、年齢などをマッチさせたコントロールと比較して、
新規にジゴキシンを開始した患者さんは、
総死亡のリスクが1.78倍(95%CI: 1.37から2.31)、
突然死のリスクが2.14倍(95%CI: 1.11から4.12)、
それぞれ有意に増加していました。

このように心房細動の患者さんにおいては、
ジゴキシンの血液濃度が上昇すると、
生命予後に悪影響が生じることは間違いのないことであるようで、
現状ジゴキシンを継続使用中の患者さんにおいては、
血液濃度が1.2ng/mlを超えないコントロールが、
重要であると考えておいた方が良いようです。
また、心房細動の患者さんにおいて、
新規にジゴキシンを開始する場合には、
他の代替的な治療があれば、
そちらを優先して考えることが、
現時点では患者さんの安全のためには、
望ましいことのように思います。

ただ、個人的には古くから、
ジゴキシンを使用してきた医者の1人として、
その有用性は経験的には強く感じる部分もあり、
簡単にその有用性を、
完全に否定して良いものかどうか、
迷う部分もあります。

上記論文においても、
その記載は一概にジゴキシンの使用を否定する、
というものではなく、
この問題はまだ今後の知見の蓄積を、
待つ必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(8)  コメント(0) 

COPDに対するアジスロマイシンの長期効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などに都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
COPDにおけるアジスロマイシンの長期効果.jpg
2018年のChest誌に掲載された、
慢性閉塞性肺疾患に対して抗生物質を長期使用するという方法の、
1年を超える治療効果と安全性とを検証した論文です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予後改善のために、
最も重要なことの1つは、
COPDの急性増悪を予防することです。

急性増悪というのは感染症などをきっかけとして、
呼吸機能が急激に悪化することで、
それを繰り返すことが、
COPDの予後を大きく左右することが、
これまでの多くの研究から明らかになっています。

この急性増悪の予防のために、
以前から抗生物質を感染症の初期の段階から、
もしくは感染症などに関わらず継続する形で、
抗菌剤を使用することが試みられ、
マクロライド系と言われる抗菌剤については、
一定の予防効果や呼吸機能低下の抑制効果が、
複数の研究で確認されています。

これまでで最も長期の臨床データは、
アジスロマイシンという抗菌剤を1年間使用したもので、
それを超える期間での有効性と安全性は確立をされていません。

そこで今回の研究ではスペインにおいて、
重症(GOLD分類グレードD)で、
4回以上の急性増悪を繰り返している患者さんのうち、
アジスロマイシンの使用を継続している患者さん、
トータル109名を登録し、
その持続期間を24ヶ月以上の場合とそれより短い場合とに分け、
その経過をアジスロマイシン未使用の12か月と比較検証しています。

アジスロマイシンは、
1週間に3日間500ミリグラムを使用しています。
これは通常日本で使用されている処方と同じで、
通常は1回で済ますものを、
毎週繰り返して使用するのです。

開始して1年間は治療を継続し、
その1年間での、
入院を必要とするCOPD急性増悪が1回以下であれば、
一旦中止が検討され、
その後急性増悪が増えれば、
治療が再開されるという流れになっています。

アジスロマイシンによる継続治療が行われた患者さんは、
トータルで109名で、
このうち結果として24か月以上治療が継続されたのは、
35.8%に当たる39名でした。

未治療の1年間を基準とした場合、
このアジスロマイシン長期継続群では、
急性増悪の発症率が、
1年目には56.2%、2年目には70%、3年目には41%低下していました。
また入院のリスクについても、
1年目には62.6%、2年目には75.8%、3年目には39.8%と低下が認められました。

ただ、治療1年目と2年目の比較において、
アジスロマイシンの長期使用継続群では、
マクロライド系抗菌剤の耐性化が50%増加し、
緑膿菌の感染に伴う急性増悪の頻度は、
7.2%から13.1%へと増加していました。

このように、
少なくとも2年間はアジスロマイシンの長期継続療法は、
重症なCOPDの患者さんで急性増悪が認められる場合に限れば、
その予防に一定の有効性があると考えられます。
3年目に関してもそれまでより低いものの、
有効性は認められていました。
ただ、2年の時点で耐性菌は増加していて、
細菌感染による急性増悪自体は低下しているのですが、
耐性菌による感染が多くなる傾向は認められています。

従って、
現状の考え方としては、
急性増悪を繰り返しているCOPDの患者さんに限れば、
アジスロマイシンの継続療法は検討する値打ちがあると思います。
ただ、耐性菌の増加という弊害はあるので、
対象はその効果が大きく期待される患者さんに限る必要があります。
その継続期間に関しては、
2年の時点で一定の評価を行ない、
有効性が確認されなかったり、
急性増悪自体が認められなくなった時には、
一時中止して様子を見るという方針が、
妥当であるように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(9)  コメント(0) 

ニューキノロン系抗生物質と大動脈解離リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
フルオロキノロンと大動脈解離との関連.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
ニューキノロン系と呼ばれる抗菌剤による、
大動脈瘤やその解離のリスクについての論文です。

ニューキノロン系の抗菌剤というのは、
レボフロキサシン(クラビット)、シプロフロキサシン(シプロキサン)、
オフロキサシン(タリビット)、ガレノキサシン(ジェニナック)、
シタフロキサシン(ジェニナック)などがあります。

このタイプの抗菌剤は経口剤が主体で使用が簡便で、
その効果は強力なので、
国内外を問わず広く使用されています。

ただ、このタイプの抗菌剤は、
ペニシリン系の抗生物質と比較すると、
人間の細胞に対する毒性が強く、
神経細胞に対する毒性から痙攣を誘発するなど、
他の抗菌剤にはあまり見られない、
有害事象や副作用の原因となります。

そうしたニューキノロンに特徴的な副作用の1つが、
アキレス腱の炎症やその断裂です。
これは、ニューキノロンの抗菌作用以外の作用に、
その原因があると考えられています。

報告によると、
マトリックス・メタロプロテアーゼという、
コラーゲンなどの膠原繊維を分解する酵素があり、
その酵素を刺激することにより、
腱組織などの炎症に結び付きやすいと想定されています。

一方で大動脈瘤の発生やその解離にも、
このマトリックス・メタプロテアーゼの活性化が、
影響しているという仮説があります。
動脈壁の膠原繊維などの組織が障害されることにより、
動脈壁が脆弱となって、
瘤形成や解離の誘因になると言うのです。

これがもし事実であるとすると、
ニューキノロン系抗菌剤の使用により、
大動脈瘤のリスクが増加したり、
大動脈瘤の解離が進行するという可能性が示唆されます。

実際これまでに幾つかの観察研究で、
大動脈瘤やその解離と、
ニューキノロン系抗菌剤の使用との関連を、
示唆する結果が報告されています。
ただ、あまり精度の高い研究ではなく、
更なる検証の必要性が指摘をされていました。

今回の研究は、
国民総背番号制が敷かれているスウェーデンにおいて、
ニューキノロン系抗菌剤(78%はシプロフロキサシン)の処方と、
その後60日間に起こった大動脈瘤もしくはその解離の、
最初の診断との関連を検証しています。

トータルで360088件のニューキノロン系抗菌剤の処方が、
360088件のペニシリン系抗生物質である、
アモキシシリンの処方事例と比較されています。

その結果…

ニューキノロン系抗菌剤の使用後60日以内の、
大動脈瘤とその解離の診断率は、
年間1000人当たり1.2件であったのに対して、
アモキシシリン使用後では0.7件で、
アモキシシリンと比較してニューキノロン系薬剤では、
大動脈瘤と解離のリスクが1.66倍(95%CI: 1.12から2.46)
有意に高くなっていました。
これは絶対リスクとしては、
100万人に治療をした場合に、
それにより82件の大動脈瘤もしくは解離が発生する、
という頻度と計算されます。
これを大動脈瘤の診断と解離の診断とに分けて解析すると、
大動脈瘤の診断のリスクが1.90倍(95%CI: 1.22から2.96)、
大動脈瘤解離のリスクが0.93倍(95%CI: 0.38から2.29)となり、
ニューキノロンと関連が深いのは、
解離よりも大動脈瘤自体の診断であると考えられました。

このように、
今回の大規模な検証においても、
ニューキノロン系抗菌剤の使用により、
大動脈瘤のリスクは増加しており、
これがニューキノロン全体に当て嵌まるものなのか、
今回の検討では8割を占めている、
シプロフロキサシンに限定される現象なのかは、
まだ明らかではありませんが、
少なくとも大動脈瘤が診断されていて、
解離の危険のあるような患者さんには、
ニューキノロン系抗菌剤の使用は、
避けておいた方が安全、
ということは覚えておいた方が良いと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

2種類の尿酸降下剤の心血管疾患リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
プロベネシッドとアロプリノールの予後の差.jpg
2018年のJournal of the American College of Cardiology誌に掲載された、
古くから使用されている2種類の尿酸降下剤の、
心血管疾患の発症リスクの差についての論文です。

血液中の尿酸値が高いと、
関節に沈着した尿酸の結晶が、
一種の自己炎症のメカニズムで関節炎を起こします。

これが痛風発作です。

痛風発作を起こした患者さんは、
その再発予防のために、
尿酸の降下剤を継続的に飲むことが、
治療として世界的に推奨されています。

この時に最も現在広く使用されているのが、
尿酸の合成を阻害するタイプの薬で、
アロプリノール(商品名ザイロリックなど)がその代表ですが、
最近新薬も複数発売されています。

もう1種類尿酸の排泄を促進するタイプの薬剤があり、
海外では主にプロベネシッド(商品名ベネシッドなど)が使われ、
日本ではベンズブロマロン(商品名ユリノームなど)が良く使用されています。

このどちらを使うのかは、
尿中の尿酸排泄のレベルなどを見て、
使い分けるという方法が一時日本では行われていましたが、
その指標を用いると殆どが排泄低下型になってしまうので、
海外であまりこうした薬が使用されていない現状を鑑みると、
疑問に感じる部分があります。
また排泄促進剤はその効果が不安定で、
尿酸値の変動が生じやすいという欠点があります。
一方でアロプリノールは稀ですが、
重症薬疹を生じる薬として知られていて、
新薬は今のところそうしたリスクは少ないとされていますが、
まだもう少し時間が経たないとその真偽は分かりません。

尿酸が高いことは、
それ自体が心血管疾患のリスクである、
という報告が最近多く見られるようになりました。

ただ、実際に尿酸降下剤で尿酸を低下させることにより、
心血管疾患のリスクが低下するかどうかは、
報告は散見されるもののまだ明確ではありません。
また、尿酸合成阻害剤と排泄促進剤の、
どちらで下げるかによって、
そのリスクに違いがあるかどうかについても、
知見は限られています。

そこで今回の研究では、
アメリカの健康保険のデータを活用して、
65歳以上の痛風の患者さんで、
プロベネシッドを使用した場合と、
アロプリノールを使用した場合を1対3でマッチングさせ、
その後の心血管疾患リスクを比較しています。

プロベネシッド使用者9722名と、
アロプリノール使用者29166名をマッチングさせて検討した結果、
心筋梗塞もしくは脳卒中の発症率は、
プロベネシッド使用者で年間100名当り2.36件であったのに対して、
アロプリノール使用者は2.83件で、
プロベネシッドの使用はアルプリノールと比較して、
心筋梗塞と脳卒中の発症リスクを、
20%(95%CI: 0.69から0.93)有意に低下させていました。
個別のリスクで見ても、
プロベネシッドの使用はアロプリノールと比較して、
心筋梗塞と脳卒中のリスクを有意に低下させていました。

このように今回の検証では意外なことに、
使用頻度の少ない尿酸排泄促進剤において、
心血管疾患のリスクが低下する、
という結果が得られています。

尿酸排泄促進剤には、
副次的に抗炎症作用が認められるという知見もあり、
それが影響しているという推測も論文中ではされていますが、
まだ検証は不充分な点も多く、
今後の検証を待ちたいと思います。

ただ、最近あまり注目されることの少なかった、
尿酸排泄促進剤が、
このような結果を示したことは興味深く、
その再評価のきっかけとなるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 
メッセージを送る