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アガリスクエンターテイメント「卒業式、実行」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
卒業式、実行.jpg
こだわりのコメディを上演し続けている、
アガリスクエンターテイメントの新作公演が、
今サンモールスタジオで上演されています。

この作品は2015年に同じ劇場で上演された、
「紅白旗合戦」という作品のリニューアル版です。

この初演は僕が最初に観たアガリスクの公演でしたが、
演技などには稚拙な点があったものの、
高校の卒業式で「君が代」を歌うかどうかで、
生徒の代表と教師が対立して議論をするという、
非常に難しい話題に挑戦し、
お互いに合意の出来る到達点に達する、
という段取りを、鮮やかにコメディにしていて、
とても感心しました。
特に一旦決裂した議論が、
最後になって奇策により合意に向かう辺りの段取りが巧みで、
これは新しい才能だとちょっと興奮すら感じたのです。

今回再演されるということでとても嬉しかったのですが、
前回から3年が経って、
劇団員の皆さんが高校生を演じるのは、
正直ちょっと厳しい感じがしたので、
前回の生徒役が先生役にスライドして、
生徒は若手を起用するのではないかしら、
完成度の高い台本でしたから、
基本ラインは変えずに行くのでは…
というように予想していたのですが、
実際にはその予想は全て外れました。

まず、熊谷有芳さんの生徒会長など、
劇団員の生徒役はその多くが初演と同じに生徒を演じ、
内容自体は大幅に書き換えられていて、
初演は卒業式直前のやり取りであったものが、
今回は直前から始まって、
卒業式開始後のドタバタにスポットが当てられていました。

三谷幸喜さんの「ショー・マスト・ゴー・オン」という、
東京サンシャインボーイズ時代の人気作があり、
これはトラブル続出の舞台を、
舞台袖から描いたものでしたが、
今回の作品はそのオマージュとなっていて、
舞台袖から卒業式のトラブルを回避する、
というものになっていました。

正直高校生役には違和感のあるメンバーも、
多かったことは確かですが、
今回はおそらくそれは承知の上で、
「学生役から卒業」というニュアンスもあったのではないか、
というように感じました。
熊谷さんの生徒会長も、
沈さんの美術部員に淺越さんの吹奏楽部員など、
名人芸を見る気分で楽しむことが出来ました。

ラスト前の伏線回収の部分など、
コメディとしての精度もなかなか冴えていて、
セットの工夫も面白く、
僕が今まで観たアガリスクの舞台の中では、
一番セットは充実していてプロ仕様になっていた、
と感じました。

ただ、正直なことを言えば、
無理矢理「ショー・マスト・ゴー・オン」に寄せた、
という感じがあって、
構成的にはやや破綻しているようにも感じました。
三谷さんの作品では、
舞台を続行しようという気持ちでは、
一致している中でのトラブルなので良いのですが、
今回の作品では、卒業式が始まっていてもなお、
君が代を歌うかどうかで揉めているので、
そこに更にトラブルというのが、
未整理な感じがして、
卒業式を無事乗り切ろう、
という気分で観客が一致しづらくなるからです。

初演を変えたいという思いは分かるような気もするのですが、
君が代を巡る生徒と教師の議論のドラマとしては、
前作のような形式の方が矢張り正攻法で、
今回のような作品にするのであれば、
素材も含めて完全な新作であって欲しかった、
というのが正直なところです。
今回の内容なら、卒業式を邪魔するものは、
君が代や国旗以外のトラブルで、
良かったのではないでしょうか。

キャストは皆好演で、
個人的にファンの熊谷さんの生徒会長は抜群でしたし、
今回は主演と言って良い、
榎並夕起さんの頑張りが光っていました。

そんな訳で初演版を愛する者としては、
ちょっと違和感を覚えるところはあったのですが、
アガリスク版「ショー・マスト・ゴー・オン」として、
いつもながら「熱量」の高い、
コメディ愛に満ちた力作であったことは確かで、
これからも活躍に期待をしたいと思います。

頑張って下さい!

何も出来ませんが陰ながら応援しています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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肥満と糖尿病が癌の発症に与える影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
BMIと糖尿病と癌.jpg
2018年のLancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載された、
肥満と糖尿病とが癌のリスクに与える影響についての論文です。

BMIという指標で25を超える「過体重」と糖尿病は、
いずれも癌の発症リスクとなることが、
多くの精度の高い疫学データから確認されています。

過体重は2型糖尿病のリスクになりますから、
この2つのリスクは互いに影響を受け合っています。

今回の研究は2012年の時点において、
世界175カ国の疫学データをトータルで集計した、
非常に大規模なものですが、
BMIが25以上の過体重と糖尿病が12種類の癌の発症に与える影響を、
個別にまた複合的に検証しているものです。

その結果2012年に世界中で報告された、
14067894件の新規に診断された癌のうち、
5.6%に当たる792600件は過体重もしくは糖尿病の影響によって、
生じたものと推計されました。

過体重の影響と糖尿病の影響には差があり、
過体重は乳癌の6.9%、子宮体癌の31.0%に影響していたのに対して、
糖尿病は乳癌の2.2%、子宮体癌の10.8%の影響に留まっていました。
一方で糖尿病は肝臓癌の14.5%、膵臓癌の12.8%に影響していたのに対して、
過体重の影響は肝臓癌では10.1%、膵臓癌では5.8%に留まっていました。

これは必ずしも、
体重や血糖が減少すれば癌がそれだけ予防される、
というようにも言い切れないのですが、
過体重や糖尿病が、
世界的に癌のリスクとして大きなものである、
ということは事実で、
その影響は今後より大きくなることもまた、
ほぼ間違いのないことのように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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GLP1アナログの心血管疾患に対する効果(2018年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
GLP1アナログの心血管疾患に対する効果.jpg
2018年のLancet Diabetes & ENdocrinology誌に掲載された、
GLP1アナログという糖尿病治療薬の、
心血管疾患の予後に与える影響についてのメタ解析の論文です。

2型糖尿病の治療の目的は、
合併症の予防にあります。

そのうち網膜症や神経症については、
HbA1cが7%を切るような血糖コントロールを継続することにより、
その発症は一定レベル予防されることが確認されています。
腎症については、
尿への微量蛋白の発症というような指標を用いれば、
そうしたコントロールにより予防可能ですが、
それで腎機能の低下が抑制されるかについては、
あまり明確には証明されていません。

もっと問題が多いのは動脈硬化の進行に伴う、
心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患です。

心血管疾患のリスクは2型糖尿病により増加しますが、
そのリスクはHbA1cが7%台のコントロールでは、
十分には低下しません。
しかし、それを下回るような強化コントロールは、
今後は低血糖の増加を招き、
却って患者さんの生命予後の低下に結びついてしまうのです。

インクレチンは一種の消化管ホルモンで、
食後のみのインスリン分泌を刺激して、
インスリンの拮抗ホルモンであるグルカゴンの低下作用を併せ持っています。

インクレチン関連薬には、
インクレチンそのものであるGLP1アナログという注射薬と、
その分解酵素の阻害剤である、
DPP4阻害剤の2種類があります。

このインクレチン関連薬は、
血糖値の上昇時のみに働くので、
低血糖のリスクが少なく、
動物実験では膵臓のインスリン分泌細胞を増加させるなど、
これまでの糖尿病治療薬にはない特徴も有しています。

そのためインクレチン関連薬を使用することにより、
心血管疾患の予後が改善することが期待されました。

しかし、
これまでの複数のDPP4阻害剤
(アログリプチン、サキサグリプチン、シタグリプチン)
の臨床試験結果は、
その上乗せによる心血管疾患の予防や予後の改善効果が、
確認されませんでした。

それでは、GLP1アナログはどうなのでしょうか?

これまでにリクセナチド、リラグルチド、
セマグルチド、そして長期作用型のエキセナチド、という、
4種類のGLP1アナログについて、
心血管疾患に対する数年という期間での効果が検証されています。

その一部はブログでも過去に記事にしています。

その中で最も良い結果であったのはリラグルチドの臨床試験で、
中間値で3.8年の観察期間中の心血管疾患の死亡と心筋梗塞、
および脳卒中の発症を合わせた頻度は、
偽薬群では14.9%であったのに対して、
リラグルチド群では13.0%で、
リラグルチドは心血管疾患をトータルで13%、
有意に抑制していました。(0.78から0.97)

心血管疾患による死亡のみで見ると、
偽薬群よりリラグルチド群は、
死亡リスクを22%有意に低下させていました。
(0.66から0.93)

総死亡のリスクについても、
リラグルチド群で15%の低下が有意に認められました。
(0.74から0.97)

ただ、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院については、
偽薬群とリラグルチド群との間に、
有意な差は認められませんでした。

4種類のGLP1アナログのいずれも、
偽薬と比較して心血管疾患の予後を悪化はさせませんでした。

リラグルチドとセマグルチドは、
心血管疾患による死亡と心筋梗塞と脳卒中を併せたリスクを、
有意に低下させていましたが、
総死亡と心血管疾患による死亡のリスクを、
単独で有意に低下させていたのは、
リラグルチドのみでした。

また、脳卒中単独のリスクを有意に低下させていたのは、
セマグルチドだけでした。

このように同じGLP1アナログでも、
臨床試験によってその結果には大きな差があります。

GLP1アナログのトータルな効果が、
現時点で確認されている、という訳ではないのです。

今回の研究では、
これまでのGLP1アナログの臨床データをまとめて解析する、
メタ解析という手法で、
GLP1アナログ全体の、
心血管疾患に対する効果を検証しています。

これまで4種類の臨床試験をまとめて解析したところ、
偽薬と比較してGLP1アナログは、
心血管疾患による死亡と心筋梗塞と脳卒中を併せたリスクを、
10%有意に低下させていました。
(95%CI: 0.82 から0.99)
また心血管疾患による死亡のリスクを13%
(95%CI: 0.79から0.96)
総死亡のリスクも12%
(95%CI: 0.81から0.95)
それぞれ有意に低下させていました。
ただ、個々のGLP1アナログの効果には、
かなりのばらつきが見られました。
要するに、現時点ではリラグルチドと、
他のGLP1アナログとの間には、
ある程度の開きが見られます。

心筋梗塞と脳卒中と心不全による入院のリスクについては、
有意な低下は認められませんでした。

このように、
GLP1アナログは心血管疾患の予後に、
悪影響を与えない糖尿病治療薬である、
という点はほぼ間違いがなく、
生命予後にも良い影響を与えるという可能性がありますが、
リラグルチド以外の薬でもそうした効果があるかどうかは、
まだ確定的なものとは言えないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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風邪ウイルスの感染はアレルギー鼻炎ではどう変わるのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ライノウイルスとアレルギー粘膜.jpg
2016年のClinical and Experimental Immunology誌に掲載された、
2種類の風邪ウイルスの感染の仕方が、
アレルギー性鼻炎の粘膜では、
どのように変わるかを検証した論文です。

これも花粉症と風邪との関連を示した、
一連の研究成果の1つです。

昨日と一昨日の記事でもご紹介しましたように、
インフルエンザの感染は、
鼻粘膜の防御機能の低下により、
アレルギー性鼻炎では起こりやすく、
ウイルスの増殖自体も亢進していることが示唆されています。

それは他の風邪の原因ウイルスでも同じなのでしょうか?

今回の研究はアレルギー性鼻炎(花粉症)の患者さんと、
アレルギー素因のない人の鼻の粘膜の細胞を採取して、
それを培養した上で、
いずれも代表的な風邪の原因ウイルスである、
パラインフルエンザウイルス(3型)と、
ライノウイルス(1b型)を感染させ、
感染の仕方と反応する免疫反応の強さなどを比較検証しています。

その結果、
鼻粘膜細胞における感染後48時間でのウイルス遺伝子の複製は、
パラインフルエンザウイルスではアレルギー性鼻炎において、
有意に抑制されていました。
ただ、ライノウイルスではそうした傾向はありませんでした。

2種類のウイルスに対するインターフェロンの産生能は、
いずれもアレルギー性鼻炎においては低い傾向を示しました。

このようにインフルエンザウイルスより鮮明ではありませんが、
他の風邪の原因ウイルスにおいても、
鼻粘膜における自然免疫は、
アレルギー性鼻炎の患者さんにおいて低下していました。

ただ、ウイルスの増殖自体も、
今回の研究ではパラインフルエンザウイルスでは低下していて、
風邪ウイルスの感染に対するアレルギー性鼻炎の影響は、
ウイルスによっても異なる可能性があるなど、
どうも一筋縄ではいかない点がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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鼻ポリープではインフルエンザ感染が促進される [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
インフルエンザと鼻ポリープ.jpg
2010年のPLOS ONE誌に掲載された、
鼻の炎症性ポリープのインフルエンザ感染に対する感受性を、
検証した論文です。

昨日はアレルギー性鼻炎とインフルエンザ感染との関連を、
話題として取り上げましたが、
今日はそれに関連して、
今度は炎症性の鼻粘膜への、
インフルエンザウイルスの接着についての論文をご紹介します。

インフルエンザウイルスは主に鼻の粘膜にある、
シアル酸という一種の受容体に結合して、
それから細胞の中に入り感染が成立します。

この時通常の季節性インフルエンザウイルスと、
人間に感染すると重症化する鳥インフルエンザウイルスでは、
結合するシアル酸受容体の種類が違っていて、
鳥インフルエンザウイルスが感染しやすいシアル酸受容体は、
人間の上気道の細胞には殆ど存在していないので、
今のところ人間での鳥インフルエンザの感染は、
成立しづらいと考えられています。

ところが…

鼻や咽頭の粘膜が、
アレルギー性もしくは感染による炎症を起こすと、
シアル酸の受容体が増加する可能性が、
これまでの研究から示唆されています。

今回の研究では切除した人間の鼻ポリープ(炎症性ポリープ)の組織と、
通常の鼻粘膜組織を使用して、
それを季節性インフルエンザウイルスと、
鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染させ、
シアル酸受容体への結合を比較しています。

その結果、
健常な粘膜と比較して、
炎症性ポリープの粘膜では、
2種類のシアル酸受容体の数がいずれも増加していて、
季節性インフルエンザ、鳥インフルエンザ、
いずれのウイルスの感染への感受性も、
高まっていることが確認されました。

つまり、
アレルギー性鼻炎や鼻ポリープのある患者さんは、
そうでない人よりも季節性インフルエンザのみならず、
鳥インフルエンザの感染もより起こりやすい、
というちょっとショッキングな結果です。

これはまだ実験レベルの知見ですが、
今後臨床的にもこうした検証が行われ、
どのような人にどれだけ感染が起こりやすいのか、
検証が積み重ねられ、
臨床応用に結び付くことを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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花粉症とインフルエンザの関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
インフルエンザとアレルギーとインターフェロン.jpg
2018年のClin Exp Allergy誌に掲載された、
花粉症(アレルギー性鼻炎)とインフルエンザとの関連についての、
ちょっと興味深い研究報告です。

インフルエンザはまだまだ流行が続いていますが、
その一方で花粉症の症状が出始めた方も、
そろそろ増えて来ています。

この時期になると、
鼻水やだるさや咳が出て、
それが花粉症であるのかインフルエンザを含むかぜであるのか、
区別が付かないというような話を、
患者さんから聞くことが良くあります。

花粉症(アレルギー性鼻炎)は、
鼻や目の粘膜に起こるアレルギー性の炎症ですから、
鼻や咽頭の粘膜にウイルスが感染して起こるかぜとは、
基本的に全く別の病気ですが、
どちらも鼻の粘膜には炎症性の変化が起こる訳ですから、
その症状には同じ部分があります。

また風邪をひくと、
アレルギー症状が悪化して、
鼻づまりなどが酷くなることもありますし、
どこまでがどちらの症状であるのか、
判断が難しいケースも往々にしてあるように思います。

ここで1つの疑問は、
花粉症になっている人は、
インフルエンザや風邪にも罹りやすいのではないか、
ということです。

インフルエンザウイルスや、
ライノウイルスのような風邪の原因ウイルスは、
鼻の粘膜に付着してそこから身体に侵入しますから、
その粘膜での防御機能が、
まずかぜに罹らないためには重要な要素となります。

その肝心の防御機能が、
アレルギー性の炎症で障害されていれば、
おのずとかぜにも罹りやすく、
重症化しやすいのではないか、
という推測が可能です。

それは本当でしょうか?

アレルギー性鼻炎を含む慢性の呼吸器の病気では、
ウイルス感染に対する免疫機能が低下している、
というデータが複数報告されています。
ただ、ウイルス感染に対する身体の免疫の最前線である、
鼻粘膜の防御機能が、
どのように障害されるのかについては、
あまり明確なことが分かっていませんでした。

最近の研究により、
免疫細胞の武器とも言うべきインターフェロンという物質のうち、
3型インターフェロンが粘膜の免疫において、
大きな役割を果たしていることが、
徐々に明らかとなりました。

そこで今回の研究では、
鼻中隔の手術により採取された、
人間の鼻粘膜の細胞を利用して、
A型インフルエンザウイルスに感染させ、
粘膜でのインターフェロンの産生能を、
アレルギー性鼻炎の粘膜と健常な粘膜とで比較したところ、
感染させたA 型インフルエンザウイルスの遺伝子量は、
健常粘膜と比較してアレルギー性鼻炎では多く、
その一方で3型インターフェロンの産生量は、
アレルギー性鼻炎では低くなっていました。
そして、3型インターフェロンの投与により、
インフルエンザウイルスの遺伝子量は減少が認められました。

このように、
花粉症などのアレルギー性鼻炎においては、
粘膜の感染に伴う3型インターフェロンの産生が低下し、
それによりA型インフルエンザウイルスの感染が、
起こりやすくなることが、
粘膜細胞を培養した実験ではほぼ実証されました。
アレルギー性鼻炎では、
その重症化も起こりやすくなることが、
ウイルス量の増加からは推測されます。

花粉症では風邪に罹りやすくなり、
風邪が重くなる可能性が高くなることが、
実験からは示されているのですが、
それがインターフェロン治療で改善する、
という知見は興味深く、
それがすぐに風邪の予防に結び付く、
という訳ではありませんが、
今後の研究の進歩によっては、
それに近いことが近い将来可能となるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「デトロイト」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
デトロイト.jpg
1967年のデトロイトで起こった「黒人暴動」を、
その中の一挿話であるアルジェ・モーテルの事件に絞って、
臨場感たっぷりに描いた骨太の社会派映画、
「デトロイト」を観て来ました。

監督はこうした社会派の映画に定評のある、
キャスリン・ビグローです。

アルジェ・モーテル事件というのは、
デトロイト暴動の最中に、
不良黒人がおもちゃのピストルをモーテルの窓から鳴らしたのを、
警備していた警官が本物の狙撃と誤解して、
モーテルに踏み込み、
存在しないピストルを探して、
モーテルにたまたまいた黒人男性を暴行し、
結果として3人を殺したというもので、
3人の警官は罪に問われて裁判になりますが、
結局は無罪になってしまいます。

映画はまず、
違法酒場の取り締まりに端を発した、
黒人暴動の始まりをドキュメンタリータッチで描き、
そこからアルジェ・モーテルの暴行の一部始終を再現、
その後裁判の顛末と、
事件によって人生を狂わされた人間達のその後を描きます。

2時間50分弱の長尺ですが、
緊迫感のある描写で迫力があり、
説明も分かりやすいので退屈はしません。
ただ、メインとなるモーテルでの暴行のパートは、
同じことの繰り返しなので、
途中は単調に思えました。

核となるのは、
ドラマティックスというソウルグループのボーカルで、
暴動とは何の関係もないラリー(アルジー・スミス)が、
巻き込まれて人生を狂わされ、
白人恐怖症からデビュー自体をあきらめて隠遁する、
という切ない顛末と、
正義感が暴走する若い警官クラウス(ウィル・ポールター)、
そして偶然その場居合わせた警備員の、
ディスミュークス(ジョン・ボヤーガ)の3人のドラマです。

このうちラリーのパートについては、
胸に迫るものがあり、
正義感のある差別主義者で一途な警官クラウスも、
納得のゆく造形なのですが、
中立的な立場で、
ドラマとしては一番重要な筈のディスミュークスのパートが、
あまり深みのあるものにならなかったのは、
少し残念に感じました。

通常3時間の尺でデトロイト暴動を描くのですから、
幾つかのエピソードが並行して進行するような、
最近であれば「ダンケルク」のような構成が通常ですが、
今回の作品は前半は暴動全体を描くという感じがありながら、
途中からはモーテルの暴行事件に絞られ、
それが空間的にも時間的にも遠い異国の観客からすると、
地味な素材に感じられて、
興味を持続することが難しかったのが正直なところです。

この辺りはこの事件自体が真相不明のもので、
実際の事件で関係者の多くも生きている、
というところに作品の限界があったようにも思います。
歴史の勉強としての興味はありましたが、
ドラマとして切実に感じる、
というところまではいきませんでした。

アカデミー賞最有力とチラシには書かれていますが、
結局は候補にはならなかったようです。

しかし、これぞアメリカ映画という骨太の作品ですし、
迫力も緊張感もありますから、
こうしたテーマに興味のある方でしたら、
映画館で観る価値はあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「RAW 少女のめざめ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
RAW.jpg
2016年のフランス・ベルギー合作で、
フランスの新人女性監督、
ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作が、
今ロードショー公開されています。
2016年のカンヌ国際映画祭でも賞を取っているのですが、
これがとんでもない変態映画で、
ちょっと仰天しました。

R15という規制になっていますが、
R18であるべきのようにも思います。
昔俳優座劇場のレイトショーで、
深夜に1回のみ上映していたような、
そうした質感の作品ですし、
それが相応しいように思います。

それをまともな映画館で、
昼間から上映しているのですから、
それにも驚きました。

ホラーと言えなくもないのですが、
お化けみたいなものは出て来ませんし、
怖いという感じの作品ではありません。

ただ、徹底して背徳的で悪趣味で露悪的でグロテスクなので、
観ていると気分が悪くなってつらくなるという感じです。
ホラーは好きなジャンルですし、
こうした悪趣味を追求したような映画も、
結構見てはいるのですが、
その中でもかなり趣味の悪さではヘビー級の方だと思います。
意図的な模倣の部分もどうやらありそうですが、
悪趣味とエロと残酷さのみを追求した、
見世物ホラーをなぞったような感じもあります。

主人公は感受性の強い天才少女で、
奔放で背徳的な姉を慕って、
姉と同じ獣医学部に入学します。
そこが新人いじめに動物の血を頭からかけたり、
ウサギの腎臓を生のまま食べることを強要するような、
異常な上下関係のある特異な場所で、
そこで主人公の「ある異常な嗜好」が開花するのです。

オープニングの遠景の場面からして、
いきなり衝撃的な展開を見せますし、
馬に気管内挿管をしたり、
牛の摘便や犬の解剖などが、
おそらくは本物を全て使っているようで、
極めて生々しく登場します。
教職者を含めて登場人物は皆ヘビースモーカーですし、
この辺りは日本やアメリカの映画では、
今では倫理的にとても出来ない趣向です。
しかしそれはまだ序の口で、
主人公の異常な嗜好が開花する場面は、
真に衝撃的で悪趣味の極みで、
生理的な不快感を煽りますし、
その後の展開も異常さのつるべ打ちで、
悪夢のようなクライマックスの後では、
ショッキングで滑稽でもある、
絶妙な「オチ」が待っています。

こうした映画は通例、
藝術になるかクズになるかのどちらかですが、
この作品は微妙なところで、
勿論藝術ではありませんが、
クズとも言い切れないところで浮遊している感じです。
やりようによっては、
もっと藝術にも振れるところですが、
悪意に満ちた作り手は、
意図的に安っぽさを志向しているようです。

それでいて主人公の演技などは、
極めてリアルで繊細で見応えがありますし、
ラストのオチに向けて、
周到に前半から伏線が張られたりもしているので、
余計に観客はこの周到な悪ふざけのような作品を前に、
当惑するよりないのです。

とても皆さんにお勧め出来るような作品ではありませんが、
話のタネにはなるような、
衝撃作であることは間違いがありません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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インフルエンザ感染と急性心筋梗塞との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
インフルエンザと急性心筋梗塞.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
インフルエンザなどのウイルス感染の後に、
急性心筋梗塞の発症リスクが増加する、
という興味深い現象を解析した論文です。

インフルエンザがやや終息する傾向はあるものの、
まだまだ流行が続いています。

インフルエンザのような呼吸器感染症の後に、
急性心筋梗塞が発症しやすいという知見は、
以前から複数報告されています。

ただ、インフルエンザに限って言うと、
その診断は症状のみから行われているものが多く、
インフルエンザウイルスによる感染で、
急性心筋梗塞のリスクが本当に高まるかどうかは、
まだ確定的ではありません。

そこで今回の研究では、
一定期間内に呼吸器感染症で原因ウイルスが同定された患者さんのうち、
インフルエンザ感染が確定した患者さんと、
その前後の急性心筋梗塞の発症との関連を検証しています。
具体的にはウイルス同定のための検体採取後7日間以内に発症した心筋梗塞と、
その前後1年間の期間に発症した心筋梗塞の事例を集積し、
感染後1週間程度に発症するリスクと、
ウイルスの種別との関連を検証しています。

インフルエンザウイルスの感染が同定された前後1年間に、
急性心筋梗塞を発症して入院した事例を364例抽出したところ、
検査後1週間を除いた期間と比較して、
検査後1週間に急性心筋梗塞で入院するリスクは、
6.05倍(95%CI: 3.86 から9.50)有意に増加していました。

このリスクをインフルエンザB型ウイルス、
インフルエンザA型ウイルス、RSウイルス、
その他のウイルス毎に見てみると、
インフルエンザB型が10.11倍(95%CI: 4.37から23.38)、
インフルエンザA型が5.17倍(95%CI: 3.02 から8.84)、
RSウイルスが3.51倍(95%CI: 1.11 から11.12)、
その他のウイルスが2.77倍(95%CI: 1.23から6.24)、
とそれぞれ有意に増加していました。

つまり、呼吸器のウイルス感染後1週間以内には、
急性心筋梗塞の発症リスクが増加していることは事実で、
他のウイルスと比較して、
インフルエンザウイルス、特にB型インフルエンザウイルスの感染が、
今回のデータでは最も高くなっていました。

ただ、これはまだ比較的少数例の検証に過ぎないものなので、
今後そのメカニズムも含めて、
より詳細で規模の大きな検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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SGLT2阻害剤カナグリフロジンと心血管疾患リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
カナグリフロジンの心血管疾患リスク.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
最近注目されている糖尿病の治療薬の心不全などに対する効果を、
他の薬と比較して検証した論文です。

2型糖尿病の治療において、
最近注目を集めている新薬が、
SGLT2阻害剤です。

この薬は腎臓の近位尿細管において、
ブドウ糖の再吸収を阻害する薬で、
要するにブドウ糖の尿からの排泄を増加させる薬です。

この薬を使用すると、
通常より大量の尿が出て、
それと共にブドウ糖が体外に排泄されます。

これまでの糖尿病の治療薬は、
その多くがインスリンの分泌を刺激したり、
ブドウ糖の吸収を抑えるような薬でしたから、
それとは全く異なるメカニズムを持っているのです。

確かに余分な糖が尿から排泄されれば、
血糖値は下がると思いますが、
それは2型糖尿病の原因とは別物で、
脱水や尿路感染の原因にもなりますから、
あまり本質的な治療ではないようにも思います。

しかし、最近この薬の使用により、
心血管疾患の発症リスクや総死亡のリスクが有意に低下した、
というデータが発表されて注目を集めました。
こうした効果が認められている糖尿病の治療薬は、
これまでに殆ど存在していなかったからです。

2015年のNew England…誌に発表された論文は、
ブログでもご紹介したことがあります。
エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)というSGLT2阻害剤の、
3年間の臨床データを解析したものですが、
偽薬と比較して総死亡のリスクが32%、
心血管疾患による死亡のリスクが38%、
それぞれ有意に低下していました。

2017年の同じNew England…誌には、
今度はカナグリフロジン(商品名カナグル)という、
また別のSGLT2阻害剤の臨床データが報告されています。
ここでは心血管疾患のリスクの高い2型糖尿病の患者さんに、
これも3.5年以上の長期間の観察を行なったところ、
偽薬と比較して心血管疾患による死亡と急性心筋梗塞と脳卒中を併せたリスクを、
14%有意に低下させていました。
ただ、この結果はエンパグリフロジンと比較すると、
少し見劣りがする上に、
臨床試験において糖尿病性壊疽による下肢切断のリスクが、
カナグリフロジン群で高かった、
という気になるデータも報告されています。

SGLT2阻害剤が心血管疾患の予後を改善するのだとすれば、
そのメカニズムは何でしょうか?

この薬は利尿剤のようなものですから、
余分な体液を排泄し、
血圧を低下させることで、
心臓への負担を軽減する、
という効果が期待されます。

仮にそうであるとすれば、
心不全の予防や予後の改善に、
この薬は主に効いているのでは、
という推測が可能です。

今回の研究は、
アメリカの大規模な健康保険のデータベースを活用したものですが、
18歳以上の2型糖尿病の患者さんで、
SGLT2阻害剤のカナグリフロジン使用時の心血管疾患に対する影響を、
DPP4阻害剤やGLP1アナログ、SU剤といった、
他の治療薬との比較で検証しています。

患者さんを登録して経過をみるのではなく、
処方データを後から抽出して、
患者さんの背景をマッチさせて比較しているものです。

その結果、
使用後30か月間の観察において、
カナグリフロジンの使用は、
DPP4阻害剤と比較して30%(95%CI: 0.54から0.92)、
GLP1アナログと比較して39%(95%CI: 0.47から0.78)、
SU剤と比較して49%(95%CI:0.38から0.67)、
心不全による入院のリスクを有意に低下させていました。

また急性心筋梗塞と脳卒中を併せたリスクについては、
カナグリフロジンの使用は、
他の薬剤と比較してリスクを低下させる傾向を示したものの、
有意な低下は認められませんでした。

今回のデータからは、
他の糖尿病薬と比較してSGLT2阻害剤が、
心不全による入院のリスクを低減することが、
ほぼ間違いのない所見として確認されました。
ただ、他の心血管疾患のリスクについては、
あまり明確な差はありませんでした。
ただ、臨床試験において問題であった下肢切断のリスクについては、
解析はされておらず、
カナグリフロジンとエンパグリフロジンとの間に、
明確な効果の差があるかどうかも、
明らかではありません。

今後こうした点についても検証が進むことにより、
どのような患者さんに対してよりSGLT2阻害剤が有効で、
逆にどのような患者さんではむしろ使用を控えるべきなのか、
もう少し臨床に直結した指標が得られることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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