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人は何故白髪になるのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
白髪の遺伝子.jpg
2017年のGenes & Development誌に掲載された、
白髪に関連する遺伝子の働きについての論文です。

これは昨年結構話題になり、
医療ニュースなどでも取り上げられた知見です。

髪の毛の悩みというのは命に関わることはない反面、
男女を問わずその個人にとっては、
結構深刻なものではあることは、
大して効くとも思えない育毛剤が莫大な売り上げを上げていたり、
白髪染めが多くの人にとって手放せない物になっていることからも分かります。

脱毛の仕組みも白髪になる仕組みも、
研究は進んでいますがまだ不明の点を多く残しています。
そして、ちょっと意外な気もしますが、
より分かっていないのが白髪の原因です。

髪の毛に色が付いているのは何故でしょうか?

これは髪の毛の根元にメラニン色素を産生する、
色素細胞があって、
そこで作られたメラニンが、
毛の元になる毛母細胞に伝達されてゆくからです。

毛母の色素細胞がメラニンを産生するには、
造血機能の初期段階で働く造血細胞成長因子である、
幹細胞因子(SCF)というタンパク質が働くことが分かっています。
しかし、それがそのようにして働くのかについては、
あまり明確なことが分かっていませんでした。

今回の研究はネズミを利用した動物実験において、
その体毛が白くなる条件や仕組みを検証しています。

上記論文の研究者がSCFと共に注目したのは、
毛包の上皮細胞で発現している転写因子の1つである、
KROX20というタンパク質です。

このKROX20という転写因子の遺伝子が欠損したネズミは、
毛母細胞が増殖せず、毛幹の成長自体が起こりません。

一方でKROX20は発現している状態で、
SCFの遺伝子が欠損したネズミでは、
毛は成長しますが色素のない、
人間であれば白髪の状態となります。

それを図示したものがこちらになります。
白髪のメカニズムの画像.jpg
毛包の上皮細胞のうち、
KROX20という転写因子を発現している細胞が、
SCFを分泌して色素細胞を刺激し、
メラニンを賛成しつつ毛母細胞を分化し増殖して、
毛が成長するのです。

ポイントは毛の成長と毛に色素が導入されることとは、
かなり密接にリンクしているということです。

ただ、毛に色素が入るかどうかは、
SCFによって決定されているので、
毛髪の周期に合わせてその遺伝子の調節が可能となれば、
白髪を元に戻すことも、
可能ではないかと考えられるのです。

今後の知見の積み重ねに期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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