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妊娠中のビタミンDの補充の効果について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ビタミンDの妊娠中の使用.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
妊娠中のビタミンDの有効性についての論文です。

ビタミンDはステロイドホルモンの一種で、
骨の健康に不可欠のビタミンであるばかりではなく、
細胞の増殖などにおいても、
多くの重要な役割を担っています。

妊娠中の女性や新生児では、
ビタミンDの欠乏が多いという疫学データもあり、
このため妊娠中にビタミンDを補充することが、
母体や胎児の妊娠中から出生時の予後を、
改善するのではないかと考えられました。

ただ、そのために多くの臨床試験が行われましたが、
その結果は有効と無効とが拮抗していて、
妊娠中の補充が良いかどうかは、
未だ明確な結論が出ていません。

2016年のこの問題についての最新のコクランレビューでは、
子癇前症と胎児の低体重や早産のリスクを、
妊娠中のビタミンDが低下させる可能性がある、
という結果になっています。
ただ、データの確実性は高いものではなく、
現行はWHOも妊娠中のビタミンDの使用を推奨はしていません。

今回の検証はこれまでの介入試験という、
厳密なデザインによる臨床試験の結果のみをまとめて解析して、
この問題の現時点での検証を行っているものです。

43の臨床試験のトータル8406名のデータをまとめて解析した結果として、
ビタミンDのサプリメントを使用することにより、
母体血と臍帯血のビタミンD濃度(25OHビタミンD濃度)は上昇していましたが、
使用量と濃度との関連はそれほど明確ではありませんでした。

ビタミンDの使用により、
出生時体重は58.33グラム(95%CI; 18.88から97.78)有意に増加し、
妊娠週数と比較して体重が少ない、
在胎不当過少児のリスクが、
40%(95%CI; 0.40から0.90)有意に低下していました。
早産のリスクには有意な差はありませんでした。
また、ビタミンDを妊娠中に使用することにより、
お子さんの出生後3歳までの喘鳴のリスクが、
19%(95%CI; 0.67から0.98)有意に低下していました。
それ以外の母体の健康や胎児の健康の指標には、
明らかなビタミンDの効果は認められませんでした。

このように妊娠中のビタミンDの使用は、
お子さんの過少体重と乳児期の喘鳴の予防という意味では、
一定の効果はありそうなのですが、
現状データの多くは例数が少なく、
根拠は必ずしも充分なものではない、
という結論になっています。

そんな訳で事例によってはある程度の効果のありそうな、
妊娠中のビタミンDの使用ですが、
その量や製剤の選択などを含めて、
今後より例数が多く、
厳密なデザインの臨床試験が、
この問題に対しては施行される必要性がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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