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長寿の予測因子としてのガレクチン3とオステオポンチン [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
オステオポンチンと長寿.jpg
2015年のClinical CHemistry and Laboratory Medicine誌に掲載された、
100歳を超える長寿の人と通常の高齢者で、
2種類のバイオマーカーを測定して、その比較をした論文です。

100歳を超えて持病のない長寿の人に、
そうでない大多数の人と比べてどのような特徴があるのか、
というのは長寿医学や老年医学において注目をされる分野で、
日本でも研究が行われ幾つかの知見が報告されています。

今回の研究ではイタリアにおいて、
100歳を超える高齢者81名と、
70から80歳の通常の高齢者46名を対象として、
血液中のガレクチン3とオステオポンチンという2つのマーカーを測定し、
その違いを見たものです。

オステオポンチンについては、
このところ連日のように話題にしていますが、
そもそもは骨代謝のマーカーとして発見されたものですが、
炎症を誘発する炎症性サイトカインとしての性質を持ち、
老化によって特徴的に増加する免疫細胞から過剰に分泌されるため、
老化のマーカーの1つと想定されて多くの研究が行われています。
ただ、血液の濃度でどの程度のことが言えるのかは、
まだ議論の余地があります。

ガレクチン3というのは、
糖尿病の臓器障害で指摘されることの多い、
AGEs(終末糖化産物)と関連の大きなマーカーです。
過剰な糖により変成したタンパク質が、
これも炎症などを惹起して、
生物の老化の一因となっていることは広く知られています。
老化との関連という点では、
少し前まではその主役の位置にいました。
ガレクチン3というのはAGEsが結合する受容体タンパクの1つで、
ここに結合したAGEsは分解処理されるので、
老化を抑制するために働いていると想定されています。
老化の進行に伴いガレクチン3は増加するので、
ガレクチン3の増加というのは、
老化の原因ではなくその結果を示していると思われます。

さて、今回の検討においては、
ガレクチン3もオステオポンチンも、
通常高齢者と比較して100歳を超える高齢者で有意に低値を示していて、
この2つのマーカーを使用することにより、
健康な老化を高い精度で予測可能だ、
という結果になっていました。

これは2つのマーカーを使用しないとそうした結果にはならない、
という辺りがややトリッキーな感じがしますし、
この2つの組み合わせが適切であるという根拠も、
かなり弱いという気がします。
年齢をマッチングして比較したと言っても、
100歳のデータなどそもそもほとんどないのですから、
それが妥当なものなのかも疑問です。

正常な老化というものがあるのかどうかは、
ある種哲学的な問題かも知れませんが、
「健康で長生き」という抽象的な概念が、
科学的に検証され一定のデータとして算出可能、
という試みはそれなりには興味深く、
今後もこの分野のリサーチは続けたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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