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アスピリンの中断と心血管疾患リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
アスピリンの中止と心血管疾患リスク.jpg
今年のCirculation誌に掲載された、
アスピリンの中断とその後の心血管疾患リスクについての論文です。

1日75から160ミリグラムくらいの低用量のアスピリンが、
心筋梗塞などの心血管疾患の再発予防に有用であることは、
多くの精度の高いデータによって確認された事実で、
事例を選べば発症前の一次予防にも有効性があることも、
ほぼ実証された事実です。

その使用は原則として、
メリットがデメリットを上回る限り、
長期間継続するべきものですが、
実際には新規に心筋梗塞を発症した患者さんのうち、
1から3年以内に10から20%はアスピリンの内服を中断している、
という調査が発表されています。
中断率は30%に及ぶという報告もあり、
より広く患者さんの半数では、
処方は適切に継続されていない、
という報告もあります。

そこで今回の研究では、
国民総背番号制が敷かれているスウェーデンにおいて、
年齢が40歳を超えていて、
心血管疾患の一次予防もしくは二次予防目的で、
1日75から160ミリグラムのアスピリンを、
1年以上治療継続し80%以上内服を遵守している、
トータル601527名の患者さんを、
中間値で3年間観察し、
その間のアスピリン内服の中断と、
その後の心血管疾患のリスクを検証しています。

その結果、
アスピリンを途中で中断した患者さんは、
中断しない場合と比較して、
心血管疾患のリスクが1.37倍(95%CI; 1.34から1.41)、
有意に増加していました。
アスピリンを中断した患者さん74名のうち、
1年に1名がそのために心血管疾患を新たに発症する、
というくらいのリスクと計算されています。
このリスクの増加は、
中断後短期間で認められ、
その後長期間持続していました。
リスクの増加は二次予防の事例でより大きく、
1.46倍(95%CI; 1.41から1.51)となっていました。

このようにアスピリンの中断により、
明確にその後の心血管疾患のリスクが増加していて、
適切な適応で開始された低用量アスピリンについては、
極力継続することが、
その効果を持続させるためには重要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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