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2型糖尿病におけるシスタチンCと心臓周囲脂肪との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
シスタチンCと心臓周囲脂肪.jpg
今年のPLOS ONE誌に掲載された、
心臓周囲の脂肪組織の体積と関連する因子についての論文です。
岩手医科大学の研究グループによる報告です。

内臓脂肪がインスリン抵抗性を高め、
動脈硬化を進行させる要因になることは、
広く理解されている事実ですが、
そうした通常から一定の脂肪細胞の集まりがある部分の脂肪の量以外に、
通常ではあまり脂肪が沈着しない部位への脂肪の蓄積が、
別個の意味合いを持っているのではないか、
という考え方があります。

この異所性の脂肪蓄積の中でも、
病気との関連で注目をされているのが、
心臓周囲脂肪です。

心臓は心内膜と心外膜という2層の膜に覆われていて、
心内膜と心外膜の間にも、
心外膜の外側にも、
それぞれ脂肪の蓄積が起こります。

このうち特に病気との関連が指摘されているのが、
心内膜と外膜との間に蓄積する、
心外膜脂肪です。

心臓周囲脂肪からは炎症性サイトカインなどのホルモンが分泌され、
それが血管にも影響して動脈硬化を進行させると考えられています。

この心臓周囲脂肪の蓄積量は、
内臓脂肪の量やインスリン抵抗性と相関する、
という報告があります。
また、肥満や高血圧、2型糖尿病とは独立して、
動脈硬化の進行や心血管疾患のリスクである、
とする解析結果もあります。

今回の研究においては、
動脈硬化が進行し易い2型糖尿病の患者さんにおいて、
CTで計測された心臓周囲脂肪の容積と、
各種の心血管疾患や動脈硬化と関連する検査値や測定値との、
関連を検証しています。

対象となっているのは2型糖尿病があり、
それまでに心血管疾患の既往はない208名で、
CT検査により心臓周囲脂肪の容積を測定し、
年齢やBMI(肥満度)、レプチン、Cペプチド、
シスタチンC、推計糸球体濾過量などとの関連を検証しています。

その結果…

最も心臓周囲容積との関連が、
血圧や血糖値、BMIなどと独立して有意に認められたのは、
血液のシスタチンC濃度でした。

このシスタチンCというのは、
最近クレアチニンを利用する従来の方法に代わって、
腎機能を推定する検査として使用されているもので、
血液中で安定していて、
筋肉量などの影響を受けにくいというところが、
クレアチニンと比較しての利点となっています。

そのため今回の検討では、
シスタチンCの代わりに推計のクレアチニンによる糸球体濾過量で、
同様の比較を行っていますが、
同じような心臓周囲脂肪との関連は再現されませんでした。

シスタチンCはそもそもシステイン・プロテアーゼという、
酵素の阻害剤で、
腎機能以外での変動はないものと考えられていましたが、
最近の報告では肥満や内臓脂肪の増加によっても、
その数値が増加するというデータが得られています。

その点から考えると、
シスタチンCが通常の他の動脈硬化のマーカーとは、
別個の意義を持っていて、
それが心臓周囲脂肪などの異所性脂肪組織から分泌される、
炎症性サイトカインなどと関連を持っているという可能性も、
今後注目をすべきものではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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