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チオトロピウムの早期COPD進行予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
チオトロピウムのCOPD進行予防効果.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
チオトロピウムというCOPDに対する治療薬の、
比較的軽症の患者さんに使用した場合の、
比較的長期の有効性を検証した論文です。

チオトロピウム(商品名スピリーバ)は、
副交感神経の気道での働きを弱めることにより、
気道の平滑筋の収縮を抑え、
そのことによって気道を拡張する作用を持つ、
所謂気管支拡張剤です。
平滑筋のムスカリン受容体という、
アセチルコリンの結合部位に替りにくっつき、
それによってアセチルコリンの作用を弱めます。
この結合が長期間続くため、
1回の吸入により、
ほぼ1日を通して気管支の拡張作用が持続するのです。

こうした薬剤を総称して、
抗コリン剤と呼んでいます。

気管支喘息の時に用いる気管支拡張剤としては、
β2刺激剤と呼ばれる交感神経の刺激剤が有名ですが、
それよりもリバウンドが少なく、
安定して安全に使用出来る薬剤として、
その評価は近年高いものになっています。

この吸入タイプの抗コリン剤は、
喘息よりも肺気腫や慢性気管支炎などの、
高齢者の肺の病気である、
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として、
その有効性が注目されています。

そしてこのチオトロピウムは、
もう症状としての呼吸困難が生じているような、
比較的重症な患者さんに対しては、
その予後の改善や急性増悪の予防に対して、
一定の有効性が確認されています。

ただ、より軽症の患者さんに対しての有効性については、
これまであまり検証されていませんでした。

そこで今回の研究では中国において、
GOLDというCOPDの国際的分類の、
Ⅰ度もしくはⅡ度という、
比較的軽症のCOPDの患者さん、
トータル841名をクジ引きで2つに分け、
一方はチオトロピウムをハンディヘラで18μg、
1日1回吸入し、
もう一方は偽の吸入薬を同じように施行して、
2年間の経過観察を行っています。

その結果、
2年間の治療継続時で、
チオトロピウム吸入群は偽吸入群と比較して、
1秒量という呼吸機能の指標が有意に高く、
その低下率も有意に抑制されていました。

具体的には気管支拡張剤の使用前には、
年間の1秒量の低下率には有意差はありませんでしたが、
気管支拡張剤の使用後には、
偽吸入では年間51±6ミリリットルの低下であったのに対して、
チオトロピウム吸入では年間29±5ミリリットルの低下で、
その差は22(95%CI;6から37)ミリリットルと有意な違いになっていました。

つまり、比較的軽症のCOPDにおいても、
チオトロピウムを継続して使用することにより、
COPDの進行が予防される可能性が示唆される結果です。

これはハンディヘラ型の吸入用具によるものであることには、
注意が必要ですが、
今後チオトロピウムの使用開始のタイミングについては、
再検証がされるような流れになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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