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メトホルミンの腸内細菌と免疫への効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
メトホルミンと免疫と腸内細菌.jpg
今年のDiabetologia誌に掲載された、
メトホルミンという2型糖尿病治療薬の、
多彩な作用についてのレビューです。
この号はメトホルミン特集号となっています。

メトホルミン(商品名メトグルコなど)は、
インスリン抵抗性を改善するのが主な作用の、
2型糖尿病治療薬で、
その長期の安全性と有効性が高く評価され、
世界的に2型糖尿病の第一選択の薬剤となっています。

その作用は主に肝臓における糖新生の酵素の抑制と、
エネルギー代謝を調節する酵素である、
AMP活性化プロテインキナーゼの活性化にあるとされています。

ただ、最近になりこのインスリン抵抗性改善以外にも、
メトホルミンには副次的な作用が色々とあることが報告されています。

今回のレビューで解説されているのは、
そのうちの腸内細菌叢に対する効果と、
免疫への効果についてです。

メトホルミンは飲み薬ですが、
血液の濃度の100倍の濃度で、
腸管の粘膜に移行していることが分かっています。

この高濃度のメトホルミンが腸粘膜の代謝を調節して、
それが腸内細菌叢の変化に結び付いていることが、
複数の研究で報告されています。

それは必ずしも単独の変化で説明の可能なものではなく、
研究によっても変化はまちまちなのですが、
メトホルミンが腸内細菌叢に影響を与え、
その組成を変化させるということ自体は、
事実と考えて良いようです。

メトホルミンにはまた免疫の調整作用のあることも、
多くの報告があります。
これは一部はAMP活性化プロテインキナーゼで説明が可能で、
この酵素の活性化により、
一部のリンパ球などの免疫細胞の活性化が起こり、
また癌細胞の代謝が抑制されるために、
抗癌作用に結び付くことや、
抗炎症作用が自己免疫疾患などの改善に結び付いた、
とする報告もあります。

メトホルミンがスタチンと同じように、
代謝に影響を与えると共に抗炎症作用などを併せ持つ、
メタボリックシンドローム全体の治療薬であり、
予防薬であることはほぼ間違いがなく、
今後その適応は、
単純に2型糖尿病のみではなく、
大きく変化してゆく流れになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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