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アレンドロネートによるステロイド使用高齢者の股関節骨折予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ステロイド骨粗鬆症に対するアレンドロネートの効果.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
評価の定まった骨粗鬆症治療薬による、
ステロイド使用高齢者の股関節骨折予防効果を、
検証した論文です。

ステロイド(糖質コルチコイド)は、
慢性の炎症性疾患やアレルギー性疾患に幅広く使用されている薬剤です。
非常に有用性の高い薬ですが、
その一方で易感染性や耐糖能異常、消化管出血など、
多くの副作用のある薬でもあります。
そして、高齢者に使用する際に大きな問題となる副作用の1つが、
骨粗鬆症と骨折の増加です。

ステロイドは比較的短期間の使用においても、
骨量を減少させ、
その影響は大腿骨などの長管骨よりも、
背骨などの海綿骨で著明です。
その影響は投与されたステロイドの累積量が多いほど、
より大きくなることが分かっています。
あるデータによると、
ステロイドの使用により、
股関節の骨折は60%、
背骨の骨折は160%増加すると報告されています。

80代ではステロイドの使用により股関節の骨折は2.1倍増加し、
それは骨塩量の減少とは独立に起こる現象であることも報告されています。

高齢者においては、
1日5ミリのプレドニゾロンを、
少なくとも3か月以上使用することにより、
骨折リスクの明確な増加が認められる、
と考えられています。

アレンドロネート(商品名フォサマック、ボナロンなど)は、
ビスフォスフォネートと呼ばれる、
強力に骨吸収を抑制する薬剤で、
抗RANKLE抗体などの新しい薬剤が使用されるようになった現在でも、
最も有効性や安全性が確立された骨粗鬆症治療薬であることは、
間違いがありません。

アレンドロネートはステロイド使用者の背骨の骨折に対しては、
その予防効果が確認されていますが、
股関節の骨折についてはその頻度が低いこともあって、
明確な予防効果はこれまでに確認されていません。

そこで今回の研究では、
65歳以上で1日5ミリグラム以上のプレドニゾロンを、
少なくとも3か月以上使用し、
それからアレンドロネートを処方された1802名を、
矢張りステロイドを同じ様に使用していて、
アレンドロネートのような骨粗鬆症治療薬を未使用の、
条件をマッチングさせた1802名と比較して、
股関節骨折のリスクを検証しています。

対象者の平均年齢は79.9歳で、
70%は女性です。
中央値で1.32年の経過観察期間において、
アレンドロネート群で27件、
アレンドロネート非使用群で73件の股関節骨折が発症していて、
アレンドロネートによる治療は、
股関節の骨折のリスクを65%(95%CI;0.22から0.54)、
有意に抑制していました。

このように今回の検証において、
プレドニゾロン換算で1日5ミリグラム以上のステロイドを、
3か月以上使用したようなケースでは、
アレンドロネートの使用が、
背骨の骨折のみならず、
股関節の骨折のリスクも明確に予防することがほぼ確認されました。

従って現状はステロイド誘発性骨粗鬆症による骨折予防の治療として、
アレンドロネートが有用な選択肢の1つであることは、
間違いがないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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