So-net無料ブログ作成
検索選択

非アルコール性脂肪肝炎に対するピオグリタゾンの効果(2017年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アクトスの肝硬変改善効果.jpg
今年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
進行した非アルコール性脂肪肝炎での、
ピオグリタゾンという糖尿病治療薬の効果についての論文です。

非アルコール性脂肪肝炎というのは、
アルコール性の肝障害と非常に似通った病態が、
お酒を飲まない人にも生じるというもので、
従来の脂肪肝という概念とは異なり、
進行性で肝硬変に移行することも稀ではないのが特徴です。

その病態は内臓肥満やメタボと関連が深く、
高血圧や糖尿病、高脂血症などと高率に合併し、
インスリンの効きが悪くなってインスリンの濃度が高くなる、
インスリン抵抗性がその土台にあると考えられています。

非アルコール性脂肪肝炎というのは、
メタボの内臓に与える影響の1つの現れで、
単独でも肝硬変などの命に関わる病気に繋がる一方、
他の動脈硬化性疾患や糖尿病など、
メタボに関連する病気とも、
密接に結びついているのです。

さて、現時点で減量や運動療法などの生活改善以外に、
特効薬のような治療薬のない非アルコール性脂肪肝炎ですが、
ビタミンEなどと共に、
一定の有効性が確認されているのが、
ピオグリタゾン(商品名アクトスなど)です。

ピオグリタゾンはインスリン抵抗性の改善剤で、
主に糖尿病の治療薬として、
日本よりむしろ海外での評価が高い薬剤です。
ただ、その一方で浮腫や心不全のリスクがある、
というような報告もあり、
心疾患のあるような患者さんには適していません。

このピオグリタゾンの非アルコール性脂肪肝炎への使用については、
これまでに複数の精度の高い臨床試験のデータがあり、
そのいずれもが一定の脂肪肝炎の改善効果を認めています。

ただ、ある程度進行した肝硬変の状態になっても、
ピオグリタゾンに有効性があるかどうかという点については、
あまり明確なことが分かっていませんでした。

今回の研究はこれまでの介入試験と呼ばれる、
精度の高い臨床試験のデータをまとめて解析したメタ解析ですが、
肝生検における肝臓の線維化の改善があるかどうかを、
主な検証項目としています。

これまでに行われたピオグリタゾンを使用した8つの介入試験と、
同種の薬剤で今は使用をされていないロシグリタゾンを用いた3つの介入試験のデータを、
まとめて解析した結果として、
ピオグリタゾンとロシグリタゾンは、
肝生検でのNASHの線維化のステージが、
F3からF4という進行した線維化(明らかな肝硬変を含む)の状態から、
F0からF2というより軽度の状態へと、
改善を示した事例が有意に増加していました。
(指標はNASH Clinical Research Network Scaleによる)

また、治療によりNASHの所見が生検所見上なくなる治癒も、
ピオグリタゾンとロシグリタゾンで有意に増加していました。
治療期間は半年から24か月での判定です。

このように進行した肝臓の線維化が認められる状態であっても、
ピオグリタゾンには一定の有効性が認められ、
線維化自体が改善するという知見は、
非アルコール性脂肪肝炎の有効な治療がない現状では、
非常に意義のあるものだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。

誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ

誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ

  • 作者: 石原藤樹
  • 出版社/メーカー: 総合医学社
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 単行本


メッセージを送る