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消化管手術後のステロイド投与の嘔吐抑制効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ステロイドの吐き気抑制効果.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
腸の手術後の吐気嘔吐の予防に、
ステロイドを使用する方法の効果を検証した論文です。

お腹の手術の後に最も多い合併症として、
術後の吐気や嘔吐があります。

このメカニズムは完全には分かっていませんが、
麻酔の合併症として生じることがあり、
また腸の切除などの操作とも関連が指摘されています。

その予防としてステロイドの使用が以前から行われていて、
一定の予防効果が報告されていますが、
あまり厳密なデザインの試験は少なく、
対象となっている手術の種別も様々です。

そこで今回の研究では、
イギリスの複数の医療機関において、
18歳以上で開腹もしくは腹腔鏡手術を施行予定の、
1350名の患者さんを登録し、
本人にも術者にも分からないように、
クジ引きで2つの群に分けると、
一方は手術の麻酔の導入時に、
ステロイドであるデキサメサゾン8ミリグラムを静脈投与し、
もう一方は偽の注射を使用して、
術後の吐気嘔吐への効果を検証しています。

その結果…

術後24時間以内の嘔吐は、
デキサメサゾン群では25.5%に当たる172名に発症したのに対して、
偽注射群では33.0%に当たる223名に発症していて、
13名にステロイド注射をして1名の嘔吐が予防される、
という効果が確認されました。

術後24時間以内に制吐剤の使用が必要となるようなケースは、
デキサメサゾン群では39.3%に当たる265名で発生したのに対して、
偽注射群では51.9%に当たる351名で発生していて、
こちらは8名にステロイド注射をして、
1名の制吐剤の使用が抑制される、
という結果になりました。
こうした制吐剤の使用抑制効果は、
術後72時間においても有意に認められました。

このように、ステロイド剤を麻酔導入時に使用すると、
その後の吐気嘔吐が抑制されることは間違いがなく、
その効果をどのくらい評価するかはやや微妙ですが、
今後のガイドラインにも少なからず影響を与える知見では、
あるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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