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変形性膝関節症に対するステロイド注射の問題点 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ステロイドの関節注射の効果2017.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
変形性膝関節症による膝の痛みに対して,
ステロイドの関節内注射を継続した場合の、
関節軟骨への影響を検証した論文です。

変形性膝関節症は、
太った中高年の女性に多い膝の痛みで、
関節の軟骨がすり減ることによってそこに炎症が起こり、
その炎症が更に軟骨をすり減らせるという悪循環を起こします。

変形性膝関節症の治療は、
まずは体重のコントロールや生活改善、
運動療法などで、
次に飲み薬の痛み止めや関節内への注射、
病状が進行した場合には手術治療も検討されます。

このうち関節注射として使用されているのは、
軟骨成分を補充するヒアルロン酸と、
痛みや炎症と取る目的で使用されるステロイドです。

ステロイド剤の関節注射には色々な意見があります。

変形性膝関節症で起こる関節の炎症は、
痛風の関節炎などと同じ、
一種の自己炎症です。
軟骨のすり減りによる機械的な刺激が、
炎症の原因となり、
その炎症が更に軟骨を痛めてすり減らすという、
悪循環になるのです。

もしそうだとすれば、
炎症を抑えることにより軟骨の破壊の進行も抑制され、
痛みも軽減する筈だ、
ということになります。

ステロイドには強力な抗炎症作用がありますから、
その使用はその意味では理に適っています。

一方でステロイドは骨壊死の原因となり、
蛋白質の異化作用を持つので、
軟骨がそれによりすり減るという可能性もあります。

つまり、変形性膝関節症に対して、
関節内にステロイドを注入することは、
病状を改善する可能性もある一方、
悪化させる可能性もある、
ということになります。

一体どちらが正しいのでしょうか?

この問題については、
2003年のArthritis & Rheumatism誌に、
トピックとなる論文が掲載されています。
それがこちらです。
ステロイドの関節注射の効果2003年.jpg
この論文では、
68名の変形性膝関節症の患者さんを、
本人にも主治医にもどちらか分からないように、
くじ引きで2つの群に分け、
一方は3か月に一度ずつ、
ステロイド剤であるトリアムシノロン(商品名ケナコルトA)を、
40ミリグラム関節注入することを繰り返し、
もう一方は生理食塩水を注射して、
トータルで2年間の観察を行っています。

その結果、
関節所見には両群で有意な差はなく、
その一方で痛みなどの症状については、
ステロイド使用群で有意な改善が認められた、
というデータが得られています。

つまり、変形性膝関節症に対して、
3か月に一度ケナコルト40ミリグラムを注射することの、
効果と安全性とが確認された、
という内容になっています。

ただ、この研究においては、
関節の所見はレントゲンのみで判断されています。
それでは、実際に軟骨のすり減り具合は、
正確に計測することは出来ません。

そこで今回の研究においては、
上記の2003年論文と同じことを、
140人の患者さんに対して行い、
軟骨のすりへり具合はMRI検査により判定を行っています。

使用されたステロイド剤はトリアムシノロン40ミリグラムで、
3か月に一度の注射を2年間継続している点も全く同じです。

その結果…

全経過を通して、
ステロイド使用群と偽注射群とで、
痛みなどの症状には有意な違いはなく、
MRIで計測された軟骨の厚みは、
ステロイド使用群で有意に減少していました。

つまり、
ステロイドの関節内注射は、
変形性膝関節症の症状に対しての有効性はなく、
その異化作用により、
軟骨のすり減りを進行させて、
膝関節症の悪化に結び付く可能性が高い、
という結論です。

2003年とは正反対の結果で、
検証の精度も例数も今回の方が勝っていますから、
現時点では、少なくともケナコルト40ミリグラムの投与の継続は、
望ましくはないと考えた方が良さそうです。
ただ、今回の検証でも臨床的に、
明確な差が出るまでには至っておらず、
ステロイドの使用量や使用方法によっては、
また別の結果が出るという可能性も残っています。

今後のより臨床に直結するような、
知見の積み重ねを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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百日咳の臨床診断について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
百日咳の臨床診断.jpg
今月のChest誌に掲載された、
百日咳の臨床診断についてのメタ解析の論文です。

百日咳は百日咳菌による細菌感染症で、
その名前の通り3か月も続くことがある、
咳の症状で知られています。

通常は普通の風邪のような鼻水や咽喉の痛みで始まり、
それから1から2週間くらいすると、
発作性の咳に症状が変わります。
治療は抗生物質に一定の効果がありますが、
症状が出現してから4週間以内でないと、
症状を改善することは難しいと言われています。

この病気の診断はまず特徴的な症状で、
発作性の咳と、咳き込みの後の嘔吐、
息を吸った時の笛のようなヒューヒュー音がその特徴とされています。

こうした咳で百日咳の存在を疑うと、
咳の出現から2週間以内であれば、
鼻や咽喉から検体を取って、
最近培養の検査や遺伝子検査が行われます。
(遺伝子診断は咳が出てから3週間くらいは検出可能)
咳が出てから3週間以降になると、
今度は血液の抗体が上昇するので、
それによる診断が可能となります。
通常1回のみの測定での判断が可能な、
抗PT-IgG抗体が、
現在は使用されることが多いようです。

このように、
闇雲に検査をするのではなく、
症状から百日咳を疑った場合に検査をするのですが、
抗生物質の有効性は早期であるほど高い反面、
早期の診断は難しいというジレンマがあります。
また、小児と大人では症状経過が異なる場合が多いのですが、
そうした検証があまりこれまでに行われて来なかった、
という問題も指摘されています。

今回の研究は、
これまでの百日咳関連の臨床データをまとめて解析する方法で、
症状からの百日咳の診断の方法を検証しています。

その結果、
成人の百日咳では、
発作咳の咳があり発熱はないという所見の、
感度が93.2%で特異度が20.6%、
咳き込み後の嘔吐と息を吸うときの笛のような音という所見の、
感度は32.5%で特異度は77.7%でした。
この場合の感度というのは、
百日咳の患者さんでそうした所見のある確率で、
特異度というのは、
百日咳の感染がない場合のそうした所見のない確率です。

つまり、大人では、
咳き込み後の嘔吐や息を吸うときの笛のような音があれば、
百日咳の可能性が高いので診断のための検査を行う必要があり、
発作性の咳がないか発熱があれば、
百日咳の可能性は低いので、
診断のための検査をする必要も低い、
ということになります。

一方でお子さんの百日咳では、
症状にはばらつきが多くて、
大人のような感度や特異度の高い症状の組み合わせは、
存在しませんでした。
その中では咳き込み後の嘔吐が、
感度60.0%、特異度66.0%で、
一定の有用性があり、
それ以外の症状については全く参考にはなりませんでした。

このようにお子さんの百日咳の診断は、
必ずしも簡単なものではなく、
現状はワクチンの接種状況や流行状況も踏まえて、
総合的に判断する以外にはないように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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北村想「黒塚家の娘」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
三浦半島の132年に一度の大開帳というものがありまして、
朝から10か所ほどのお寺を廻って、
道が混まないうちに帰って来たところです。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
黒塚家の娘.jpg
北村想さんが台本を書き、
寺十吾さんが演出をする、
シス・カンパニーの日本文学シアターのシリーズの、
第4弾が今4人芝居として上演されています。

このシリーズは、
「グッドバイ」「草枕」「遊侠沓掛時次郎」と続き、
どれもとても楽しく観劇しました。
どれも1時間半を切るくらいの短い芝居で、
遊びに満ちた自由闊達な物語、
面白さと退屈さのスレスレを狙ったような感じが心地良く、
北村さんの新境地を見るような思いがしました。
これまでの3作の主役は段田安則さんで、
脇にも浅野和之さんのような手練れが揃っていました。

今回は内容を一新した感じで、
キャストも風間俊介、趣里、高橋克実、渡辺えりの4人、
内容も能の「黒塚」を現代風にアレンジして、
一種の宗教劇にしたもので、
これまでとは大分傾向が違っています。

内容はほぼ能の「黒塚」のアウトラインは守っていて、
それを現代(?)に置き換え、
西洋の青髭ものなどのエッセンスをまぶしてあります。
とぼけたユーモラスな台詞もあるのですが、
トータルにはこれまでのシリーズより重く暗い雰囲気となっています。

主人公は僧ではなく、
プロテスタントの若い牧師という設定になっています。

上演時間は1時間半弱の短さであるのは同じですが、
何処までが真面目なのか判然としないものの、
キリスト教の神学論やスピノザについての議論が、
結構内容の中で大きな比重を占めていて、
意外に真面目に宗教論の芝居を、
したかったようにも思えます。

ただ、ラストは結局は原作と同じで、
鬼が調伏されるということになるので、
その辺りの段取りの平凡さが、
何となく見ていてモヤモヤする感じは残ります。

演出は今回は寺山修司をかなり意識したアングラチックなもので、
開幕前の音効もそんな感じですし、
屋敷で食事を摂る場面などは、
初演版の「奴婢訓」そのものという感じでした。
キリスト教の教義や哲学談義の場面では、
映像を巧みに使用して、
分かりやすく面白く解説をするところなどは、
寺十さんの面目躍如という感じなのですが、
いかんせん話が地味で、
ラストは歌舞伎でも能でもなく、
ただ恐い顔をした女性と言葉で対決するという、
間抜けにしかなりようのない場面なので、
キャストや演出がちょっと気の毒に感じました。

こうした得体の知れなさが、
北村さんの戯曲の魅力でもあるのですが、
今回はどうも失敗に終わってしまったように思います。

残念ですがまた次回に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「スプリット」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。

今日はこちら。
スプリット.jpg
アイデアに溢れたどんでん返しのある映画で有名な、
ナイト・シャマラン監督の新作が、
今封切り公開されています。

シャマラン監督の映画は、
「シックス・センス」「アンブレイカブル」、
「サイン」、「レディ・イン・ザ・ウォーター」、
「ヴィレッジ」を観ています。

どれも一筋縄ではいかない、
奇々怪々の作品なのですが、
所謂「どんでん返し」があるのは、
「シックス・センス」、「アンブレイカブル」、
「ヴィレッジ」の3本で、
「サイン」と「レディ・イン・ザ・ウォーター」の2本は、
シャマラン監督的には意外な結末なのかも知れませんが、
ヘンテコな伏線の回収作業はあるものの、
あたかもシベリア少女鉄道のお芝居のように、
「こういうもの」と思わないと、
楽しむことが出来ません。

この中で僕が最も好きなのは「アンブレイカブル」で、
奇妙なヒーローものとしてのお話が、
それを成立させるための奇怪な現実を呼び込むのです。
ラストに待ち構える「ショック」は、
新しいどんでん返しのあり方を、
教えてくれたような思いがありました。

さて、今回の作品はアメリカでは久々のスマッシュヒットとなり、
「シックス・センス」以来久しぶりに監督が、
「このラストは絶対に話さないでください」
という趣旨のことを予告で話しているので、
これはひょっとしたらかつての衝撃が再びなのかしら、
と何となく映画館に初日に足を運んでしまいました。

今回は3人の少女が、
23の人格を持つという謎の男に監禁される、
という導入のスリラーです。

男の診察をしていたカウンセラーの女性が登場して、
徐々に男を疑うようにもなりますし、
主人公の少女の生い立ちのトラウマなども、
怪しげに何度もインサートされるので、
如何にもどんでん返しがありそうな雰囲気は高まります。

そして…

ネタバレは出来ませんが、
個人的な感想としては、
「サイン」に似た脱力系のお話で、
力こぶを入れて観ていた分、
とても落胆を感じました。

「ラストの衝撃」というのはどんでん返しではなく、
別の「オチ」のことを指しているようなのですが、
その「オチ」は予備知識がないと意味不明のものなので、
これはちょっと不親切過ぎるのでは、と感じました。

要するにいつものシャマラン・クオリティです。

ただ、どんでん返しの期待をしなければ、
監禁もののサイコスリラーとしては、
なかなかスリリングに出来ていて、
それだけでは平凡ではあるのですが、
退屈はしない作品には仕上がっていたと思います。

シャマラン監督の憎めない方であれば一見の価値はあります。
ラストの脱力系のオチを含めて、
この奇妙さこそがシャマラン監督の世界なのだと思います。
くれぐれもラストのどんでん返しなどには、
期待をしないでご覧ください。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

スタチンと腰痛との関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
スタチンと腰痛.jpg
今月のJAMA Internal Medicine誌にウェブ掲載されたレターですが、
コレステロールの降下剤の使用と、
腰痛との関連性を検証したものです。

スタチンは広く使用されているコレステロール降下剤で、
心血管疾患の予防薬として、
その有用性は確立しています。

ただ、筋肉や神経系の有害事象や、
糖尿病の新規発症リスクの増加など、
副作用や有害事象の多い薬でもあります。

スタチンは筋肉の炎症を誘発することがあるところから、
腰痛の原因であるぎっくり腰などの原因となることや、
腰椎椎間板ヘルニアや変形性脊椎症による腰痛を、
悪化させるような可能性も想定されます。

しかし、実際には多数例でそうした検証が行われたことは、
これまでにはあまりありませんでした。

そこで今回の研究においては、
アメリカの健康保険のデータを活用することにより、
スタチンの使用と腰痛との関連を検証しています。

その結果、
年齢などをマッチングさせた、
スタチン使用者6728名と、
スタチン非使用者6728名を比較したところ、
腰痛の診断は、
スタチン使用者では、
全体の49.3%に当たる3318名で見られたのに対して、
スタチン非使用者では、
全体の43.3%に当たる2913名で見られていて、
スタチンの使用により、
腰痛のリスクは1.27倍(95%CI;1.19から1.36)
推計では17.6人の新規のスタチンの使用により、
1人のスタチンを原因とする腰痛が発生する、
と計算されました。

このスタチンの使用による腰痛の増加は、
スタチンの使用期間が長く、高力価であるほど、
多い傾向のあることも確認されました。

スタチンによる腰痛の機序はまだ不明で、
その因果関係も推測の域を出ませんが、
背骨に病気を抱えているような患者さんにおいては、
スタチンの使用をより慎重に考える必要はあるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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腸内細菌叢の発達における授乳の影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
授乳と腸内細菌叢.jpg
今月のJAMA Pediatrics誌にウェブ掲載された、
腸内細菌叢の発達における授乳の影響についての論文です。

赤ちゃんが生まれてから1歳になるまでの期間に、
その腸内細菌叢は大きな変化を遂げます。
そして、概ね3歳くらいまでには、
大人と同じようなバランスの細菌叢が成立すると考えられています。

この正常な腸内細菌叢の発達が妨害され、
菌叢に乱れが生じると、
それが1型糖尿病や炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎などの、
自己免疫による病気の誘因となると考えられます。

それでは正常な腸内細菌叢の発達を阻害するものは何でしょうか?

そのことを考えるには、
どのようにして正常な腸内細菌叢が生まれるのかを、
考える必要があります。

赤ちゃんの腸に最初に流れ込むものは母乳もしくはミルクです。
授乳の場合には赤ちゃんはお母さんの乳首を吸いますから、
母乳に元々含まれている細菌と、
乳輪近くの粘膜や皮膚にいる細菌が、
一緒に赤ちゃんの体内に入ることになります。

実際に母乳や乳輪周囲の皮膚から、
どれくらいの細菌が赤ちゃんの腸に入り、
それがどのくらいそこで定着することになるのでしょうか?

今回の研究ではアメリカにおいて、
生後すぐから1歳未満の乳児とそのお母さん228名を登録し、
お子さんが1歳までの経過観察を行っています。
このうち107組214名はお母さんとお子さんのペアで、
12人は赤ちゃんのみ、2人はお母さんのみです。

お母さんの母乳と乳輪周囲の皮膚、
そして赤ちゃんの便のサンプルを採取し、
そのRNAの分析を行なって、
菌叢を形成する細菌のパターンを解析します。

その結果、
赤ちゃんの腸内細菌叢を形成する細菌の27.7%は母乳から、
10.4%は乳輪周辺の皮膚から由来していることが明らかになりました。
母乳の摂取量が多いほどその影響は大きく、
離乳食が始まっても、
その母乳の影響は減弱することはありませんでした。

つまり、
出生から1歳くらいまでの腸内細菌叢の発達には、
少なからず授乳が影響を与えていて、
ミルクではその影響に変化が生じる可能性があります。

これをもって即ミルクが良くない、とは言い切れませんが、
人工乳での腸内細菌叢の発達の検証や、
母乳との比較などが今後是非施行されて欲しいところで、
今後のこの分野の知見の蓄積に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとって良い日でありますように。

石原がお送りしました。

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非ステロイド系消炎鎮痛剤の急性心筋梗塞リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
NSAIDSと急性心筋梗塞.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
一般に使用されている解熱鎮痛剤の、
心筋梗塞発症リスクについての論文です。

こうした研究は多くあり、
これまでにも何度かご紹介していますが、
実臨床の大規模なデータを用いて解析をしている点と、
最近流行のベイジアン解析という手法を用いている点が、
今回の特徴です。

非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
商品名ではボルタレンやブルフェン、
ロキソニンなどがそれに当たり、
一般に幅広く使用されている解熱鎮痛剤です。

しかし、この薬には多くの有害事象や副作用があり、
心筋梗塞の発症リスクの増加は、
ほぼ確認されている有害事象の1つです。

しかし、個別の薬剤間でどの程度のリスクの差があるのか、
と言う点や、
薬剤の量や期間とリスクとの関連などの事項については、
論文によっても結論が異なる部分があり、
まだ確実と言えるような知見は得られていません。

今回の研究はカナダとヨーロッパの医療データをまとめて解析したもので、
61460件の急性心筋梗塞の発症者を、
385303名の対照群と比較して、
心筋梗塞のリスクと個々の薬剤の使用との関連性を検証しています。

その結果、
1から7日間という短期間の使用においても、
心筋梗塞を起こした当日24時間以内の非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用は、
有意にその発症リスクを増加させていました。

薬毎の解析では、
未使用と比較して、
急性心筋梗塞のリスク(オッズ比)が、
イブプロフェンで1.48倍(95%CI;1.00から2.26)、
ジクロフェナクで1.50倍(95%CI;1.06から2.04)、
ナプロキセンで1.58倍(95%CI;1.07から2.33)、
それぞれ有意に増加していました。

一般的な非ステロイド系消炎鎮痛剤より、
有害事象のリスクが少ないと想定される、
COX2選択的阻害剤では、
セレコキシブでは1.24倍(95%CI;0.91から1.82)と、
有意ではないもののリスクは増加する傾向を示し、
ロフェコキシブでは1.58倍(95%CI;1.07から2.17)と、
こちらは有意なリスクの増加を認めました。

薬の1日の使用量が多いほど、
心筋梗塞の発症リスクも高くなりましたが、
使用期間は1か月を超える使用であっても、
リスクはより増加するという傾向は示しませんでした。

このように、
非ステロイド系の消炎鎮痛剤を使用することにより、
若干ながら急性心筋梗塞の発症リスクが増加することは、
ほぼ間違いがなく、
1回の使用量が多いほどそのリスクは高まりますが、
慢性の使用が1か月未満の使用より危険、
ということはなく、
個々の薬剤間のリスクの差も、
それほどはないと考えておくことが妥当なようです。

特に心疾患のリスクのある患者さんにおいては、
非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用は、
最小限最小用量に留めることが、
必要であると考えておいた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

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院外心停止の1年後の予後とAEDの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
院外心停止の予後.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
院外心停止とその予後についての論文です。

日本でも町のあちこちにAEDと呼ばれる、
心臓に電気ショックを与えて、
主に心室細動と呼ばれる重症の不整脈を、
治療する装置が設置され、
心臓マッサージや人工呼吸を含めて、
救急蘇生の講習が、
一般の方向けにも行われるようになりました。

その目的は、
医療機関の外で突然心停止を来したような場合に、
そのまま何もせずに救急車が到着するまで待っているのでは、
心停止中に脳がダメージを受け、
その後心臓の働きは再開しても、
脳のダメージは元に戻らない、
という知見を元にしています。

実際に電気ショックを含めた適切な処置を、
心停止から間もない時間に施すことにより、
院外心停止の救命率は格段に向上していることが、
国内外の調査で裏付けられています。

しかし、
これまでに分かっているのは、
主に心停止の発作後30日間という、
生命予後と病状についてのみのデータです。

それでは、院外心停止で救命された患者さんの長期予後は、
一体どのようなもので、
それはAEDなどの使用の有無によって、
改善する性質のものなのでしょうか?

その疑問を検証する目的で今回の研究では、
国民総背番号制を取っているデンマークの医療データを活用して
(昨日ご紹介した論文と同じデータです)、
2001から2012年に院外心停止を来し、
30日経過した後にも生存していた2855名を対象として、
その後1年の時点での生命予後と、
後遺症の有無を初期治療毎に検証しています。

その間の院外心停止は34459名
(総数42089名から今回の登録基準を満たさないものを除外)で、
その30日での救命率は8.3%となっています。

2001年から2012年の間に、
その救命率は3.9%から12.4%に増加していて、
AEDなどの使用の増加が、
この救命率の増加に結び付いているものと想定されます。

その30日時点の生存者2855名中、
153名は一般の方によるAED(電気ショック)を受けていて、
AEDを受けた患者さんの9割以上は心臓マッサージも一緒に受けていました。
534名は特に蘇生処置を受けずに救急車を待ち、
1069名は心臓マッサージのみを受け、
771名は救急隊員が居合わせて処置を受けていました。

その30日時点の生存者のうち、
1年の観察期間中に脳障害を認めたか介護施設に入所した事例は、
全体の10.5%で、
死亡した事例は9.7%でした。

そして、
その場に居合わせた人によって、
心臓マッサージが施行された事例では、
されなかった事例に比較して、
1年後の脳障害もしくは介護施設入所のリスクは38%
(95%CI;0.47から0.82)、
1年後の死亡のリスクは30%
(95%CI;0.50から0.99)、
それぞれ有意に低下していました。
AEDによる電気ショックが行われた事例では、
脳障害や死亡のリスクはより低くなっていました。

以上をまとめた図がこちらです。
院外心停止の処置の図.jpg
赤の何も現場で蘇生処置をしなかった場合と比較して、
心臓マッサージやAEDによる処置を行うことにより、
脳障害のリスクや死亡リスクは明確に抑制されています。
(青がAED使用で、緑が心臓マッサージです)
黄色は心停止時に
1年後の障害も死亡リスクも、
より低下していることが分かります。
黄色は救急隊員や救急医が現場にいて蘇生措置をした場合で、
脳障害のリスクは最も低いのですが、
死亡リスクは素人によるAED群より高く、
これは患者さんがより高齢で持病のあるケースが多いことが、
その原因と想定されています。

このように院外心停止を救命するには、
心停止後速やかに、
そばにいる人が心臓マッサージやAEDを施行することが、
その時点でも救命率を増加させるばかりか、
1年後の生命予後や脳障害の予防にも、
良い影響を与えることが確認されたのです。

AEDの必要性と意義は、
より高まったと言って良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

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非ステロイド系消炎鎮痛剤による院外心停止のリスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
NSAIDSと院外心停止.jpg
今年のEuropean Heart Journal誌に掲載された、
消炎鎮痛剤の使用と院外心停止との関連を検証した論文です。

ロキソニンやボルタレン(いずれも商品名)などの、
非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
手っ取り早く痛みや熱を改善する薬として、
広く使用されています。

その主な作用は、
COXと呼ばれる酵素を阻害することにより、
プロスタグランジンの産生を抑制することにあります。

しかし、非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
多くの副作用や有害事象のある薬としても知られています。

現時点で明確なものとしては、
急性の腎障害や胃粘膜障害による消化管出血、
心血管疾患リスクの高い患者さんにおける、
心筋梗塞などの発症リスクの増加などがあり、
この心血管疾患リスクの増加は、
アスピリンなどの抗血小板剤や抗凝固剤の使用時により、
より顕著となることが報告されています。

胃粘膜障害については、
COX2の選択的阻害剤で減少することが確認されていますが、
腎障害や心血管疾患のリスク増加については、
それほどの差はないと考えられています。

さて、スポーツなどの時に多い突然の心停止は、
すぐに処置を行わないと死亡の危険性が極めて高く、
AED(体外除細動器)の普及によりその救命率は増加しましたが、
それでも深刻な健康上の脅威であることは間違いがありません。

院外心停止の原因は不明なものも多いのですが、
虚血性心疾患やそれ以外の心血管疾患が、
その原因となっているケースが多いことが想定されています。

それでは、
こうした院外心停止の事例において、
非ステロイド系消炎鎮痛剤の関与はあるのでしょうか?

この点については、
あまりまとまった調査がこれまでにありませんでした。

そこで今回の研究においては、
国民総背番号制のデンマークの医療データを活用して、
2001年から2010年の報告された引退心停止の事例28947名を解析し、
その直前30日以内の非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用と、
心停止との関連を検証しています。

非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用は、
3376例で認められていて、
中ではイブプロフェン(商品名ブルフェンなど)で51.0%と最も高く、
次がジクロフェナク(商品名ボルタレンなど)で21.8%となっていました。

非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用により、
トータルな解析では、
未使用と比較して院外心停止のリスクは、
1.31倍(95%CI;1.17から1.46)有意に増加していました。

そして、個々の薬剤毎の解析では、
イブプロフェンの使用により、
院外心停止は未使用と比較して1.50倍(95%CI;1.23から1.82)、
ジクロフェナクの使用により1.31倍(95%Ci;1.14から1.51)と、
いずれも有意に増加していました。

それ以外にCOX非選択性のナプロキセンと、
COX2選択制のセレコキシブとレフェコキシブが検討され、
いずれも単独では有意な心停止の増加は示しませんでしたが、
使用事例は少ないため、
本当にこうした薬剤の安全性が、
イブプロフェンやジクロフェナクより優れているかどうかは、
この結果からは判断は難しいように思います。
ただ、ナプロキセンは以前の検証においても、
心筋梗塞や脳卒中のリスクを増加させない、
というデータはあり、
一定の蓋然性はある可能性はあります。

いずれにしても、
心疾患のある患者さんにおいては、
極力非ステロイド系消炎鎮痛剤は使用しない方が良く、
使用の必要性が高い場合には、
COX2選択的阻害剤(日本ではセレコキシブのみ)かナプロキセンを用いるのが、
現状は妥当な判断であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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ジョビジョバライブ「Keep on Monkeys」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
ジョビジョバ.jpg
コントユニットとして1990年代に活躍したジョビジョバが、
15年ぶりに本公演としてのライブを行いました。
クリニックからすぐ近くの品川プリンスホテル クラブeXに行って来ました。

ジョビジョバは活動休止前に4回くらい観に行きました。
テーマ性のあるコントを繋げた舞台で、
新しいドリフターズを目指す、
というようなことを発言していたように記憶しています。

そこそこは面白かったのですが、
当時は6人もそれほどキャラが立ってはいなくて、
力量もボチボチでセンスもボチボチという感じでしたから、
かなり小粒な感じは否めませんでした。

そんな訳で活動休止の少し前の頃は、
観に行くのはやめていました。

それが、意外に(失礼!)活動休止後のメンバーの活躍はなかなかで、
マギーさんは役者としても主役に次ぐくらいのポジションで、
脚本やプロデュースにも才を発揮し、
長谷川朝晴さんや六角慎司さん、
坂田聡さんもそれぞれ、
バイプレーヤーとして曲者ぶりを発揮しています。

今回はセガの社員となった石倉力さんと、
お寺の住職となった木下明水さんも加わって、
完全なオリジナルのジョビジョバが再結成されたのです。

そのライブは期待を超える素晴らしさで、
間違いなくかつての活動休止前のジョビジョバを超えていました。

懐かしいネタもありましたし、
マギーさんの構成も冴えていて、
緩急を自在に操り、
お笑いショーとして観客に退屈を感じさせることなく、
長丁場を見せきる力量には感銘を受けました。
長谷川さんが本人を演じての、
地元でのお父さんネタや、
マギーさんの物真似声優ネタなど、
かつては不可能であったようなベテランの笑いが、
しっかりと出来るようになっているのも、
年輪を感じさせました。

6人ともに持ち味が出たパフォーマンスであり演技でしたが、
特に今回は坂田聡さんが、
抜群のツッコミ芸で光っていました。
坂田さんにはもっとテレビや映画でも、
活躍して欲しいと思いました。

いずれにしても20代を駆け抜けた、
小劇場系のコントユニットが、
こうして成熟した形で再始動し、
しかもその出来があらゆる面で昔を凌いでいるというのは、
とても素敵で素晴らしいことで、
「ドリフターズの再来」というかつてのコピーも、
決して誇大広告とは思えない充実度が、
今回の公演にはあったのです。

これからも本当に楽しみです。

頑張って下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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