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赤ちゃんの新しいおしっこ採取法 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
赤ちゃんの尿採取法.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
赤ちゃんの尿採取法についての論文です。

2歳未満の乳幼児では、
発熱の原因として腎盂腎炎などの尿路感染症は、
頻度の高い感染症です。

尿路感染症の診断には、
勿論尿の検査が必要です。

しかし、特に1歳未満のお子さんでは、
尿を採ること自体がなかなか大変です。

採尿バッグと言って、
尿道の周りに張り付ける透明な袋のようなものが、
よく使用されていますが、
実際には尿が隙間から漏れてしまって上手く取れなかったり、
取れても皮膚の雑菌などが混入してしまい、
正確な診断が出来ないことが多いのです。

自然に出る尿をその場で容器に取れれば、
それに越したことはないのですが、
赤ちゃんは気まぐれですから、
おむつを取り、容器の口を開けて待っていても、
時間ばかりが掛かってしまいそうです。

それではもっと効率の良い方法はないのでしょうか?

上記論文で検証されているのは、
次のような方法です。

こちらをご覧ください。
赤ちゃんの尿採取法の図.jpg
上記文献で試みられている、
新しい赤ちゃんの自然採尿法を図示したものです。

おむつを取って無菌の容器を手元に取り、
排尿の刺激として、
冷水に浸した濡れガーゼで、
膀胱の周辺の下腹部を反時計回りに、
回転するように刺激します。
これにより自然な排尿を促すのです。

本当にこれで上手くいくのでしょうか?

オーストラリアの単独施設において、
主治医が尿検査を必要と判断した、
生後1から12か月の乳幼児を、
その時点でクジ引きで2つに分け、
一方は上記のような膀胱刺激を行い、
もう一方は刺激なしの自然採尿を試みて、
その比較を行っています。

その結果、
5分以内で排尿した比率は、
膀胱刺激をしない場合には12%に留まったのに対して、
膀胱刺激を行った場合には31%と高くなっていて、
その差は19%(95%CI;11から28%)と算出されました。
勿論有意な差です。

適切に尿検体が採取出来た比率も、
膀胱刺激をしない場合は9%に留まったのに対して、
膀胱刺激を行った場合には30%に増加していました。

皮膚などの細菌が混入した比率については、
両群で差はありませんでした。

このように、1歳未満の乳児で自然採尿を行う場合には、
適切な膀胱刺激を行うことが、
採尿の掛かる時間を減らし、
的確に採尿出来る確率を上げる方法として、
有用である可能性が示唆されました。

すぐに臨床でも応用可能な方法として、
臨床的に意義の大きなものだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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