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α遮断薬による尿路結石治療の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
尿路結石へのαブロッカーの使用.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
α遮断剤という高血圧の治療薬を、
尿路結石の治療に使用した場合の、
効果と安全性を検証した、
メタ解析の論文です。

尿路結石は腎臓や尿路に出来た結石が、
その移動によって激しい痛みを出したり、
尿の通り道が塞がったり狭くなることにより、
腎臓の働きが低下したり、
感染を併発することも多い病気です。

病気の発見は突然の痛みによるか、
人間ドックなどでの検査によることが多いと思います。

さて、尿路結石が移動して尿管の一部に停滞し、
激しい痛みを出した場合には、
まず痛み止めなどによる治療が行われ、
水を多めに飲むなどして、
石が尿道から身体の外に出る「排石」を促し、
それが困難であれば、
衝撃波や内視鏡手術などの方法によって、
物理的に石を砕いたり取り除いたりすることを試みるのが、
通常の治療の流れです。

そして、そうした通常の方法以外に、
国内外を問わず、一定の有効性があると信じられていて、
適応外治療であるにも関わらず、
ガイドラインにも記載されているのが、
α遮断薬という高血圧や前立腺肥大症の治療薬を、
尿路結石の症状の緩和や排石の促進のために使用する、
という方法です。

泌尿器科の先生にとっては、
前立腺肥大症で使用する、
タムスロシン(商品名ハルナールなど)は、
使い慣れた薬剤である、
という点も尿路結石にタムスロシンを使用する、
推進力になっているような気がします。

しかし、実際に尿路結石に対するα遮断剤の効果は、
どの程度のものなのでしょうか?

これまで比較的小規模な臨床研究の結果のみで、
有効とされて来た、この適用外の治療について、
今回の論文ではこれまでの臨床研究のデータをまとめて解析する方法で、
より精度の高い検証を行っています。

これまでの55の介入研究という精度の高い臨床試験を、
まとめて解析した結果として、
α遮断剤を使用することにより、
尿路結石の排石が1.49倍促進された、
という結果が得られました。
(95%CI:1.39から1.61)

大きさが5ミリ未満の結石では、
α遮断剤を使用しても明確な違いはなく、
5ミリを超える石や8ミリを超えるような大きな結石では、
トータルで57%も排石率は増加していました。
(95%CI:1.17から2.27)
通常大きな石は自然に排石はされにくいように感じますが、
α遮断剤の効果は比較的大きな石でより高い、
というちょっと意外に思える結果です。

この排石の促進効果は、
石のある場所が尿路の上部でも下部でも、
ほとんど違いなく認められました。

α遮断剤の使用により、
疼痛も有意に低下し、
痛みによる入院や手術のリスクも、
大幅に低下していました。
(入院のリスクが63%、手術のリスクが56%の低下)

このように尿路結石の非侵襲的な治療として、
α遮断剤の使用は有用性が高く、
これまで小さな石の方が良く効くという意見や、
石の位置によって効果が異なる、
というような意見もあったのですが、
今回の検討ではむしろ5ミリ(場合により8ミリ)
を超えるような石で有効性が高く、
石の位置には効果は左右されない、
という新しい知見が得られています。

前立腺肥大症に使用するタイプのα遮断剤であれば、
副作用も軽微であるので、
いつまでも適用外治療としておくのは、
もったいないという気がします。

それでは今日はこのくらいで。

今日は皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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