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軽症喘息への吸入ステロイドの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
軽症喘息の吸入ステロイドの効果.jpg
先月のLancet誌にウェブ掲載された、
時々発作が出る程度の軽症の喘息に対して、
吸入ステロイドによる治療を継続することの意義を検証した論文です。

気管支喘息の現在の基礎となる治療は、
吸入ステロイドを継続的に使用することです。

喘息の本態は気道のアレルギー性の炎症で、
そのコントロールのためには、
強い抗炎症作用のあるステロイド剤を、
気道のみに働くように、
吸入の形で使用することが、
最も理に適っており、
多くの精度の高い臨床試験において、
その有効性と安全性が確認されているからです。

ただ、ガイドラインにおいて明確に吸入ステロイドが推奨されているのは、
1週間に2回を超えて喘息症状のあるような、
持続性の喘息の場合です。

軽症の喘息では治療を行なっていなくても、
1週間に1回くらいしか発作がない人もいますし、
風邪になったような時にしか、
明確な症状の出ないような喘息の患者さんもいます。

こうした軽症で間欠性の患者さんにおいても、
毎日予防のために吸入ステロイドを使用することに、
メリットはあるのでしょうか?

現在の国際的なガイドラインにおいては、
週に2回以下しか発作のないようなケースでは、
発作時のみの気管支拡張剤の使用が推奨され、
それを超える回数の発作が認められる場合に、
吸入ステロイドの継続が考慮されています。

しかし、その根拠となるデータは、
実際には明確に示されていません。

一方で現行の日本のガイドラインでは、
軽症間欠型の喘息においても、
週1回以上の発作のある患者さんでは、
低用量の吸入ステロイドが基礎治療の扱いとなっています。

つまり、現行のガイドラインでは、
国際ガイドライン上は1週間に1回の発作の患者さんは、
発作時のみの気管支拡張剤の吸入の方針ですが、
日本のガイドラインでは低用量の吸入ステロイドの持続的な使用が、
推奨されるという違いがあるのです。

ただ、この方針にも、
実際にはあまり明確な根拠は示されていません。

そこで今回の研究では、
世界32か国の医療機関において、
1週間に1回以上の発作があるけれど、
毎日は喘息症状のない軽症喘息の患者さん、
トータル7138名を対象として、
患者さんにも主治医にも分からないように、
クジ引きで2つのグループに分け、
一方は吸入ステロイドブデソニドを1日400μg
(年齢が11歳未満は200μg)使用し、
もう一方は偽の吸入を使用して、
3年間の経過観察を行なっています。

その結果…

1週間の発作回数が0から1回未満、1から2回未満、2回以上のどのグループにおいても、
入院や救急外来受診、死亡を併せた重症喘息発作までの期間は、
偽薬と比較して吸入ステロイドの使用で有意に延長していました。

つまり、こうした軽症の患者さんにおいても、
少量の吸入ステロイドの使用が、
明確に喘息の予後を改善した、
ということになります。

更に吸入ステロイド使用群では、
3年間の観察期間における肺機能が高く、
発作の回数も減少していました。

このように、週に発作が1回というような、
軽症の喘息患者さんにおいても、
少量の吸入ステロイドを持続的に使用することにより、
喘息の予後全体が改善することが、
明確に実証された意義は大きく、
今後のガイドラインに反映される知見であると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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