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ハンドドライヤーの感染リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事と事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ハンドドライヤーの感染リスク.jpg
2014年のJournal of Hospital Infection誌に掲載された、
ビルのトイレなどで使用されている、
強い風で濡れた手を乾かす、
ハンドドライヤーの感染リスクについて検証した論文です。

昔のトイレや洗面所では、
ペーパータオルで手を拭いて、
使い捨てのタオルが置かれているのが通常でした。

それが、最近では強い風によって、
洗って濡れた手を一気に乾かす、
ハンドドライヤーとかジェットタオルと呼ばれるような商品が、
幅広く使用をされています。

古いタイプの商品は、
暖かい風が吹き出し口から下に出て来て、
そこに手をかざすような仕組みになっていて、
手が乾くまでにかなりの時間が掛かりました。

最近多いのは、
スリットのような所に手を差し入れると、
その両側から手を挟み込むように強い風が当たるもので、
それがハンドドライヤーと称されることが多いようです。
紫外線で殺菌が同時にされるようなタイプのものもあります。
このタイプは必ずしも温風ではなく、
冷風のことも多いのですが、
風の圧力が強力なので、
乾くまでの時間はかなり短縮されています。

このハンドドライヤーは紙やタオルなどを使用しないので、
エコであるということからその使用が拡大したようです。
消耗品がないのでコスト的にも優れている、
というのがメーカーの売りのようです。

しかし、実際に細菌汚染のリスクという観点で考えた時、
従来の使い捨てのハンドタオルと、
ハンドドライヤーのどちらが優れているのでしょうか?

今回の研究は使い捨てのペーパータオルと、
古いタイプの温風手指乾燥機、
そしてハンドドライヤーを、
特定の無害な細菌を塗り付けた手で使用して、
手に付着した細菌が、
どのくらいの範囲に飛散するのかを比較検証したものです。

その結果、
使い捨てのペーパータオルを使用した場合と比較して、
温風乾燥機やハンドドライヤーを使用した場合には、
細菌を含む飛沫はより広い範囲に飛散し、
広い範囲を汚染していました。

考えてみればこれは当然とも言える結果で、
ハンドドライヤーを使用しても、
完全に手を乾燥させることは難しく、
そうなると残った飛沫は広範囲に飛び散ることになります。
ペーパータオルは汚れを完全に取り去ることは難しいのですが、
水分は拭い取ってそれを捨てるので、
そうした飛散は最小限で済むのです。

一時期病院などでもハンドドライヤーが使われたことがありましたが、
今はこうした結果が複数報告されているため、
使用を控える傾向にあると思います。

感染予防というのは、
なかなか合理性やエコとは、
両立の難しいもののようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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