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カフェインの心臓への影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
カフェインと不整脈.jpg
今月のJAMA Internal Medicine誌にウェブ掲載された、
不整脈のリスクのある患者さんへの、
カフェインの使用の影響を検証した論文です。

カフェインは覚醒作用のある植物由来成分で、
コーヒーやお茶、
風邪薬やエナジードリンクなどに含まれている、
皆さんお馴染みの成分です。

その致死量は3から10グラムを1時間くらいで摂取した場合で、
コーヒーに換算すると、
5リットルを一気飲みしたくらいになりますから、
通常の生活でその危険はないと考えられています。

ただ、肝臓の代謝酵素CYP1A2で代謝されるので、
大量飲酒時などにはその中毒のリスクは上がることが想定され、
実際に稀ですが、
エナジードリンクなどの大量使用での死亡の事例は、
国内でも報告があります。

もう1つカフェインで指摘があるのが、
心臓を刺激して不整脈を誘発するという可能性で、
そうした作用のあることは、
動物実験では確認されているため、
不整脈の既往のある患者さんや、
心機能に問題があったり、
心臓の病気を持っている人では、
原則カフェインの服用は控えることが推奨されています。

しかし、
動物実験やアルコール依存症など、
特殊な環境以外では、
カフェインの不整脈誘発作用は、
人間ではあまり明確に証明をされていません。
大部分の臨床データでは、
カフェインの摂取と不整脈の発症との間に関連はなく、
メタ解析でもそうした関連は認められていません。

今回の研究はブラジルにおいて、
カフェインは安全であるという前提の元に、
心不全の患者さんに対する臨床試験を行っているものです。

正直かなりリスクの高い試験で、
とても日本で施行出来るようなものではありません。
こんなことをして何かあったらどうするのかしら、
と不安にも思いますし、
事前に十分な説明がなされたような記載になっていますが、
本当それは事実なのかしら、
と疑問も感じるような内容になっています。
しかし、その分意義も大きいのですから、
臨床研究というのは難しいものだと思います。

ブラジルの単独施設の循環器の専門科において、
中等度以上の心不全の患者さん
(駆出率は45%未満で、埋め込み除細動器を使用している患者さんも含まれています)
トータル51名をくじ引きで2つの群に分け、
患者さんにも主治医にも分からないように、
その一方ではカフェインの錠剤を500mg内服し、
もう一方は偽薬を内服して、
その1時間後に運動負荷(トレッドミル)を行います。
そして、平均で6.7時間心電図のモニタリングをして、
不整脈の発生を比較しているのです。

その結果は、
カフェイン摂取群では血液のカフェイン濃度は増加しましたが、
運動負荷でも偽薬群との間に、
問題となるような不整脈の発生の差は、
認められませんでした。

要するに、
500mgのカフェインは、
不整脈を起こしやすい不心全の患者さんにおいても、
短期的には不整脈の誘発作用など、
心臓へのリスクの増加には結び付きませんでした。

これでカフェインが完全に安全とは、
勿論言い切れないのですが、
心不全の患者さんにおいても、
コーヒーなど
(安全域を考えると)、
1日に300mgを超えないレベルのカフェインの摂取は、
特に制限する必要はなさそうに思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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