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失神での入院患者中の肺塞栓症の頻度について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
失神と肺塞栓症.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
意識消失の患者さんの原因には、
意外なほど肺塞栓症が多い、
というイタリア発のデータです。

一時的に意識がなくなりまた回復した、
という一時的意識消失の症状は、
頻度としては結構多いものです。

一時的で後遺症なく回復する意識消失を、
通常、失神(Syncope)と呼んでいます。

この失神の原因は様々ですが、
てんかんや不整脈による一時的な血圧の低下、
脳卒中や脳震盪などの外傷、
また自律神経のバランスの乱れによる、
所謂迷走神経反射などが鑑別となります。

その中で、最近実際にはその頻度は結構多いのではないか、
という指摘があるのが、
肺塞栓症に伴う失神です。

肺塞栓症というのは、
下肢の静脈が腫れて炎症を起こしたような場所から、
血の塊が飛んで、
肺の血管に詰まるという病気です。
ここで心臓から肺に行く根本の方の太い血管が詰まると、
心臓からの血液の拍出量が低下して、
失神の要因となることがあります。

ただ、初回の失神ですぐに意識が戻り、
特に後遺症も認めらない場合には、
あまり肺塞栓症の可能性は疑わないのが実際です。

今回の研究では、
初回の失神発作の原因には、
これまでの推測より肺塞栓症が多いのではないか、
という推測の元に、
イタリアの11の病院で、
初回の失神で救急受診をし、
急性の脳卒中や痙攣発作、外傷は否定的な事例、
トータル560名を登録し、
まずウエルズ・スコアという、
肺塞栓症の簡易診断の検査を行い、
それと血液のDダイマーという血栓症で上昇する検査値を測定して、
両者の結果で肺塞栓症の存在がほぼ否定された事例以外の全例で、
造影CTもしくは換気血流シンチという検査を施行して、
肺塞栓症の診断を行なっています。

その結果…

対象となった560例中、
58.9%に当たる330例では、
ウェルズ・スコアで肺塞栓症の可能性が低いという判断で、
Dダイマーも正常範囲となり、
まず除外されています。
残りの230名のうち、
精査によるその42.2%に当たる97名では、
肺塞栓症が診断されました。

つまり、
最初に初回の失神を来たした患者さんのうち、
17.3%は肺塞栓症であった、ということになります。
肺塞栓症であった97名のうち、
61名では塞栓が肺動脈の主幹部にあるか、
肺全体の25%以上に塞栓による換気の欠損があるという、
重篤な状態であったことも確認されました。

要するにこれまでの推測より、
初回の失神で肺塞栓症が原因であるケースは、
実際にはかなり多い可能性があり、
ウェルズ・スコアとDダイマーでスクリーニングした上で、
可能性のある事例には、
積極的に診断の検査を行った方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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