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黒沢清「ダゲレオタイプの女」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
今京都に来ています。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
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黒沢清監督が初めてフランスで撮った、
キャストもフランス人の映画が今公開されています。
ただ、日本人のコーディネーターの方が企画して、
WOWOWなど日本資本も入っているので、
純粋にフランスの映画、
ということではないようです。

これは本格的なゴーストストーリーで、
黒沢監督のファンであれば、
文句なく没入出来るような性質の作品です。

オープニングの工事現場から古い邸宅に至る道のりの描写は、
アントニオーニの映画のようですし、
屋敷に入ってすぐに、
奥のドアがすっと開いて、
青いドレスの女が人間なのか幽霊なのか、
分からないように通り過ぎる場面などは、
「生き血を吸う女」を思い起こさせ、
邸内の雰囲気や、
父親が溺愛する娘をある種の科学実験の実験台にする、
という発想は同じ「生き血を吸う女」や「顔のない眼」ですし、
遠くを死んだ女の亡霊が通るところは、
「回転」の再現で、
亡霊と抱き合う場面は「白い肌に狂う鞭」
というように、
黒沢監督が愛してやまない、
ヨーロッパ製の純怪奇映画のディテールが、
この映画ではヨーロッパの本物の古い邸宅、
という最高の舞台装置を得て、
今回は思う存分に表現されています。

勿論ワンカットで階段を女性が登るところから、
長い不穏な静止の後、
転がり落ちて死亡するまでを描いたり、
邸内の横移動から亡霊の出現までを、
「エクソシスト3」の呼吸で見せたり、
男が銃で撃たれる場面をこれもワンカットで見せたりと、
黒沢監督らしい技巧も駆使されています。

内容は死者と生者との愛の物語、
という点では、
最近の黒沢監督の映画の、
1つの系譜を継ぐもので、
今回は物語の冒頭から既に存在している亡霊と、
物語の途中で生まれることになる幽霊とが、
それぞれ別個の愛と憎悪の物語を、
互いに交差しつつ展開するというのが基本的な構造で、
黒沢監督が以前から思い描いていた、
ヨーロッパ的な舞台装置の元での堂々たるゴーストストーリーが、
このように完成度高く結実したことは、
素晴らしいことだと思います。

正直2時間を超える上映時間は長く感じるのと、
独立して「ここは凄い」と感じられるような決定的な場面が、
1つあるといいな、とは思うのですが、
如何にも黒沢監督らしい作家性に溢れた映画で、
個人的にはとても楽しく鑑賞しました。

黒沢監督のファンの方は是非。
そうでない方には、
ちょっときつい部分はあるので、
好みは分かれるかも知れません。

これはこれで文学的で良いのですが、
もっと通俗に傾斜した、
シンプルに「怖い」ゴーストストーリーもまた観たいな、
というようには思いました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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