So-net無料ブログ作成
検索選択

風煉ダンス「スカラベ」(2016年立川野外劇) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

休みの日は趣味の話題です。

本日2本目の記事になります。

次はこちら。
スカラベ.jpg
風煉ダンスという劇団による野外劇「スカラベ」を、
立川市子ども未来センターの敷地内の広場で観て来ました。

この劇団は1990年に結成されていて、
劇場の芝居もありますが、
以前から野外劇も上演しています。
児童劇的な内容を感じさせる宣伝が多かったので、
あまり僕好みではないかな、
と食わず嫌いをして、
これまで観たことはありませんでした。

ただ、今回はかなり大規模な上演という話で、
大規模な野外劇を行う劇団は、
水族館劇場は東京を離れてしまいましたし、
維新派はもう解散になるようですし、
絶滅危惧種のような存在になっているので、
どんなものかな、
と思って出掛けてみました。

舞台は完全野外で、
時計台のあるお城のような建造物がそそり立ち、
その前に広場があって、
客席は簡易のビニールの屋根が掛けられています。
物語が始まると、
ディズニーランドのパレードのような、
ライトや装飾の着いた沢山の山車が、
ガラガラと引かれて舞台に登場し、
その山車が動きながら物語を展開し、
ラストはまた背後に消えて終わりになります。

確かに大掛かりと言えば大掛かりなのですが、
それほどインパクトのある場面や動きがないので、
「こりゃ、凄いや」という感じにはなりません。

作品は時間が止まり太陽が出なくなった闇の町が舞台、
というファンタジー色の強いもので、
エンデの「モモ」を思わせなくもありません。

初演が22年前ということなので、
仕方のないことなのだと思いますが、
権力構造のとらえ方にしても、
民衆の活力が世界を動かすという感じや、
定住することと流浪することとの対比など、
如何にも古めかしいなあ、
という感じは否めません。

町の権力者が、
失った妻の愛を永遠化するために、
時計台の部品から妻そっくりの機械人形を作り、
それによって時計台が動かなくなり時が止まり、
町は朝のない闇に包まれます。
そのことを知った機械人形が自ら時計に戻り、
時が再び動き出すという、
ロマンチックな設定自体は、
悪くないと思うのですが、
舞台上の表現としては、
時計台の蓋を開けて少女が中に入るだけなので、
舞台の動きに何ら意外性がなく、
巨大なセットを作った意味が、
あまりないように思えるのです。

集団創作で全てのキャストにそれなりの見せ場を作る、
というスタンスなので、
色々な店をイメージした山車が、
舞台上を動き、
正面にある山車でその店のドラマがある、
ということの連続になります。

よほど役者さんが魅力的であったり、
演技の質やインパクトに差があるようであれば別ですが、
どうしてもこうした作りでは単調になり、
やや力押しの繰り返し演技などを観ていると、
意識レベルが低下するのを感じてしまいます。

生演奏の音楽は非常にクオリティが高く、
これは間違いなくプロの仕事になっています。
伊藤ヨタロウさんによるテーマ曲も、
さすがに「キレイ」のような名曲ではありませんが、
なかなか良い感じに仕上がっています。

ただ、それと比較すると、
かなり泥臭いスタッフワークと、
古典的でやや古めかしい物語、
そして力押しの目立つ演技は、
プロと言い切れるレベルには、
達していなかったように感じました。

もう少し場面を絞り込んで、
役者に頭割りのような台詞を減らし、
クライマックスにはもっと世界が一変するような、
躍動感のある大仕掛けが欲しいところです。
お城も山車も想定されるような動きしかしていません。
これでは詰まらないと思うのです。

劇団の雰囲気は、
どくんご辺りに似ています。
老若男女どなたも御覧ください、
というような感じなのですが、
そんな芝居がある筈がない、
と僕は思ってしまう方なので、
こういうものはあまり馴染めないのです。
常連さんや知り合いが楽しそうに受付で話をしていて、
振りで来ると何となく入りにくい感じです。

主宰の方が前説をされたのですが、
もう開演時間直前なのに、
本編が始まるまではまだ撮影はOKです、
ドシドシ写真を撮って、
ツィッターやフェイスブックにアップして下さい、
と言われたり、
おトイレは今のうちに行って下さい、
と言ったりします。

僕はこういう感じもどうも馴染めないのです。
直前の前説は開演中の注意事項と、
気分を高揚させるようなことを言って、
「それではごゆっくりお楽しみ下さい」
と言ったら、ただちに本編が始まるべきではないでしょうか?

前説の後でまた間が空いて、
スマホで写真を撮る人もいるし、
トイレに行く人もいるのです。
これじゃ開演が遅れてしまうので、
直前にそうしたことを言うのはまずいのではないでしょうか?
案の定開演は5分以上押しました。
こうしたことは、
せめて15分くらい前に言うべきことではないでしょうか?

それから、
ツィッターやフェイスブックにドシドシ挙げて下さい、
というのも最近の前説の定番ですが、
何かちょっと物欲しげな感じがするのが、
僕はちょっと下品に感じるのです。
そうはお感じにはなりませんか?
舞台が素晴らしければ、
そりゃ写真も撮りたくなるし、
SNSにもアップしたくなるのではないでしょうか?
それをまだ作品が始まる前に言うのはどうなのでしょうか?
絶対に素晴らしい舞台であるという自信が、
そうした台詞を言わせるのかも知れませんが、
もしそうした舞台であるなら、
別に何も言わなくても拡散される、
という気がするからです。

昔のアングラや小劇場というのは、
基本的に「分かる奴だけ見ればいい」
という感じであったと思うのです。
「馬鹿に俺の作品が分かってたまるか!」
というような感じもあったと思うのです。
「お友達やご親戚にも是非お勧めしてください」
みたいなことは言わなかったと思いますし、
そうしたことは潔いとはされなかったと思うのです。

どちらが良いとは言えないのですが、
商業演劇とそうでない芝居というものは、
明確にあっても良いと思います。
商業演劇というのは、
端的に言えば、
老若男女誰でも予備知識なく楽しめるのが正しい、
とされている世界で、
小劇場やアングラはそうではない世界なのです。
勿論興行としても成り立ってゆかなければいけないのですが、
皆が同じように「ぜひSNSで拡散して下さい」と頭を下げ、
ネットのまとめは絶賛の嵐というのは、
何処か違うように思えてなりません。

すいません。
つい、悪口めいたことを書いてしまいました。

ご不快に思われたら申し訳ありません。

来年は「まつろわぬ民」の再演で、
これは感想をちらちら見ても、
とても面白そうな作品なので、
また是非足を運びたいと思います。

頑張って下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

サディスティックサーカス2016 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
何もなければ1日ゆっくり過ごす予定です。

休みの日は趣味の話題です。
今日は2本記事があります。

1本目はこちら。
サディスティックサーカス.jpg
昨年に引き続き、
オールナイトで奇怪でアンダーグラウンドな芸人ばかりが集う、
サディスティックサーカスという不思議なイベントに足を運びました。

ディファ有明という会場で、
午後10時から翌朝の午前5時過ぎまで、
ひたすらテレビなどでは絶対に放送出来ないような、
奇怪でグロテスクでキッチュで背徳的で淫靡なパフォーマンスが連続します。

これはゴキブリコンビナートが大好きなので、
その流れで昨年は行ったのですが、
魅力的でもあり、脱力する感じもあり、
怖い感じもあり、イライラする部分もあって、
感想は非常に複雑でした。

悪い点から言うと、
こうしたアンダーグランドなイベントを行うには、
ディファ有明というプロレス興行などが開かれる会場は、
如何にも大き過ぎて見づらいのが難点です。

アリーナと椅子席があるのですが、
北側の花道からパフォーマーは入場して、
舞台の正面は南側になります。
ただ、アリーナは実際には南側が狭く、
あまりかぶりつきの正面という席はないのが実際です。
僕は昨年は北側の2列目くらいで観て、
今年は西側の5列目で観たのですが、
一番肝心なところはパフォーマーのお尻しか見えません。
特に昨年は南側ばかり向いているパフォーマーが多く、
かなり条件が悪いのが実態でした。
今年は多くのパフォーマーが4方向に気を遣った演技をしていて、
その点では進歩があったのですが、
逆にそのために演技は間延びした印象はありました。

一方向の舞台であればどんなに良いだろう、
というパフォーマンスが多かったのが実際で、
正直納得のいかない思いがありました。

昨年も書きましたが、
内容はかなり種々雑多で、
たとえば今年の「ペインソリューション」と言うノルウェーのグループは、
確かにアングラの危険な芸というイメージそのもので、
アメリカのホラー映画の見世物小屋のシーンで登場する芸人さんそのものです。
身体の皮膚にフックや針を刺しまくり、
本当に血まみれで人体をつるし上げたりします。
複数のロープでつるしておいて、
今度は1本ずつロープを切って行きます。
巨大な剣山の上に人間が乗る演目があって、
こんなものは力が分散するので痛くないんだよ、
と理性的な感想を持っていると、
それを見透かしたように、
1本ずつ針を減らして、
同じことを繰り返すのです。
これは圧巻でした。

ただ、こうしたものがあるかと思うと、
凄くお上品で淡泊なバーレスクみたいなものもあり、
普通のロボットダンスやコミカルなダンスのショーもあります。

ダンスなどは、ある種の箸やすめ的なイメージなのかも知れませんが、
アングラの感じは殆どない演目で、
ただ単にあまりメジャーではない、
というだけなので、
その並びには違和感があります。

そうかと思うと、小空間でひっそり見るのが最適、
と思えるような演目も複数あります。
75歳の超ベテランの演芸ストリップであるとか、
緊縛ショーであるとか、
切腹ショーであるとか、
顎に縄を引っ掛けて首縊りを演じるショーであるとか、
こう言った隠微でマニアックな世界は、
大空間には似合いませんし、
空間が空虚に感じられ、かつまともに見える席が少数しかありません。

興業として成立させるのは、
ある程度のキャパが必要になるのでしょうが、
どうにも物足りなく、また虚しく感じる部分があります。

昨年と比較すると、
ただかなり内容は整理されていました。

前述のように、
南側ばかりを向いて演技をしているパフォーマーは減りましたし、
これじゃとても、と思えるような演目はありませんでした。
「ペインソリューション」という圧倒的な真打が、
いたことも大きかったと思います。

残酷見世物の極北とも言うべきノルウェーの「ペインソリューション」以外にも、
イタリアのお上品なバーレスクダンサーと、
ダリオ・アルジェントの映画のような残酷とエロスを、
スタイリッシュに演じるポーランドの「スカオフ」という、
海外組が充実していました。
昨年の演目は、
「ペインソリューション」や「スカオフ」の物マネめいたものが多かったのです。
今年はその本物が見られた、
という感じでした。

ただ、演出が逆効果になったものもあって、
昨年は非常にインパクトがあった「首くくりタクゾウ」の藝が、
変な道化の女の子を使ってショーアップすることにより、
本人も変なテンションになって、
ただの顎にロープを引っ掛けて宙乗りするショー、
になっていたのは非常に残念でしたし、
切腹ショーを浪曲の「黒塚」と強引に結びつけるのも、
無理があり過ぎて失敗していました。

眼目のゴキブリコンビナートは、
昨年と同傾向のアングラミュージカルで、
ラストは「ペインソリューション」の後では気恥ずかしい感じもあるのですが、
鉄串で3人の顔が串刺しになる、
定番の「だんご三兄弟」で締めくくっていました。

ただ、時事ネタをそのまま扱って、
強引にそのまま「だんご三兄弟」に持っていった、
という感じで、
展開に膨らみがなく、
練り上げは不足していました。
マイク1本で全てを演じていたため、
その整理がついておらず、
声がブツ切れになってリズムが乱れるのもガッカリでした。
台詞に詰まったりするのも、
今回は藝にはなっておらず、
ただ単に練習不足というように見えてしまいました。

とても期待していたので、
もう少し完成度の高い「めちゃくちゃ」、
細部にはこだわりのあるデタラメを、
観たかった、というのが本音です。
 
来年はどうするか分かりませんが、
それでもついつい行ってしまうかも知れません。

それでは2本目に進みます。
メッセージを送る