So-net無料ブログ作成

「ディスグレイスト-恥辱」(2016年栗山民也上演版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
ディスグレイスト.jpg
2013年にピュリッツアー賞を受賞した、
パキスタン系の作家アヤド・アフタルの戯曲を、
小日向文世さんら魅力的なキャストで翻訳上演した舞台が、
今三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで上演されています。
演出は栗山民也さんです。

1時間40分ほどの短い芝居ですが、
如何にもアメリカという感じの台詞劇で、
日本で上演することは、
本当に可能だったのだろうかと、
素朴に疑問に感じるような舞台です。

以下ネタバレを含む感想です

これはメインとなる4人のキャストが、
人種が全て異なるという設定になっています。
主人公の小日向さんが演じる弁護士は、
パキスタン系の移民で、
そのことにコンプレックスを感じています。
妻の秋山菜津子さんは白人で、
小島聖さん演じる同僚の女性弁護士はアフリカ系アメリカ人、
そして安田顕さんが演じるその夫はユダヤ人です。

911のテロ以降、
アメリカではイスラム教の信者に対する風当たりが強くなり、
何か起これば、
自分のアメリカでの地位は、
剥奪されてしまうのではないか、
という恐怖が主人公の心には巣食っています。

それが、自分の甥が、
イスラム過激派と関係のある、
宗教指導者の弁護を頼みに来て、
間接的にそれに関わったことから、
主人公の恐怖は現実のものとなり、
彼は職を追われ、
妻は彼の元を去ります。

本当に何の救いもない暗いだけの話で、
クライマックスは4人のキャストが、
それぞれの立場で議論を戦わせる場面ですが、
人種同士のつばぜり合いという感じの台詞の応酬になるので、
それを全員日本人のキャストで演じるというのは、
無理がありすぎるという感じです。

欧米の現代戯曲を、
日本人のキャストで翻訳上演するのは、
何にせよ無理はあるのですが、
人種の坩堝のアメリカでの、
これは人種問題そのものを主軸に据えた芝居なので、
それをドーランをちょっと変えたくらいで、
その通りに感じて下さい、
というのは相当無理があると思います。

主人公は今乗っている小日向さんなので、
それについてはちょっと期待したのですが、
今回は役柄を掴み兼ねている感じで、
中途半端に激高する感じの芝居が、
感情の持続なく散発的に爆発するという、
一貫性のない説得力のない演技で、
本当にガッカリさせられました。

演出は栗山さんですから、
正攻法で地味で堅実なのですが、
この芝居をまともに演出して、
日本の観客に娯楽として成立すると、
本当に考えていたのだとすると、
その見識は大いに疑問です。

総じて、
この戯曲を読んで、
これが本当にそのままの形で日本で上演可能だと、
上演の選択をした企画サイドの判断が一番の疑問で、
実際に上演された舞台も、
娯楽としてはとても成立はしていなかったと思います。

とても残念でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
メッセージを送る