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長期作用β2刺激剤の安全性(シムビコートの場合) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療はあるので、
それに出掛けて帰って来たところです。

今日は朝から風邪を引いて、
頭もガンガンして吐き気もするので最悪ですが、
なんとか凌ぐしか仕方がありません。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
シムビコートの安全性.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
吸入ステロイドと長期作用型β2刺激剤との合剤の安全性についての論文です。

喘息の治療薬の基本は吸入ステロイドである、
という点は確立されて事実です。
ステロイド剤には幾つかの種類がありますが、
現在最も広く使用されていて、
その臨床データも豊富にあるのは、
フルチカゾン(商品名フルタイドなど)と、
ブデソニド(商品名パルミコートなど)です。

この両者はそれぞれ、
気管支拡張剤である長期作用型β2刺激剤との合剤を発売していて、
それがフルチカゾンとサルメテロールの合剤のアドエアと、
ブデソニドとホルモテロールの合剤のシムビコートです。

フルチカゾンとブデソニドの比較では、
この薬剤をCOPDに使用した場合、
肺炎のリスクがフルチカゾンの方が上昇する、
という複数の知見があり、
現状その安全性においては、
ブデソニドに軍配が上がっています。

純粋な気管支喘息への使用については、
基本的にそれほど両者の差はないと考えて良く、
こうした薬剤を使用することにより、
喘息発作の回数や、
重症な発作のリスクなどが、
予防されることも証明されています。

ただ、吸入ステロイドのみでは、
喘息発作を充分に抑制出来ないことがしばしばあり、
そうした場合にはβ2刺激剤という、
強力な気管支拡張剤の併用が考慮されます。

ただ、β2刺激剤は心臓を刺激するような作用が皆無ではないので、
その生命予後を含む安全性には、
危惧の声があり、
実際にそれを裏付けるような、
β2刺激剤による生命予後の悪化などのデータが報告されています。

特に合剤の場合には、
ある程度機械的にβ2刺激剤を上乗せで使用することになるので、
その安全性については、
より高いレベルで検証される必要があります。

この問題については、
シムビコートよりアドエアが先行していて、
今年の5月に思春期以降の年齢層における検証結果を出し、
先日ご紹介したように、
今月には小児での検証結果も報告しています。

12歳以上の年齢層においては、
フルチカゾンにサルメテロールを上乗せすることにより、
重篤な喘息の悪化が有意に21%抑制され、
有害事象には差がありませんでした。

今回の研究はそれとほぼ同じことを、
ブデソニドへのホルモテロールの上乗せで検証したものです。

対象者は12歳以上で、
持続的に治療を受けている気管支喘息があり、
過去の1年間に1から4回の発作を起こしている患者、
トータル11693例で、
より重篤な発作や、
命に関わるような発作の病歴のある患者さんは除外しています。

患者さん本人にも主治医にも分からないように、
対象者を2つのグループに分けると、
一方はブデソニドとホルモテロールの合剤を、
1回2吸入で1日2回使用し、
もう一方は同じ財形でホルモテロールを含まないものを、
同じ量で吸入します。
含有されているブデソニドは、
日本でも使用されている剤形と、
その半量の剤形が患者さんの状態や体型により選択されています。

26週間の観察期間において、
重篤な喘息発作のリスクは、
合剤のシムビコート使用群で、
16%(0.74から0.94)有意に低下していて、
重篤な有害事象は、
有意な差はついていませんでした。

つまり、
ブデソニドへのホルモテロールの上乗せは、
喘息発作の予防に一定の上乗せ効果があり、
特に安全性には問題はなかった、
という結果です。

ただ、これはアドエアの同様の試験でもそうなのですが、
命に関わるような発作を過去に起こしているような事例は、
最初から外されていますし、
喘息死は2例が報告されていますがいずれも合剤使用群であり、
有意差はないものの、
ややリスクは合剤で高い傾向があるなど、
にわかにこれで大丈夫、
とも言い切れないものがあります。

喘息患者さんの管理においては、
矢張りもう少しきめ細かい調節が必要で、
同量の合剤をただ継続すればそれで良い、
という性質のものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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