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2型糖尿病の血圧と予後との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
DMの血圧と予後.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
2型糖尿病の患者さんの血圧値と、
心血管疾患の予後との関連についての論文です。

糖尿病の患者さんの血圧は、
どのくらいにコントロールすることが適切なのでしょうか?

疫学データによれば、
収縮期血圧が115mmHgを超えるレベルから、
心筋梗塞などの発症リスクは増加するとされています。

それでは、
血圧の目標値も収縮期血圧が120未満くらいにするのが良いのでは、
というように思われます。
しかし、ACCORD試験と呼ばれる、
糖尿病の患者を対象とした大規模臨床試験の結果では、
収縮期血圧が140mmHg未満を目標とするコントロールと、
120mmHg未満を目標とするコントロールとの間で、
心筋梗塞の発症リスクなどについて、
明確な違いは認められませんでした。

その考えが再び翻ったのは、
2015年に発表されたSPRINT試験です。

この試験は糖尿病の患者さんは除外して、
ほぼACCORD試験と同じことを検証したものですが、
今度は心血管疾患と総死亡のリスクが、
上の血圧が120未満を目標とするコントロールにより、
通常のコントロールと比較して、
明瞭に低下したのです。

この結果は多くの議論を呼びましたが、
1つの問題は2型糖尿病の患者さんとそうでない人との間に、
血圧低下のリスクにおいて差があるのかどうか、
ということにあります。

今回の研究は国民総背番号制を取っているスウェーデンにおいて、
75歳以下でこれまで心筋梗塞などの心血管疾患の既往のない、
2型糖尿病の患者さんトータル187106名を、
861のプライマリケアの医療機関において登録し、
血圧値ごとの予後を、
平均で5年間観察しています。

高血圧の治療をしている患者さんも含まれていますが、
どちらかと言えば少数です。

その結果…

収縮期血圧が130から139mmHgと比較して、
110から119と120を切る血圧の患者さんは、
致死的ではない心筋梗塞のリスクは24%(0.64から0.91)、
全ての心筋梗塞のリスクが15%(0.72から0.99)、
致死的ではない心血管疾患のリスクが18%(0.72から0.93)、
全ての心血管疾患のリスクが12%(0.79から0.99)、
致死的でない冠動脈疾患のリスクが12%(0.78から0.99)、
それぞれ有意に低下していました。
ただ、総死亡のリスクは120未満では1.28倍(1.15から1.42)と有意に高く、
心不全のリスクも高い傾向を示していました。

今回のデータは降圧剤治療をしている患者さんと、
そうではない患者さんとが混在しているため、
SPRINT試験やACCORD試験とはニュアンスは異なります。

ただ、矢張り糖尿病の患者さんにおいては、
120を切る血圧では生命予後はやや悪く、
その一方で心血管疾患の発症リスクは概ね低下をしています。

これはACCORD試験と似通った結果であり、
矢張り糖尿病の患者さんの、
収縮期血圧が120を切るような降圧については、
糖尿病のない人より、
慎重に考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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