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蛋白の摂取量と死亡リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
タンパク質の摂取と生命予後.jpg
今月のJAMA Intern Med誌に掲載された、
蛋白の組成による差と摂取量による、
死亡リスクとの関連についての論文です。

人間はどのような食品をどのようなバランスで摂るべきなのか、
というのは未だ解決のされていない問題です。

カロリーという観点から考える時、
炭水化物(糖質)と脂質と蛋白質を、
どのようなバランスで摂ることが適切なのか、
食事というのは地域や人種、社会による影響も大きく受けますから、
単純にこれが正しい、というような言い方は出来ません。

健康的な食事という捉え方をする場合、
イメージとしては肥満や、心血管疾患、癌などになりにくく、
その結果として生命予後にも良い影響を与える食事が、
それに当たると言えるかも知れません。

そうした観点で考える時、
まず適度な炭水化物の制限が、
そうした食事の条件の1つになって来ます。

総カロリーを変えずに炭水化物を制限すると、
その代わりに蛋白質を増やすか脂質を増やす必要があります。

つまり、高蛋白食か高脂質食にする必要があるのです。

それでは高蛋白食の健康に与える影響は、
どのようなものでしょうか?

ここで重要なのは蛋白質の組成です。

人間が摂取する蛋白質には、
豆類など植物由来の蛋白質と、
肉や魚、乳製品、卵など、
動物由来の蛋白質の2つの系統があります。

僕が大学を出て間もない頃の知識では、
蛋白質はその種類を分けて摂ることが望ましく、
肉と魚と豆類を、
1対1対1くらいの比率で摂るのが理想的だ、
というように教わりました。

脂質も炭水化物もそうですが、
その量もさることながら、
質が重要になる、ということなのかも知れません。

ただ、この点について、
動物性の蛋白と植物性の蛋白の、
どちらがより健康に資するのか、
というような点については、
まだあまり明確なことが分かっていません。

そこで今回の研究では、
こうした場合に必ず使用される、
アメリカの看護師と医療従事者の大規模な疫学データを活用して、
動物性蛋白質と植物性蛋白質のそれぞれの摂取量が、
病気の死亡リスクと生命予後に、
どのような影響を与えているかを検証しています。

元データはトータル13万人を超える対象者を、
32年に渡り観察した非常に大規模な研究です。

動物性蛋白質は、
赤身肉とソーセージなどの加工品、
魚と乳製品、卵などが含まれます。
植物性蛋白質は、
豆類を代表として、
パン、パスタ、シリアル、ナッツなどの蛋白質も算出されています。
普通に考えるより、
かなり幅の広いチョイスです。

その結果…

中央値としては総エネルギーの、
14%が動物性蛋白質から摂られ、
4%が植物性蛋白質から摂られていました。

年齢などの要素を補正した結果として、
総エネルギーにおける動物性蛋白の摂取量が10%以下と比較した時、
18%を超える摂取量の多いグループでは、
総死亡のリスクはやや増加する傾向を示し、
心血管疾患による死亡のリスクは、
1.08倍(1.01から1.16)有意に増加していました。
癌など他の原因による死亡リスクには差はありませんでした。

一方で植物性蛋白の摂取量が、
総エネルギーの6%を超えるグループでは、
3%以下のグループと比較して、
総死亡のリスクは10%(0.86から0.95)有意に低下し、
心血管疾患による死亡のリスクも12%(0.80から0.97)、
有意な低下は認められました。

つまり、
植物性蛋白質が多く、動物性蛋白質が少ないほど、
心血管疾患の死亡リスクは少なくなる、という結果です。

今回の結果は元がアンケートの集計なので、
それほど細かいことは言えないのですが、
蛋白の摂取における動物性蛋白質の比率を減らし、
植物性蛋白の比率を増やすことは、
一定の健康上の意義のある可能性が高く、
それはこれまでの食事療法の、
経験的な部分からも納得のゆくところではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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