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糖尿病の患者さんにおけるインフルエンザワクチンの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
インフルエンザワクチンと生命予後.jpg
先月のCMAJ誌にウェブ掲載された、
2型糖尿病の患者さんの予後に対する、
季節性インフルエンザワクチンの効果を検証した論文です。

現行のインフルエンザワクチンに、
一定の有効性のあることは世界的に認知されています。
ただ、その有効性はその時流行しているウイルスと、
ワクチン株のマッチングによっても大きく変わり、
また接種者の年齢や病気のあるなしによっても、
かなり差の見られるものなので、
その現実の効果については、
かなり議論のあるところです。

インフルエンザワクチンは、
インフルエンザによる予後への影響を受けやすい、
高齢者や慢性疾患の患者さんで、
よりその有効性が高いと考えられています。

糖尿病はその中でも、
インフルエンザによる影響を受けやすい病気の代表で、
インフルエンザに罹患することにより、
心筋梗塞や脳卒中、肺炎などのリスクが増加し、
生命予後にも悪影響を与える、
というデータが複数存在しています。

その一方で、
単独の大規模なデータで、
インフルエンザワクチンの接種による、
そうした合併症や生命予後への効果を、
糖尿病の患者さんで検証したような研究は意外に少なく、
明確な結論には至っていません。

そこで今回の研究では、
イギリスの大規模な臨床医療データを活用して、
124503名の2型成人糖尿病患者さんを7年間という長期観察し、
季節性インフルエンザワクチンの接種と、
インフルエンザ流行機関中の、
急性心筋梗塞や脳卒中、
心不全や肺炎もしくはインフルエンザ自体による入院、
そして死亡のリスクとの関連性を検証しています。
2003年から2010年のシーズンまでが対象となっています。

その結果…

年齢などの要素を補正した結果として、
インフルエンザワクチンの接種により、
脳卒中による入院のリスクは30%(0.53から0.91)、
心不全による入院のリスクは22%(0.65から0.92)、
肺炎もしくはインフルエンザによる入院のリスクは15%(0.74から0.99)、
総死亡のリスクも24%(0.65から0.83)、
それぞれ有意に低下していました。
一方で心筋梗塞による入院のリスクには差はありませんでした。
インフルエンザワクチンの効果が、
最もないと考えられる夏の時期との比較において、
その差がインフルエンザの予防にあることが、
裏打ちされました。

今回の研究において、
まとまった単独のデータとしては初めて、
インフルエンザワクチンの接種による、
2型糖尿病の患者さんの予後改善効果が、
かなり幅広く確認されました。

インフルエンザワクチンをどのような年齢層や対象に、
重点を置いて接種するかは、
国や地域によっても違いのあるのが現状ですが、
今回のような知見の積み重ねは、
それをある程度統一する一助にはなるもののように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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