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化学療法の吐き気に対するオランザピンの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などに廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
オランザピンの吐き気への効果.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
癌の化学療法による吐き気に対して、
通常の治療に加えて、
オランザピン(商品名ジプレキサなど)を上乗せで使用した場合の、
有効性を検証した論文です。

抗癌剤による化学療法は、
多くの薬剤とその組み合わせが検証され、
進捗の著しい分野です。
その副作用として、
最もその頻度が多く、
かつ患者さんにとって辛い症状が、
強く吐き気と嘔吐です。

現在化学療法による吐き気や嘔吐に対して、
第2世代の5‐HT3阻害剤であるパロノセトロンが、
最も有効な治療薬として使用されています。

それでも、その効果は充分なものではありません。

オランザピンは抗精神病薬で、
主に統合失調症や難治性のうつ病の治療薬ですが、
セロトニン系とドーパミン系を共に調整するような作用があり、
抗癌剤による嘔吐や吐き気の症状の改善に対しても、
その有効性が期待されます。

これまでに単独施設での臨床試験が行われ、
一定の有効性が確認されたのですが、
それではデータとして不充分であったため、
今回第3相の臨床試験として、
多施設での検証が行われました。

アメリカの46の施設において、
シスプラチンなどの抗癌剤治療を行なった、
401名の患者さんを登録し、
患者さんにも主治医にも分からないように、
2つの群に分けると、
一方は通常の吐き気に対する治療に加えて、
4日間毎日10ミリグラムのオランザピンを使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
吐き気に対する効果を比較しています。

その結果…

化学療法後24時間の吐き気がなかったのは、
オランザピン群では74%であったのに対して、
偽薬群では45%で、
オランザピンが有意に吐き気を予防していました。

化学療法後25から120時間においても、
オランザピン群では42%に吐き気がなかったのに対して、
偽薬群では25%で、
オランザピンにより吐き気は有意に抑制されていました。

オランザピン群での重篤な副作用はありませんでしたが、
過鎮静は一部で認められました。

オランザピンには強い鎮静効果があるため、
その使用は事例を選ぶ必要があると思いますが、
現行の治療では充分に予防することが困難な、
化学療法時の吐き気に対して、
その使用は一定の有用性のあることは間違いがないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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