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アレンドロネートの長期の効果と安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
アレンドロネートの長期効果.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
骨粗鬆症の治療薬の長期の効果と安全性についての論文です。

最近抗RANKL抗体や副甲状腺ホルモン製剤など、
高価な注射薬が発売されてその有効性が注目されていますが、
現時点で最もその有効性が確立されている、
閉経後の骨粗鬆症の治療薬は、
ビスフォスフォネート製剤です。

ビスフォスフォネートは骨の表面に沈着して、
骨吸収を強力に阻害するタイプの薬です。
要するに骨を壊す仕組みをブロックする薬です。

現在では週に1回や月に1回のタイプの飲み薬が、
主に使用されています。

このビスフォスフォネートの、
閉経後骨粗鬆症に対する骨折の予防効果は、
大腿骨頸部骨折や脊椎の圧迫骨折については、
ほぼ確立していますが、
その一方で抜歯後に顎の骨が壊死する顎骨壊死や、
通常は少ない部位の病的な骨折の増加などの、
このタイプの薬に特徴的な有害事象も報告されています。

このビスフォスフォネートのうち、
臨床データが豊富でその有効性が確立されているのは、
アレンドロネート(商品名フォサマック、ボナロン)と、
リセドロネート(商品名ベネット、アクトネル)の2種類の薬剤です。

その有効性は5年程度の使用においては確立されていますが、
それを超える期間のデータはまだ限られています。

そこで今回の研究では、
国民総背番号制が取られ、
薬剤の使用履歴や病気の診断履歴が使用可能な、
デンマークの医療データを活用して、
アレンドロネートの長期の有効性と安全性を検証しています。

対象となっているのは、
年齢が50から94歳でアレンドロネートによる骨粗鬆症治療を開始した、
トータル61990名の男女で、
8割以上は女性です。
アレンドロネートの使用期間の中央値は6.9年で、
15年以上の経過の患者さんも多く含まれています。

経過観察中の骨折を、
アレンドロネートの有効性がはっきりしている、
大腿骨頸部骨折と、
アレンドロネートによる有害事象の可能性が否定出来ない、
大腿骨転子下骨折と大腿骨骨幹部骨折の頻度と、
アレンドロネートの使用との関連性を検証しています。
薬剤の未使用のコントロールとの比較はしていないのですが、
アレンドロネートの服薬状況のデータがあり、
服薬が継続されている場合と、
服薬が不定期で十分ではない場合とが比較されています。
(この場合の定期的というのは、
薬を正しく飲んでいる回数が8割を超えているという意味で、
不定期というのは、それが5割を切っている、
という意味です)

その結果…

アレンドロネートの服用者では、
年間1000人当たり3.4件の有害事象の可能性のある病的骨折が発症し、
その一方で年間1000人当たり16.2件の、
薬剤で予防可能な大腿骨頸部骨折が発症していました。
アレンドロネートを定期的に服用している患者さんでは、
不定期に服用している患者さんと比較して、
病的骨折のリスクは低下していましたが、
関連する因子を補正すると有意差はありませんでした。
また病的骨折のリスクは、
10年以上の長期の使用者で、
短期の使用者より多くということはなく、
過去の使用者より現在の使用者が多い、
ということもありませんでした。

アレンドロネートの5年未満の使用と比較して、
5から10年の使用と、10年以上の使用では、
いずれも有意に26パーセント大腿骨頸部骨折のリスクは低下していました。

有害事象の可能性も想定される、
大腿骨転子部下骨折と大腿骨骨幹部骨折のリスクについては、
アレンドロネート5年未満の使用と比較して、
5年から10年の使用においては、
4%のリスクの増加が認められました。
ただ、10年を超えるような使用については、
そのリスクは3割低下していました。

これはアレンドロネートの使用が5年未満を基準とした時に、
5から10年の使用では、
大腿骨頸部骨折のリスクは、
38人の治療により1人の骨折を減らせるというレベルである一方、
大腿骨転子部骨折と大腿骨骨幹部骨折のリスクは、
1449人の治療により1人過剰発症するレベルである、
ということになります。

ただ、10年以上の使用においては、
そうした病的骨折のリスクは明らかではなく、
むしろそうした骨折も予防される可能性が示唆されます。

つまり、
今回のデータの範囲では、
アレンドロネートを継続的に使用することで、
少なくとも12年間は大腿骨頸部骨折のリスクは、
3割程度は低下し、
その間の病的骨折の全てがアレンドロネートによるものと仮定しても、
そのリスクより骨折予防のメリットが、
大幅に上回っていた、
という結果になっています。

12年を超えると症例数は大きく減り、
そのばらつきもかなり大きなものになるので、
有効性が有害事象を上回るとは言い切れないのですが、
少なくともそれまでの範囲においては、
アレンドロネートはトータルに骨折の予防において、
有用であると考えても良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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