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非アルコール性脂肪肝炎に対するピオグリタゾンの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ピオグリタゾンのNASHへの効果.jpg
先月のAnnals of Internal Medicine誌にウェブ掲載された、
インスリン抵抗性の治療薬を、
非アルコール性脂肪肝炎の患者さんに、
長期間使用した効果を検証した論文です。

非アルコール性脂肪肝炎というのは、
アルコール性の肝障害と非常に似通った病態が、
お酒を飲まない人にも生じるというもので、
従来の脂肪肝という概念とは異なり、
進行性で肝硬変に移行することも稀ではないのが特徴です。

その病態は内臓肥満やメタボと関連が深く、
高血圧や糖尿病、高脂血症などと高率に合併し、
インスリンの効きが悪くなってインスリンの濃度が高くなる、
インスリン抵抗性がその土台にあると考えられています。

非アルコール性脂肪肝炎というのは、
メタボの内臓に与える影響の1つの現れで、
単独でも肝硬変などの命に関わる病気に繋がる一方、
他の動脈硬化性疾患や糖尿病など、
メタボに関連する病気とも、
密接に結びついているのです。

さて、現時点で減量や運動療法などの生活改善以外に、
特効薬のような治療薬のない非アルコール性脂肪肝炎ですが、
ビタミンEなどと共に、
一定の有効性が確認されているのが、
ピオグリタゾン(商品名アクトスなど)です。

ピオグリタゾンはインスリン抵抗性の改善剤で、
主に糖尿病の治療薬として、
日本よりむしろ海外での評価が高い薬剤です。
ただ、その一方で浮腫や心不全のリスクがある、
というような報告もあり、
心疾患のあるような患者さんには適していません。

このピオグリタゾンの非アルコール性脂肪肝炎への使用については、
これまでに3つの精度の高い臨床試験のデータがあり、
そのいずれもが一定の脂肪肝炎の改善効果を認めています。

ただ、治療の効果があるのは40から60%程度の患者さんで、
最大でも2年間の治療成績しか確認はされていません。
治療効果は主に肝臓の組織の所見によるものですが、
肝硬変に結び付く肝臓の線維化の進行を予防するかどうかは、
論文によっても結果は分かれています。

今回の研究は、
3年間というこれまでで最も長期の効果を、
検証しているという点と、
インスリン抵抗性が明確である、
前糖尿病状態(糖尿病予備群)と2型糖尿病の患者さんに限って、
ピオグリタゾンの使用を行っている、
という点がポイントです。

理屈から言って、
インスリン抵抗性が明確な患者さんに使用した方が、
この薬の効果が高いことは想定されますが、
これまでにそうした試験はあまり施行されていなかったからです。

試験はアメリカの単独施設において、
前糖尿病か2型糖尿病があり、
肝臓の生検で非アルコール性脂肪肝炎が確定している患者さん、
トータル101名を、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分け、
一方はピオグリタゾンを1日45ミリグラム使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
まず1年半の治療を行ない、
その終了時点で肝臓の生検を行って、
治療の効果を評価すると、
その後1年半は今度は薬が使用されているかどうかを説明して、
更に1年半の治療を継続しています。

その結果…

NASという脂肪肝炎の活動性の指標が、
2ポイント以上改善することを有効性の指標とすると、
ピオグリタゾン群の58%で治療は有効で、
51%の患者さんは非アルコール性脂肪肝炎の診断基準を、
満たさなくなっていました。

肝臓の線維化の指標についても改善が確認され、
その有効性は治療開始後3年でも継続されていました。

有害事象は概ね偽薬と差はありませんでしたが、
体重は偽薬と比較して有意に2.5キロ増加していました。

今回のデータにより、
単一施設という欠点はありますが、
非アルコール性脂肪肝炎に対してのピオグリタゾンの効果は、
3年間は継続することが確認されました。

有害事象に注意を払いながら、
生活改善と共にピオグリタゾンの使用を継続することは、
非アルコール性脂肪肝炎の患者さんにおいて、
一定の有効性が期待出来ることが裏付けられたと言って良いと思います。
ただ、糖尿病などの患者さんに限っても、
その有効率は6割程度にとどまっていて、
どのような患者さんに効果があるのかについては、
更なる検証が必要と考えられました。
 
それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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