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ヨード造影剤の使用による甲状腺機能異常のリスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ヨード造影剤による小児甲状腺機能異常.jpg
今月のJ Clin Endocrinol Metab誌に掲載された、
ヨード造影剤検査を受けたお子さんの、
検査後の甲状腺機能異常のリスクについての論文です。

ヨード(ヨウ素)は、
甲状腺ホルモンの材料で、
海藻などに多く含まれる成分です。

ヨードは過剰に摂取されても、
不足していても、
どちらの状態でも甲状腺機能に影響を与える可能性があります。

ただ、その影響が持続するのは、
橋本病など、
甲状腺に病気のある場合に限られることが多いと思います。

ヨードが過剰に身体に入る原因として、
食事以外に想定されるのが、
イソジンなどヨード系の殺菌剤の使用と、
CTなどの検査の際の、
ヨード系の造影剤の使用です。

CTなどで使用される造影剤には、
大量のヨードが含まれています。

従って、それを使用すると、
誰でも一時的には甲状腺の入るヨードはブロックされ、
甲状腺ホルモンは分泌されない状態になります。

それは通常一時的な作用で、
数日のうちには改善し、
甲状腺ホルモン自体は十分な備蓄があるので、
持続するような甲状腺機能低下症にはなりません。

しかし、
ヨード造影剤の使用後に、
甲状腺の機能低下や逆に機能亢進になるというケースが報告されていて、
その多くの場合には、
その人の甲状腺には何等かの問題が潜んでいるのです。

以前ご紹介したことのある、
2012年のArch Intern Med.誌の論文では、
ヨード造影剤の検査後に、
一過性ではない甲状腺機能異常が、
機能亢進は2倍程度、
TSHが10を超えるような機能低下は3倍程度、
未使用の場合と比較して発症した、
という内容になっています。

今回のデータはこれまであまり検討されていなかった、
18歳未満の小児への同様の影響を検証したもので、
単独施設において、
18歳未満で甲状腺の機能異常が発見された870例を、
年齢などの条件をマッチさせた、
甲状腺の異常のないコントロール870例と比較して、
ヨード造影剤の使用が甲状腺機能異常に与える影響を検証しています。

その結果…

甲状腺機能異常のある患者のうちの6%と、
異常のない対象者のうちの2%が、
診断2年以内にヨード造影剤を使用していて、
ヨード造影剤の使用により、
甲状腺機能低下症の発症するリスクは、
2.60倍(1.43から4.72)有意に増加していました。

ヨード造影剤が使用されてから、
中央値としては10.8か月で機能低下は診断されていました。

甲状腺のこうしたデータは、
単独施設のものが殆どなので、
1つや2つの報告のみでは、
それが事実であるとまでは判断は出来ません。

ただ、これまでの幾つかの同様の報告は、
概ね甲状腺機能低下症が増加する、
という点では一致していて、
そうした現象のあること自体は、
事実と考えて良いように思います。

個人的には、
やはり甲状腺の自己抗体が存在するようなケースで、
大量のヨードがその発症の引き金になることはあっても、
単独でヨードが永続的な機能低下を増やすとは、
考えにくいと思うのですが、
その点については、
まだコントの検証を待ちたいと思います。

いずれにしても、
ヨード系の造影剤を使用した際には、
その後1年間は甲状腺機能異常発症のリスクが、
一定レベルは増加することを想定して、
疑いのあるような症状があれば、
適宜検査はするべきであるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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