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片頭痛に対するスタチンとビタミンDの有効性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ビタミンDとスタチンの片頭痛への効果.jpg
2015年のAnnals of Neurology誌に掲載された、
コレステロール降下剤とビタミンDの併用により、
片頭痛が大幅に予防された、
という興味深い論文です。

片頭痛は若年から中年層の女性に多い、
慢性で発作性の頭痛の代表で、
その症状に悩まれている方も多いと思います。

その治療にはセロトニン受容体の作動薬である、
トリプタン製剤やエルゴタミン製剤などが、
痛みのある時には使用され、
一定の効果が確認されています。

しかし、慢性の片頭痛に対しては、
こうした発作を抑える頓服薬だけでは、
コントロールが困難であることが多く、
その場合は予防薬として、
バルプロ酸のような抗痙攣剤や、
β遮断剤、カルシウム拮抗薬、
SSRIのような抗欝剤などが使用されます。

ただ、こうした薬剤の有効性はそれほど高いものではない反面、
決して副作用や有害事象の少ない薬剤ではありません。

「頭痛の名医」とマスコミなどで名前の挙がる先生の中には、
単なる「片頭痛」という診断である筈なのに、
バルプロ酸と数種類の抗鬱剤、
抗不安薬などを山のように出される方がいて、
結局薬の副作用のために、
会社を休まざるを得なくなった、
というような方が何度がご相談に見えたことがあります。

それでは、
脳の働きを落とすような薬を使わずに、
片頭痛を予防するような方法はないのでしょうか?

スタチンはコレステロール降下剤ですが、
抗炎症作用を併せ持ち、
広く動脈硬化性疾患の予防薬として使用されています。

片頭痛は昨日ご紹介したように、
心血管疾患のリスクであることが報告されていて、
仮にそれが事実であるとすると、
血管内皮障害や炎症など、
共通の病因に基づいているという可能性も否定は出来ません。

それでは、
心血管疾患の予防薬であるスタチンで、
片頭痛発作を予防することは出来るのでしょうか?

今回の研究では、
単独施設で例数は少ないのですが、
偽薬を用いる厳密な方法を使用して、
スタチンの片頭痛発作予防効果を検証しています。

対象者は18歳以上で3年以上の片頭痛歴があり、
平均で1ヶ月に4日以上は片頭痛発作がある、
という人達です。

そうした患者さん57名を、
本人にも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つのグループに分け、
一方はスタチンであるシンバスタチン(商品名リポバスなど)を、
1日40ミリグラムと、
ビタミンD3 2000単位を使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
24週間の経過観察を行い、
薬剤使用前の12週間と比較して、
片頭痛の頻度を比較検証しています。

スタチンにビタミンDを併用しているのは、
ビタミンDが欠乏していると、
スタチンの筋肉系の有害事象が生じやすいということを、
示唆するようなデータがあるからで、
スタチンを安全に使用するために、
ビタミンDを併用しているのです。
こうしたスタチンの効果の試験で、
あまりこうしたことはしないことが多いので、
やや奇異な感じはします。

その結果…

薬剤使用前の12週間と比較して、
使用開始後の12週間では、
スタチン使用群で平均8.0日間発作のあった日は減少していて、
その一方で偽薬群では平均1.0日間増加していました。
つまり、スタチンとビタミンDの併用により、
片頭痛発作は有意に抑制されていました。

使用開始後13から24週間の解析では、
スタチン使用群で平均9.0日発作のあった日は減少し、
偽薬群では平均3.0日増加していました。

スタチンとビタミンD使用群において、
25%の患者さんでは12週間の時点で、
片頭痛のあった日数は半減していて、
24週間の時点では29%の患者さんで、
片頭痛のあった日数が半減していました。

このように、
スタチンとビタミンDの併用により、
かなり片頭痛の発作は予防されている、
という結果という結果になっています。

ただし、
薬剤使用前の12週間においては、
有意差はないものの片頭痛回数は、
偽薬群よりスタチン使用群の方が多くなっていて、
そのことが結果に影響している可能性は、
否定出来ません。
単独施設で例数が少ないという点も、
まだこの効果は事実とまでは言えない、
というように考えた方が良さそうです。

いずれにしても、
非常に興味深い結果であることは事実で、
今後より例数が多く、
複数施設における同様のデータを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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