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片頭痛と心血管疾患リスクとの関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
片頭痛と心血管疾患.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
片頭痛と脳卒中などの心血管疾患との、
関連についての文献です。

片頭痛というのは、
目の前に光がちらつくなどの前兆の後に、
頭の半分のズキズキとする強い痛みが、
発作的に出現する症状で、
脳の一時的な興奮や血管の拡張がその原因であるとされ、
特に若年から中年層の女性に多い病気です。

上記文献のアメリカの疫学データによると、
生涯に一般人口の5分の1は片頭痛を発症していて、
女性は男性より3から4倍発症しやすいと記載されています。

片頭痛は基本的に良性の病気で、
薬剤でコントロールが可能であり、
後遺症などは特にないと考えられています。

しかし、以前から片頭痛の患者さんにおいて、
脳卒中などの心血管疾患が多い、
という知見が報告されています。

片頭痛後に脳卒中を来したとすれば、
それはそもそも片頭痛ではなく、
器質的疾患による頭痛であった、
という可能性もあるのですが、
脳卒中のみならず心筋梗塞なども増加していて、
脳の動脈硬化などの所見とも、
明確な関連性は認められないので、
単純に誤診のみとは考えられません。

ただ、これまでの報告は比較的短期間のものが多く、
実際にどのような心血管疾患が、
片頭痛の患者さんではどの程度多く、
それが患者さんの予後にどの程度影響しているのか、
という点についての、
精度の高いデータはあまり存在していませんでした。

そこで今回の研究では、
アメリカのこうした研究では必ず登場するデータである、
女性看護師の大規模疫学データを活用して、
片頭痛のあるなしと、
その後の心血管疾患の発症と生命予後についてのリスクを、
比較検証しています。

対象となっているのは、
登録時で25から42歳の女性の看護師で、
トータルな人数は115541名です。

20年以上の観察期間中に、
1329件の心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患が発症し、
223名が心血管疾患のために亡くなっています。

高血圧や糖尿病の有無などを補正して解析した結果、
片頭痛により心血管疾患のリスクは、
1.5倍(95%CI; 1.33-1.69)有意に増加していました。
個別にみると、
心筋梗塞が1.39倍(1.18-1.64)、
脳卒中が1.62倍(1.37-1.92)、
心臓のカテーテル治療のリスクが1.73倍(1.29-2.32)、
とそれぞれ有意な増加が認められました。

更に、心血管疾患による死亡についても、
片頭痛を持っている人は持っていない人に比べて、
死亡リスクは1.37倍(1.02-1.83)有意に増加していました。

この片頭痛による心血管疾患のリスクの増加は、
年齢や喫煙の有無。高血圧の有無、
女性ホルモン療法の有無、
経口避妊薬の使用の有無などで分けて解析しても、
同様の結果が得られました。

要するに、
片頭痛のある女性では、
その後20年に渡りそれがない場合と比較して、
1.5倍程度心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高くなります。

この原因は明確ではありませんが、
血管内膜に何らかの共通の因子があるのではないか、
という考えや、
他の心血管疾患のリスクを共有しているのではないか、
というような見解があります。

ただ、今回のリスク因子の検証においては、
あまり関連のある因子は確認されませんでした。

次に問題となるのは、
片頭痛を治療することにより、
心血管疾患の予防に繋がるのかどうか、
という点になりますが、
現状はそれについての明確なデータもないようです。

最近、スタチンとビタミンDを使用することにより、
片頭痛発作が抑制されたとする興味深い報告がありましたが、
これが心血管疾患の抑制にも繋がるという可能性はあり、
今後スタチンを片頭痛の患者さんに使用することにより、
長期的な心血管疾患の予後を改善しようという、
研究に繋がるかも知れません。

ただ、現状はまだ未解明の点が多く、
片頭痛をお持ちの方は、
他の人より意識的に心血管疾患のリスクを抑制することを考え、
生活を送るということが最善かも知れません。

明日はスタチンとビタミンDによる、
片頭痛予防のデータをご紹介する予定です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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